今、シンタローはガンマ団にある資料室で次にお仕置きをする国について調べていた。一段落ついたところに資料室のドアが開く音がした。シンタローが振り返って見るとそこにはつい最近、両思いになったハーレムが立っていた。
「何か用かよ。」
シンタローは緊張していたがそのことをハーレムにバレないように必死だった。両思いだとは言え緊張する。いや、こんな仲になる前なら緊張などはしなかっただろう。両思いになったからこそ、緊張してしまうのだ。
「ん``~今ヒマか?」
「暇といえば暇だけど?」
「散歩にでも行かないかなぁ~と思って。」
「散歩かーあんたが行きたいって言うなら行ってやってもいいけど~」
シンタローは精一杯、自分らしい言葉をハーレムに向けた。だが内心は言葉では表せないくらい嬉しくて仕方がなかった。口元が緩みそうになるのを抑えながらハーレムの後をついて行った。
「しかし、急にどうしたんだ?あんたから誘ってくるなんて珍しいじゃん。」
シンタローが不思議そうな顔で見てくる。
「ちょっとな。まぁいいからついてこいや。」
「どこ行く気だよ」
「秘密。見てからのお楽しみってやつだ。」
そう言ってハーレムはどこに行くのかを教えてくれない。
「乗れ」
「散歩って・・・車使うのかよ」
「まぁな。俺が運転してやるからありがたく思え」
「なんかコェーな。マジでどうした?」
「んだよ、行かねーのか」
ハーレムがムッとしている。実際、俺は誘われて嬉しいから、断るわけがない。
「悪かったよ、行くって」
普段自分から謝ることのないシンタローにとって、すぐに謝ったのは奇跡に近い。
車に乗って、走っている間はグンマのどうしようもない発明のことや、マジックの無駄なファンイベントなどの愚痴を言ったりと、楽しい時間が過ぎていった。しばらく車で走って(と、言っても20分くらい?)途中、林のようなところで止まった。
「ここか?」
こんな所に何かがあるとは思えないが一応聞いてみる。
「ここから少し歩くが、まぁ、いい運動になるだろ」
そう言って、ハーレムはスタスタと林の中へ入っていく。
「ちょ、待てよ、ったく」
仕方ないのでシンタローはハーレムのあとをついていく。
「お~い、まだ着かないのかぁ?つうか、どこに連れて行きたいわけ?」
ここは林の中だ。道が舗装されているわけがない。そんな獣道のような所をひたすら歩かされていた。
「もうちょっとだから我慢しろ」
何故かハーレムは笑いをこらえている。
「何笑ってんだよ」
「いやぁ?別に?」
「別に?っじゃねぇ!なんだよ、一人で笑ってんじゃねぇ!」
元々、俺様な性格のシンタローがわけの分からないことで笑われて黙ってるはずがない。
「う~ん、どおすっかなぁ~」
ハーレムはすごく楽しそうだ。まるでライオンの子供が狩りの練習に与えられたウサギとじゃれている時のような顔をしていた。
「んだよ、さっさと言えって」
ハーレムは少し考えてから実にハーレムらしいことを言った。
「キスしてくれたらいいぜ?」
「なっ、バカか!もういい!」
シンタローは恥ずかしさを隠すために怒るしかなかった。いつもそうだ。本当はキスくらいしてやってもいいと思っている。むしろこっちが頼みたいくらいだ。だけど、そういうことを言ったりしたりするのは恥ずかしい。だから怒る。その繰り返し。これはもう自分では治すことは不可能だろう。
赤くなって怒っているシンタローを見て、ハーレムは楽しんでいる。そのことに、シンタローは気づいているのだろうか。くくっ・・と、またハーレムが笑って、両手を挙げて『降参』のポーズでシンタローに謝った。
「わかったから、怒るなって。ちょっと思い出したんだよ」
「何をだよ?」
「おめぇーが小さい時に一度だけ、兄貴に頼まれてお前をお守りしたことがあるんだよ」
「お守りだと?」
「覚えてないか?まだ3つくらいだったもんな」
お守り・・・そんなこと・・
「あっ」
あったかもしれない。親父とお袋が2人でなんか偉いやつのパーティに出るとかなんかで留守番させられた記憶がある。
「思い出したか?」
「あぁ、薄っすらと。だからなんだって言うんだ」
「あの時お前、俺の後くっついて来て離れなかったんだぜ」
「はぁ!?俺が?冗談だろ?」
「うそついてどうするよ。そんで今おまえが後ろついて歩いているのを見て思い出したわけ」
認めたくはないが、どうやら本当のことらしい。
「あっそう。俺の記憶にはないな。あんたのことで覚えてるっていったら、4歳の誕生日にプレゼントの変わりに強烈な右ストレートと、変なリーゼントのパンチを貰ったことぐらいだよ」
シンタローは嫌み混じりで昔のことを語った。
