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‘ オレって、元番人だから歳とらねーし、死なねぇんだよね ’







ジャンに言われた言葉だ。



突然、何を言い出すのかと思った。
言って、それから奴はふらっと姿を消した。
すっかりいなくなってしまった。
その時はただ、変な奴だと背中を見送ったけれど
アイツがいなくなってから、その言葉をオレはふと考えるようになった。
夜、ベッドに入ってからもその言葉がずっと頭から離れなくて。

じゃあ、オレはどうなんだろう。と考え出して止まらなくなった。

死なないって

嫌だな。と思った。

あの島で、オレは

マジックを倒すために自分は造られたのだと赤い秘石に教えられて
でも実はそれは青い秘石がとっくに消していて
オレはジャンにそっくりに造られた青の番人、の影で

じゃあオレって何なんだろう。

オレも死なないのかな。

死なない、ってそう思った時に咄嗟にマジックが頭を過ぎる。

あの男が自分だったらどうするだろうか。

オレはいないのに、アイツは生きる。

今度こそ、世界を壊してしまうかもしれない。
オレがいない世界だから。

狂っちまうんだ。

絶対、泣く。

オレはとっくにいないのに、毎日オレの名前を呼んで
オレを、探すんだ。アンタは。

でも、

そんな事はきっと無くて、
オレが不老不死だろうが、そうじゃなかろうが、
アンタは、オレよりも先に土に還る存在で

オレはアンタを思い出に変えちまうんだ。

残酷だな。

不老不死でも、そうじゃなくても、
オレにとっては一緒なんだ。

だって、
アンタがいないもの。

―――――だったら
不老不死の方が、オレは良いよ。

だって死んだら、何もかも忘れて別の誰かに生まれ変わって
また別の人間を好きになっちまうんだろう。人間ってそうだろう?

生まれ変われなくても、全部消えちまうのは確かだ。

好きだった事は、形として何処かに残るかもしれないけど
今まであった事、楽しかった事とか、それだけじゃなくて
悲しかった事とか許せなかった事

オレが、どうしてアンタを好きになったのかも

そう言ったオレが記憶したもの全部
オレが死んだらオレと一緒に消えちまうんだ。

オレは、残したい。
消したくない。

アンタは死んで、
何処かで生まれ変わってオレじゃない誰かに恋をしても良いよ。

だってもうそれは、アンタじゃない誰かだから。
オレの知らない人だから。

オレは、アンタが死んでからも
オレの中のアンタと一緒に生きていく。

死なないって、オレは勝手に心に決めて
眠気に身をまかせた。

アンタはすぐオレに好きだと言って、
オレはアンタに好きだなんて言った事ないけど

多分オレは、アンタよりアンタを想ってると思うよ。
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【なみだ】

時々、自分の中にもう一人の自分がいるような感覚に陥る事があるよ。

外の自分がしている事を、中にいるもう一人の自分が、それを止めるでもなく
ただじっと見つめて眺めている 感覚。

自分がしている事なのに別の誰かがしているように感じるんだ。
おかしいかな?
そうする事で責任から逃れようとしているのかもしれない。
でも、中にいる私も止めないんだから同罪だよね。

椅子の背凭れに深く寄りかかりながら淡々とした口調で言う。
今、どんな表情をしているのだろう。それすらも解からない。
いや、表情なんてないのかもしれない。

後ろにいたシンタローの気配が近くなったのを感じる。

手が、伸びて、目を塞がれた。

痛い。と呟いてみる。
本当はそんなに痛くもないけど。

でもシンタローの方がもっと痛いんだろうな。
ごめんね。こんな事言って。
心の中で謝る。口では言わない。

だって苦しめるために言ったから。

お前は優しいから、こんな『可哀相な私』を捨てられないだろう?
狡くて、汚くてごめんね。

でも、
シンタローがパパのものになるんだったら、どんな手だって使ってやる。
どんな隙にだって付け込むよ。

「・・・こんなに」

こんなに綺麗な、青い目をしているのに
オマエの目は何も見えていない。
どうしたら伝わるんだ。どうしたら理解してもらえるんだ。
どうしたら・・・

シンタローの声は震えていた。
きっと振り返ってはいけないんだと思った。

だけど、抱き締めたかったから、
私の目を抑えていたシンタローの両手を顔からはずして、立ち上がって振り返った。

予想通り、彼の目許は赤く染まっていて、思わず苦笑してしまう。
それにカッとなったのか、シンタローの手が頬に飛んできたのを、掴んで引き寄せた。
唇と唇が、触れ合う。
深く交わして、漏れる吐息が熱い。

