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 (俺はどうしてこんな所に隠れてしまったのだろうか……)

 今、ハーレムはシンタローの部屋のクローゼットの中にいる。

なぜ、こんな所に隠れてしまったのかと言うと今から10分ほど前、金目のものを探してシンタローの自室に入り、漁っている途中でこの部屋の主であるシンタローが帰って来たことに気づいた俺は、普通に出て行けばいいものの、この時は何を思ったのかクローゼットの中に隠れてしまったのだ。更に今、出るに出られない状況に置かれていた。様子を窺おうとクローゼットの隙間から外を覗くとシンタローは疲れているのか真っ赤なブレザーを脱ぎソファーの上に置き、シャツとパンツ姿でこちらに歩いてきるのが見えた。

(やべぇな、開けられたら見つかっちまう)

ところが、シンタローはクローゼットを開けず、クローゼットの前に置いてあるベッドに横になった。

(あぶねぇ、あぶねぇ)

ホッとしたのも束の間、ハーレムはあることに気づいてしまった。それは、シンタローのアレが立ち上がっているのが目に入ってしまったのだ。

(マジかよ……あれか?シンタローの奴、疲れマラってやつか?)

その時、シンタローが起き上がり周りをキョロキョロと見渡し、誰も居ないことを確認すると手をトランクスの中に滑り込ませた。

(やべぇって……俺としては嬉しいけど……)

見てはいけないと思いながらもつい凝視してしまう。こんなシンタローを見ることは滅多にない。いや、一生かけてもないかもしれない。あの俺様で、頑固なシンタローが自分自身の手で、自分のそれを扱いている。シンタローの息づかいが板越に響いて妙にリアルで官能的に聞こえてくる。ここで出て行って襲ってしまおうかとも考えたが、もう少しこのいつもと違うシンタローを見ていたいと思った。

 しかし、そんな考えはシンタローの発した一言で覆された。

「ハ……レム」

思い切りよくハーレムはクローゼットの扉を開け、目を丸くし驚きのあまり言葉を失っているシンタローのもとへ行き押し倒してキスを奪う。

「なんでお前が…んっ…いるんだよ」

シンタローが問いかけるがやめてやらない。あんなに可愛いことを言われてやめられるほど出来た人間ではない。深く動物的なキスを続けながらシンタローのシャツのボタンに手を掛ける。全部のボタンを外し、開放してやる口唇。

「おい、なんでお前があんな所から出てくんだよ!もしかしなくても……見てたのか!?」

高揚し紅く染まった頬。濡れた口唇。

 潤んだ瞳。それは羞恥に耐えられなく泣きそうな眼。

 そんな顔を見せられればもっと見たくなってしまう。シンタローの羞恥に歪む顔が見たい。これはサドだろうか?だがきっと男なら好きな奴の泣き顔を見たいと一度は思うに違いない。だからこそはっきり言う。

「見てたよ」

「何で!?何で……」

涙を浮かべるシンタローのまぶたにキスを送る。

「なぁ、今すぐヤリしたいんだけど」

ハーレムが不敵に笑う。この自信にあふれた顔が好き。ハーレムの声が鼓膜に響く。

「や…だよ」

精一杯の抵抗。だが相手は全て知っている。俺の心の中までも。

「お前に俺は拒めない。」

そう言ってつい先ほどまで扱っていたソレをスッと撫でた。

「うわぁ…」

慌ててハーレムの手を止めようとする。だけどそんなのはお構いなしにハーレムの自分よりも少し大きな手が優しく愛撫する。

「やめろって…」

「やめない」

シンタローのソレは握られたまま、いままで何度したのかわからないキスをする。

今までキスだけだった。この男が。今考えてみるとこの男の優しさだったのだろうか。それとも、マジックへの恐れだろうか。

「誰のこと考えてやってたんだ?」

ハーレムが口元を緩め、こちらを真っ直ぐ見る。

「誰でもいいだろ」

こいつは分かっているのに聞いてくる。どうしても俺の口から言わせたいらしい。だから言ってやらない。

 それがこいつを喜ばせるだけだと知りながらも。 
      
         続く→ 
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今、シンタローはガンマ団にある資料室で次にお仕置きをする国について調べていた。一段落ついたところに資料室のドアが開く音がした。シンタローが振り返って見るとそこにはつい最近、両思いになったハーレムが立っていた。

「何か用かよ。」

シンタローは緊張していたがそのことをハーレムにバレないように必死だった。両思いだとは言え緊張する。いや、こんな仲になる前なら緊張などはしなかっただろう。両思いになったからこそ、緊張してしまうのだ。

