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m

ヘリコプターがバラバラと派手に音を立ててパプワ島に上陸する。

真っ赤な薔薇の花束を両手いっぱいに抱えて
『シンタロー!迎えに来たよ!さぁ、パパと一緒に帰ろう?』と親父。

そしてオレは親父が来る度に何度も同じ台詞を言う。
絶対に帰らないし、秘石も返さない。と。

だけどマジックは絶対に諦めないで、
刺客を送ってはまたやって来て

同じ事の繰り返し。エンドレスだ。


『そんなにオレが好きか』と聞いたら
『はい』と即座に答えが返って来る。


『例えオマエがこのパプワ島を出て、また別の場所に姿を晦まそうと
パパは何処までだって追いかけて シンちゃんを連れて帰るよ』


なんて言われてしまった。

厄介な相手に惚れ込まれたもんだ。
だけど絶対『参りました』なんて言ってやるもんか。

逃げて、逃げて、逃げまくって

アンタに余所見する暇も与えてやらねぇから覚悟しろよ、父さん。



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ms

啄ばむような優しいキスを何度も何度も繰り返して
ちゅ・と音を立てて唇が離れては名を呼ばれ、両腕でしっかりと抱き締められる。

そうされる事に嬉しいと感じてしまう自分がいて、
本当に悔しくてしょうがない。

「気持ち良い?」

耳元で尋ねられてオレは無言に徹する。
頭の中を様々な文句が駆け巡った。
何でいちいちそんな事を聞いてくるのかとか、言わせようとするのかとか。
じゃあ『気持ち良くない』って言ったらお前、やめられるのかよ?
マジックの肩に埋めていた顔を上げるとそれは楽しそうにオレを眺めていて
こいつの考えてる事が解かってしまったオレは恥ずかしさで打ちひしがれそうだった。
この親父はどうして、こう…。
気持ち良くなかったら、大人しくこんな事されてねぇっつーのを知ってる上で
あえて聞いてくるその神経がオレは信じられない。
アンタって本当にムカつく男だよな。
至近距離でそう呟くと、マジックは満面の笑みを顔に浮かべて

「シンちゃんって本当に可愛いね」

もう一度キスをして、…舌を入れられた。



m

『愛している』と告白すれば、ジャンは抵抗する事なく私と口付けを交わして
私を受け入れた。
‘総帥’としての立場を利用しなかったとは言い切れないが
だが、彼は最初から歯向かう事を放棄していた。

ジャンに既に想い人がいる事は知っていた。
私は、彼を、ずっと見てきたから…。
知っていたけれどわざと気付かない振りをして
聞く事もしなかった。
始めは、身体だけの関係でも
いつか、いつかは私の気持ちに応えてくれるかもしれない。
私が彼を想うように、彼も私を想ってくれるようになるかもしれない。
そんな馬鹿な事を本気で考えていた。
例え、恋敵が自分の血を分けた実の弟だと解かっていても
諦めることがどうしてもできなかった。
けれど、どんなに身体を重ねても心を重ねなければ
人形を抱いているのと同じだ。
それが哀しくて、彼を後ろから抱き締めてはキスをして涙を堪えた。

