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人形奇譚









「……これは、困ったねぇ」


あまり困ってなさそうにそう呟くのは、プランツドール店の店主であるマジックだ。
視線の先には、常連客であるシンタロー、に連れられた「友達」の姿。
とうに成人したシンタローと、まだ少年である彼の関係は不可思議であるが「友人」という言葉が一番似合っている。
共に暮らしているというが、それ以上のことをマジックは知らない。
それはシンタローと共に少年がこの店に来たのが初めてであることと、マジックが人に踏み込むことが決してないからだ。
それは職業柄と言うこともあるし、彼の元来の性格からそうなのだろう。
人の感情をいう物を、鋭く感じ取れるシンタローは何度も店に訪れる内にそれだけはわかっていた。
特異体質とも言えるほどに、感情を読むことが得意なシンタローはマジックのそれだけは上手く掴めない。


穏やかな笑みを浮かべているが、時に冷たい光を目に宿す。
おどけた表情を見せる割に、プランツに向ける顔は時に辛そうで。


本心を見せない男だと、それだけは知っている。






「……なんか、悪かったか?」
「悪くないけど悪いねぇ…。シンタローの友人…パプワくんと言ったかい?」


シンタローは、けれどマジックのことを決して嫌いではない。
むしろ好いていると言っていいだろう。
彼の入れるお茶は美味しく、優しい低音は聞いていて心地よい。

何度も訪れる内に、自分に対する態度は大分巫山戯た物になっているがそれもまた、なんだか嬉しい。
本人に告げるには癪であるが、どしゃぶりの雨の中、この店に迷い込んだシンタローに何も言わず温かな紅茶とタオルを出してくれた。
甘いミルクと砂糖菓子の匂い。
時折プランツに語りかけるマジックの声。

何も聞かない、優しい空間にシンタローは確かに癒された。
本心を見せない輩に、伝えるには悔しい事実であるけれど。



「パプワがどうかしたか?」
「シンタローは面白いほどプランツに見向かれないんだけど、パプワくんはその真逆にいるんだよ」
「……うるせぇな、ほっとけ。で、パプワが俺の真逆ってなんだよ?」
「稀にいるんだけどね。どのプランツも無条件に目覚めて、懐いてしまう波長の持ち主」


やれやれと、やはり言葉ほど困っていないようにマジックはパプワを見つめている。
いや、正確にはパプワともう一人を、見つめている。


「……それが、この状況の説明か?」
「そう。気むずかしい、我が儘な子なんだけど……見事に懐いたねぇこれは」




シンタローも困惑気味に、隣をみやる。
しげしげと見つめられることをパプワは何とも思っていないのか、己にべったりくっついて離れないプランツの頭を静かに撫でている。
明るい金色の髪に、空色の瞳。
白くまろやかな頬は薔薇色に染まっている。




「なぁ、こいつの名前は?」
「ん、コタロー、って言うんだけど」
「え、もしかして男なのか?このプランツ」
「可愛いだろう?プランツに性別はあんまり関係ないけど、ま、確かにいわゆる男の子だね」



周りの空気にハートが飛んでいそうな程、パプワに親愛を示すプランツ。
自分よりも小さな少年にくっついたまま、にこにことしている。
マジックの言うとおり、店に入った当初は無表情にミルクを飲んでいただけのプランツだったのだがパプワが近づいた途端その顔は一転した。
華やかな笑顔で、パプワに懐いて今の状態に落ち着いている。
シンタローは口元を引くつかせながら、マジックにさらに問う。



「……このプランツも、選ぶプランツ?」
「勿論。気むずかし屋の我が儘な子だから、選ぶも選ぶ。可愛いけど、本当手の焼く子だよ。そこがまた、可愛いんだけど」
「僕が近づいたから、こうなのか?」



パプワが長身のマジックを見上げながら問う。
あまり表情豊かとは言えない少年だが、マジックとシンタローの会話からあまりよくないことなのかと不安になっているようだ。
マジックはそんなパプワの言葉ににこりと笑って、膝を折って目線を合わせる。