世界なんて、

オマエと私だけがいれば良かったのに。
【限界】

いっそ嫌いになれたら良いのに。

好きだから、冷たくされる事に辛さを感じる。
だったら好きでいるのをやめれば良い。そうすれば楽になれる。
そう、頭では解かっているのに心はいつもそれを拒む。

好きでいる事よりも、好きでいる事をやめる方が
もっと辛いと感じているのか・・・

心。なんて。

そんなものがあるから苦しみ、もがいて

だがそれが無ければ、安らぎを得ることもない。

シンタロー

どうして、あの子は私の事が好きなくせに、
拒絶する言葉しか吐かないのだろう。

憎くてしょうがなくなる。
だけど好きでたまらない。

・・・出口のない迷路を彷徨っている気分だ。

認めたくないのか。自分の気持ちを。
認めたくない、理由は

私のせいか。

考えれば考える程、苛立ちを隠せなくなる。
傷つけたくなる。
大切だと、思っているのに。

抱き締めたい。
抱きたい。
滅茶苦茶に、してやりたい。

こんなに愛しいと想っているのに
壊したいとも願っている自分がいる。

―――――あぁ、そうか。

あの子は、それが怖いから私から逃げるのか・・・

静かに目を閉じる。
熱いものが頬を伝うのが解かった。
【理想と現実】

あぁ、この顔。
コタローの父親である顔。
きっと幼少の頃は自分好みの美少年だったろうに。
行為の後、乱れたシーツの上で 傍らで眠る父親の顔をまじまじと見つめる。
もし外見が10代そこそこの少年で、中身が今のマジックであったなら
もしかしたら最高かもしれない。
普段なら鬱陶しいと感じるスキンシップも受け入れてしまいそうな気がする。
それどころか、鼻血まで垂らす勢いだ。・・・いや、さすがにそれは無いか。
何を馬鹿な事を考えているんだ、と頭を軽く振る。
すると、後ろから華奢な両腕が生えてきて自身の身体を強く抱き締めた。

そんなに若い子が良いの?

ボーイソプラノが耳元で言葉を紡ぐ。
どくどくと心臓の音が五月蝿い。
相手の唇が触れた耳が、とても熱くて・・・
「どうなの?」
振り向いて息が止まる気がした。驚いて、眼を見開く。
長い睫毛、白い肌。金色の髪、美しい群青色の瞳。
思わず、見とれた。
少しだけ前を肌蹴させた白いシャツから覗く細い首と鎖骨に喉が鳴る。
今 自分がどんな顔をしてるか、解かってる?
まるで獲物を捕らえる前の飢えた狼みたいだよ、シンタロー。
変態・・・と静かに付け加え、少年は目を細めて唇の端を吊り上げる。
その表情に、シンタローは事後だと言うのに自分が興奮していくのが解かった。
既に露わになっている胸に手を置かれる。
そこにあるものを指で挟まれたり、嬲られたり、口で咥えられたりするとたまらなくて
目尻に涙が浮かんだ。感じる。凄く。
「くれぐれも犯罪者にならないようにね、シンちゃん。」
カッとなり、馬鹿を言うな、と大声を上げそうになったが思い留まった。
そんな事をしたら、隣で寝息を立てている男を起こしてしまうかもしれない。
しかし隣で眠っているのはマジックで、じゃあ目の前にいるこの少年は一体誰なのか。
シンタローの心の内を見透かしたように、少年は言った。

