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m,.


キリリク40000小説『マジック×シンタロー』 マジック総帥ほんのり報われ気味v
★最初に言っておきましょう。夢オチですよ?★




シンちゃんとマジックパパとグンちゃんとキンちゃんとでお食事中。
「ごっそーさん。」
一番早く箸を置いたのは、シンタローだった。
「あれシンちゃんそんだけしか食べないの~?」
いつもなら二回くらいお代わりするのに、今日は一杯とおかず半分以上残っている。
「ひょっとしてお口に合わなかったかい? イイお肉のハズなんだけど……」
しょうがの入れるタイミングを間違えたのだろうかと(豚肉のしょうが焼き)ちょっと心配になるマジック。
「お前が残すのを見たのは初めてだ……」
少し驚いたような口調で言うキンタロー。
「イヤ……そう言う訳じゃねーんだけどよ……」
シンタローもちょっと戸惑ったように話す。
『?』
「なんか脂がきつくて……」
心配そうな顔をするマジックとグンマを誤魔化すように苦笑いしながら言う。
「そう?」
小首を傾げてグンマが聞き返す。確かに豚しょうがそのままだけだとキツイという人がいるかもしれないが、
グンマがやっているように備え付けのレタスでくるんで食べればシャキシャキして美味しいし、
何よりいつものシンタローならこのくらいぺろりと平らげる。
「でもそれだけじゃぁ足りないだろう?」
今夜も仕事(書類整理)で徹夜に近くなるだろうと予想していたマジックは『夜食でも差し入れるか』と考えていたが、
「果物なら入るかと思うんだが……すっぱい物がいいな……」
シンタローの言葉に沈黙する。
「…………」
「どうしたのお父さま?」
「イヤ……別に…………」

更に数日後
「今日は和食にしてみたよ。お刺身ならシンちゃんも大丈夫だろう?」
「……ありがとな」

数分後
「う゛っ…………」
突然シンタローが口を押さえてイスから立ち上がった。
『シンちゃんっ!?』
グンマとマジックは慌ててどうしたのだろうと様子を見る。
が、それに気にする余裕すらないのか、シンタローは台所の方へダッシュした。
ダダッ
「けほっけほっ!」
ザー
「シンちゃん……どうしたんだろう……」
咳き込む声と、水の流れる音に心配そうにグンマが呟く。
「……………………」
マジックもそれに応えられず、黙っていると、頭を掻きながらシンタローが戻ってきた。
「あ゛ーわりぃ……吐いちまった。」
「大丈夫?」
「多分な。」
「シンちゃん……後でパパの部屋に来てくれないかな……?」
「は? まぁ……イイケドよ……」


食事終了後
マジックパパのお部屋。

「いっとくけど……今日はその気じゃねーんだ」
何を勘違いしたのか、シンタローが少し迷惑そうな顔で先に言って来る。
「ああ……別にそれはいいんだが……」
「じゃぁなんの用だ?」
怪訝そうな顔をするシンタローに、マジックは酷くまじめな顔で、
「……はっきり言うよ?」
「何だよ」
「シンちゃんひょっとして妊娠してないか?」
「………………………………」
「…………………………………………………………」
「帰る」
「あぁっ 待ってえぇえぇえっっ!!!」
くるりときびすを返したシンタローの腰にしがみついて、部屋から出ようとするシンタローを必死で引き留める。
「男が孕むかっ!」
「そうだけどっ! 最近のシンちゃんの様子はそうとしかとれないだろう!?」
「どこがだよっ!!」
「ちょっとしたことでイライラしたり、すぐトイレに行きたくなったり、しかもすっぱい物が食べたいって……」
「……そ……そりゃそうかもしれないけどな!? オレは男だぞっ!!? 
 その大前提を無視してどうする!?」
「ケドねぇ……」
「あんだよ」
「シンちゃんの身体ってあの時ジャンに乗り移ったんだから、秘石が創り出した身体なんだよねぇ」
「そうだな。」
「一般論じゃぁ間に合わないんじゃないかな?」
「だからっつって……!!」
「一応高松あたりに相談しに行ったらどうかな?」
「う~~~」
うなってはいるが、何となくマジックの言うことにも一理あるような気がするので大人しく従う――――
というわけでは全くなく、とりあえずややこしくしたくないから一応は従っておくか。と言う考えで、シンタローはマジックの言うとおりにすることにした。


ところが……
次の日、高松に事情を話して検査をして貰う。
さらに数日後、高松の研究室。
研究結果が出たと聞いて、シンタローは一度仕事を止めて研究室に出向いた。
研究室には、何故かサービスまでいて……
シンタローが入ったとたん、高松はシンタローの顔をじっと見つめ……
「陽性……でした……」
「つまりソレって……」
「おめでただな。おめでとうシンタロー」
「叔父さん……ソレ本気で言ってる?」
「ああ。」
「…………………………(汗)」
「ココで問題があるんですけど……」
「問題?」
「ええ……」
「一体なんだ? ドクター?」
「どこから子供が産まれるか……という話なんですけど……」
「…………どこってそりゃぁ…………」
「仕込んだところから。だろうな」
「………………………………………………………………………………」
「……………………………………………………………………」
「……………………………………………………………………」
「……………………………………………………………………」
「いやだあああああああああああああああっっっっ!!!!!」
「落ち着いて下さいシンタロー様ッ!!!
 大丈夫ですっ! いざとなったら帝王切開です! ハラキリです!! 男らしくてイイじゃないですか!!」
「違うぅっ! 問題はソコじゃねぇっ!!」
「そうだぞ高松問題は…………」
「問題は?」
「考えんでもわかるだろうがッ!」
「シンタローが産休を取っている間、誰が総帥の代わりを勤めるかだ。」
「…………………………え?」
「そう言えば……そうですねぇ…………」
「グンマはああだし、キンタローは世間知らずだ。
 アラシヤマ・コージ・トットリ・ミヤギあたりに補助を頼めればいいが、彼らは遠征中なんだろ?
 ハーレムは間違ってもそんなコトしそうにないし、私は統率力に自信はない。」
「となると必然的に…………」
「兄さんだろうな。経験者だし顔もきく。」
「となると、代理の間、この事みんなに言いふらしそうですね。
 シンちゃんが私の子供を産んでくれるvって。」
「いつヤッたのかとか、そう言う間柄だったのかって、今まで事情を知らなかった連中どころか、新米兵士にも広がるだろうな」
「うわあああああああああああんんっっ!!!!!!」
バンッとドアを開けてダッシュで部屋から去っていくシンタロー(28)
「ああっシンタロー様ッ!?」
「あーあ。行っちゃった。」
「って軽いノリで逃げないで下さいよっ! トドメはアナタでしょう!?」
「そうだな」
「開き直らないで下さい! そもそも最初にストレート(仕込んだところから)かましたのもアナタですよっ!?」
「兄さんが何とかしてくれるだろう。ソレに今のシンタローだってきっとマタニティブルーだ。
 こういうときこそ2人で解決しあうのが一番。」
正論だがどこか違ってるような気がするのは高松の気のせいだろうか。
「…………秘石から創り出された身体だからシンタロー様に子供が出来たんですよね」
「まぁそうだろうな」
「…………ジャンは大丈夫ですかねぇ……」
「………………………………………………高松」
「はい?」
「一応検査の用意をして置いてくれ」
「わかりました」