「ん``~今ヒマか?」

「暇といえば暇だけど?」

「散歩にでも行かないかなぁ~と思って。」

「散歩かーあんたが行きたいって言うなら行ってやってもいいけど~」

シンタローは精一杯、自分らしい言葉をハーレムに向けた。だが内心は言葉では表せないくらい嬉しくて仕方がなかった。口元が緩みそうになるのを抑えながらハーレムの後をついて行った。

「しかし、急にどうしたんだ?あんたから誘ってくるなんて珍しいじゃん。」

シンタローが不思議そうな顔で見てくる。

「ちょっとな。まぁいいからついてこいや。」

「どこ行く気だよ」

「秘密。見てからのお楽しみってやつだ。」

そう言ってハーレムはどこに行くのかを教えてくれない。

「乗れ」

「散歩って・・・車使うのかよ」

「まぁな。俺が運転してやるからありがたく思え」

「なんかコェーな。マジでどうした?」

「んだよ、行かねーのか」

ハーレムがムッとしている。実際、俺は誘われて嬉しいから、断るわけがない。

「悪かったよ、行くって」

普段自分から謝ることのないシンタローにとって、すぐに謝ったのは奇跡に近い。

車に乗って、走っている間はグンマのどうしようもない発明のことや、マジックの無駄なファンイベントなどの愚痴を言ったりと、楽しい時間が過ぎていった。しばらく車で走って(と、言っても20分くらい?)途中、林のようなところで止まった。

「ここか?」

こんな所に何かがあるとは思えないが一応聞いてみる。

「ここから少し歩くが、まぁ、いい運動になるだろ」

そう言って、ハーレムはスタスタと林の中へ入っていく。

「ちょ、待てよ、ったく」

仕方ないのでシンタローはハーレムのあとをついていく。

「お~い、まだ着かないのかぁ?つうか、どこに連れて行きたいわけ?」

ここは林の中だ。道が舗装されているわけがない。そんな獣道のような所をひたすら歩かされていた。

「もうちょっとだから我慢しろ」

何故かハーレムは笑いをこらえている。

「何笑ってんだよ」

「いやぁ?別に?」

「別に?っじゃねぇ!なんだよ、一人で笑ってんじゃねぇ!」

元々、俺様な性格のシンタローがわけの分からないことで笑われて黙ってるはずがない。

「う~ん、どおすっかなぁ~」

ハーレムはすごく楽しそうだ。まるでライオンの子供が狩りの練習に与えられたウサギとじゃれている時のような顔をしていた。

「んだよ、さっさと言えって」

ハーレムは少し考えてから実にハーレムらしいことを言った。

「キスしてくれたらいいぜ?」

「なっ、バカか!もういい!」

シンタローは恥ずかしさを隠すために怒るしかなかった。いつもそうだ。本当はキスくらいしてやってもいいと思っている。むしろこっちが頼みたいくらいだ。だけど、そういうことを言ったりしたりするのは恥ずかしい。だから怒る。その繰り返し。これはもう自分では治すことは不可能だろう。

 赤くなって怒っているシンタローを見て、ハーレムは楽しんでいる。そのことに、シンタローは気づいているのだろうか。くくっ・・と、またハーレムが笑って、両手を挙げて『降参』のポーズでシンタローに謝った。

「わかったから、怒るなって。ちょっと思い出したんだよ」

「何をだよ?」

「おめぇーが小さい時に一度だけ、兄貴に頼まれてお前をお守りしたことがあるんだよ」

「お守りだと?」

「覚えてないか?まだ3つくらいだったもんな」

お守り・・・そんなこと・・

「あっ」

あったかもしれない。親父とお袋が2人でなんか偉いやつのパーティに出るとかなんかで留守番させられた記憶がある。

「思い出したか?」

「あぁ、薄っすらと。だからなんだって言うんだ」

「あの時お前、俺の後くっついて来て離れなかったんだぜ」

「はぁ!?俺が?冗談だろ?」

「うそついてどうするよ。そんで今おまえが後ろついて歩いているのを見て思い出したわけ」

認めたくはないが、どうやら本当のことらしい。

「あっそう。俺の記憶にはないな。あんたのことで覚えてるっていったら、4歳の誕生日にプレゼントの変わりに強烈な右ストレートと、変なリーゼントのパンチを貰ったことぐらいだよ」

シンタローは嫌み混じりで昔のことを語った。

「あれは、お前を男にしてやったんだろうが」

「4歳児にカツアゲなんてさせてんじゃねぇーよ」 

「・・・・・・」

流石のハーレムも返す言葉がみつからないらしい。こういう時、何だか嬉しくなるのが人間だ。シンタローは勝ち誇った顔をハーレムに向けた。そんなことを話しているうちに、先に光が見えてきた。走って抜けると、光が目をさして痛い。二人とも手を目の上に翳している。そして、目の前に広がっているのは大量の向日葵。