でも、シンタローは違う。

シンタローはいつだって私の全力に全力で応えてくれる。
全力で否定して、全力で拒む。
私の事をちゃんと見てくれる。

追いかければ逃げるし、
キスをすれば怒るし、
‘好きだ’と言えば『馬鹿を言うな』と貶される。

だけどそれは、全部シンタローの意志だ。

キスをして眼を閉じるのも
抱きしめて抱きしめ返すのも
私のために、涙を流すのも。

シンちゃん、

シンタロー

パパはキミの事が好きだよ。
本当に、心から。

25年もキミなしの人生を送れた事が信じられない。
キミを好きでいるのをやめる位なら、死んだ方がマシだ。

悪い父親だと周りから非難されても、
地獄に落ちても構わない。

一生、シンタローを好きでいたい。

私が死ぬ時キミが横にいて、
最期まで‘シンちゃん大好き’って言えたら

パパは幸せだよ。シンちゃん。



だからお墓に入っても  ずっとキミを想ってる。

m

「ぅおッ!?」


「どうしたシンタロー」


「何かあったの~?シンちゃん」


「オマ…オマエら…オレの額にこんなんが…ッ」


「・・・・・。」


「え~?シンちゃん気付かなかったの~?昼間からついてたよ。」


「オレはシンタローなりの新しいオシャレなのかと」


「こんなオシャレがあるかッツ!」


「冗談だ」


「キンちゃんのジョークは真顔で言うからジョークに聞こえないんだよね。」


「くっそ…!通りでティラミスの奴が『今日は随分素敵じゃありませんか?シンタロー様』なんて
言うはずだぜ…ッ」


「そんな事言われてオマエは何故今まで気付かなかったのか。オレはそれが聞きたい。」


「ついにオレのフェロモンでティラミスまでも魅了してしまったか…。
罪な男だよな…オレって。位にしか思ってなかった。」


「・・・・・。」


「シンちゃんってさー大分ナルシスト入ってるよねー。」


「まぁ冗談なワケだが」


「冗談か今の…?!」


「半分くらい本気だよねシンちゃん。」


「ちっくしょ~~~しかもコレ、油性じゃねーか!あんのクソ親父!!!」


「あぁ、マジック伯父貴が書いたのか?」


「オレにこんなフザけた悪戯すんのアイツしかいねーだろーが!」


「うわー!何かその台詞妙にエッチぃー!」


「グ~~~~~~~ン~~~~マ~~~~~~!」


「ふむ…と言う事は、そのMは‘マジック’のMか。」


「『マジック参上!』って意味かな?」


「あぁッ!もぉッ!落ちないッツ!!!」



ms

目の前には何故か、幼くなった親父がいた。
もう少し見渡せば獅子舞や美貌の叔父様まで小さくなっていた。

何だ?夢か?

まったく奇想天外な夢を見せるよな、オレの脳みそも。
12、3歳くらいのマジックはオレを見るなり、拙い日本語で
好きだ!と愛を語り始めた。どうやら一目惚れらしい。
とても親父とは思えない程初々しく、そして可愛らしい。
思わず「オレも」と答えそうになる。
すると遠くの方から足音が聞こえて、ちょっと待ったー!!とストップがかかった。
声の主は親父よりも少し背は低めで、目つきはやや悪いが聡明な顔立ちをした金髪美少年だった。

『僕の可愛い兄さんに手を出そうだなんて、そんな事は断じてこの僕が許しません!』

距離を縮めていたオレとマジックの間を遮るように割り込むその少年は、
よく見ればどことなくキンタローに似ていた。

『ルーザー!』

『兄さん!こんな男の何処がそんなに良いって言うんですか!
僕がいて、ハーレムがいて、サービスがいて、それだけじゃダメなんですか?!』

『だって僕はシンタローが好きなんだもの!』

綺麗な発音の英語でマジックはそう言い切った。

『兄さんどうして…
兄さんは、ずっと一緒にいた実の弟の僕よりも、この得体の知れない男の方が大事だって言うんですか?!』

白熱した兄弟愛に圧倒される。
ルーザーの自分に向ける視線には兄を奪われた事への憎しみの念が込められているのが手に取るように解かった。
申し訳なさそうに身を引くと、マジックはルーザーを押しのけてオレの首へと飛びついた。
192センチのオレの首に手を回すマジックはとても華奢で細くて、
子供の割には背は高いがそれでもやはり地面から足が浮いてしまう。
いつかはオレよりデカくなっちまうのにな…。
オレは親父の小さな身体を落とさないようにしっかりと抱きかかえた。

「シンタロー、僕は キミを とても愛している。
ずっと傍にいて…」

片言の日本語でゆっくり囁かれるピュアな告白は強烈に心に響いた。
頬を両手で包まれて、口付けを交わす。
触れるだけの、けれどとても甘いキスに眩暈がした。
そこで目が覚める。

何だよ…。

最後まで見させろよオレの脳!



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