【誰よりも】
他人の気持ちを解かろうとしない奴が、
自分の気持ちを解かって欲しいなんて
都合の良い事言ってんじゃねぇ!!!
シンタローが今朝方私を殴った時に叫んだ台詞だ。
シンタローの言葉と彼の悲痛な声、表情が私の胸を痛めた。
『幸せにしたい』とそう思うことは簡単なのに
どうしてそれを実行に移す事はこんなにも難しいのだろう。
「大丈夫?おとー様。」
隣に座っていたグンちゃんが心配そうに私の顔を覗く。
余程酷い顔をしていたのだろうか。
心配かけて、申し訳ない。せっかくお花見に来ているのにね。
本当は3人で来るはずだったのになぁ。
ごめんね、グンちゃん。と謝るとグンちゃんは‘気にしてないよ’と首を振った。
おとー様は?平気?と聞くので、殴られた方の頬を撫でながら
‘もう全然痛くないよ’と返事をした。
そっちじゃなくて、こっちだよ、とグンちゃんが私の胸に手を当てる。
平気?ともう一度、私に聞いてきた。
・・・あぁ。グンちゃんは、ちっとも馬鹿なんかじゃないなぁ。
私の方がよっぽど馬鹿だ。
有難う、とお礼を言ってコートの内側の胸ポケットにしまっておいた財布を取り出して
1000円札をグンちゃんに渡す。
これで甘酒を二人分買ってきて、とお願いするとグンちゃんは嬉しそうにそれを受け取って
人ごみに消えた。
満開の桜が風が吹くたび揺れて、ひらひらと音もなく花びらを落としてゆく。
―――――まるで雪みたいだ。
このまま私に降り積もって、私を消してくれたら良いのに。
どうしていつも上手に恋ができないのだろう。
ただ愛したくて、愛されたいだけなのに。
近くにあった木に寄りかかってグンちゃんが消えた人ごみの方をずっと眺めていた。
すると、一人、こちらに近付いて来るのが解かった。
それがシンタローだと解かり言葉を失う。
雑音も耳に入らない。
動けないでいると、シンタローは私のすぐ傍まで近寄ってきた。
淡い、桃色の花びらが宙を舞う。
「甘酒。欲しかったんだろ?」
甘酒の入った紙コップを一つ、私に差し出してもう一つの紙コップを自分の口に近づけると
息をふきかけながら中身を飲む。
残りの金は、グンマに渡しちまったから無いぜ。と言った。
受け取れないでいるとシンタローは飲みかけの方のコップの縁を口に咥えて
空いた手で私の手を掴み、私の分の甘酒を渡した。
しっかり、掴めよ。と、私の手に力が入るのを確認して、手を離す。
火傷しないように息をふいて、渡された甘酒を飲んだ。
「あったかいな」
シンタローの言葉に‘そうだね’と頷く。
だけど私は、シンタローと触れた部分の方がずっと暖かいと感じていた。
飲み終わったら、ぎゅっとしても良い?と聞くと
シンタローは「バカ言ってんじゃないよ」と答えた。
***
【鮮やかな】のマジ→ジャンと対になってます。
他人の気持ちを解かろうとしない奴が、
自分の気持ちを解かって欲しいなんて
都合の良い事言ってんじゃねぇ!!!
シンタローが今朝方私を殴った時に叫んだ台詞だ。
シンタローの言葉と彼の悲痛な声、表情が私の胸を痛めた。
『幸せにしたい』とそう思うことは簡単なのに
どうしてそれを実行に移す事はこんなにも難しいのだろう。
「大丈夫?おとー様。」
隣に座っていたグンちゃんが心配そうに私の顔を覗く。
余程酷い顔をしていたのだろうか。
心配かけて、申し訳ない。せっかくお花見に来ているのにね。
本当は3人で来るはずだったのになぁ。
ごめんね、グンちゃん。と謝るとグンちゃんは‘気にしてないよ’と首を振った。
おとー様は?平気?と聞くので、殴られた方の頬を撫でながら
‘もう全然痛くないよ’と返事をした。
そっちじゃなくて、こっちだよ、とグンちゃんが私の胸に手を当てる。
平気?ともう一度、私に聞いてきた。
・・・あぁ。グンちゃんは、ちっとも馬鹿なんかじゃないなぁ。
私の方がよっぽど馬鹿だ。
有難う、とお礼を言ってコートの内側の胸ポケットにしまっておいた財布を取り出して
1000円札をグンちゃんに渡す。
これで甘酒を二人分買ってきて、とお願いするとグンちゃんは嬉しそうにそれを受け取って
人ごみに消えた。
満開の桜が風が吹くたび揺れて、ひらひらと音もなく花びらを落としてゆく。
―――――まるで雪みたいだ。
このまま私に降り積もって、私を消してくれたら良いのに。
どうしていつも上手に恋ができないのだろう。
ただ愛したくて、愛されたいだけなのに。
近くにあった木に寄りかかってグンちゃんが消えた人ごみの方をずっと眺めていた。
すると、一人、こちらに近付いて来るのが解かった。
それがシンタローだと解かり言葉を失う。
雑音も耳に入らない。
動けないでいると、シンタローは私のすぐ傍まで近寄ってきた。
淡い、桃色の花びらが宙を舞う。
「甘酒。欲しかったんだろ?」
甘酒の入った紙コップを一つ、私に差し出してもう一つの紙コップを自分の口に近づけると
息をふきかけながら中身を飲む。
残りの金は、グンマに渡しちまったから無いぜ。と言った。
受け取れないでいるとシンタローは飲みかけの方のコップの縁を口に咥えて
空いた手で私の手を掴み、私の分の甘酒を渡した。
しっかり、掴めよ。と、私の手に力が入るのを確認して、手を離す。
火傷しないように息をふいて、渡された甘酒を飲んだ。
「あったかいな」
シンタローの言葉に‘そうだね’と頷く。
だけど私は、シンタローと触れた部分の方がずっと暖かいと感じていた。
飲み終わったら、ぎゅっとしても良い?と聞くと
シンタローは「バカ言ってんじゃないよ」と答えた。
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【鮮やかな】のマジ→ジャンと対になってます。
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