「ひ・・まわり?」

そう。あたり一面自分たちとたいして変わらない背の向日葵がサンサンと日を浴びて自分たちを迎えてくれている。

「これが見せたかったのか?」

照れくさいのかハーレムはナナメ上を見ながら、ほほを人差し指でかいている。

「なんていうか・・・向日葵って元気でそうじゃん?」

この男からこんな言葉が出てくるとは予想外だ。いや、花を見せてくれた時点で卒倒ものだ。

「ね、熱でもあんのか?」

そうだとしか思えない。だって、この男が花だぜ?酒と馬が好きなこの男が。

「熱なんかねぇよ!あーやっぱやめときゃよかった」

ハーレムの顔は真っ赤だ。

「ばーか、照れんなってーサンキュウなっ!」

シンタローは最上級の笑顔を見せた。

それを見てハーレムも小さく笑う。心の中に安堵の色が広がる。

「お前はいつもそーやって馬鹿みてぇーに笑ってろ」

そう言ってシンタローの頭を撫でる。

「なぁ・・・」

「ん?」

ぐっと、シンタローはハーレムの襟を引き寄せる。

「?!」

沈黙

シンタローはハーレムにキスをした。

「な、なんだ?」

「御礼・・・みたいなもん」

シンタローは相当恥ずかしいらしく下を向いてしまった。

ハーレムがまたシンタローの頭を撫でて、顔を上げさせて優しくキスをする。

「どういたしまして」

ハーレムはシンタローの手を取ってもと車のあるほうへ歩いていく。このとき、いつもなら離せとわめくシンタローが静かについてきたのがハーレムは妙に嬉しかった。







act.2 向日葵

やっと書きました~待っていた人も、待っていない人も最後まで読んでいただきありがとうございます!果たして最後まで読んでる人はいるのだろうか・・・・なんかまだまだ続くみたいですよ、この話。そろそろこの2人も次に行きそうですな~そういうわけなので次もよろしくお願いします!!

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早く言え!



 某日―PM10:14、シンタローは所用で叔父であるハーレムの部屋を訪ねた。

「俺だ、入るぞ。」

ドアをノックし、返事を待たずに入って行くと、派手なわりにきれいに整頓された部屋。というかこの部屋にはベッドと、テレビくらいしか主だった家具はない。この何もない部屋に一番存在感のあるバカでかいベッドにハーレムは転がっていた。

「おい、おっさん。」

ベッドまで行き、シンタローは寝ているハーレムの顔を覗き込んだ。

「ん``ー」

シンタローが見たものは叔父の綺麗な寝顔だった。シンタローは思わず、

「きっれェー・・」

不意に声に出してしまったことにシンタロー自身が驚いたが、考えてみればハーレムはビボーの叔父様と双子なのだから当たり前といえばそうであろう。

「でも、似てねぇ兄弟だよなぁ。」

性格もおじさんと比べたら天と地ほど違うしなぁ。顔も獅子舞だし。髪の色もおじさんは色素の薄い金色だけど、ハーレムはもっと濃い太陽みたいな金色の髪だ。そんなことを考えながらベッドの端に座りシンタローはハーレムの髪を撫でた。その髪は意外にも指通りが良くてとても心地よかった。その時、触られてさすがに気づいたのかハーレムが目を覚ました。

「んー?何だぁー?シンタローか?」

まだ、半分寝ているらしかった。シンタローは寝ているハーレムの髪を撫でていたことをハーレムに悟られたくなかったので、早く部屋を出て行くことに決めた。

「何か用か?」

ハーレムが起き上がって尋ねる。

「いや、大した用じゃないんだ。あんたがぶっとばしてお釈迦にした軍艦の始末書とその他もろもろの書類を渡しに来ただけだ。」

今までのことを悟られないよう嫌みを交えながら言い捨てて、部屋をでようと立ち上がろうとした時、ハーレムはシンタローの腕を掴んだ。

「まぁ待てや。お前、仕事の方はもう終わったんだろ?」

「あぁ、今日のところは一応な。」

「なら、ちょっとだべっていけや。」

「はぁ?」

次の瞬間、ハーレムの腕が伸び、シンタローの頭を引き寄せたかと思うとそのままハーレムの唇が重なった。シンタローは自分に何が起きているのか中々理解できなかった。

「ん``っー???」

どうして自分がこんな状態になってしまったのか、シンタローは必死に脳をフル活動させて考えたが、答えは出てこない。その間にもキスはどんどん深くなっていく。抵抗しようにも両手を捕らえられているので、どうにもならない。そしてやっと長いキスから解放された。

