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遠からず来る日
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それは、永遠を手にするということだろうか?
正直よく分からない。
けれど、みんなは年を重ねて。
ちみっこだと呼んでいた彼らさえ、
確実に、俺より年を食っていく。
覚悟はあったはずなのに?
怖いんだろうか?
愛おしいのに怖い。
いつかはあなたも…――――?
…………。
それは決して永遠を手にすることなんかじゃなく……。
それは置いていかれるということだったんだ。
失われた時間のこの島。
遠く遠く、狂っていく。
END
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ごめんなさい書き
永遠なんてない。
逃げます。全力で。50m8秒台だけど。
ホントのとこはどうなんでしょう?
新総帥様の歳は…。
その辺はあんまり深く考えられないと言うか…。
ただ幸せであってくれ。
というのが本音。
(書いてる内容と離れてても本音。)
2004(May)
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PR
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愛しき素直さ
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気まずい。
パプワとチャッピーが出かけちまうと、不本意にもこのファンシーヤンキーと二人になる。
掃除、洗濯、食料調達、それら全ての家事的用事が終われば、はっきり言って暇だ。
いっそ出かけた二人(一人と一匹)についていこうかとも思ったが、逃げるような真似は性に合わない。
つーか俺が逃げる必要なし。
しかし、この沈黙から逃れたいのも事実で……。
……ま、何か話を持ちかける気は更々無いんだけどな。
アイツがした事を考えれば、むしろ生かしてやってるほうが不思議なもんだ。
感謝しろ馬鹿ヤンキー。
何で俺がこんな窮屈な思いしなきゃなんねぇんだ。
「あの……」
話し掛けんな。
「…………」
途中で止めんじゃねぇ。
「あの……」
ぁんだよ。
「怒って、ます?」
「怒ってねぇ」
んなに年がら年中怒ってられるか。
「…………」
「…………」
沈黙。
ああ、面倒くせぇ。
なんだってんだ。
口を開きかけては何も言わずに閉じる。
見ててムカつくんだよ!
「…………もういい」
「え、え? あの?」
俺は寝る。
起こすんじゃねぇぞ、ヤンキーが。
毎度のことだが寝てる横に居座るのも止めろ。
鬱陶しい。
「――――あのっ……!」
「……何だよ」
思い切ったような顔はいいが、耳まで赤いぞ?
恋する女子高生かお前。
…………いや、今のは自分で言ってて嫌になった。
うぇ。
「俺っ……」
だから早く言えよ。
寝るぞー、俺。
はい、後五秒。
四~三~……。
「俺、やっぱシンタローさんのこと好きです!」
――――ッ。
…………。
お前さ。
何つーか……。
恥ずかしい奴。
頬染めながら真顔で言うなよ。
気色が悪い。
男にモテてもなぁ?
俺、顔はいいからなぁ……。
「アナタが好きです」
「…………」
……見んなよ。
「俺っ、いっぱい考えたんっスけど……」
んな目で見んな。
「馬鹿だから、結局それしかなくって……」
っ……俺が困るだろ。
「だから、許してくれなくてもいいですから――――」
そんな縋るような目で見られたら。
「俺のこと、嫌わないで下さい」
放っておけないだろ?