「シンちゃ~~~んっっでかしたぁぁあっっ!!」
何となく執務室には戻りたくなくって、自室に帰ったとたん、出迎えたのは父親の広い胸だった。
ぼふっ(抱きついた音)
「うわっ」
勢い良くタックルされた所為で、数歩後ろにたたら践む。
「高松からは内線電話で連絡があったんだよ。
 シンちゃん良くやった! 楽しみだねっ!!」
「……オヤジ……おじさんにも言ったんだけど……ソレ本気で言ってるのか?」
じと目で睨み付けるが、幸せ真っ直中のこの男には通じない。
「もちろん! あぁ……子供と孫の顔が一度に見られるなんて……パパ生きてて良かった……」
背中をさすりながら一人感動している父親に冷たい目線を向けてみるが、顔はすぐ横にあるので向こうからは見えない。
「…………」
「さ。こんな所で立ちつくしていても意味がないね。母胎は大事にしないと。
 シンちゃん。ちょっと辛いだろうけど、しばらくお酒とたばこは我慢だよ?
 たばこ吸ってる人の近くにも行っちゃダメだからね」
ようやっと体を放し、シンタローの腰と肩に手を置いて、ちょっときつめに、それでも穏やかに微笑みながら注意してくる。
「えーと…………」
一人で盛り上がる男を扱いかねてどうしようかと悩むシンタロー。
マジックはシンタローの腰に回していた手でシンタローの腹をさすりながら
「名前はどうしようか? シンちゃんそっくりの女の子だと良いなぁv
 パパそっくりの男の子でも良いんだけど……何か生意気そうだしねぇ……?」
「イヤ……」
「赤ちゃんが中にいるときは、ビタミンCやカルシウムを沢山取るんだよ?
 そうだベッドとかも用意しないと……どこに注文しようか……」
「人の話を聞けぇっ!!」
無理矢理マジックのセリフに食い込む
「なんだい(にっこり)?」
が、マジックの毒気を抜くような満面の笑みに威力をそがれてしまう。
「……俺は……その……あんまり…………生みたくねぇ……………………」
かろうじてそれだけ言うと、マジックは驚きに目を見開いた。
「何でだイッ!!?」
「だってその……男から生まれたなんて…………」
「まわりの目なんか気にしちゃダメだよ! そんなことより折角授かった命なんだ。大事にしないと……」
必死でシンタローを説得するマジック。
「……アンタがそういう台詞を言うか」
「それはともかく(誤魔化しっ)、本当にシンちゃん本気かい?」(じっ)
「う…………」
じっと目を見つめられてひるんでいると、マジックはその部分を暖めるように、シンタローのおなかの上で動かしていた手を止めた。
「まだ目にしたわけじゃないから、実感わかないかもしれないけど、君の体の中にもう一つの命が宿っているんだ。
 おろすっていうのは殺すって言う意味なんだよ?
 しかも私とシンちゃんの愛の結晶だ!
 産んだ後、まともに育てられる自信がないって言うのならともかく、そう言う訳じゃないだろう?」
「自信もない……」
マジックと視線が合わせられなくなり、下をうつむいてしまう。
「どうして?」
下を向くシンタローに、膝を曲げてさらに下から見上げる。
「だって……俺男だし…………。」
正論ではある。
「そんなのどうにでもなるよ。大事なのは、愛情を持って接することが出来るかだ。
 ……シンちゃんは……自分の血を半分引く子供を大事にする自信はないのかい?」
「……そんなコトッ!」
「本当に産むのはイヤ?」
「………………イヤじゃない……でも……」
言葉を続けられなくなったシンタローを抱き留めて、マジックはシンタローの背をさすりながら優しい声で告げた。
「だったら二人で、がんばろう? ね?」
「……………………うん///」
小さな声で頷くシンタロー。
「じゃぁ名前はどうしようか?」
「………………あんたに任せるよ。」
「そうだね――――……」


ぱちっ


「……………………夢……」
首を曲げて時計を見る。
まだ3:00だ。
「……何考えてんだ俺は……」
よりによってアイツの子供……イヤ、それ以前に俺は男……
「う~ん……シンちゃん……」
横を見れば幸せそうな顔をして寝ている男。
寝顔はまぁまぁ。
俺に抱きついて、何故か俺の腹をさすっている。
……そうか……だからあんな夢を見たのか……………………
――――って。

何でコイツがココにいる。

俺は、確かに今日(昨晩)は一人でベッドに入ったはずだ。
「てめぇええっ! 何人の布団に潜り込んでやがるううっ!」
揺さぶってみるが、オヤジは俺に抱きついたまますぴょすぴょと、
まー気持ちよさそーに眠っている。
とりあえず殴ってみる。まずは腹に一発。

ぼすっ

「ぐぅっ……ぐ、ぐー……ぐー……」

ぐぅっ? ぐ、ぐー?
「お前今どもったろ。」
一瞬、腹をさすっていた手が止まる。
「ぐぅ……ぐぅ……ぐぅ……ぐぅ……ぐぅ……」
「しかもヤケに寝息が規則正しいし、喉の動きじっと見てると唾飲み込んでるし、
 ついでに言うなら、なんで俺がいくら動いても腹の位置を正確に撫でてくるんだあぁああぁあぁッ!!!」
耳元で叫んでやると、閉じられていた目がさらにきつく閉じられた。が、いびき(ニセ)はまだ続いている。
………………そうか。あくまでも戦うきだな。
ならばこちらも容赦しねぇっ!!!
眼魔砲を使うと壁に穴があいて後々経理のおねーさんに叱れるのは目に見えているから、あくまで拳で戦ってみせる!
そう決心した矢先、ぐいっと身体が引っ張られた。
夢で見たようにマジックに抱きしめられる。
夢と違うのは、横になっていたってコトと、お互いパジャマって所か……もちろん決定的に違うところがあるんだがな。
「おいッ!! こらぁッ!!!」
足を突っ張ってみたり、手で押してみたりするが、俺を抱きしめる腕はビクともしない。
こういうときだけコイツ腕力すっげぇアップするのな。
俺は諦めて体の力を抜いた。
安心したのか、背中に回っていて今まで苦しいくらいに体を拘束していた手がゆるむ。
――――今だっ!
体全体に力をい
「ぐぇっ」
悲鳴を上げたのは俺の方だった。
どうやら、俺の考えは見通していたようで、俺が実行に移す前に、先に力を込めてきたと。
力を入れようとすれば、その前に脱力しなきゃ行けない。反動で力を込めるわけだからな。
その隙を狙われたっつー事だ。
…………負けた? ひょっとして俺負けた?
ちらりとオヤジの顔を盗み見ると、目を閉じてはいるが、何か顔がすこし笑ったように見える。
俺の幻覚かもしれないが、うっすらと勝利の笑みを浮かべているような気がする。
っていうか実際「勝った」とか思ってるだろコイツ。

……ココで
『王子様を起こすのはお姫様のキスだよな~』とか呟いて唇にキスでもしてやりゃぁ一発で起きるかもしれない。
が、それはイヤだ。
っていうかオヤジがつきまとうのがイヤで、今さんざん暴れているんだろうが。
手段のために目的をないがしろにしてどうするんだ。
地球を征服しに来たとかほざいて、その地球をさんざん傷つける三文SF小説の悪役じゃあるまいし。
そもそもソレでコイツが完全に起きるっちゅー保証はない。むしろ悪のりするか癖になりそうだ。
ならば……
①とにかく起こす。
②諦める
…………理想は①
けどゼッタイ無理だなっ(爽やかに)
なんかコイツの性欲が絶えない限り無理だなっ♪
……………………しくしくしくしくしくしくしく……
……もイイから諦めて寝よ。
何かオヤジとの無言のうちに始まった勝負に完敗したような気がするが、コレくらいで打ちひしがれていちゃコイツとはつきあってられない。
……つきあってられない?
…………「一緒に行動できない」という意味だ。うん。決して他意はない。
俺は諦めて今度こそ体の力を抜いた。
すぐにオヤジも拘束していた腕を弛める。
が、すぐに後頭部に手が回って、胸に顔が押し付けられた。
んー……
どうも……形が合わないな…………
何度か頭の位置をずらして、少しは楽な場所を探す。
まぁこのくらいか……
耳を澄ませば相手の鼓動が聞こえる位置。
ソレが………気になって眠れねぇえええ……ッ
だったらもうちょっと上かっ!?
ダメだっ!吐息が耳にかかる!
背を向けようとしても、行動に移そうとしたとたん、やっぱり体に巻き付いている腕がしめられる。
…………こりゃ今夜は眠れないな♪(←ヤケ)


……………………朝。
ひょっとして俺ぐっすり寝てましたか。
記憶ではオヤジの首に顔埋めて、こっちも背中に手を回したような気がするんですけど気のせいですか。
っていうか、すでに朝の10:00なんですけどこの時計合ってますか。
ついでに言うなら、目を開けたら、オヤジがこっちの顔をのぞき込んで俺の髪を手で梳かしながら微笑んでいたんですけど幻じゃぁないんですね!?

いやソレよりも…………

「何で起こしてくれなかったんだよおぉおぉぉぉぉっっっ」
「…………そんな獅子座流星群を見逃した子供のようなセリフを……
 ……『何度も起こしたけど起きなかったんじゃない』」
ご丁寧にお約束のセリフを返してくれる。オヤジは俺の額に手を当てて、前髪をくすぐりながら
「一応総帥室の見張り役とかには連絡しておいたから、もうちょっと寝てなさい。
 ココでは君がルールなんだ。誰も文句言わないよ」
「……アンタが現役だった頃の仕事ッぷりがよお分かるのぉ……」
「ほほぅ……私はシンちゃんのために言ってあげたんだけどねぇええッ!!?
 そんな事言うなら私が一日代理を務めてあげようかぁ!?」
「いやあああああああああああっっっそれだけはお願いしますやめてくださいぃぃッ!!!!」
布団を吹っ飛ばしオヤジにしがみつく。
「……何もそんなに全力で止めなくてもイイじゃないか。パパ拗ねちゃおっかなー。
 いらだち紛れに全く関係ない国に眼魔砲2・30発打って来ちゃおっかなー」
「そーゆー拗ね方やめろよな。他人に迷惑だから。」
半分呆れながら言う。まったく……表情がころころ変わるなコイツ……
まぁ……連絡が行ってるってのならイイや。
俺は再び布団の中に入り、じっとオヤジの顔を見た。
「なんだい?」
「寝る。」
「……私は?」
「…………さっきのを本当に実行に移されちゃ迷惑だ。俺の目の届く範囲にいろ」
布団を顔までかぶる。
「……一緒に寝てもいいかい?」
「……………………………………好きにしな」
「んv」
すぐにオヤジが布団に入ってきて、俺の体を抱きしめてきた。
……冬だしな。寒いからな。
湯たんぽ代わりだ。
他意はないぞ。
うん。
だから別に俺がオヤジの背中に手を回しても、何の問題もない。