「なっ、てめぇ何しやがる!!」

シンタローは酸素を取り込もうと肩で息をしながら、ハーレムに食ってかかった。

「何って、キスだろ?」

へらへらと笑いながらハーレムは答える。

「そーじゃなくって、何でそんなことするのかって聞いてるんだよ!」

シンタローがハーレムを怒鳴りつける。

「だぁー、一々うるせぇやつだなぁ。じゃあ俺も質問していいか?なぁーんでシンちゃんはわざわざ俺の部屋に来たわけ?」

「だからぁ、さっきも言っただろ、書類届けに来たんだよ。」

シンタローの体に緊張が走った。やばい。

「そんなの他のやつにやらせればいいだろ?お前は総帥なんだから。なのに総帥自ら来たってことは・・・俺に会いたかったからだろ?」

すべて知っているかの様にハーレムは微笑って見せる。やばい。きっとこいつはすべてわかっている。俺の気持ちも全部。

「そんなこと・・」

シンタローは本心を言い当てられて、真っ赤になった。

「そんなこと・・あるだろ?」

ハーレムはシンタローの表情を楽しんでいるかのように聞いてきた。もう相手に気づかれているのならいっその事自分が思っていること全部言ってしまおうとシンタローは決心した。

「あぁ、そうだよ。」

言ってしまった。もう後には引けない。絶対に笑われる・・。そう思った。だけど違った。ハーレムは笑ったりはせず、シンタローを抱きしめた。

「やぁっと言ったか、おせぇんだよ。そういうことはもっと早く言えよな。」

???一体何を言っているんだ?早く言え?それじゃあまるで、俺が告白するのを待ってたみてぇじゃんか。何がどうなっているのかがシンタローにはさっぱり理解ができなかった。ただわかっているのは、ここがハーレムの腕の中っていうことだけだった。抱きしめられてとても心地よかったが、真意を聞くべくシンタローはハーレムに尋ねた。

「それどう言うことだよ?」

「お前、結構鈍いのな。」

「は?鈍い?」

シンタローはぽかんと口を開けている。(ここまで言われて気づかないのも不思議だ。byハーレム)

「ん``ー・・ん。」

また唇が重なる。それはとても優しいくちづけ。愛が広がって流れ込んでくる。自分が大切に思われていることが伝わって、伝えたい。自分も目の前にいるやつのことが大切だということを。唇が離れても、優しい空気が二人を包み込む。

「わかったか?」

「あぁ。」

シンタローは素直に頷く。

「なぁ、いつから知ってたんだ?知ってたんだろう、全部。」

「知ってた。でも教えてやんねぇ。」

ハーレムははぐらかすような言い方をした。

「教えろよ。」

「ずっと前からだよ、しかしまぁ長かったなー」

ハーレムが天井を見上げながら話す。

「でもまさか、お前が俺を綺麗って言ってくれるとはなぁー。叔父さん嬉しかったぜぇ。」

「なっ、何で知って・・まさか、起きてたのか?!」

「当然だろ。俺一応、特戦部隊の隊長だし~」

「嘘だろ?」

「ホント。」

ハーレムはにっこりと笑った。

「さっ、最悪だぁー」

「んなこと言うなって、これから楽しくなるんだからよぉ!」

そうだ。俺たちはこれからなんだ。こいつと一緒だと色々と大変そうだけど、細かいことはどうでもいいか。シンタローはそんな気持ちになった。

「あぁ。そうだな。」







はじまり-完

 とりあえず第一章が終了ってとこです。ここまで読んでいただきありがとうございます。なんかよくわからない話ですみません(泣)ハレシン初めての作品でございます。といいますか・・小説、初めてです。なのでおかしい所が沢山ありますが許してください。(逃げ)この話はきっと続きます。はい。良い作品になりますよう頑張りますので、これからもこんな私を宜しくお願いします。