「ここまで懐ける相手に巡り会うっていうことは、プランツには幸せなことだよ。ただ…、君とさよならするのも辛くなるから困ったって言ってるだけ」
「他のプランツも、こうなるのか?」
「君に関して言えばそうだね」
「試してみても良いか?」
「それは流石に勘弁してほしいから、お願いそっちには行かないで」





マジックの言葉に、表情を取り戻した(と、いってもシンタローにしかわからないが)パプワは少し楽しそうに奥へといこうとするがマジックがその手をしっかと握って止める。
浮かべる苦笑はどうやら本当のようで、足をどうにか止めてくれたパプワに椅子を勧めながらコタローの食事を再開させた。
少し嫌がる様子を見せたコタローだったが、パプワに同じくミルクを出せば素直に応じる。
少年二人が静かに、けれど楽しそうにミルクと菓子を口に運ぶのを見やりながらさて、とマジックはシンタローに向かい直る。





「で、どうするんだい?」
「……どうするって?」
「此処まで懐いたプランツを元の通りにメンテするのは私としても結構骨の折れる作業でね。だからといってメンテしなければお別れも出来ないだろうし」
「……だから?」
「引き取るのか取らないのか?一緒に住んでいるって言うなら、シンタローにも聞かないと。シンタローは、プランツ苦手みたいだし」



シンタローにもお茶を出しながらマジックはしれりと言葉を口にする。
もっともなようで、あまりそうでない言葉にシンタローは首を傾げた。




「別に俺に聞かないでも…。家主はパプワって言ったろ」
「確かにそうなんだけど、苦手意識のある人が傍にいるとプランツには良くないからねぇ」
「俺がプランツ苦手なんじゃなくて、プランツが俺を苦手なんだろ」
「……そうでもないと、思うけど」




マジックが少し困ったような笑みを浮かべて、そっと息を吐いた。
シンタローはそれに気づいて、眉を寄せる。



ああ、嫌いな笑みだ。
そんな笑い方を、見たいのではない。




そう考える自分に、シンタローは内心でチッと舌打ちした。
なら何を見たいと望むのか。
この、他人を寄せ付けない男に。







「……俺は、あの子、好きだ」

視線を合わせていることも出来ず、シンタローはパプワを見やった。
口から思わず零れた言葉に、シンタロー自身も驚く。

マジックも意外だったのか、珍しく目を見開いていた。


あ、楽しい。
素直に思ったシンタローは、マジックのそんな表情にあの子を見つけた。



あの子…コタローを一目見て可愛いと思った。
華奢で、一見冷たそうに見えるが笑うと屈託のない幼い感じ。
どこか危うげに見えるコタローを、守ってやりたいと感じた。



そして今。
パプワと笑うコタローを見て、わかった。





コタローはマジックと似ている。






コタローのふとした表情に、マジックを見つけて胸に込み上げる思いがあった。
大事にしたい、と無条件に感じた。


決してコタローとマジックを同じに見てるからではない。
ただ自己満足には変わりないのかもしれないと思いながらも、シンタローはマジックに向き直った。





「コタローは気むずかしいって言ったよな。なんかあっただろ」
「……むかぁしにね。教えられないけど」
「別に良い。けどパプワといるとあんなに楽しそうなんだから、俺はコタローと暮らしたい。俺もコタローにあんな顔させてやりたい。何よりパプワも、すごく楽しそうで……」


二人を見つめるあんたの視線が、愛おしい。








「……あの子を、連れてってくれるのかい?」
「パプワはものっそい資産家だぞ。買うって言うのはあれだけど、貰っていける」
「そんなのはいい」


マジックの言葉遣いに、微妙な変化があった。
いつでも余裕しか見せない彼に、人間くさいところが妙に感じられない彼に、僅かな必死さを感じた。





「あの子を愛してくれるなら、それで構わない」








その一言で。
シンタローとパプワの暮らす家に、またひとり住人が増えることが決まった。

話はサクサクと進んでいき、あっという間にコタローに必要な物がまとめられていった。
パプワとコタローは手を繋いで。
シンタローは抱える荷物の量に、軽い目眩を感じている。



「それではありがとうございました、お客様」
「……あんた結局金奪いまくりやがって」
「人聞きの悪い。コタローにはいらないけど、コタローの服やシーツやミルクやお菓子にいらないなんて、言ってないよ。それにお金払ったのはパプワくんじゃないか」



