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俺等一族は、実は吸血鬼だッ!!

って、言ってもよ、昼間は普通に生活できるし、寝るところは棺桶じゃなくてベッドの上。

ニンニクなんて、スパゲティに入れて喰ってるし、クリスチャンだから十字架も恐くねえ。

だったら、どこが吸血鬼かっていうとだな、長寿だし、人間の血を飲む。

長寿っていっても、成人するまでは普通に成長するし、人間の血なんて成人してから飲むもんで、それを飲んで初めて吸血鬼として認められる。

そこで、成長が止まるというよりかなり遅くなる。

あと、血を飲むって言っても、首の頸動脈に歯を突き立ててなんてものはしない。

まぁ、好きな人に対しては首から血を吸うけどな。

それは、まぁ、セックスみたいな物ではなくて、口付けのような儀式みたいなもの。

そんな一族に生まれた俺は、一族の長マジックの息子として生まれてきた。

親父は、今までの長の中でも優れた能力者で、闇の眷属の種族の中でも頂点に立つスッゲェ奴だ。

それなのに、俺ときたら一族の証の金髪も、青い瞳も持たない。

不信がる親戚を無視して、親父は俺を可愛がってくれた。

どがすぎるくらい。

けど、まぁ、イヤじゃなかった。

あいつとの、セックス以外はイヤじゃない。

しつこいんだよなぁ…。

それはそうと、今日、俺は成人式を迎える。

大人として体が出来上がった24歳に、その儀式を迎えることが許される。

なぜかって?

世の中のことを自分の眼で見て考えられる年にならねえと、その力で意味もなく人を殺してしまうからだ。

ほら、ガキがよく嫌いとか言うだろ?

いなくなっちゃえばいいのにって思って行動してみろ。

この世の中、死体だらけだぜ?

だから、大人になってから。

ちょっと前に、従兄のグンマが成人式を迎えた。

そいつは、金髪青眼で、頭のいいバカ。

父親が早くに蒸発(人間の女と駈け落ち)してからというもの、同族でもある一族お抱え主治医に育てられた。

特に甘いものがスキで、この前ウインナーコーヒーを作ってくれた時なんて、コーヒーの上に甘いホイップクレーム、コーヒーは粘り気のある甘さの物だった。

よく今まで、糖尿病にならなかったのか不思議なくらいだ。

さてと、俺の回想はここまで。

もうすぐ、成人式が始まるから、用意しねえとな。



今日は満月。

俺の成人式。

待ちに待った成人式。


「これで、俺も立派な吸血鬼になれるな」

「そうだね~。シンちゃんの、黒いマント姿格好いいだろうなぁ!」

グンマが黒いマントをひらひらさせながら、儀式前の俺にうれしいこと言ってくれるもんだから、ちょっと照れちまう。

それによ、グンマが今着ている黒いマントも、成人を迎えないと着ることができない。

色々決まりごとがあって、面倒だけどそれも吸血鬼だからこそ。

「ああ、早く時間がこねえかなぁ」

そんなことをぼやいた時、俺らのいる部屋をノックする音が聞こえた。

「シンちゃん、時間だよ」

親父の声が聞こえた。

「シンちゃん!」

グンマの眼が輝いていた。

「おう!」

俺も高鳴る鼓動を抑えることができない。

やっと、大人になれる!

どんなにこの日をまったことか。

俺は早く自立をして、親父のそばから離れたいんだ。

大人にならないと自分の身を守る力なんてねえし、自立できないしよ。

「いくぜ!」

俺はグンマの背中を強く叩いてドアを開けた。

「待ってよ!」

グンマが遅れて、あとをついてくる。

本当は、昔は、グンマが成人するまでは、これぐらいの力で背中を叩いていたら、グンマはむせていたのに今はなんともなのがすごくつらかった。





式が滞りなく行われ、後は俺が人間の血を飲むところまで来た。

ここが、一番の見せ場。

クライマックスだ!

この式を執り行なっているのは、一族の長でもある俺の親父で、式の合間に俺に小声で励ましたり、俺に血を捧げた女が憎いからさっき殺してしまったなんて言ってきては、俺の表情の変化を楽しんでいた。