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後書き
遅くなってすみませんでしたv
………………本当にごめんなさい全く持って申し訳ないです。
どの辺が「マジックぱぱほんのりむくわれぎみ」なのかと言いましたら、
さんざんシンちゃんにつきまとって、腹に一発拳を食らわされたり露骨に嫌がられたりしても、
結局最後はシンちゃんをギュッとして一緒に寝られるってあたりです。

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35555HITs 御礼小説 『マジック×シンタロー』マジック少し鬼畜風味。

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「――――でだ。」
俺らの部隊長は地図を広げながらある一点を指さした。
「私たちがいるのはこの地点。目標から約1㎞離れた位置だ」
鬱蒼と茂る森の中。日は少し沈みかけ、明かりがないと少し広げられた地図やオレと隊長の他に3人いる仲間の顔が見にくくなりかけている。
一応斜めに立てかけた懐中電灯が地図を照らし出しているが、それは日がもう少し沈んだら消すだろう。
「地図を見れば分かるように、私たちがいる森は、小高い丘の上に存在し、目標はその下だ。
 ――――ここをまっすぐ行けば崖があって、そこから例の施設が見渡せるのだが、
 本部で目標の見取り図を引き出したところ、目標とする施設には普通では考えられない大規模な地下水路があって……
 まぁ……この理由は諸君にも想像がつくだろうが。
 さて、我々はこの水路から中に侵入する。これが先程本部から渡された地下水路の構造だ。全員受け取ってくれ。
 出来る限り頭の中にたたき込んで欲しい。」


親父が次に狙った小さな国は、小さいながらも栄えている国だった。
見たところ、農産物や工業製品、その他特産品は見受けられないのだが……
だが裏に通じる物なら、その国が栄えている原因を知らない者はいない。

汚れた黄金。
大麻を裏で生産し、他の国に送り込んでいるのだ。
そして――――それこそがガンマ団が攻めあぐねている原因の一つでもある。
つまり、戦場に出る兵士に、それ用に改良された薬品を投与する。
もちろん、薬の主成分はここで生産された麻薬だ。
これは、投与された兵士から恐怖という感情を消し、
また、同様に目に映る者は皆敵に見える……という麻薬常習者の特長を生かした薬だった。
もちろんガンマ団の兵士とはいえ、命は惜しい。イヤ、ガンマ団の兵士だからこそと言うべきか。
団内でそれなりの手柄を立てればそれなりの報酬は期待できるからな。
しかし、相手は死にものぐるい所か、痛みを気にせず、死の恐怖を乗り越えた兵士達だ。
当然、ガンマ団でも手が掛かる。
そこで急遽考えられた作戦が、その薬の基となる大麻を全て勝手に処分してしまうことだった。
もちろん、大麻を全て処分したからとはいえ、すぐにその薬が尽きるというわけではない。
だが、この国では前述したとおり大麻が特産品となっている。
それが無くなれば一気に財政が圧迫され……
結構おおざっぱな計画だとは思うが、まぁ管理人が思いつかないのだからしょうがない。(ごめんなさい)

ああ、言い忘れたが、もちろん大麻を生産している施設はここだけじゃない。
他にも何カ所か有るのだが、同時に攻めるらしい。
本部の調べによると、大麻畑は全て地下にあると言うことだ。
先程、大がかりな地下水路があると部隊長が言っていたが、これは単に地下にある大麻畑に水を送り込む施設だろう。
わざわざ地下に大麻畑を作る原因は、フタでもしていないと他国にあっさりと攻め入られる原因を作られてしまう。
たとえ大麻を生産しているのが暗黙の了解だとしても、黙っているうちは存在していないことになるのだから。

上が考えた作戦はこうだ。
上と下からの時間差襲撃。
まず、大人数で……空から対地用ミサイルを搭載した戦闘機を数台投入させる。
敵が混乱し、上に向かったところで、精鋭部隊が地下水路から大麻畑に侵入。
オレがさっきから目の前で指示している人物を『隊長』ではなく『部隊長』(コマンダー)と読んでいる原因はそこにある。
さて、地下に侵入した後は大麻を何らかの方法を使って処分する。

つまり、今回は施設を陥落させることではなく、大麻を全て消却してしまうのが目標なのだ。

さっき『精鋭部隊』と言ったが、これは自分を自慢しているわけじゃない。
むしろオレはまだガンマ団の戦闘員候補生で戦場に立つ資格はない。
そんな中、公式に俺がこの隊にいる理由は、この体に流れる血故だった。

「――――で、シンタロー」
「はい」
部隊長の声に渡された見取り図から顔を上げる。
「上からの報告によると、畑は円状で半径が約100m程度らしい」
半径約100m……
ぱっと来ないな……
「東京ドームとだいたい同じくらいの大きさだ」
「あ、ども」
別の隊員が説明してくれる。
「そのくらいなら……だいたい……」
相手が人間ではなく、植物だというのなら、そして地面を削るだけで良いのだから広範囲で、そのかわり威力はあんまり考えなくても大丈夫だろう。ケド……いくら何でも東京ドーム一個分をカバーするほどのは撃てないな……
とりあえずそれを説明した後付け加える。
「単純にその大きさをカバーする回数だけを考えれば5分もかかりませんが……
 移動時間にもよります。」
「成る程……」
言って再び全員で見取り図を見る。
見取り図には赤い線が引いてあった。たぶんここを通りながら行くのだろう。

その辺の火炎放射よりも熱量が高く、威力ある対地用ミサイルよりも使い勝手の良い……
青の一族に伝わる奥義。
それこそがオレがここにいる理由だった。

「まぁ……その辺は実際に入ってみないと分からないな。
 ――――そろそろ時間だ。みんな、気を引き締めて頑張って欲しい」

そう言えば……他の施設にあたっている精鋭部隊には、火を扱うという戦闘員候補生がいるという話だが……

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

「合図……有りませんね…………」
隊員の一人がぼそりとつぶやいたのは作戦開始予定時刻から5分ほど過ぎた時だった。
「……そうだな」
部隊長がそれに呼応する。
彼は無線機を取り出しながら
「まさかとは思うが……念のためだ。別隊に連絡をしてみよう」
別隊、つまり空からの部隊だ。

部隊長がボタンを押そうとしたその時

がさがさっ

オレ達の耳が植物の枝葉をかき分ける音を捕らえた。
即座に全員武器を取る。

ゲリラ兵がいたのか?
それとも味方に何かあって伝令が来たのか?
だが……それにしては足跡を消してるような様子はない。
まさか――――……

ざっ

「やぁ」

緊張の汗を流す部隊長達の緊張の糸をぶっつりと切るような登場の仕方でその男は現れた。

「……………………マジック総帥」
かろうじて部隊長が声を絞り出す。
オレは、あっさりと背を向け、腰を地面に下ろし、視線を地図に落とした。

「成る程ねぇ……」
親父はあの後オレ達の輪の中に入り、作戦会議に割り込んできた。
輪の中に入り……というのは適当じゃないかもしれない。
詳しく言うならオレの後ろから、のしかかるようにオレの地図をのぞき込んでいた。
「この先に施設が見おろせる丘があるんだね……」
ぼそりと呟いたつもりなのだろうが、部隊長が即座にそのセリフを受ける。
「はっ昨日偵察の者がそこから、場所を確認いたしました」
「ふむ…………」
親父はしばらくじっと地図を見ていたが、
「じゃぁちょっと行って来る」
まるで散歩にでも言うような調子でそう言って立ち上がった。
「は!?」
全員が――――オレを含む――――声を出した時には、既に親父の赤いブレザーは木の葉にだいぶ隠れていた。

どのくらいじっとしていたか……
親父が消えた後、オレ達はその場にじっと立ちつくしていた。

その時だった

突然地を揺らすような轟音が響いたのは。

衝撃が走り、木が揺れ、葉が落ち、鳥たちがギャァギャァと鳴きながら一斉に羽ばたく
オレは肘を地につき、手で耳をふさぎ、ほこりから目を守るように硬くまぶたを閉じた。

鼓膜からビリビリとしびれるような感覚が去り、辺りを見回すと、他の隊員もオレと同じ様な格好だった。

「今のは……?」
呆然としながら部隊長がぽつりと呟く。
オレはその声を合図に、その丘を目指して駆けていった。
「おッ……おいシンタローッ!!?」
部隊長の声を後に聞きながら。
オレが去ったすぐ後、その部隊長のもとに一人の男が来たということも知らずに。


目的地に着く前に、良く見知った赤が木の陰に見えた。
「おいっ」
それに声をかける。
「ああシンちゃん。パパのもとに来てくれたんだねっ!」
駆け寄り、いきなり抱きついてこようとする手を何とか払いのける。
「それはともかく、アンタ一体何したんだっ」
ある程度の距離をとり、問いつめる。
「いや何。アレが今度の目標かと思ったらつい手を出したくなってね」
「まさかさっきの――――!」
言うと同時にオレは丘を目指して再び走った。