しれっと言い放ってパプワに綺麗な礼をする男を殴りつけてやりたい。
少し前に見せた様子など微塵もなく、そこには見事な「プランツドール店の主」がいた。
にこにこしながらコタローのことを説明するマジックを、パプワも真剣に話を聞いている。
なんだか自分だけ蚊帳の外のような疎外感を味わいながらシンタローはぼんやりとその様子を見ている。
パプワと強く手を握っているコタロー。
マジックは膝を付きながら、パプワの手をとって丁寧に説明を続けている。


シンタローにもその声は届いていて、きっとマジックも承知しているのだろう。
あくまでパプワに説明する姿勢なのが多少腹が立つが、確かにコタローが選んだのはパプワなのだから仕方ない。


パプワにはシンタローも沢山救って貰った。
そんな彼に、シンタローも何かできればいい。

いつも知らずの内に守っていて貰って、きっとコタローのこともパプワは守るだろう。


そしてコタローも、パプワのことを守ってやれる。




そんな二人を守る事が出来れば。
気の安らぐ時間を、重ねていって貰えれば。

そう、思うのだ。






ぼんやりとシンタローが自分の思考に囚われていれば、いつの間にか話は終わっていた。
一緒にいて上げてね、と締めくくるマジックにパプワは力強く頷く。
パプワのその様子に満足そうな笑みを向けるマジックは、客人達のためにドアを開けた。
こんな風に送り出されるのは初めてで、シンタローはオマケだとしてもこそばゆい物を感じる。
荷物を背負って、先に出る。



シンタローに続いて店から出ようとしたパプワが、通り過ぎるところでマジックを見上げた。
マジックが何かと問うより先に、パプワが口を開く。




「いいのか?」





そっと左手の人差し指を唇に立てて、マジックは口端を上げた。
完璧なその笑みに、パプワはそれ以上何をいうでもなくシンタローを追いかける。
コタローが振り返った。


その瞳に浮かぶ心配の色に、マジックはやはり笑顔で手を振った。












パプワとシンタローの住む家に一人家族が増えた、日のことだった。












-------------------------------------------------------------


最初はコメディチックにほのぼの、の予定だったんですが妙に薄暗い。
プランツdeパプワをお届けします。

こんな設定で気まぐれに書いていくのです。
楽しいです。
ローゼンも捨てがたかったんですが、やはり元祖のプランツパロが好きです。
ローゼン大好きー。

隠し設定を晒すところまで頑張りたいけど、いつ力尽きるだろうか…(笑)(←笑えない)
あ、パプワくんの家にはチャッピーもいます。もちろんで。
作中に入れられなかったのが心残り。


07/04/08


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愛の日










以外にもバレンタインに、元総帥がシンタローにチョコを強請ることはない。








「だって私イギリス生まれのイギリス育ちだよ?好きな人にチョコを送るって言うのは、日本だけの風習だからねぇ」

疑問に思った直属の部下達がこれまた直球で聞けば、穏やかに笑って返された。
確かにそうだったと納得しかかるものの、それでは彼に行動に説明が付かない。





「じゃあ総帥、なんでチョコレートケーキなんてつくっとりますのん」
「私は妻が日本人だからね。彼女はそういうイベント事好きだったし、大切な人に贈り物するのはこっちでも同じだし」

私もいつの間にか、チョコ関連するようになってたなぁ。





にこにこ笑いながら泡立て器をカシャカシャ言わしている。
ほわほわとふんわりオーラを出している元総帥は、本当に元総帥とは思えないほど気が抜けていた。






「……なんやマジック様落ち着いたべなぁ」
「そうっちゃね。元々シンタローにだけは甘い方だったけど……」




機嫌がいい、それだけでは説明の付かない元総帥。
エプロン付けてキッチンに立って。
うきうきと料理をする様は手際もよろしく見事なものだ。

まぁそれは以前から見慣れたものであったけど。








「君達暇なの?」
「暇というかこれが仕事というか……」
「シンちゃんに頼まれたの?」






じーっとキッチンを見つめる八つの瞳。
それに臆することはないが、なんで此処にいるかという疑問はある。
当然の質問に、彼らは顔を見合わせた。






「そうじゃけぇ、ワシたちの存在は気にせんといてください」
「信用無いなぁ…まぁ別に良いけど。あ、そうだ半分に別れて高松のとこ行ってくれるかな」


三人の逡巡も知らず、あっさりとコージが口を開く。
けれど元総帥は気にした様子もなく、軽く肩を竦めるとすいっとヘラをコージ達に向ける。
ざくっと縦に切って、ドアへヘラを流す様子はコージ達に拒否権がないことを示していた。