そういう顔してる奴を。
そんなに人間できちゃいねぇ。
……甘いだとか、よく言われたもんだ。
クソっ、自分でも分かってんだよ。
「ばぁーか」
何、許可なく一人で結論出してんだ。
見た目通りに頭悪ィな、馬鹿ヤンキー。
「え……」
……俺は。
面倒なのも、
鬱陶しいのも、
気色悪ィのも、
全部気にいらねぇが。
「……嫌いじゃないぜ。素直な奴は」
嫌いな奴と暮らせるほど、聖人君主様じゃねぇ。
「え、えっ?」
ああ、嫌いじゃねぇよ。
好きじゃねぇけど。
「だから、コレで満足しろ」
「へっ……」
何っつーか……犬撫でてるみてぇ。
あー、結構触り心地良いなー。
「昼寝すっからな、起こすなよ」
本気で眠くなってきた。
首がよく鳴ってやがる。
ったく、お前のせいで変に気疲れしちまっただろーが。
「あ、ぅわぁ……」
だから、ちょっと頭撫でたくらいで顔真っ赤にしてんじゃねぇ。
ニヤけるな気色悪い。
「へへっ……。 大好きです、シンタローさん」
何度も言うんじゃねぇ。
恥ずかしい。
この馬鹿が。
END
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後書き
愛されているというのは、とても幸せなこと。
なんだこのバカップル告白話は。
この前にも話あったんですが、恥ずかしすぎてリテイク決定。
きっとその内UP予定……。
でも前の話なくても読めそうですね。
書いといてなんですが、正面切って報われてるリキッドなんてなんか違う気がしてならないんですが……!(酷)
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rely on me
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せめて今は、頼ってほしい。
護りたいだなんて、そこまでの我が侭は言わないから。
絶対嫌がるだろうけど。
辛いなら吐き出して、
苦しいなら寄りかかって、
せめて今は――――。
「っぅあ……」
窓からの月と星の明かりしかない暗闇。
規則的な息遣いの中、小さく漏れたその声を、青年は聞き逃さなかった。
寝れない日々が続く中で、その原因を作る人物の声。
「……?」
起き上がってそっと顔をのぞくと、眠っているというのに眉を寄せて難しい顔をしている。
何故だか苦しそうに。
「っ、ぅ……!」
「シンタローさん……?」
単に寝苦しいというわけではない雰囲気に、声をかけた。
「シンタローさん!」
「っ!?」
見開かれた瞳は、一瞬だけ怯えたような色を見せる。
「……大丈夫ですか?」
「……っ」
ほんの一瞬の表情を隠すようにして、彼は顔に手の甲を当てた。
そうして、見られることも、立ち入られることも拒絶する。
「うなされてたっスよ……?」
「……何でもねぇ」
彼は絶対話さない。
苦しいと思っても、辛いと感じても、全ては彼の中に積もっていくだけ。
「……言って、くんないっスね」
それを解放する術を、青年は知らないというのに。
「何でもねぇんだ。本当に」
それはまるで自分に言い聞かせているようであり、それ以上の介入を拒むようでもあった。
「ずるいですよ」
「……」
言わないことで自分を守っているのか、他人を守っているのか――――。
青年が感じる限りでは、彼は自分も他人も傷つけている。
少なくとも自分は傷ついている。
「俺はこんなに――――」
言葉が詰まる。
伝えてしまうべきなのだろうか?
伝えて、どうにかなるのだろうか?
自分じゃない誰かにならば、話してくれたのだろうか?
「……散歩、行きませんか?」
「はぁ?」
突然の提案に彼は、先ほどまでとは違った顔で眉を寄せる。
「散歩行きましょう! 気分転換に。俺も寝れないですし」
考えを振りほどくようにして、無理やり笑顔を作る。
「あ、ああ……」
怪訝そうな顔をして、それでも了承をくれた彼。
このくらいしか出来ないのだと、青年は思い知る。
どうしたって、彼がその背を預けてくれる事はないと言うのに。
渇望してやまないものは、彼の真情――――。
せめて今は――――。
END
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後書き
The☆PACHIMON!
誰この人たち……。
というかダーク系でごめんなさいっ!
ありえない。
2004(April)
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穏やかに笑う
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この人は髪を梳くのが好きなのだろうか。
頭を撫でるってよりはそんな感じ。
俺がんなことしようとすれば、拳一発、機嫌悪い時は眼魔砲。
でも、触れて欲しいと思うから、何も言わないでおく。
子どもに見られてるってことなんだろうけど。
自分の特性くらい活かしていいだろ?
金髪碧眼。
この人にとって重い意味を持つそれを、一応アメリカンな俺も持っていて、
彼はたまに、そして多分無意識に、手を伸ばしてくる。
くしゃりと、指が髪を梳くのが気持ちいい。
何か、こう、安心できるって言うか……。
そんな感じ。
けれど数秒して。
彼が正気に返ったように顔を赤くして、慌てて手を離すと終了。
……別に良いのに。
「ッ……!!」
やっちまった。とかそんな顔をして、口元を抑えている。
ああ、年上に向かってどうかと思うけど。
ホント、可愛いです……。
「あの……?」
「~~っ! ぼーっとしてんなヤンキー!」
……怒ラレマシタ。
んな理不尽な。
いや、照れ隠しだって分かってはいるんだけどね。
もう、そういうとこが可愛くてならない。
「なぁにニヤけてやがんだよ!」
いえ、だって。
「油断したんだ! 今のは!」
油断って……。
でもまあ、そんなあなたを見れるのは、今は俺だけですよね?