「――――んだこりゃ……」
成る程確かに施設を見渡せる丘だったのだろう。
オレが立っている遙か下には未だ朦々と立ちこめる塵に……巨大なクレーターが出来ていた。
東京ドーム……って……言っていたよな。
いや、地下の大麻畑がそのくらいの大きさなんだ。
地上(うえ)はもっと大きい上に、仮にも機密事項を扱う場所だ。多少所ではナシに頑丈に作られていただろう。
何人もの研究員や、警備員、ひょっとしたら無理矢理働かされている人達だっていたかもしれない。
裏でやっている事業に、まっとうな人間が手をつけたがるハズはないのだから……
地図でしか見たことのない地下水路も、汚れた黄金を生み出す大麻畑も、その上にあった研究施設も、そこで働いていたはずの人間も。
すべて大きな赤茶の穴に吸い込まれていて、影も形も消えてしまった。
『赤いブレザーがトレードマークの男に蒸発させられた』……と言われるよりも、
『隕石が落ちてきて全て灰燼に帰してしまった』と言われた方が納得できたかもしれない。
マジックの眼魔砲の威力……話には聞いていたが…………

「やれやれ、やっと追いついた。シンちゃん速いねぇ」
……この鬱蒼と茂った森の中、服を全く汚さずに来れたアンタも凄いよ。
軽口を叩こうとしたが、口の中が乾いて言葉にならない。
「でも、一人で走っちゃ危ないよ? ゲリラ兵とかがいる可能性だってあるんだからね。」
「その……そのゲリラ兵がいるかもしれない緑の森の中を赤いブレザーで歩き回るアンタ程じゃねーよ」
かろうじてそう言うと、親父は「確かに」と笑いながらこっちに近づいてきた。
反射的に後ずさる。
「前を見て歩かないと危ないよ」
親父の腕がオレの腕をつかみ、ぐいっと引き寄せられる。
「離せッ」
振り解こうとするが、あっさりと抵抗を封じられぎゅっと抱きしめられた。
「そんなに脅えなくても良いだろう? パパ傷ついちゃうよ」
「誰がッ」
こちらを拘束する腕から離れようとするが、こっちが力を込めても、むこうがそれ以上の力で抱きしめてくる。
どうしようかと思っていると森の奥から がさっと音がした。
「――――!?」
そちらを見ようと首を曲げ、親父の手がオレの後頭部を押さえて胸に押しつける。
一瞬だけ見えたのは、ガンマ団で支給される戦闘服を着た男だった。
「総帥。そろそろお戻り下さい」
「わかった。シンちゃんは一緒に帰ろうねv」
「……オレはさっきの部隊に混ざって帰らなきゃいけねーんじゃねーのか?」
親父をにらみ付けながら言う。
が、
「シンタロー様、そちらは既に帰しました。マジック様のご命令で」
冷静な声が届く。
オレは小さく舌打ちし、親父の胸をぐいと押した。
今度はあっさりと放す。


「ヘリはこちらに持ってこさせましょうか?」
「イヤ……大した距離じゃないし。歩くよ。シンちゃんも大丈夫かい?」
「たりめーだ」
「なら。」
親父はオレの腰に手を回してエスコートするように歩き出す。
イヤ、実際にその通りなのだろう。
出来ればもうちょっとここに……と言うよりも、親父と一緒にいたくなかった。
『あんな事』を平気でした後の人間と、一緒にいられるわけがない。
しかも身内だし。

ヘリがある場所に着くまで、そしてヘリに乗ってからもオレは終始無言だった。
親父も何にも話しかけてこない。
ただ、いつものように肩に手を回し、腰をさすり、髪をなでてくる。
やめろと言う気力もなく、じっと座る。
いつもはやかましいと感じるヘリのプロペラ音がありがたい。


本部に到着し、オレはすぐに部屋に戻ってシャワーを浴びたかったが、親父に引き留められ、部屋に連れ込まれた
「で、初めての戦場はどうだった? 緊張したかい?他の人達にいじめられなかった?」
「……いじめるってどうやってだよ」
「そりゃシンちゃん可愛いからみんなに●●●れたり、あの部隊長の■●●■■させられたり、
 みんなでシャワー浴びてるときに■●●たり、寝ようと部屋に入った瞬間うし」
「ストップ」
慌ててセリフを遮る。こっちは表だったんだ。
「まぁそれは冗談だとしても、怪我とかしてないかい?」
「ねえよ。そうなる前に誰かさんが来てくださったんでね。
 それにそう言う報告はあの部隊長の役目だろ?
 一介の戦闘員候補生がやる事じゃねーよ」
何とか部屋を出ようと必死で言葉を探すが、親父は何食わぬ顔で
「うん。出来ればその方が良いんだろうけどね。
 残念ながら君のトコの部隊長は、まだ護送車の中だ。
 早いうちに話を聞きたいんだよ」
「ふん……」
よくもまぁ次から次へと出るもんだ。
オレも諦めて、親父が入れた紅茶に手を伸ばし、少しずつ話していった。
目的地に遅れたが、その理由は思ったよりも木が茂っていたから。
まだ野外での行動になれていない俺にみんながあわせていたからだ。とか……まぁ普通のガンマ団員なら怖くて報告書に書けないようなことを言う。
親父の溺愛ッぷりは有名だからな。下手にオレを悪くは書けんだろう。何かそれはそれでムカつくが。

「――――で、つまり……
 どっかの誰かさんのせいで、部隊長が一晩かけて考えついた地下水路の侵入ルートは全てパァ。
 誰かさんのせいでな。」
考えてみれば、あの人が一番不幸かもしれない。
はっきり言って戦闘員としては未だ未熟なオレが『精鋭』部隊の中にいることや、
そのオレを無下に扱えないことや。扱えなかったら扱えなかったで他の隊員から白い目で見られるだろうし。
オレの皮肉に、親父は苦笑しながら。
「いやいや面目ない。シンちゃんが前戦に立ってると思ったらいても立ってもいられなくてね」
「……オレの腕を信用していないと?」
そりゃ確かに未熟だが、そうはっきり言われると腹が立つ。
「そうじゃないよ。可愛い子供を心配するのは親として当然だろう?」
「可愛い子には旅させろって言うだろうが。」
「別にシンちゃんには強くなって欲しい訳じゃないし。」
「おいっ」
親として、総帥としてあんまりなセリフに、ついつい声を荒げると、親父はじっと俺の目を見ながら呟くように言った。
「大丈夫。シンちゃんはパパが……ずっと……ずーっと守ってあげるからね。」
頬をなでてくる手の甲を一瞥して、口を開く
「オレは――――っ」
言いかけた言葉は親父の唇にふさがれた。
ついばむようなキスで、すぐに唇は離れたけれど。
「だから……パパのそばを離れちゃダメだよ?分かってるね?」
じっと俺の目を見つめながら言ってくるが、オレはただ目を逸らすことしかできなかった。


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ごめんなさいオチが浮かびませんでした。

「そりゃシンちゃん可愛いからみんなに●●●れたり、あの部隊長の■●●■■させられたり、
 みんなでシャワー浴びてるときに■●●たり、寝ようと部屋に入った瞬間うし」
●;平仮名 ■;漢字

「そりゃシンちゃん可愛いからみんなにまわされたり、あの部隊長の夜のお相手させられたり、
 みんなでシャワー浴びてるときに覗かれたり、寝ようと部屋に入った瞬間うし」

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30000ひっつ御礼小説『マジック×シンタロー』

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シンちゃんが最近疲れているそうだとの噂を聞きつけ、私は総帥室に向かった。
たかがそのくらいで何を大げさな……と、弟たちは思うかもしれないが、私にとって大事な息子である。
ましてや総帥の仕事と言ったら…………私だって総帥に成り立ての時は、あまりの忙しさに目を回したモノだった。

総帥室に続く廊下でいつもの4人組に合う。
「あ、マジック様…………」
一番最初に気づいたのはコージだった。
「やぁ。」
「シンタローはんの様子見どすか?」
「ああ。最近なんだか忙しそうだから……ちょっと心配になってね。」
「そげに心配することもないっちゃ。」
「ああ見えてけっこー丈夫なやつだっぺ」
「そうなんだけど……
 子供を心配する親心というヤツだよ。君らも子供が出来れば判る。」
1人悦に入って言うと、
不安そうにミヤギとトットリがアラシヤマとコージが顔を見合わせた。
「子供が出来ればいわはっても……」
「なぁ?」
…………………………………………………………
そうか……そうだったな…………
「とにかく、シンタローは部屋にいるんだね?」
「ええ。ワテらがさっき提出した書類に目ぇとおしてはります」
「そうか。どうも」
それだけ言って、4人とすれ違った。