「なんでまた…?」
「多分キンちゃんは高松の言うこと聞いちゃってチョコ上げるんだろうけど、やっぱり高松も用意してるだろうし。可愛い息子と甥の身は心配なんだよね……変なモノ混ぜそうだから見張っててよ。手間は一緒でしょ?」
私見張ってるのも高松見張ってるのも。


クリームを混ぜながら、リキュールの瓶を傾ける。
思わず四人が凝視すれば、元総帥はそのまま瓶を放り投げて来た。
トットリが慌ててキャッチすれば、こちらに視線も向けずに口を開く。




「ただのコアントロー。飲んでみれば?変な味しないし」
「………すいません」



思わず謝ってしまうが、元総帥は特に機嫌を損ねたワケじゃないらしい。
鼻唄交じりに泡立て器にまた持ちかえて、軽い手首のスナップを披露する。


かっしゃかっしゃと小気味いい音をしばらく聞きながら。
四人は再度顔を見合わせて頷いた。



「じゃあ総帥、ワシ等ドクターんところ行ってきますわ」
「あれ。全員で行くの?」


コージが改めて声をかければ、元総帥はようやくこちらに顔を向ける。
四人揃ってドアを潜ろうとするのに問うてきた。
それにひらひらと手を振るコージはへらっと笑う。



「シンタロー怒らしても平気ですけど、総帥怒らしたら無事でいられる自信ありませんわ」



言い逃げるように扉を閉めた部下達。
元総帥はぽかんとそれを見送って、次には笑いを零していた。







「別に怒りなんかしないのに」

確かにいっつも下心がないかと言われれば云とは言えないが。
シンタローが心配するのも仕方ないと思っているが。



この日に、不純物を混ぜようとは思わない。







「ちいさいシンちゃんが、一生懸命くれたの嬉しかったしねぇ……」





見返りもないのによくやるなと。
あの四人が来る前に来ていた弟。

彼らしい言葉に、そのときは何も返さなかったけど。




「こんなにのんびり、上げた事なんてなかったし」


愛してるよと伝えられる日。
勿論それは息子にだけでなく。
今日という日に生まれた双子にも、向けているものなのだけど。





「愛って言うのはね、見返りはいらないんだよ」




そう言うマジックの呟きは。
オーブンで膨らむケーキだけに、向けられていた。











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少々遅くなりまして、バレンタインモノです。
トップ画変えているときにばーっと思いついたのでそのまま書いてみたのですがまとまりわろし…。
折角書いたんでアップしてみましたが、その内下げるかも知れません。(ならアップするなって感じなんですがね!(苦笑)
最初と最後の言葉が書きたかったんですが描きだしているうちに朧気に。(駄目駄目じゃん)