それだけでも、きっと。
かなり幸せなんだと思います。
END
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後書き
段々何がしたいやら分からなくなってませんか自分?
たまにはこういういい思いしててもいいかなーと。
まあでも子供に見られてるって事。
そしてリッキーがどんどん計画的に……!
恐ろしい子!!
管理人脳内で「シンタロー弱体化」、および「リキッド天然したたかさUP」が現在進行中
どんどん偽者になっていくよー?偽者。
2004(April)
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忘れないで
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島は今日も、ただ天気がいい。
日差しは暖かというより暑く、チリチリと肌を焼く。
しかし、リキッドの顔は青かった。
例えるなら凍死寸前の顔。
「あの……シンタロー、さん……?」
呼びかける声に答えはなく、目の前の人物は、ただ静かに地面に横たわっている。
意外に長い睫毛は伏せられたまま、開くことがない。
青い顔をさらに青くして、リキッドは即座にその胸に耳を押し当てた。
……呼吸で小さく上下しているのが分かる。
安堵の息が漏れた。
「っはぁ~……良かった……って良くねぇよ!!」
自分で自分にツッコミを入れ、不安を押し退けようとする。
よほど強く打ち付けたのか、彼が目覚める気配はない。
「ああ、もう、俺の馬鹿……!」
項垂れて、深くため息をつく。
どうしてこんなことになるのだろう、と。
倒れたままの彼を引きずり、木へと寄りかからせる。
「痛ぇ……」
忘れていた痛みが、今になってズキズキと主張してくる。
触るとかなり大きいコブができていた。
そのくらいですんだのだから、良かったといえるだろう。
「どうしよ……」
シンタローの意識がないのは、状況から言うまでもなくリキッドのせいである。
このまま起きるまで待つか、起こすか……どちらにしろ、即眼魔砲が飛んできそうだ。
「シンタローさん?」
もう一度呼びかける。
やはり答えはない。
「俺があんなとこから落ちたから……」
そう言って、シンタローを寄りかからせた木を見上げる。
「足滑らせるなんて、情けなすぎるよなぁ~」
しかも落下地点に丁度良く(悪く?)シンタローがいたのは、リキッドにとって幸運だったのか、不運だったのか……。
ともかく、故意だろうが過失だろうが、彼に頭突きをかましてしまったのだから、ただでは済むまい。
「都合良く忘れてくれないかなー……なんて……」
妙なことを期待してみる。
強い衝撃により、一時的に記憶の混乱が起きるというのは良く聞く話だ。
「ってそんなの困るだろ!!」
首を大きく振って、瞬時に打ち消す。
彼が今までのことを忘れてしまうだなんて、縁起でもない。
起きるのを待って、謝ろう。
そう決めた時、かすかにシンタローの瞼が動いた。
「んっ、痛ッ……」
声に全身がビクリと震えた。
ついに起きたのだろうか。
「シ、シシシ、シンタローさんっ?」
声まで震えている。
脳は謝れと指示を出しているが、口は上手く動かない。
「……あぁ?」
これから起こることが目に浮かぶ。
罵倒→眼魔砲→星になる自分。
帰って来るのにどれくらいかかるだろうか、と言う計算まで考え始めたリキッドに、シンタローの声が響いた。
「……誰だ? お前?」
瞬間、音が聞こえなくなった気がした。
何を言われたかわからなった。
「え……?」
馬鹿みたいに聞き返した彼に、シンタローは後頭部を手で摩るだけで、何も言ってくれない。
まさか、そんなことあるはずない。
たかがあのくらいのことで――――。
ちらっとでも自分が考えたことだけに、駆け上る不安は大きい。
全身の血の気が引いていく気がした。
「シンタロー、さん?」
確かめるように名前を呼ぶと、彼は怪訝そうな顔をしただけで、やはり返事はしない。
「それが、俺の名前か?」
いつもの俺様振りなどさっぱり窺えない。
弱々しい目――――。
「冗談、止めて下さいよ……?」
頭がガンガンと痛み出す。
これは先ほどの外傷ではない。
どうして、どうしてと、疑問符ばかりが浮かんでくる。
唇が震えて、喉が張り付き、声が掠れる。
「俺が、あんなこと思ったから――――?」