「アンタか……一体何のようだ?」
…………何かつれないねぇ……
「最近疲れてるみたいだから、様子を見に」
そう言うと、露骨にイヤな顔をされた。
「別に大したことじゃねーよ。アンタは自分の部屋に戻って隠居生活楽しんでな。」
やっぱりイライラしてるし……
「そうだねぇ……シンちゃんの横に書類が山ほどつまれてなければ、そうさせて貰うんだけどねぇ……」
「ぐぅっ」
否定しないところを見ると、どうやらずいぶんと大変らしい。
「手伝おうか?」
「いらんッ!!」
……この子の性格からしてそう返ってくるとは思っていたけど……
「いいけどね、別に。じゃぁパパは自分の部屋にいるから、大変だと思ったらいつでも呼ぶんだよ?」
「誰が呼ぶかっ!!」
そんな怒声を聞きながら、私は部屋から出た。

夕方。と言うよりは夜。
結局食事の時間にも現れなかったシンちゃん。
「後で夜食頼む」と団員に言ってたらしいけど……
やっぱり心配だ…………
①パジャマは着ていて寝る準備は万全。
②今日の夕ご飯は自分で言うのも何だが、いつもより美味しくできたし沢山食べた。
③昼間、いつものように運動をしていたから、体は疲れているはず。
④お布団は今日の昼干して置いたからふっかふか。
寝るのに適した条件はそろいまくっている。
――――なのに眠れない…………
もちろん原因は分かっているんだが…………

「ココでこうしていても仕方ないか……」
自分に言い聞かせるように言い、ベッドから起きあがり服に着替える。
適当な口実を頭の中で組み上げ、私は自室を後にした。

『総帥室』
重々しい扉をノックもせずに開ける。
鍵は掛かっていなかった。不用心だな……
それとも、ソレすら忘れるほど焦っているのか……
部屋の中は明かりがついていて、シンちゃんがソファの上で目を閉じて横になっていた。
「……シンちゃん?」
恐る恐る声を掛けてみるが返事はない。
側に近寄って、ソファの横で膝を曲げ、顔を近づける。
「す――――……」
……寝てる……?
ふとデスクの上を見たら、半分ほどになった書類がつまれていた。
半分……と言ってもまだまだあるか……
ふむ……
改めてシンちゃんの方を向く。
仮眠を取るつもりが……といったところか。

……コレは……ある意味チャンスかも……

寝たままのシンちゃんを抱き上げ、奥のベッドルームに運ぶ。
そんな風にしても起きあがる気配がない。
ベッドに横にして、お布団を掛けようとしたとき。

ぱちっ

あうち。

「んぁ………?」
「おはようv シンちゃんw」
「何やってんだアンタ……」
流石シンちゃん……おきたてでも目覚めぱっちりだね。
しかし! こっちはシンちゃんより年上で経験豊富!
こういったときの対処法もバッチリさ☆
「ふ……シンちゃん……
 後のことはパパに任せて今はオヤスミーっっ!」
そう言って問答無用で布団を掛ける。
「うわっぷっ! 人の起き抜けに何言うとんじゃこの馬鹿オヤジーっ!」
「お手伝いしようって言っているんだから!人の好意は素直に受け取っておきなさい!!」
「だからいらんっちゅーとるだろうがッ!」
ちぃっまったく素直じゃないんだから!
「シンちゃん……?」
掛け布団をがばっと剥ぎ、こちらを睨む付ける息子に、つめたーい声で告げる……
「……な……なんだよ……」
不穏な空気を感じ取ったのか、僅かに身を引いてシンちゃんが言う。
がばっっ
「うわっ!?」
シンちゃんをベッドの上にいきなり押し倒し、両手を押さえ、息が触れるほどの至近距離で
「シンちゃん……静かに言うこと聞かないとこのまま犯すよ?」
言うと同時に首筋にキスを落とすと、呻き声が聞こえた。
「……何でアンタは素直に『忙しいなら手伝って上げるから今日は寝るんだ』と言えないんだ……」
「そう言ったら素直に『はい』と答えてくれるのかい?」
「……………………」
「おやすみw」
沈黙を肯定と受け取り、体を起こしてにっこりと微笑む。
「おやすみ!」
何が不満なんだか、そう言って体ごと反対側を向かれてしまった。
「じゃ、後はパパに任せるんだよー♪」


「……オイ……」
不機嫌な声に後ろを振り向けば、やっぱり不機嫌な表情をしたシンちゃんがベッドで横になってこちらを見ていた。
「なんだい?」
「そこで何やってる。」
「何って……」
あの後、私は小さな机を引っぱり出して、ベッドの横に置いてそこで書類を片づけ始めた。
「見ての通りシンちゃんのお手伝いだよ?」
「何でそこでやる必要があるんだよ」
「少しでも側にいたいからだけど?」
「……………………はぁ…………」
「?」
「オレは……明るいと眠れないんだが……?」
皮肉げに言われた台詞ににっこりと笑って返す。
「子守歌歌って上げようか? シンちゃんが小さい頃には良く歌った物だし。」
「いい」
ぼふっと布団をかぶってそれ以降何も言ってこなくなった。

深夜2:00ごろ…………
「う……ん…………」
再び声に後ろを向くと、シンちゃんがぽふっと寝返りを打つところだった。
……………………可愛いなぁ(←親ばか)
手を伸ばしてそっと頬を撫でると、ソレが気に入らないのか鬱陶しそうに寝ながらも顔をしかめられた。
…………可愛いがかわいげが無いぞシンちゃん……
……しかし……私もそろそろ眠い……

深夜3:00頃。
眠気覚ましのコーヒーを入れ、シンちゃんの寝顔を肴に一息つく。
ふと思いつき、シンちゃんの体に覆い被さるようにして顔を近づける。
そのまま、至近距離で
「ねぇ……シンちゃんは……パパのこと好きなんだよね?」
そう囁くと、シンちゃんの体がぴくりと動いた。
……………………………………
そのまま反応がない。
うーん……
失敗しちゃったかなぁ……
別に……それほど期待をしてたわけでもないし(強がり)………
そう考え、気にせず新しいコーヒーを入れようと、立ち上がる。
「う…ん……スキ………………」
…………はい?
何を言われたのかよく分からないまま、後ろを振り向くとシンちゃんが微笑んでいた。


朝7:00
ピピッピピピピピピ……
電子音が耳を刺激する
「うぅ…んっ……あふ…………」
オレはぐいっと背伸びをして、2,3度顔を振って眠気を振り払った。
「は……ぁ………よく寝た……」
……寝た?
――――って仕事――ッ!!!
慌てて布団をばふっとはね除け、上半身を起こす。
「あり?」
目に入ったのは、床に置いてある数十枚の書類と、ベッドを背もたれにして寝息を立てて眠る父親。
「あ…………」
そうか……そう言えば…………
床に落ちている書類を、ベッドの上から身を乗り出すようにして取る。
「…………経験の差だもんな。」
オレより丁寧な書類を見て、ちょっぴし悔しくなったが、すぅすぅとベッドに背を預け、眠っている父親を見ると、そんな思いも吹き飛んでしまった。
「……ありがとナ」
ふッと微笑んでベッドの上から、寝ている父さんのまぶたの上に口づける。
本当は……こんなコトよりも、この人を喜ばす方法なんか……一番の方法を知っているけど……
「夢では正直に言ったんだから……もうちょっと待っててくれよ?」
静かに呟いて、再び布団にくるまった。


◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆

おまけ
ふと一枚の書類に目がいった。
表はちゃんと書き込んであるが……
何か赤い物が透けて見える……
ソレを取って裏を見ると、真っ赤なペン、しかもマーカーで太く
『パパも愛してるよぉぉおおおぉぉぉ』

…………………………………………………………………………………………

……とりあえず……コピーとって、こっちの紙は燃やしちまおう。


昼頃。
「ねぇシンちゃん……?」
「んあ?」
「あの中に妙な書類無かったかい?」
「さぁ……得に気づかなかったが……何かあったのか?」
「イヤ……無いならいいんだけどね」
「夢でも見てたんじゃないのか?」
「…………そうなのかもねぇ……」
寂しげに遠くを見つめる父さんに心の中でこっそりと謝った。

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後書き
……………………そろそろかな?

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mm
12/25







 昨日が12月24日だったから、今日は12月25日だ。
 毎年毎年、11月の終盤から繰り広げられる、浮かれ騒ぎの総マトメの日。
 
 つまりは、今日こそが。
 イエス・キリストの生まれた日であり”クリスマス”の本番なのである。

 忙しなくヒトの行き交う通りを、何と無く眺めながら。
 シンタローが、その事実に気づいたのは。
 いささか間の抜けたコトに、この待ち合わせ場所についてからであった。

 ………大体、イブだの、イブイブだの。
 どいつもこいつも、クリスマスの主旨解って騒いでンのか?
 もしかしたら。サンタの誕生日とか、勘違いしてねぇか!?

