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【なみだ】

時々、自分の中にもう一人の自分がいるような感覚に陥る事があるよ。

外の自分がしている事を、中にいるもう一人の自分が、それを止めるでもなく
ただじっと見つめて眺めている 感覚。

自分がしている事なのに別の誰かがしているように感じるんだ。
おかしいかな?
そうする事で責任から逃れようとしているのかもしれない。
でも、中にいる私も止めないんだから同罪だよね。

椅子の背凭れに深く寄りかかりながら淡々とした口調で言う。
今、どんな表情をしているのだろう。それすらも解からない。
いや、表情なんてないのかもしれない。

後ろにいたシンタローの気配が近くなったのを感じる。

手が、伸びて、目を塞がれた。

痛い。と呟いてみる。
本当はそんなに痛くもないけど。

でもシンタローの方がもっと痛いんだろうな。
ごめんね。こんな事言って。
心の中で謝る。口では言わない。

だって苦しめるために言ったから。

お前は優しいから、こんな『可哀相な私』を捨てられないだろう?
狡くて、汚くてごめんね。

でも、
シンタローがパパのものになるんだったら、どんな手だって使ってやる。
どんな隙にだって付け込むよ。

「・・・こんなに」

こんなに綺麗な、青い目をしているのに
オマエの目は何も見えていない。
どうしたら伝わるんだ。どうしたら理解してもらえるんだ。
どうしたら・・・

シンタローの声は震えていた。
きっと振り返ってはいけないんだと思った。

だけど、抱き締めたかったから、
私の目を抑えていたシンタローの両手を顔からはずして、立ち上がって振り返った。

予想通り、彼の目許は赤く染まっていて、思わず苦笑してしまう。
それにカッとなったのか、シンタローの手が頬に飛んできたのを、掴んで引き寄せた。
唇と唇が、触れ合う。
深く交わして、漏れる吐息が熱い。

世界なんて、

オマエと私だけがいれば良かったのに。
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