都合よく忘れて欲しいだなんて。
決して本心からじゃない。
「嘘、ですよね?」
泣きそうだった。
こんなのは、望んでいない――――。
「ああ。嘘」
「へ……」
けろりと言い切った彼の言葉に、リキッドは固まった。
「ったく、何してんだよヤンキー!痛ぇなー……」
「え、ええ? シンタロー、さんっ?!」
眉を寄せてリキッドを睨みつけるシンタローは、すっかりいつもの彼に戻っている。
「ぁんだよ」
「お、俺のこと、覚えてます?!」
喉がごくりと鳴った。
怖々発したその言葉に、彼はニヤリと笑う。
「その間抜け面忘れるかよ、リキッド」
途端に顔に血が上った。
「――――っ! からかったんですか?!」
「てめぇが人の頭上に落ちてくんのが悪ぃ」
「なっ……!!」
子供のように言って、顔を背ける彼を見て、リキッドは確実に隊長と血縁だと感じた。
いや、向ける感情が違う分、隊長よりも性質が悪い。
脱力と、安堵と、少しの怒りと……。
全てが一気に押し寄せて、目の奥が熱くなる。
「俺っ……!ホントに……っ!」
拳を握って、こんなことで泣いてしまいそうな自分が情けないと思いながらも、抑えられない。
本当に、たまらなく怖かったのだ。
忘れられたくない。
「おい……?」
俯いて震えるリキッドに、流石にやりすぎたかとシンタローは手を伸ばす。
「っ……! シンタローさん!」
伸ばされたその手ごと、シンタローを包むように抱きすくめた。
存在を確認するように、強く。
勢いに押されて、背中を少々打ちつけたが、リキッドは構わない。
「おいっ!」
「ホントに、心配したんですッ……!!」
強い口調のわりに、リキッドは涙目で、痛いくらいに腕に力をこめてくる。
そんな風にされればシンタローの負けだ。
まさかここまで堪えるとは思っていなかった彼は、参ったなとため息を漏らす。
「……おい、悪かったって……」
多少窮屈な体勢から手を伸ばして、小さく泣くのを耐えるような声が聞こえなくなるまで、背中をさすってやる。
子供相手にむきになって、どうしようもないな、と自嘲して。
「おら、泣き止め」
あまり強くない、語りかけるような口調。
それは子どもに向かう態度。
「泣いてません……」
「じゃあ、重いから離れろ」
「……」
「リキッド」
肩口に埋められた顔は、不服そうだ。
まだ、触れていたいと。
「調子に乗ってんな。クソヤンキー」
「はい……」
そんなことを知る由もないシンタローは、すっかりいつものヤンキー扱いに戻していた。
渋々ながら彼から離れる。
温かな人の体温が、腕に名残惜しい。
離れてしまったリキッドの手が、寂しく宙を掻いた。
その手で自分の顔を拭う。
情けない。
どうしてこんなに――――。
「情けねぇ顔してんな」
両の頬を挟まれるように軽く叩かれる。
自分の顔が赤くなるのを自覚して、リキッドは目をあわすことも出来なかった。
「誰のせいですか……」
「ああ?」
「何でもないっス……」
この人はどこまで行ってもやはり俺様なのだ。
けれど、
「……忘れねぇよ」
「え……」
「忘れてなんてやらねぇ」
けれど、こんなにも柔らかい――――。
それがとても愛しい。
強そうで弱くて、厳しいのに優しい彼に――――。
こんなにも思い強く。
勿論彼はそれを知らないのだけど。
「俺もっ……ですか?」
「さぁな」
自分がそこに含まれているかどうかはわからない。
それでも、その言葉一つ一つ、一挙一動、全てが、心臓に響くようで。
ああ、やはり焦がれているのだと、リキッドは強く思った。
「帰んぞ、リキッド」
「――――っ、はいっ!」
これからこの人のそばで普通に過ごしていけるのかと、少し不安になる。
焦がれる、あまりにいつか狂ってしまうかもしれないと。
もう、どうしようもないほどに。
この人には忘れないで欲しいと。
(だって、ホントに好きなんだ。)
口の中の呟きは、今は決して前を行く彼に届くことなく――――。
END
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後書き
伝えたい愛しさがある。
ともに生きる事が出来ないのなら、せめて忘れないで欲しいと。
そんな感じです(何)
自分で理想を語ったそばからそれをぶち壊すなよ私!(申し訳ありません…。)
2004(April)
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