最近総帥とシンちゃんとキンちゃんが好きすぎてやばいですよ…!
すっかり父親な総帥しか書いてない気がします…。


06/02/19




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「お前を殺す」
だなんて、そんな。



全身で。
痛いほどに叫ばなくとも。









愛を乞う人










ああ髪を切ったんだなぁとか、思った。




俺と同じ長さだったのに、ちょっと残念だ。
まぁ見た目は似ていないって誰もが言うかも知れないけど。



淡く長い金の糸。
薄い目の色は、光を見る度痛そうで。
メラニン色素が薄い肌は抜けるように白かった。


俺の持つ髪は漆黒。
とりあえず普段は、黒曜石と言われるような瞳で。
日に焼けた肌は健康的に黒い。



まるで、正反対の色を持った俺達。



印象がまるで違うから、似ていないと思うのは当たり前かも知れないけど。





ああでもあの男は言ってたっけな。
まるで、色違いの双子だねと。




あの体にいたんだし。
流石にまったく親に似てやしない子どもは、怪しいだろうし。
俺とこいつの顔は、実は同じなんだけど。



受ける印象と、表情の違いからあまりそうは思われていない。





それでも、彼本人には分かることだろう。







「自分で切ったのか?」
「……………」


答えはない。
もし、彼が自分で切ることを決めたのならば問題はない。



自己同一性からの、第一歩。
ずっと俺の中で育ってきた彼の、自我確立の第一歩だ。



それが、彼自身の意志だとすればだが。






「これ、切ったの高松だろ」





自分で問うて置いてなんだが、彼自身が切ったのではないことぐらい分かる。
まだまだ何も知らない彼が、自分から髪を切るなんて自由意志は持たない。
他に色々知るべき事は多い。
自分の容姿など、頓着するはずがなかった。



それに。
なによりも。






「ルーザーおじさん、そっくり」






それでも何も答えない彼。
痛いほどに伝わってくるのは敵意。


島から帰る時点では、お互い戸惑ってはいたがあからさまな殺気はなりを潜めていた。
それが何故今更。
また、彼が自分に敵意を向けるのか。



その答えは。







「お前を殺す」







彼自身なのか、その姿の人なのか。
けれど彼自身の本音もその言葉に含まれている。



お前を殺すだなんて、そんな。






思わず口端があがってしまう。


どうやって伝えてあげようか?
痛いほどに、愛を叫んでいるこの幼子に。







とりあえずは。






「『シンタロー』自身を、全部返して貰わないとな?」










その言葉にようやく彼が。
表情を、変えるのだった。



















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ちょっと分かりにくい感じででこんにちは。
脳内GF祭り中です。
けど読んでません!ええと、読んだ身内から内容をことこまかに聞き作り上げてみました…。
いや読む予定なんですがもう聞いただけでうっかり妄想です。

まずキンちゃんの髪の毛を切ったのが高松。
お前かよ!
おいおいお前等本当に同じ顔ってのが好きだねぇ…。
ルー兄そっくりなキンちゃんですが、そうしたのは高松ですか、そうですか。
また色々と愉しい…。(またなんか痛いこと考えてますよ)

で、鏡をみているキンちゃんとか。
おまえを殺すの台詞とか。
そんなのをまとめて上の散文を(日本語変ですよ)作ってしまいましたよ。
ルー兄が関わっていると思うのは…早計かと思いつつさっさと真相が分からないうちに書き逃げです。

シンちゃんとキンちゃんは同じ顔、シンちゃんとジャンは同じ顔、けどジャンとキンちゃんは違う顔です。(三段論法を無視)
とりあえずうちのシンちゃんとキンちゃんは双子ですから!(顔が同じという設定は今回が初めてですが。これまでも似てはいる)

シンちゃんとキンちゃんの基本スタンスを、これからの番外編読みつつ書いていきたいと思いつつ。かける日は来るのか。
(PAPUWAではなく、南国から空白の四年間での)

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以上、9月のGF突発妄想時のものをそのままアップ。
トップ画からリンクで読めるようになっておりました。
トップ外してそのままだったのでようやく整頓。
しかし脳内沸騰具合がよく分かりますな…。


06/04/05(05/09/23)