                            暗記ブック 冬雫  

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「よし…っと」
 
 軽く音を立てて書類の束を揃えると、シンタローは顔を上げた。
 
「もう良いぞチョコレートロマンス、ティラミス」
「はい、わかりました」
「シンタロー様は?」
 
 尋ねるティラミスをシンタローは椅子に座ったまま、言った。
 
「俺はもう少しやったら休む」
「そうですか…ではお先に失礼します」
 
 扉が閉められるのを確認すると、シンタローはまた新たな書類を手にとった。
 
 時は流れて、きりのついたところでシンタローは腕に嵌められた銀の時計を見る。針は日付が変わってしまったのを示していた。
 
 軽くのびをすると机の上を片して、新総帥は部屋をあとにする。しんと静まり返った廊下は薄暗く冷え切った中に、革靴の底が奏でる硬い音だけが響き渡っていく。
 
 そして、ある部屋の前に着くと足音はぴたりと止んだ。シンタローは指紋照合センサーに自らの人差し指を滑らす。間もなくして電子音が鳴り、戸のロックが解除された。

 内に踏み入れると、そこには一人の少年が眠っていた。
 
「コタロー…」
 
 そうシンタローは呟いた。
 
「コタロー、お兄ちゃんだぞー」
 
 優しく弟に呼び掛けるシンタローの声からは、いつもの厳しいガンマ団総帥の様子は微塵も感じられない。
 
「ごめんなー、遅くなっちまって」
 
 そっと、シンタローはコタローの髪に手を差し入れた。
 
 それでも少年は起きる気配を少しも見せない。
 
「…コタローは本当に美人だなー」
 
 指先から零れる髪はまるで金の糸のようだった。
 
「ママに似たのかな…?将来は叔父さんみたいな美人になるかもな~」
「その叔父さんってのは俺の事か~?」
「違えよ!サービス叔父さんの事だ…よ!!??」
 
 突然の声にシンタローが勢いよく振り返ると、そこには。
「…何であんたがここにいんだよ?」
「ん~?眠り姫を見に来たんだよ」
 
 ハーレムは部屋の壁に上半身を後ろにもたれさせて、腕をくんで立っていた。その口元にはチャシャ猫を思わせる、にやにやとした笑みを浮かべている。
 
「案外、キスの一つでもすりゃ目ぇ覚ますかもな」
「っ!テメー、コタローに変な事しやがったらぶっ殺すからなっ!!」
 
 シンタローは力強く握った拳を震わせる。
 
「する訳ねぇだろ、どっかのブラコンじゃあるまいし」
「あんだと~?」
 
 怒りに任せてシンタローは立ち上がろうとした。
 
 しかしすぐにその考えを打ち消すと、浮かせた腰を落とす。
 
「…いつまでいる気なんだよ」
「お前と飲みにきたんだよ」
 
 思いがけない言葉に、シンタローはハーレムの方へと顔を向ける。
 
「俺はあんたと飲む気なんてねぇよ。早く帰れ」
「あーそー」
 
 そう言うとハーレムはブラウスの胸ポケットから箱を取り出し、一本くわえる。
 
「おいっ!」
「ん~?」
 
 シンタローの制する声を無視して、ハーレムはジッポーで火を燈した。
 
「煙草やめろよっ!コタローの肺が汚れるだろー!!」
「あぁん?」
 
 それでもどこ吹く風という様子で、ハーレムは深く吸って煙をはく。
 
「ーっ、わーったよわーった!行けば良いんだろっ!」
「よーし、んじゃ行くとするかぁ」
 
 と、ハーレムはひょいとシンタローを抱え上げた。
 
「なっ!おろせっ!!」
 
 肩にタオルをかけるかのようにシンタローは持ち上げられて、ただ足をばたつかせるだけの抵抗しかできないでいた。
 
「あぁ~コタロォ~~!」
 
 シンタローののばした手も空しく、目の前で無情にも自動扉は音を立てずにしまった。
 
「…コタロー…」
「ぎゃあぎゃあうっせえなあ。早く行くぞ」
「いーからおろせー!」
「着いたらおろしてやるよ」
 
 それでもシンタローは暴れるのをやめず、ハーレムはそれを気にもとめる事なく歩いてゆく。時間のせいで人っ子一人いない通路にシンタローは少しだけほっとしていた。こんな姿、部下に見せられる訳がない。
 
「ほら、着いたぜ」
 開いた部屋の天井からはまばゆいばかりのシャンデリア、それから床には真紅の絨毯が広げられている。ここは特別な一部の客人にのみ使用される応接室となっていた。
 