 そもそも、シンタローにとって、12月と言えば。
 愛しい愛しいたった一人の弟、コタローの誕生月であるという事実のみ。(故意に、もう一人の、十二月生まれの身内の存在は、忘れてみてるようです)

 会ったコトも無い、それも随分昔に昇天したらしいオッサンの、誕生日の前夜祭という事実は。
 その前では、ハッキリ言ってどうだっていい
(※キリスト教徒の皆さん、ホントにすみませんm(_ _)m 重度のショタコン兄さんならではの見解です、大目に見てやってください)
 
 昨夜は、そのコタローの、誕生日パーティだった。
 最も。祝われる当の本人は、まだ眠ったままであったのだが。

 『でも、みんなお祝いしたいんだし。コタローちゃんだって、お祝いして欲しいに決まってるよォvv』

 グンマならではの、お気楽極楽発言。
 でも、それは。ソレゾレの立場の複雑さ故に、誰もが、口に出し辛く。

 まさに、彼にしか言えないヒトコトで。

 ―――正直、シンタローは。
 手を合わせたくなるぐらい。コタローの実兄にして、自分の従兄弟たるグンマに、感謝した。

 そして、青の一族揃って。眠るコタローを囲んでの、大騒ぎ。

 ―――ウルサイ、と。目を覚ましてくれると、いいな………。

 それはそれは、大切そうに。
 同じ遺伝子による、同じ色の髪を………不器用な手付きで、梳いていた。
 自分の分身とも言える、もう一人の従兄弟。

 結局。一族の愛し子は、目を覚ますコトは無かったのだけれど。

 それでも、コタローを中心に。
 互いに大切に想い合ってはいても、各々の個性の強さ故に、離れてしまう心は。

 昨夜だけは、一つになった気がする。

 優しくて暖かくて、居心地のイイ空間。
 眠っている、コタローさえ。微かに微笑んでいるように、見えた。
 
 ―――多分、そのせいだ。

『シンタロー。明日………二人で、食事に行かないか?』 

 パーティの終盤。
 いい加減、酔いの回っていた自分に。
 コッソリ、囁かれた言葉に―――いつになくアッサリ、頷いてしまったのは。

「~~~~くっそぉ、寒ィ………」

 額に青筋を浮かべ、呟く。シンタローの、形良い唇から。
 真っ白な呼気が―――真っ黒な夜空へと、吸い込まれていく。

 待つコト、十数分。

 大した時間では、無いのだが………そもそも、短気なシンタローである。
 待たすのはどうでもイイ(着いたのは、定刻より五分を回っていた)が、待たされるのは大キライだ。
 
 それでもシンタローが、動こうとしないのは。
 待ち合わせの相手の、常日頃の行動の為。

 むしろ、先に待っていなかったコトが、意外であった。

 『オレは忙しいンだから、定刻通りなんかにゃ、行けねーからナ。うざってぇから、十分前行動すんじゃねぇッッ!!!』

 そう、怒鳴りつけたコトもあるくらい。
 滅多に無い、外での待ち合わせには………常に相手は、先に来ていた。

 珍しく仕事が、早く退けて―――よくよく考えると、クリスマスなのだから。誰だって、早く帰りたいに決まってる―――(それでも五分遅れで)待ち合わせ場所に来てみれば。

 因果応報、とは正にこのコト。
 今度は自分が、待たされる羽目になるなんて。

 相手の携帯に、掛けてはみたものの。
 いつもなら。自分からの電話なら、ワンコールもしない内に出るクセに―――こんなトキに限って。
 『お掛けになった電話は、現在、電波の届かない場所にいるか………』なんて。

 味も素っ気も無い、メッセージが流れる。

 ―――チッ、と舌打ちを洩らし。

 シンタローは、かじかんできた両手に、息を吹きかけ。
 暗い空を、見上げてみた。

 天気予報では、今年は暖冬だ、と断言されていたのだが。

 どうしたワケか、ここ数日。急に、冷え込み始めて。 
 だがその分、空気は澄んでいるのだろう。

 こんな街中だと言うのに………夜空には、キラキラと。
 冬の有名な星座達が、凍りつく大気の中で。
 寒そうに瞬きする様が、ハッキリと見て取れる。

 ―――三つの星が、あるだろう? アレは、オリオン。端っこ同士が、ペテルギウスとリゲルっていう1等星。ちょっと下がると、あぁ、ホラ。あれが冬の王様、シリウスだよ………綺麗だろう?

 スバルも、カストルとポルックスの双子の星も。
 それらに纏わる、心躍る伝承も。総て彼に、教えて貰った。

 ―――どの季節の、どの星座も、綺麗だけれど。
 一番大気が澄み渡る、冬の星座って。宝石箱を、ひっくり返したみたいじゃない?

 うんと、小さかった頃の自分を、厚着させて外に連れ出し。
 出来るだけ、夜空に近づけるよう、肩車してくれて。

 彼はそう、ニコニコと笑っていた。

 おかげで今でも、シンタローは。
 初めての、遠征地であっても。
 星座の位置で、大体の現在地が、把握できる。

 それを思えば、ああいうのも。
 単に覇王教育の、一環だったんだろうか、と思うと。

 物知りな彼を、心底尊敬し。
 ”宝石箱”という表現に、素直に心躍らせた自分に。

 ………微妙に複雑な気分に、なってしまうのだけれど。

 ―――ハァ、と。
 もう一度、白い息を吹きかけて。
 無意識に指先を、温めながら。

 煌く。気が遠くなりそうな程、彼方からのプレゼント。
 光の宝石箱を、眺めていると。

「ねーねー? ナニしてるのー??」

 ………きた。

 シンタローは。
 遠くは、神話の世界にまで飛ばしかけていた想いに、水を差す。
 掛けられた、無粋な呼びかけに。無意識に、額に青筋を刻んで。

「ねぇ、キミさぁ、ずっと………」
「うっせぇ、放っとけ、あっちいけ」
 ニベもなく、言い捨てた。

 母親譲りの、コノ女顔には。昔から、散々苦労させられた。
 ソレでも、二次成長期が終わり。
 日々鍛えた、このガタイを女に見間違えるヤツはいまい、と。
 
 そう、安心していられたのは、束の間だった。

 ………世の中には。
 身内以外にも、同性愛者が結構いるらしい。
 
 ナンか間違ってる!!! と―――叫んだトコロで、虚しいだけだ。

 事実、ヒトリで行動していると。
 こんな風に声を掛けてくる、命知らずが結構現れるのだ。

 それも、大概。
 ”相手の実力”など、到底読めそうにも無い。
 自信過剰でアタマの悪そうな、ヤローばかりが。

「うっわー、冷たいナー。まぁ、キミくらい美人なら、そうじゃなきゃねー」

 しかも、そういうのに限って、やたらにしつこかったりする。
 
 待ちぼうけを喰わされている、イライラも手伝って。
 シンタローは、絶対零度の殺意を込めた視線で、声を掛けてきた相手を睨み上げる。

 ナンパ野郎は、珍しくも、自分よりも背の高い相手であった。
 顔も体も、自意識過剰になるだけあって、それなりに見られるモノではある。

「ねーってば。大丈夫ー、待ち合わせの相手、事故にでもあってんのかもよォ?」 

 ―――事故ぉ? アイツならダンプカーに轢かれたって、大破すンのは、ダンプカーの方だぜ!!

 チッ、と、聞こえよがしに舌打ちを洩らし。
 彼の実力を良く知る、ガンマ団員ならば。つま先まで真っ青に凍りつく、冷凍光線を。
 モノともしていない、厚顔無恥なナンパ野郎に、うっとおしそうに背を向ける。