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冬の灯2










「雪ですねぇ」


高松のそんな言葉に、シンタローは手元の書類から視線を外にと移した。

ふわりふわりと落ちてくる淡い光。
夜の闇の中、はっきりとわかるそれにシンタローは窓元にまで近寄っていく。
はめ込み式の窓は開かない。

けれど手をつけば、外の冷気が伝わってくる。






「今年、初めてだな」
「そうですね」
「やっぱキンタロー連れてくるんだった。一緒に見ようって、言ってたのに」




シンタローの言葉に、高松が僅かに目を見開いた。
つまらなそうに外を見やるシンタローの隣にと、高松は足を進める。


「それはすいませんね。私で」
「うん」
「……キンタロー様といつそんなことを?」

悪びれもなく、さらりと肯定されて高松はため息をついた。
こういうとき、やはり親子だと思う。



「ん、雨降ったときにな。キンタローがやけに真剣に見てるもんだから声かけてみたらさ」



『これが雨、か?』

と、いつものあの口調で。
濡れるのも構わず手を伸ばして、雨に触れて。
冷たいなと。
どこか楽しげに。

あの薄い金色に滴を纏わせたキンタローが。
やたらに。
可愛く思えて。



『もっと寒くなると、これ雪になるんだぞ』
『ゆき?』
『ああ。多分今年は早くに雪降るだろうから、一緒に見ような』



「約束ってほどでもねぇんだけど、こうして降ってみると割りと楽しみにしてたのかも」
「まぁとりあえずは私で我慢してくださいよ。初雪を一緒に見ようといったわけでもないんですから」
「でもさぁキンタローにとっては正真正銘の初雪だぜ?ちょっと残念かもなーと思って」



少しすねた様子のシンタローに高松は苦笑する。
ないものねだりなど、今さらだと分かっているのに。

シンタローの気持ちはわからないでもない。
むしろ分かりすぎるほど分かって、高松だって悔しい限りだ。



「そういや高松は覚えてるのかな」
「何をですか?」
「俺が雪はじめてみた時、こっちは素直に綺麗だって感動してんのにお前は雪というのは空中の塵を核にして…なんて理屈こね始めて」
「……ああ、理屈をこねたわけじゃ有りませんよ。ただ本当のことを言っただけです」
「ガキにんなことわかるか」
「ルーザー様の大事なご子息には、ぜひそういう知識も覚えていて欲しかったんですよ」


さらりと言われて思わず聞き逃しそうになるが、慌ててシンタローは高松を振り返った。
高松はいつもと変わらない、人の悪い笑顔を浮かべてシンタローを見やっている。



「あんたが、事の元凶だもんなぁ……」
「サービスもですよ」
「そっかだからだよな。あんた俺のことすんげぇ優しい目で見ると思った」


今度は軽くシンタローに流されて。
なんだか妙に納得した様子に苦笑する。



「コージとかには変な事するのに、俺にはしなかったもんな」
「グンマ様にもなにもしてないですよ」
「……………」


高松のその言葉に、シンタローが眉を顰めた。
言葉を選んでいる。
それがありありとわかる様子に、高松は笑いながら口を開く。


「私のグンマ様への想いも、本物ですよ」
「………………」
「確かにルーザー様を死に追いやったマジック様は憎かった。けれどルーザー様が唯一尊敬していたのもあの方なんです」


めずらしく茶化さずに本音を零す高松。
高松の輪郭が、雪明りで淡く彩られている。



「それに小さなグンマ様にずっとお仕えしていたんです」
「ああ………」
「可愛いと思うのは、大事にしたいと思うのは当然でしょう?」



その余裕な笑みが、まだまだですねと言っていて。
シンタローは不快感に深く眉を寄せた。
そんなシンタローに、高松は笑みを深める。



「貴方の事も、勿論今でも大切です」
「…………………」
「あなた方従兄弟の幸せを、祈っていますよ」



その口調こそ妙におどけているのに。
シンタローを見やる表情はひどく優しくて。

返す言葉が見つからず、顔が赤くなるのだけを自覚する。




「積もりそうですね」



何事もなかったかのように外を見やる高松を軽く小突いて。
シンタローは、その場をあとにするのだった。










-------------------------------------------------------------


元日記SS2。
同じタイトルのマジ+キンと対な感じで。

ちょっと書きたかったネタを中途半端に書いてみた話。
シンちゃんVerのはずだったのに、見事に高松メインです。あれー?
高松はシンちゃんのことルー兄の子どもだと思っていて、グンちゃんのことはマジックの子どもだってわかっていたんですよね。
その辺小さいときになんかなかったのかな―って思って。
グンちゃんが無意識にシンちゃんに嫉妬しててもいいよな―とか。
そんなことを思いながら書きました。(思ってただけか)
またもやまとめられてないまま終!