「あれは、お前を男にしてやったんだろうが」
「4歳児にカツアゲなんてさせてんじゃねぇーよ」
「・・・・・・」
流石のハーレムも返す言葉がみつからないらしい。こういう時、何だか嬉しくなるのが人間だ。シンタローは勝ち誇った顔をハーレムに向けた。そんなことを話しているうちに、先に光が見えてきた。走って抜けると、光が目をさして痛い。二人とも手を目の上に翳している。そして、目の前に広がっているのは大量の向日葵。
「ひ・・まわり?」
そう。あたり一面自分たちとたいして変わらない背の向日葵がサンサンと日を浴びて自分たちを迎えてくれている。
「これが見せたかったのか?」
照れくさいのかハーレムはナナメ上を見ながら、ほほを人差し指でかいている。
「なんていうか・・・向日葵って元気でそうじゃん?」
この男からこんな言葉が出てくるとは予想外だ。いや、花を見せてくれた時点で卒倒ものだ。
「ね、熱でもあんのか?」
そうだとしか思えない。だって、この男が花だぜ?酒と馬が好きなこの男が。
「熱なんかねぇよ!あーやっぱやめときゃよかった」
ハーレムの顔は真っ赤だ。
「ばーか、照れんなってーサンキュウなっ!」
シンタローは最上級の笑顔を見せた。
それを見てハーレムも小さく笑う。心の中に安堵の色が広がる。
「お前はいつもそーやって馬鹿みてぇーに笑ってろ」
そう言ってシンタローの頭を撫でる。
「なぁ・・・」
「ん?」
ぐっと、シンタローはハーレムの襟を引き寄せる。
「?!」
沈黙
シンタローはハーレムにキスをした。
「な、なんだ?」
「御礼・・・みたいなもん」
シンタローは相当恥ずかしいらしく下を向いてしまった。
ハーレムがまたシンタローの頭を撫でて、顔を上げさせて優しくキスをする。
「どういたしまして」
ハーレムはシンタローの手を取ってもと車のあるほうへ歩いていく。このとき、いつもなら離せとわめくシンタローが静かについてきたのがハーレムは妙に嬉しかった。
act.2 向日葵
やっと書きました~待っていた人も、待っていない人も最後まで読んでいただきありがとうございます!果たして最後まで読んでる人はいるのだろうか・・・・なんかまだまだ続くみたいですよ、この話。そろそろこの2人も次に行きそうですな~そういうわけなので次もよろしくお願いします!!
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「何か用かよ。」
シンタローは緊張していたがそのことをハーレムにバレないように必死だった。両思いだとは言え緊張する。いや、こんな仲になる前なら緊張などはしなかっただろう。両思いになったからこそ、緊張してしまうのだ。
「ん``~今ヒマか?」
「暇といえば暇だけど?」
「散歩にでも行かないかなぁ~と思って。」
「散歩かーあんたが行きたいって言うなら行ってやってもいいけど~」
シンタローは精一杯、自分らしい言葉をハーレムに向けた。だが内心は言葉では表せないくらい嬉しくて仕方がなかった。口元が緩みそうになるのを抑えながらハーレムの後をついて行った。
「しかし、急にどうしたんだ?あんたから誘ってくるなんて珍しいじゃん。」
シンタローが不思議そうな顔で見てくる。
「ちょっとな。まぁいいからついてこいや。」
「どこ行く気だよ」
「秘密。見てからのお楽しみってやつだ。」
そう言ってハーレムはどこに行くのかを教えてくれない。
「乗れ」
「散歩って・・・車使うのかよ」
「まぁな。俺が運転してやるからありがたく思え」
「なんかコェーな。マジでどうした?」
「んだよ、行かねーのか」
ハーレムがムッとしている。実際、俺は誘われて嬉しいから、断るわけがない。
「悪かったよ、行くって」
普段自分から謝ることのないシンタローにとって、すぐに謝ったのは奇跡に近い。
車に乗って、走っている間はグンマのどうしようもない発明のことや、マジックの無駄なファンイベントなどの愚痴を言ったりと、楽しい時間が過ぎていった。しばらく車で走って(と、言っても20分くらい?)途中、林のようなところで止まった。
「ここか?」
こんな所に何かがあるとは思えないが一応聞いてみる。
「ここから少し歩くが、まぁ、いい運動になるだろ」
そう言って、ハーレムはスタスタと林の中へ入っていく。
「ちょ、待てよ、ったく」
仕方ないのでシンタローはハーレムのあとをついていく。
「お~い、まだ着かないのかぁ?つうか、どこに連れて行きたいわけ?」
ここは林の中だ。道が舗装されているわけがない。そんな獣道のような所をひたすら歩かされていた。
「もうちょっとだから我慢しろ」