僕が誰だろうって?オマエのパパだろう、と。

同じ空間に同じ人間が二人もいるなんて、有り得ない。
しかも、一人は自分好みの美少年。
以前、マジックが言っていた『コタローはパパ似だよ』の言葉が頭の中を過ぎった。
見れば見る程綺麗だとため息を打ちそうになる。
シンタローがぼんやり見惚れていると、マジックと名乗る少年は肩を揺らして笑った。
それにむっとして、シンタローが「何だよ」と口を尖らせるとマジックは素直にゴメン、と謝った。
マジックの両手がシンタローの手首をさらい、ベッドに縫い付ける。
薄い胸板がシンタローの視界を遮った。
オマエがいつも可愛いから今日はちょっとしたサービスだよ、と告げられてしまう。
こんなサービスだったら毎日だって受けたい。シンタローは思った。
肩に顔を埋められた瞬間、名前を呼ぶ。

――――――どんな夢見てるの?

マジックに声をかけられ、目が 覚めた。
半身を起こして自分の顔を眺めている男の顔を、凝視する。
シンタローは全て夢だったのだと気付き、羞恥でかぁーっと顔が赤く染まると同時に
良い所で起こされた事に腹を立て、マジックの足を蹴った。
mmx
【誰よりも】

他人の気持ちを解かろうとしない奴が、
自分の気持ちを解かって欲しいなんて
都合の良い事言ってんじゃねぇ!!!


シンタローが今朝方私を殴った時に叫んだ台詞だ。
シンタローの言葉と彼の悲痛な声、表情が私の胸を痛めた。
『幸せにしたい』とそう思うことは簡単なのに
どうしてそれを実行に移す事はこんなにも難しいのだろう。
「大丈夫?おとー様。」
隣に座っていたグンちゃんが心配そうに私の顔を覗く。
余程酷い顔をしていたのだろうか。
心配かけて、申し訳ない。せっかくお花見に来ているのにね。
本当は3人で来るはずだったのになぁ。
ごめんね、グンちゃん。と謝るとグンちゃんは‘気にしてないよ’と首を振った。
おとー様は?平気?と聞くので、殴られた方の頬を撫でながら
‘もう全然痛くないよ’と返事をした。
そっちじゃなくて、こっちだよ、とグンちゃんが私の胸に手を当てる。
平気?ともう一度、私に聞いてきた。
・・・あぁ。グンちゃんは、ちっとも馬鹿なんかじゃないなぁ。
私の方がよっぽど馬鹿だ。
有難う、とお礼を言ってコートの内側の胸ポケットにしまっておいた財布を取り出して
1000円札をグンちゃんに渡す。
これで甘酒を二人分買ってきて、とお願いするとグンちゃんは嬉しそうにそれを受け取って
人ごみに消えた。
満開の桜が風が吹くたび揺れて、ひらひらと音もなく花びらを落としてゆく。
―――――まるで雪みたいだ。
このまま私に降り積もって、私を消してくれたら良いのに。
どうしていつも上手に恋ができないのだろう。
ただ愛したくて、愛されたいだけなのに。
近くにあった木に寄りかかってグンちゃんが消えた人ごみの方をずっと眺めていた。
すると、一人、こちらに近付いて来るのが解かった。
それがシンタローだと解かり言葉を失う。
雑音も耳に入らない。
動けないでいると、シンタローは私のすぐ傍まで近寄ってきた。
淡い、桃色の花びらが宙を舞う。
「甘酒。欲しかったんだろ?」
甘酒の入った紙コップを一つ、私に差し出してもう一つの紙コップを自分の口に近づけると
息をふきかけながら中身を飲む。
残りの金は、グンマに渡しちまったから無いぜ。と言った。
受け取れないでいるとシンタローは飲みかけの方のコップの縁を口に咥えて
空いた手で私の手を掴み、私の分の甘酒を渡した。
しっかり、掴めよ。と、私の手に力が入るのを確認して、手を離す。
火傷しないように息をふいて、渡された甘酒を飲んだ。
「あったかいな」
シンタローの言葉に‘そうだね’と頷く。
だけど私は、シンタローと触れた部分の方がずっと暖かいと感じていた。
飲み終わったら、ぎゅっとしても良い?と聞くと
シンタローは「バカ言ってんじゃないよ」と答えた。





***

【鮮やかな】のマジ→ジャンと対になってます。
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