 そしてハーレムは乱暴に甥っ子を上質な黒革張りのソファにおろした。
 
「もっとそっとおろせねぇのか」
「ァん?別に良いだろ、早く酒持ってこいよ」
「ったく…アル中が」
 
 さっと身体を起こすと、シンタローは隣にある台所へと向かった。そこには食料や酒類が納められている倉庫への通路がある。
 
 しばらくして後、シンタローは両手で盆を持って戻ってきた。
 
「あんだよ、そりゃ」
 
 ハーレムは苦虫を潰したような顔をして、吸っていた煙草を噛んだ。
 
「見りゃわかんだろ」
 
 ソファの前にある机に、盆は置かれた。その上には白い陶器でできたポットとカップが二組、あとは砂糖壷とミルクが。
 
「茶じゃねぇか」
「誰もあんたと酒飲むなんて言ってねぇだろ」
 
 そう言いながら、シンタローは紅茶をつぐと叔父の前に差し出した。
 
「酒出せよ、酒!」
「オッサンが3億返したら出してやっても良いけどな」
 
 半分ぐらいになった煙草を硝子の灰皿に押し潰すかのようにハーレムは炎を消すと、きまり悪そうな表情を浮かべて砂糖を茶の中にさらさらと落としこんでいった。
 
「…だったら茶請けとしてスコーンくらいあっても良いんじゃねぇかぁ?」
「…確かにそれはそうだな」
 
 そして、シンタローは踵を返すと再び台所へと向かった。
 
「ジャムとかクリームとか忘れないで持ってこいよ」
「わーてるよ」
 
 くるくると針は時計盤をまわり、男二人きりという奇妙な真夜中のお茶会にようやく終焉が訪れようとしていた。
「やっぱりオメーの作るもんは美味いなぁ。兄貴譲りか?」
「サービス叔父さんのおかげだよ」
 