 眼魔砲を、使う間でも無い。
 この程度の相手であれば。拳の一発で、永久にその口を閉じさせるコトは、可能なのだが。

 クリスマス当日らしく、かなりの人間の行き交う、この場所で。

 余り目立つ行動はしたくない、と抵抗があるのは………昔の暗殺稼業の、名残だろうか。

 ―――最も。”忍耐”という美徳とは。
 一生かかっても、親友にはなれそうにはない、哀しい性格の彼である。

「オレ、イッショに捜してあげようかー?」

 馴れ馴れしくも。
 強引に腕を取られかけ―――ぷちん、と。

 シンタローの、非ッ常ぉにッッ!! 短い。
 『堪忍袋の緒』とやらが………危険な断絶音を、響かせた瞬間。

「――――――シンちゃぁ~~~~~~~~~~~~~んッッ!!!! 待たせて、ゴメンね~~~~~!!!!!」

 ~~~~~~どどどどどッッ!!!!! と。
 
 夜目にも白く。真冬の乾燥した大地に、大量の砂埃を巻き上げて。
 ”何か”が、こちらに向かい、突進してくる。

 ―――来やがった。

 一瞬、ホッと息をつき。
 
 ホッとした自分に、ちょっと腹が立って………シンタローは。
 聖なる夜の騒音公害を、精一杯しかめつらしい顔で、待ち受ける。

 一方、隣のナンパ男は。
 何事が起こっているのか、さっぱり飲み込めていない様子で。
 ぐんぐん近づいてくる”何か”を、間抜け面で見つめているだけだ。
 
 驚異的な速度で、シンタローの元にたどり着いた”何か”―――否。

 年齢を全く感じさせない、堂々たる体躯を誇る。
 鮮やかな金髪の、英国紳士は。

 息を弾ませたまま、その目の前で、力一杯両手を合わせた。

「………ッ、ごめっ、シンちゃ………おや?」

 だが。
 ひれふさんばかりの、その情けない表情が――― 一瞬にして、険しいモノとなる。

「―――キミは? ウチの息子に、何の用だい?」

「え? い、いや、その………」

 瞬きする一瞬前の、必死な表情は、幻だったのかと思うほど。
 重く冷たい、深海の双眸を向けられて。
 
 ナンパ男の背筋に―――真冬にも関わらず、冷たい汗が伝う。

「用が無いなら、行きたまえ?」

 瞳の色彩は、そのままに。
 口元にだけ、薄い微笑いを刻んで………見慣れている、シンタローの背筋にさえ。
 ひやりとしたモノが、降りてきた。

 ましてや、どれほど想像力に欠ける人間であっても。
 その視線をマトモに、受けてしまえば。

 ”生き物”である以上の、本能的な恐怖に―――心の臓を、鷲掴みにされた心地に違いない。

「あ………ぅあ………あの………し、失礼しました――――ッッ!!」

 獅子に出会ったウサギもかくや、という勢いで。
 名も知らぬナンパ野郎は、地平線の彼方へと、見事なダッシュで消えていき。

 ―――まぁ、喋れただけ。天晴れってぇ、トコかナ? 

「………アンタさ。その格好で凄んでも、迫力80%ダウン」

 自分の凄みに、まったく動じなかった相手を。
 一睨みで撃退した、マジックに対する。幾許かの、八つ当たりを込め。

 シンタローは、厳しい突っ込みを入れてみた。

 この相手が、自分との待ち合わせに遅刻するなど。
 もちろん、抜き差しならぬ事情があったのだろうナ、と。
 自惚れ抜きの予想は、していたのだが。
 
「はわっ!! シ、シンちゃん、ごめんよぉぉぉ――――!!」 

 ―――とたんに。今までの威厳は、何処へやら。

 いくらAB型が、二重人格だからって。
 ホントーに、同一人物なのか?? と疑ってしまう程の、変わり様で。
 マジックは再び、シンタローへと両手を合わせると。
 コメツキバッタのごとく、頭を上下に振り立てる。
 
 ………そんな、彼の格好なのだが。
 
 いつも、一分の隙無く着こなしている、ピンクのスーツからは。
 このクソ寒いと言うのに。
 ぽとぽと音を立て、水滴が滴っていて。
 豪奢な金髪からも、絶え間なく雫が滴り………要は、全身濡れ鼠の状態なのだ。

 こちらへ向かう途中、ナニかがあった、というのは。
 間違い無いようだが。

 いくら父親が物好きとは言え、この気温の中で。
 寒中水泳まで強行した理由は、サッパリである。

「………で? 遅れた理由を、30文字以内で簡潔に言え」

「え、あ、その、それは………」

 先刻のココまでの、人類から規格外れのダッシュといい、真冬のこの格好といい。
 結局は、通りの人間の視線を、イヤというほど集めてしまっている。

 何があったか、知らないが。
 怪我が無いのは、何よりだが―――イヤ、だから。コイツに怪我させるには、核弾頭の連射ぐらいやらなきゃ、無理な気はするが―――とりあえず、この場からはとっとと消え失せたい。

 素っ気無く背を向け、歩き出した息子の言葉に。

 慌てて追いすがりつつ、マジックは。
 へどもどと、言い訳をしかけた、のだが………。

 ―――みぁ。

 愛らしい、鳴き声と共に。
 マジックの、濡れたスーツの合せ目から。
 ”遅れた理由”が、顔を出した―――ソレは。

 小さな小さな、黒猫だった。

「………ね、ネコぉ??」

「あ――――、ええとねっッ!!」

 あまりに意外な、組合せに。
 思わず足を止め、素っ頓狂な声を上げた、愛しい愛しい息子に。

 マジックはアイター、という表情で、思い切り顔を顰め。

「イヤね、ココに来る途中、見つけたんだけど………」 

 彼の話によると。
 ココに向かう途中の、川べりに。ダンボールに入れられ、捨てられていたらしい。
 
 可哀想に思い、保護してやろうと、手を差し伸べた。
 割と動物好きの、マジックだったが。
 捨てられたコトで、少々人間不信に陥っていたのか。

 その黒い子猫は、彼を警戒し、逃げ惑った挙句。
 近場の木へと、よじ登り―――不幸な事に。
 
 立ち枯れていたらしい、その木の枝は。

 爪を立て、威嚇する小さな体を乗せたまま、バッキリ、途中から折れ。

 ―――哀れな子猫は、枝と共に。真冬の川へと、真っ逆さま。

 おかげで。雲が出れば、間違いなく雪であろうという、この寒空の下。
 救出の為、マジックは。寒中水泳を敢行する羽目に、陥った。 

「いやぁ、誰かサンに似てるなァと思って。ついウッカリ、手を出しちゃったけど。もー、ココまでソックリだとはねぇ………」

「あぁ!? ナニが誰に似てるってぇっ!?」
 ―――まさか、オレとその間抜けな猫が似てる、とか楽しいコト言うんじゃねーだろォなっ!!??

 シンタローの、凄みを利かせた睨みに。
 『そっくりじゃないか、意地を張りまくった挙句、墓穴掘るトコとか………』とかいう呟きは。
 胸の内だけに、留めてみる。

 口に出したが最後。
 せっかく取り付けたこのクリスマスデートは、眼魔砲で集結するに違いない。

「イヤイヤー、こっちの話だヨvv さ、シンちゃんドコ行く?」

「はァ!? 正気かよ、アンタ。その格好で、ネコ連れてドコ行こうってんだ!?」

「もちろん、食事に。だァーいじょうぶvv どんな格好だって、パパを断るお店なんか無いし」

 エヘン、と胸を張る。
 『常識』という美しいコトバを、辞書から抹殺しているらしい父親に。

 シンタローは、やれやれ、と。深い溜息をつく。

 まぁ、コイツと自分であれば。
 素っ裸にネクタイ一丁だって、断る店はそうはあるまい―――だからと言って。

 ―――ソレをするかどうかというのは、全くもって別問題だっつーコトを。
 いい加減学習してくれ、五十に手の届くオッサン!!!

 大体、マジックという人物の、不思議なトコロは。
 敵対する相手には、とことん冷酷なクセに………子供や動物には、こんな風に妙に優しい。

 多分、ソレが。
 息子の髪を思い出させる、黒猫でなくとも。
 白かろうと、シマシマだろうと、三毛だろうと、助けたのだろうと思う。
 
 ―――凍りつく、真冬の川に。
 『だいじょーぶだョ、子猫ちゃーんvv』とか笑いながら、ざぶざぶ分け入って。

 それは、心温まるオハナシ、と言えなくも無い―――五十路間近のオッサンがやる事か、という突っ込みは置いといて。
 
 けれど、もちろん。

 ソレっぽっちの善行が。今までの彼の所業の言い訳に、なるハズもない。
 彼と、彼の一族が。

 どれ程の争いをこの世に生み出して。
 どれ程の憎しみと、悲しみを撒き散らしてきたか。

 這いつくばって哀願し、命乞いをする相手さえ。
 笑顔を浮かべ、踏みにじった―――その、人に非ざる所業。

 薄々は感じていた。今までの父親が、為してきたコトを。
 総帥となって、初めて詳細に知り得―――改めて、戦慄した。

 目の前の。
 大切そうに、子猫を抱く男は。
 同じ手で、購い切れぬ程の、大罪を犯した人間………同時に。

 ―――あの、煌く星の名を。
 自分に教えてくれた、大きな存在。

「あーそー。で、オレはそのネコの為に、散々待たされた挙句。あんなオトコに、不愉快な思いをさせられたワケだな」

「何だって!? アノニヤケた男、まさかオマエに良からぬコトを………ッッ!!」
 ―――やっぱり、問答無用で殺しておくべきだったかッッ!?

 コレだけ、冷え込んできたというのに。
 寒がるどころか、無暗にヒートアップし始めた父親に、肩を竦め。

「こんな日に、物騒なコト言ってんじゃねぇヨ、ったく………貸せ」

 ひょい、と腕を伸ばし。
 シンタローは、マジックの濡れた懐から。
 びしょ濡れで震える、子猫をつまみ出すと。

 ―――みぃみぃ鳴く、汚れ無き生き物を。
