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rely on me
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せめて今は、頼ってほしい。
護りたいだなんて、そこまでの我が侭は言わないから。
絶対嫌がるだろうけど。
辛いなら吐き出して、
苦しいなら寄りかかって、
せめて今は――――。
「っぅあ……」
窓からの月と星の明かりしかない暗闇。
規則的な息遣いの中、小さく漏れたその声を、青年は聞き逃さなかった。
寝れない日々が続く中で、その原因を作る人物の声。
「……?」
起き上がってそっと顔をのぞくと、眠っているというのに眉を寄せて難しい顔をしている。
何故だか苦しそうに。
「っ、ぅ……!」
「シンタローさん……?」
単に寝苦しいというわけではない雰囲気に、声をかけた。
「シンタローさん!」
「っ!?」
見開かれた瞳は、一瞬だけ怯えたような色を見せる。
「……大丈夫ですか?」
「……っ」
ほんの一瞬の表情を隠すようにして、彼は顔に手の甲を当てた。
そうして、見られることも、立ち入られることも拒絶する。
「うなされてたっスよ……?」
「……何でもねぇ」
彼は絶対話さない。
苦しいと思っても、辛いと感じても、全ては彼の中に積もっていくだけ。
「……言って、くんないっスね」
それを解放する術を、青年は知らないというのに。
「何でもねぇんだ。本当に」
それはまるで自分に言い聞かせているようであり、それ以上の介入を拒むようでもあった。
「ずるいですよ」
「……」
言わないことで自分を守っているのか、他人を守っているのか――――。
青年が感じる限りでは、彼は自分も他人も傷つけている。
少なくとも自分は傷ついている。
「俺はこんなに――――」
言葉が詰まる。
伝えてしまうべきなのだろうか?
伝えて、どうにかなるのだろうか?
自分じゃない誰かにならば、話してくれたのだろうか?
「……散歩、行きませんか?」
「はぁ?」
突然の提案に彼は、先ほどまでとは違った顔で眉を寄せる。
「散歩行きましょう! 気分転換に。俺も寝れないですし」
考えを振りほどくようにして、無理やり笑顔を作る。
「あ、ああ……」
怪訝そうな顔をして、それでも了承をくれた彼。
このくらいしか出来ないのだと、青年は思い知る。
どうしたって、彼がその背を預けてくれる事はないと言うのに。
渇望してやまないものは、彼の真情――――。
せめて今は――――。
END
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後書き
The☆PACHIMON!
誰この人たち……。
というかダーク系でごめんなさいっ!
ありえない。
2004(April)
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