 そのシンタローの言葉にハーレムは眉をしかめた。
 
「もう良いだろ、早く帰れよ」
「ん~、まだ足んねぇなぁ」
「まだなんかあんのか?」
 
 呆れたような顔をするシンタローの前にハーレムは顔を近づけた。
 
「酒のかわりにオメーで酔わせてくれねぇか、シンタロー?」
「はぁ?何言って」
 
 言葉は途中で遮られた。
 
「…っ…!」
 
 その身体を押し退けようとするものの、シンタローの力以上にハーレムの力はそれを上回っていた。
 
「……ふ……っ」
 
 無理矢理入り込んできた舌が口の内を荒らしてゆく。シンタローにとってそれは、甘くそして何処か苦く感じられた。
 
 十分に堪能されてからシンタローは解放された。
 そして潤み始めた眼でハーレムを睨む。
 
「…なにすんだよ」
「何ってキスだろ」
「そーゆうこと言ってんじゃねぇよ!」
 
 顔を真っ赤に染めるとシンタローは俯いてしまった。
 
「なに、もしかして久しぶりだから照れてんのかぁ~?」
「うっせーな、馬鹿」
 
 怒りの所為もあり、シンタローはますます熱く顔を火照らせた。
 
「シンタロー」
 
 耳元で名を呼ばれて、シンタローはぴくりと身体を震わせた。
 
「ぃや…だっ!」
 
 ハーレムから身体を離して、ソファに深く座り直すとシンタローは先程の耳を手首で擦った。
 
「本当にオメーは感じ易いんだな」
 
 野卑な口調で告げられる台詞に、シンタローはそっぽを向いた。
 
「なぁ」
 
 そう言うとハーレムはシンタローの隣に腰かけた。逃れようとするものの腰にまわされた叔父の手によって、動きは妨げられる。
 
「たまってるんだろ?」
「………なっ…」
 
 そのシンタローの表情の変化にハーレムは口元を吊り上げる。
 
「それとも誰かに処理してもらってたのかぁ?」
 
 ハーレムは意地悪く笑っていた。しかしその蒼の瞳は冷たく光をたたえている。
 
「んな訳ねぇだろっ!」
 
 シンタローは余計に怒ってしまい、叔父から距離を置こうとする。
 けれど、逆にハーレムは甥っ子を腕の中に納めた。
 
「離せよっ!」
「いやだ」
 
 そのままソファに押し倒されて、シンタローは身体を堅くした。
 
「やめんかオッサン!俺は明日も仕事があるんだっ!!」
「どーせ欲求不満だったら苛々して仕事なんかできねぇよ」
 
 首筋に沿って唇を落とされると、ハーレムの下でシンタローはくすぐったそうに首を竦めた。
 
「もうやめろ…っ」
「きこえねぇなぁ」
「や…めろっ!」
 
 慣れた手つきで赤い総帥服をハーレムが脱がせていくと、白い胸があらわにされた。
 
「痩せたんじゃねぇか?」
 
 ゆっくりとその肌を指がなぶっていき、シンタローは甘い吐息を漏らした。
 
「っ…さわ…んな…」
「なんだってぇ?」
 
 弱点を余す事なくなぞり、ハーレムはシンタローを玩ぶ。
 
「…やめ…」
「触られるだけなのにもうこんなになってんぞ」
「……っ!」
 
 悲しいまでに身体は正直で、シンタローは羞恥で染まった顔を手で覆った。
 
 しかし、その両手はすぐに外されてハーレムによってベルトで縛り上げられた。
 
「だめじゃねぇか、折角すげぇ良い顔してんのに」
「……うっせえよ、とれよこれ!」
「すんだらな」
 
 碧い目が細められた。どんな風に今の姿が相手に映っているか知りたくなくて、シンタローは堅く瞳を閉じた。
 
 すると、なにかとろりとした冷たいものがシンタローの身体に零れた。
 
「わりぃな、汚しちまって」

 見ると、ハーレムの手には先程のスコーン用にともってきたクリームの容器が空となって握られていた。
 
「ちゃあんときれいにしてやんねぇとなあ」
 
 そう言うや否や、ハーレムはシンタローの肌を濡らした白濁したクリームを舐め始める。
 
「…っう……やめ……っ」
「あー甘いなー」
 
 生暖かい舌が与える愛撫はどうしようもなく、シンタローを追い詰めてゆく。
 
「ーっ!そんなとこ…ついてねぇ…」
 
 両手の自由が奪われた今、シンタローの肢体はハーレムのなすがままだった。
 
「…っ……や……だ…っ」
 
 シンタローは首をふった。
 
 そのとたん突然思いがけない事が起こった。今まで覆いかぶさっていた黄金の髪と重さが離れていったのだった。
 
「……?」
 
 急に放置されてしまったシンタローは、体に残る変に疼く熱に耐える事しか出来なかった。
 
 すると今度は、ハーレムはシンタローを仰向けの格好から俯せへとひっくり返した。
 
「欲しくてしょうがねぇんだろ?」
 
 何を、と問う前にシンタローの口に何かが押し込まれる。
 
「…ふ…っ……ん…」
 
 甘い。
 正体はハーレムの指だった。器を拭ったのかクリームの味が広がる。
 
「…ん…はぁ……」
 
 口の中を指が荒々しく掻き回し、シンタローは軽く噎せた。
 
「噛むんじゃねぇぞ。こっちも可愛がってやるからな」
 
 空いた手が下へと降りた。シンタローは身体をひくつかせる。
 
「ぁ…く……っ!」
 
 直に触れられて嬉しいのか、露が潤みつつあった。そんな自分がシンタローは恨めしかった。
 
「ま、こんなとこにしとくか」
 
 指が去って、同時にもう片手も離れていく。
 
 シンタローは乱れてしまった呼吸を整えようと試みた。しかし。
 
「…痛……っ……!」
 
 異物が内でうごめいた。
 
「ゆび……やめ……ろ…」
 
 シンタローの声は掠れている。
 
「ぅ……っ」
 
 増えた指にシンタローの肢体は揺れた。
 
「ァん?ならさねぇで入れて欲しいのか?」
 
 また一本追加された。シンタローの膝はがくがくと壊れそうに震えている。
 
「や……だ…」
「やじゃねぇだろ、ここが良いんだろ…?」
「ぁ……んっ……」
 
 一層濡れてゆく。
「もっと強烈なヤツ、ぶちこんでやろうか…?」
 
 シンタローは力無く頭を振る。
 
「っあぁ…!!」
 
 黒の瞳から雫が溢れた。
 
「そう簡単にはイかせてやんねぇよ」
 
 先程とは打って変わって、ハーレムは緩慢に指を泳がせる。
 
「腰振れてるぜ」
 
 腰をなでる手にすらシンタローの吐息は熱くなる。
 
 けれど、それは決定的なものではなかった。
 
「挿れて欲しいんだろう?」
 
 シンタローは―――、こくんと小さくだが頷いた。
 
「そーかそーか…」
 
 ハーレムはニヤリと笑う。
 
「素直じゃねぇのも良いけど、素直なお前も可愛くて好きだぜシンタロー」
 
 拗ねたみたいな顔をしてシンタローは横を向いた。
 
「……あんたなんか好きじゃねぇよ」
「クソガキが」
 
 ハーレムは指を抜いた。
 そしてベルトを外してやる。もう暴れないのがわかっていたからだ。
 
「いくぜ」
 
 そのままのバックの姿勢のまま。
 
「あ……つぅ……」
「もっと力抜けよ」
 
 打ち付けられる激しい行為に、シンタローは両手を強く握り締める。
 
 けれど態度自体はさっきよりも、ずっとずっと優しい。
 
「ハー…レム……もぅ……」
「もう少し我慢しろよ…一緒にイってやるから」
 
 二人の身体は発熱したみたいに熱くなっていて溶けてしまいそうだった。
 
「ハ……レ…ム……」
 
 自らを求める声に、ハーレムは動きをより早くした。
 
 室内はソファのスプリングが軋む音と行為自身の音と喘ぐ声で満たされていた。
 
 そして滴はシンタローの頬に跡を残し、流れ落ちた。


「…ったく」
 
 小さく舌打ちすると、ハーレムは己の腕の中で眠っているシンタローを見る。
 
「終わってすぐ寝やがって」
 
 安らかに眠るシンタローの瞼の下には隈があった。
 
 そのまま、ハーレムはシンタローの長い黒髪をすいてゆく。自分のとちがってもっと滑らかなそれの感触を楽しみながら。
 
「シーンーちゃーん!」
 
 突然音を立てて扉が開き、驚いてハーレムはそちらを見やった。
 
「あ、兄貴………」
「ハーレム!私のシンちゃんを見なかった……か…」
 
 言葉は途切れた。
 
 マジックは視界に飛び込んで来たもの―上半身裸の弟と彼に抱き抱えられて眠っている息子の目もあてられない姿にわなわなと体を震わせる。その手は青く光っていた。
 
 
 