 自分の乾いたコートの胸元に、滑り込ませる。

 ずっとマジックが、温めていたからだろう。
 思った以上に、その体は温かな体温を保っていて。
 
 ………そう。
 今日は、12月25日。

 聖なる夜の、本番なのだ。

 ―――どんな罪人だって。赦しを請うくらいは、許されるのではないか?

「ちょ、ど、ドコ行くんだい、シンタロー!!??」

 子猫を強奪すると、そのままスタスタと足早に歩き始めた、彼の後を。
 マジックは慌てて、追いかける。

「アンタは、どうでもイイけどナ。このままだとコイツ、風邪引くだろーが?」

「あ、そうだね、じゃあ………ティラミスでも呼んで、車………」

 言いながら、マジックは携帯を取り出してみたが―――もちろん。
 特に防水加工も施されていなかった、ソレは。

 冬の川の中で、見事にオシャカとなっており。

 かけても、通じなかったワケだ、と。
 納得しつつ、シンタローは。

 大通りの裏………ネオンの輝く方へと向かい、歩を進めた。

「アンタは良くてもナ、オレが恥ずかしいンだよっ! その格好で高級ホテルだのレストランだの、入れるかっっ!!」 

「………だって、シンタロー? そっちって………」

 マジックが、訝しげな声を上げるのも、最もだ。

 シンタローの向かう、その方向は………そのまま行けば。
 派手なネオンも眩しい、昨日今日と「愛を確かめ合う恋人たち」で、さぞ繁盛しているであろう。
 とってもピンクな、ホテル街となる。

「ヘンな想像してんじゃねぇッッ!! コイツ、洗って乾かしてやるだけだッッ!!」

 足を止め。まじまじコチラを見つめている、相手の視線を。
 痛い程、感じつつ。
 
 シンタローは、努めて無表情を装って。
 そのまま先に立ち、歩きつづける。

 しばし、唖然と。
 凛と背筋の伸びた、後姿を見つめていた、マジックであったが。

 不意に。
 へらっ、と顔を緩ませ。

「そっかー、そうだよネvv うんうん、今は遠くの高級ホテルより、近くのラブホだよねーvv」

 すたたたっ、と。
 愛しい息子の傍らに立ち、その手を取ろうとしたのだが。

 対する彼は、まったくもってうっとおしそうに。
 にじり寄ってくる父親に、容赦無い足蹴をくらわした。

「言っとくけどなっ、着替えたら、スグ出るンだからなッッ!!」
 ―――テメェッ、ヘンな想像すんな、ヘンな妄想回すんじゃねーぞッッ!?

「はいはーい♪ もっちろん、解ってるよ、パパにはっvv」

 ………わかってる? そうか? ほんっと~~~に、解ってンのか、コイツ!!??

 妙な真似をしやがったら、問答無用で眼魔砲くれてやるっ、と。
 決心を固めつつ―――それが。

 本当は。
 自分の方が、よく解らない。

 これから、どうしたいのか。

 ………どうする、つもりなのか。
 
 ともあれ。
 震える子猫を、しっかり腕に抱いたまま。
 
 口をへの字に結び、歩きつづけていると。

「………あ、シンタロー?」

「~~~ぁンだよッ!?」

「メリークリスマスvv 愛してるヨvv」

 恥ずかしげも無く、贈られた一言に。
 シンタローは思わず、言葉を失い。

 すると。まるで、その代わりのように。

 ―――みぁ、と。

 腕に抱いた、黒い子猫が。
 愛らしい声で、鳴いた。












mm

ゾロ目リク11111『マジック×シンタロー』夏でちょっぴりだ・い・た・んv

◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□

夏祭り!!
ガンマ団恒例夏祭り!!

屋台に御輿に花火大会!

この時ばかりは総帥幹部ぺーぺー関係なしにみんなで盛り上がる大事な行事だ!
そんな中、オレ、ガンマ団総帥シンタローは、前ガンマ団総帥マジックと一緒に屋台を回っていた。
2人ともオヤジの作った藍染めの浴衣を着ている。
「やっぱり浴衣には黒髪の方が似合うねぇ……」
感慨深げにオヤジが呟いた。
「見慣れないからってのもあるんだろうけどな。」
「何というか……こういったお祭りの中で浴衣を見ていると」
「見ていると?」
「いきなり暗がりに誘い込んで嫌がる体を無理矢理押さえつけて
 胸元を思いっきり開いて足を開かせていきなり自分のぶふぅッ!!」
「やめんかエロオヤジ」
オヤジが数字あわせで当てたビニールトンカチ(3等)で思いっきり殴り倒す。
まぁ、弾力はあるから痛くはなかっただろう。
「男の夢だろう!?」
「違う! 絶対!!」
何となく身の危険を感じ、後ろに後じさりしながらつっこみを入れる。
「お祭りのにぎやかな雰囲気と、その裏の淫靡な雰囲気の対照が素晴らしいんじゃないか!!」
「そう言うことを堂々と断言するなぁっ!!」
ふと辺りが妙に静かなことに気づき、周りを見回す。
あああっ! 半径2mに人がいねぇ!!

「ったく……こっちは『表』なんだからよ。ちったぁその編のことも考えやがれ!」
「ちょっぴりダ・イ・タ・ン☆になってみたかったんだよ」
「今までの人徳まで失ってどうするっ!!」
雑談をかわしながら歩いていく。
その間にもオヤジは射撃や、金魚すくい、スーパーボールすくい、数あてや、鮫釣りを
オレはかき氷、たこ焼き、広島焼き、落書き煎餅に焼きそば、人形焼きに、じゃがバター、わたあめまで制覇した。
「で、次はシンちゃん何を食べるんだい?」
セーラー○ーンのハッカパイプを口に銜えながらオヤジが聞いてくる。
「……なんかソレだとオレが食ってばっかみてえじゃねぇか……」
「違うのかい?」
「…………りんご飴がまだだったな……」
否定は出来ないので、最後の楽しみにと、取っておいたりんご飴の屋台を探し始めた。


帰路について、お囃子を聴き、花火を見ながらリンゴ飴をなめていると
「少しもらってもいいかい?」
オヤジが微笑みながら聞いてきた。
……まぁ……それくらいなら……
「ほら。」
手に持ったりんご飴をオヤジの方に差し出すと、こっちに顔と手を差し出して
ひょいっとオレの手をどかし顔を近づけてきた。
唇に柔らかいものがあたり、すぐに離れる。
…………え?
気づいた頃にはオヤジの顔が元の位置に戻っていた。
ド……ォン……
遠くで花火の音がする。
何があったのかと確かめるように自分の指を唇に持っていく。
「甘いね。」
呆然と唇に触れるオレに、父さんがやっぱり微笑みながら言った。
「そう……だな……」
………………ええっと……
な……に……やってんだよオレッ!
今までも散々キスくらいされてきたろうが!!
俺がいっくら怒っても何度もなん……ど……も…………。
ぼっっ
顔が一気に熱くなる。
っておいッ!? 何でココでそうなるんだ!?
ドンッドンッドン……
花火は……スターマインに入ったようだ。
爆発音に混じってパラパラという音がする。
「し……シンちゃんっ!?
 大丈夫かい!?
 ごめんねごめんねっシンちゃんが余りにも可愛かったからついッ!!」
「あ…ああ……」
珍しく必死で謝ってくる父さんに、何とか正気を取り戻し返事を返す。
うぅ…顔がまだ熱い。
ふと父さんの顔を見上げると、何故か心配そうな顔をしていた。
ド……ン…………
更に遠くなった花火の音が妙に心に響く。
………………
「父さん……」
珍しく『オヤジ』ではなく『父さん』と呼ぶと、驚いたようにこちらを見てくる。
「なんだい?」
慌てていつもの調子を装って聞いてくる。
「食べないのか?」
リンゴ飴を父さんの前に差し出す。
「そうだねぇ……じゃ今度はちゃんと……」
りんご飴をぺろりと舐め、やっぱり甘いなぁとつぶやく父さんを見ていて、
自然と唇から言葉が零れた。
「……父さんのも味見したい…………」
父さんが驚いたようにこちらを見て、
俺はそのスキに未だりんご飴の味が残っている唇に自分のソレをよせた。
花火の音は消え、辺りにはお囃子の音だけが響いている。
すぐに離れ、オレと同じ目に遭わせてやると何となく勝ったような気がした。
……実際には引き分けなんだけど……
珍しく硬直しているオヤジが見れたから……まぁ……いいか。
そう思って、オレはさっきりんご飴に父さんが口をつけたところに舌を這わせた。
なんだか……その場所はよけい甘く感じられた。



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甘ぇのはおめえさんらだがっっ!!!!!!
どしたんよあたし! 一体何があったん!?
マジシンの時は……たとえ裏でも最後には必ずオトしてきたんに!!!
とうとうシンちゃん完全にオチたんか!!???
……すみません……自分でもあまりの驚きに、お国言葉が出てしまいました。


ええいぃコンチクショウこうなったら無理矢理にでもオトしてやる!!
以下! 下ネタなので嫌いな人は見ないでぷりーず!!
好きな人は反転ぷりぃず!
ああ、本編とは関係ありませんので。

「……父さんのも味見したい…………」
父さんが驚いたようにこちらを見た。
「じゃぁ……」
かすれた声で父さんが言葉を紡ぐ。
「父さんのチョコバナナをおしゃぶがふっ」
…………こんなヤツに一瞬でもときめいたオレがバカだったよ。
リンゴ飴を喉に詰まらせて呼吸困難に陥っているオヤジを見下ろし、オレは自分の部屋がある棟に戻っていった。


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……あーすっきりした。


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