06/04/05(06/01/04)


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冬の灯










「ああ雪だねぇ」

そんな言葉に、キンタローはふっと後ろを振り返った。
そこには穏やかな笑みを浮かべたマジックの姿。
視線は、キンタローの向こうにと向けられている。
気配に気がつかなかった。
それは、彼が消していたせいなのか自分が外の風景に集中していたのかわからなかったが、おそらくその両方なのだろう。
いつも二人の息子にべったり、なマジックがひとりなのは珍しいかもしれない。



「気づかなかったな。どれくらいから降り始めたの?」
「……いや俺も、降ってから気づいたんで」


そっか。


キンタローの言葉に小さく返したかと思うと、マジックはすでに開いている窓から顔を出す。
遥か上も下も高く遠く。
雪が、どこに消えていくのか良く分からない。



「積もってるのはさすがに見えないか」
「ええ……」
「ずっと雪見てたの?」



キンタローの隣。
静かに佇むマジックは、楽しそうに外を見やっている。


夜の闇の中、落ちてくる雪はただただ白く。
ほわりと浮かぶような淡い明かりにも見えた。
冷たい空気が気持ちいい。
硬質で、清涼なこの空間がとても心地が良かった。



「……これが、雪なのかとおもってな」
「初めてだよね。どう?雪の感想は」
「空中の塵等を核にして雪はできる。決して綺麗なものではないはずだ」
「ま、そうだよねぇ」



キンタローの淡々とした言葉に、マジックは苦笑するでもなく肯定した。
理屈はすべて知っている。
けれどそれは知識で知っているだけで、キンタローの感情ではない。



「けどどうしてだろう」
「ん?」
「綺麗だと、思うのは」



そういうキンタローの視線は、すでに雪に向けられていた。
マジックもそれに習って空を仰ぐ。
あとからあとから落ちてくる雪。
途切れる事のないそれをみていると、まるで自分が吸い込まれそうな感覚に陥ってしまう。


全てを覆い尽くす白。



それはどんなものの上にも、等しく降り積もって。




「だって、綺麗だからね」
「………ああ」
「理屈よりもね、目で見て感じることのほうが正しいときもあるんだよ」



はぁっと、吐いた息が白くなって闇に溶け込む。
もう一度大きく空気を吸い込んで、マジックはキンタローに向き直った。




「私も綺麗だと思うよ、雪」




そう微笑むマジックに、キンタローも僅かに表情を緩めた。
いつもよりぎこちないと感じるそれに、マジックはそっと手を伸ばす。




「冷たいね。そろそろ入ったほうがいいかな」
「……もう少し、」
みていたい。


キンタローのその言葉に、マジックは少しだけ眉を寄せたがそれでも云とうなづいた。



雪の降る音。
確かかつての部下がそんなことを言っていただろうか。
マジックにはあまり分からなかったが、今居る空間が雪に支配されている事だけはわかった。
静かに降り積もる。
唯一の音源である時計の秒針も、ともすれば聞き逃しそうになるくらいに雪に引き込まれて。


ふっと、時計を見やるともうその時刻になろうとしていた。
カチリと音がなるのに改めてキンタローに向き直った。



「あけましておめでとう、キンちゃん」
「……あけまして、おめでとう」



マジックの言葉に、キンタロー反射的に返した。
それにマジックは満足そうに笑う。



「やっぱり一年の初めの挨拶は大切だよね」
「あまり変わらないと、思うが……」
「気分の問題だよ。ねぇキンちゃん」



窓を閉めながら、マジックが笑う。
暗い部屋の中。
それでも雪明りにマジックの表情は見て取れた。

穏やかな人。
片割れである彼とはまた違う、位置にいる。

父も。
多分好きだったのだろうと。

あの短い時間で。



「シンちゃんも、この雪見てるかな」



そういうマジックに、キンタローは頷いた。
そんな、冬の日。










-------------------------------------------------------------


元日記SS。
パプワでマジックさんとキンちゃんです。
実家に帰る年始に関する小説でした。
告知していかなかったので、知っている方全然いなそうな一品。

まとめきれてないのはいつものこととして。(え)
この二人のコンビが割合好きだったりします。
ルーザー語るのは外せませんし!(語ってないし)
シンちゃんがらみでもね!
キンちゃんと話してると総帥がふっつーにお父さんするこの不思議。(え)

06/04/05(06/01/03)

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