 翌日、ハーレムを含む特戦部隊はガンマ団から離脱させられた。(元総帥権限で)
         終
 














hs
 リビングにて見事に襲われている甥と問題児の叔父との間で押し問答が繰り返されてかなりの時間が経つ。そろそろ誰かが気付いてもよさそうなくらい時は流れているのだが、運が良いのか悪いのか、誰もこの近くを通らないようであった。
 シンタローがどれだけ暴れようともハーレムはビクともしない。どうやらこの叔父と甥とではその辺りの年季が色々と違うようである。特に遊んできた年数が、だ。
「オラ、いい加減ちったぁー大人しくしろよ。借金分、体で返してやっからよ」
「か…体ッ?!いらねェーーーッ!!」
「お?何だチャラでいいのか?悪いねぇ、シンタロー」
「違ェーーーッ!!」
 当たり前だがシンタローは暴れる。襲われつつも酷く抵抗して暴れるものだから、相乗効果で着衣の乱れが酷くなっていた。上半身は辛うじて腕に洋服が引っかかっている程度で裸に近く、ズボンのベルトは当の昔に引き抜かれていて今にも脱がされそうな状態にある。
「オッサン!!退けッ!!いい加減諦めろ!!借金は金で返せッ!!」
「ンだよ…高ェんだぞ俺は。それに諦めんのは無理な相談だろォ?オメェ凄い格好してんぞ」
 胸元をとんとんとつつきながらニヤニヤしたハーレムに上から覗かれて、シンタローは乱れに乱れた自分の状態に初めて気付いた。そして又無謀にも暴れ出したのだが、ハーレムは甥の攻撃を巧みに交わして獲物を自分の下から逃がさないようにしている。
 シンタローは自分を組み敷く叔父を眼魔砲で吹き飛ばそうとしたのだが、ハーレムは光が集束する前にその腕を掴むと床に押し付けた。攻撃が失敗に終わるとシンタローが罵声と共に鋭い視線で睨み付けるがハーレムはニヤニヤしたままだ。そして何を思い立ったのかシンタローの耳元に唇を寄せると「そんなに暴れると本気になんだろーが」と、わざと低い声で囁いた。そのまま耳朶を甘く噛み、唇を首筋へ移動させゆっくりと口付けながら下へ降りていく。服など着ていないも同然の上半身を片方の手でまさぐりながら更に舌を這わせると、シンタローの体が震えた。
「や…ヤメロって…ッ」
 甥の訴えなど聞く耳持たず、この上なく楽しそうなとんでもない叔父の餌食になるまで後少しとなってしまった現状を、どうすれば打破出来るのかと考えたシンタローだが、自分に乗り上がったハーレムの動きが思考回路の正常動作の邪魔をする。
 体の上をハーレムの指が滑るようになぞっていき、思わず吐息を洩らしてしまったシンタローは怒鳴り声を上げるよりも唇を噛み締めた。その反応に満足したハーレムは慣れた手つきでズボンに手をかける。それに慌てて叔父をはね除けようとしたシンタローだが、やはりビクともせず「まぁ任せとけって」とご機嫌状態のハーレムを涙目で睨み付けた───が、効果はない。
「やだ…ハーレム…ッ…止め……ヤ…ッ……ンっ…ぅ………キンタローーーッ」
 今までシンタローの訴えに一切耳を貸さなかったハーレムだが、これには動きが止まった。
 当の本人もまさかキンタローの名前を叫んでしまうとは思わなかったので見事に固まる。
「………お前さぁ、コノ状況でその名前を叫んじまったら萎えンだろーが」
 それでもシンタローの上から退く気はないらしいハーレムなのだが、げんなりした様子で見下ろしてきた。だがそれも一瞬で直ぐにまたニヤリと笑うと「でもまぁ、愛しちゃってるってわけだよなぁ…アイツをよ」と止めを刺した。
 出来ればそこは流してくれと思ったシンタローだが、助けを求めて半身の名前を叫んでしまったことがこの上なく恥ずかしくて、暫く口をきくことが出来なかった。

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