「これより、シンタロー。お前は一族のものとしての証のため、この赤き水を飲み干し、一族の長である私に誓いをたてなさい」

金の杯に入れられた赤い血が、ゆらりと揺れながら俺の手のなかに収まった。

「さ、飲みなさい」

ゆっくりと口を近づけ、杯のなかの赤い水の芳香な匂いを胸いっぱいに吸い込んだとき、俺はある異変に気がついた。




気分が悪い。




おかしい。

親父の血をたまに飲んだりしたときは、確かに甘くおいしく、そして芳醇な香りに歯止めが利かないときもあった。

しかし、今、俺が手にしているのは人間の血。

同族の血よりも、甘いはずだというのに。

そんな俺の異変に、最初に気がついたのは親父だった。

「シンちゃん、そんなに緊張しなくていいんだよ」

小声でそっといわれ、俺は意を決してそれを飲んだ。

飲まないと大人にはなれない。

いや、飲もうとした。

「ぐっ!」

口の中に広がる、なんともいえない臭さとまずさに俺はその場で口に含んだものを吐き出した。

「げほっ!」

「シンちゃん!」

親父のあせった声と、式典に参列していた人達のざわめきが耳には届くんだが、体が言うことを利かない。

熱くて、痛くて、そして・・・

自分の正体を感じた。

白い羽が宙を舞い、親父の表情はどこか悲しそうで、俺はごめんとあやまっていた。

「いいよ、シンちゃん。シンちゃんが、天使でも女の子になっても、パパはゆるすよ」

俺は、白い羽を背に持った光の眷属だったんだ。

しかも、女の子。

後ろにいる野次馬たちから、歓声の声があがっていた。

そう、天使の血は最高の食事だから。






「この子の扱いについては、長である私が決めるッ!!異義あるものは、明日の朝聞く。それでは、失礼する」

親父は、座り込んでいる俺を抱き上げその場を去ろうとした。

「…待ってくださいッ!!」

この世の中で、親父に異議申し立てをできる奴なんていないと思っていた。

そんな命知らずな奴は誰なんだと、会場の方を見てみればグンマがいつものへらへら顔ではなく、引き締まった顔で俺等を見ている。

これが、吸血鬼の顔なんだと実感した。

「なんだい?」

それに律儀に答える親父だけど、すごく緊張しているのがひしひしと伝わってくる。

「叔父様、光の眷属を食料とすれば寿命がのびる。そして、一族に取り込めば繁栄と強き力を手に入れれるます。一族のために、あなたはどちらを選ぶのですか?」

辺りはシンと静まり返った。

親父は厳しい目でグンマを見ている。

「もし、取り込むと言うのでしたら、シンちゃんを僕のお嫁さんにしたいんです」

ぴくりと親父の肩が動いた。

周りの奴らは、それがいいと賛同し始めた。

「シンちゃんを僕にください!」

俺がグンマと結婚?

親父以外とセックスをすると言うのか?

「…イヤだ」

イヤだ。

「シンちゃん?」

絶対にイヤ。

「イヤだッ!!」

親父以外なんて、イヤだ。

何か溢れてくる力を、無我夢中で掻き集めグンマに向けて放った。

すごく眩しい光がグンマに向かって…


気がついたら、グンマは壁にのめりこんでいた。

俺は、無意識のうちに出していた右手をみつめた。

そこには今、大きな光を出した形跡はまったくない。

今のは一体何だったのか、考えるだけで体が震えてきた。

もしかしたら、この力は吸血鬼のものではなく光の眷属のものなのではないのかと。

そう考え出したら、きりがない。

かなりの高い可能性でそれなのだから。

ああ、誰か俺を助けてよ。


「シンちゃん、眼魔砲を打てるんだ・・・」

親父の驚いた声が聞こえてきた。

「は?」

そんな名前初めて聞いたぞ。

「何だよそれ?」

俺の質問にうれしそうな笑顔を浮かべながら、眼魔砲について説明をし始めた。

「私たち一族の、それも一部の者にしか使えない一族伝統の技だよ。当たり前のことながら、パパは使えるけど、グンちゃんはまったくてんでだめなんだよね。それにしても、シンちゃんが使えるだなんてパパ驚き桃の木山椒の木だな」

親父のその言葉に、俺は首を傾げた。

言っている意味が全くと言っていいほど判らないからだ。

「光の眷属のお前が、私たちの一族の秘儀を使えたということはお前は、私と同じヴァンパイアだよ。ただ、羽が付いているのは・・・お前の母さんのご先祖様が光の眷属だったのかもしれないね。すごく綺麗だよ。お前は、私たちのような黒よりも白が本当に似合う」

俺のこの羽のことをまったく気にしていないように話す親父が、すごく暖かくて、この人が俺を助けてくれる人なんだと実感した。

「しかも、女の子になっちゃうだなんて・・・・」

「父さん」

「ん?」

頬に手をやり、そっと口付けた。

「シンちゃん?」

「あんただけだと俺は思う」

そう、この世界にはあんただけ。

俺を助けてくれるのは。

「俺を・・・」

「ん?」

「父さんの妻にして」
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