何故かハーレムは笑いをこらえている。
「何笑ってんだよ」
「いやぁ?別に?」
「別に?っじゃねぇ!なんだよ、一人で笑ってんじゃねぇ!」
元々、俺様な性格のシンタローがわけの分からないことで笑われて黙ってるはずがない。
「う~ん、どおすっかなぁ~」
ハーレムはすごく楽しそうだ。まるでライオンの子供が狩りの練習に与えられたウサギとじゃれている時のような顔をしていた。
「んだよ、さっさと言えって」
ハーレムは少し考えてから実にハーレムらしいことを言った。
「キスしてくれたらいいぜ?」
「なっ、バカか!もういい!」
シンタローは恥ずかしさを隠すために怒るしかなかった。いつもそうだ。本当はキスくらいしてやってもいいと思っている。むしろこっちが頼みたいくらいだ。だけど、そういうことを言ったりしたりするのは恥ずかしい。だから怒る。その繰り返し。これはもう自分では治すことは不可能だろう。
赤くなって怒っているシンタローを見て、ハーレムは楽しんでいる。そのことに、シンタローは気づいているのだろうか。くくっ・・と、またハーレムが笑って、両手を挙げて『降参』のポーズでシンタローに謝った。
「わかったから、怒るなって。ちょっと思い出したんだよ」
「何をだよ?」
「おめぇーが小さい時に一度だけ、兄貴に頼まれてお前をお守りしたことがあるんだよ」
「お守りだと?」
「覚えてないか?まだ3つくらいだったもんな」
お守り・・・そんなこと・・
「あっ」
あったかもしれない。親父とお袋が2人でなんか偉いやつのパーティに出るとかなんかで留守番させられた記憶がある。
「思い出したか?」
「あぁ、薄っすらと。だからなんだって言うんだ」
「あの時お前、俺の後くっついて来て離れなかったんだぜ」
「はぁ!?俺が?冗談だろ?」
「うそついてどうするよ。そんで今おまえが後ろついて歩いているのを見て思い出したわけ」
認めたくはないが、どうやら本当のことらしい。
「あっそう。俺の記憶にはないな。あんたのことで覚えてるっていったら、4歳の誕生日にプレゼントの変わりに強烈な右ストレートと、変なリーゼントのパンチを貰ったことぐらいだよ」
シンタローは嫌み混じりで昔のことを語った。
「あれは、お前を男にしてやったんだろうが」
「4歳児にカツアゲなんてさせてんじゃねぇーよ」
「・・・・・・」
流石のハーレムも返す言葉がみつからないらしい。こういう時、何だか嬉しくなるのが人間だ。シンタローは勝ち誇った顔をハーレムに向けた。そんなことを話しているうちに、先に光が見えてきた。走って抜けると、光が目をさして痛い。二人とも手を目の上に翳している。そして、目の前に広がっているのは大量の向日葵。
「ひ・・まわり?」
そう。あたり一面自分たちとたいして変わらない背の向日葵がサンサンと日を浴びて自分たちを迎えてくれている。
「これが見せたかったのか?」
照れくさいのかハーレムはナナメ上を見ながら、ほほを人差し指でかいている。
「なんていうか・・・向日葵って元気でそうじゃん?」
この男からこんな言葉が出てくるとは予想外だ。いや、花を見せてくれた時点で卒倒ものだ。
「ね、熱でもあんのか?」
そうだとしか思えない。だって、この男が花だぜ?酒と馬が好きなこの男が。
「熱なんかねぇよ!あーやっぱやめときゃよかった」
ハーレムの顔は真っ赤だ。
「ばーか、照れんなってーサンキュウなっ!」
シンタローは最上級の笑顔を見せた。
それを見てハーレムも小さく笑う。心の中に安堵の色が広がる。
「お前はいつもそーやって馬鹿みてぇーに笑ってろ」
そう言ってシンタローの頭を撫でる。
「なぁ・・・」
「ん?」
ぐっと、シンタローはハーレムの襟を引き寄せる。
「?!」
沈黙
シンタローはハーレムにキスをした。
「な、なんだ?」
「御礼・・・みたいなもん」
シンタローは相当恥ずかしいらしく下を向いてしまった。
ハーレムがまたシンタローの頭を撫でて、顔を上げさせて優しくキスをする。
「どういたしまして」
ハーレムはシンタローの手を取ってもと車のあるほうへ歩いていく。このとき、いつもなら離せとわめくシンタローが静かについてきたのがハーレムは妙に嬉しかった。
act.2 向日葵
やっと書きました~待っていた人も、待っていない人も最後まで読んでいただきありがとうございます!果たして最後まで読んでる人はいるのだろうか・・・・なんかまだまだ続くみたいですよ、この話。そろそろこの2人も次に行きそうですな~そういうわけなので次もよろしくお願いします!!
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