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浴衣を着てお縁日のお祭りへ行こう!

と、グンマは元気良くキンタローとシンタローの二人に言った。
キンタローは「別に構わないが」と返事をするが、
シンタローの方はそれはぶっきら棒に「二人で行ってくれば」と答えた。

「えぇー!?何でー??おとー様だってシンちゃんの浴衣姿見たいはずだよー!!」

「グンマ…」

「俺が何で行きたがらないのかさっぱり理解していないようだなオマエは。」

行こう行こうとしつこく自分の片腕を引いて誘いかけるグンマを鬱陶しそうに眺める。
せめて浴衣だけでも!と言う彼の提案を、シンタローは取り付く島も与えずきっぱりと却下した。

「どうしてオマエはそうやって親父の肩を持つんだよ。迷惑だからやめろ!」

思いきり睨み付けてやると、グンマの目元が少しだけ涙で潤んだ。
言いすぎだとキンタローはシンタローを咎める。
結局、お祭りにはキンタローとグンマの二人だけが行く事になった。
シンタローはと言えばさして興味もないTV番組をぼんやりと一人で眺めている。

(大体30近いイイ大人が『浴衣を着て仲良く身内とお祭りにお出かけ』なんて恥ずかしくてできるか)

それでも、やはりグンマに辛く当たってしまった事に罪悪感を感じて項垂れていると
後ろの戸が開いた。

「シンちゃんってばグンちゃん達と一緒に行かなかったの?!」

部屋にシンタローがいるのを目で確認するなりマジックは驚きの声を上げた。
シンちゃんは浴衣着てないんだ、残念。
予想通りの言葉をかけられて、シンタローは舌打ちをする。
隣に座り込む男から視線を逃れるように、思い切り顔を反らした。

「絶対似合うと思ったのに。
ねぇ、この場だけでも良いから着て見せてよ。」

「い、や、だ。第一着方知らねぇし。」

「パパが着せてあげるよ。」

昔はよく着せてあげてたじゃない。覚えてない?
畳についた手の上に掌を被せられる。
触れたところが無性に熱くなって、ますます目が合わせられなくなってしまった。

「バカ言うなよ」

シンタローが呟く。

「どうせ着せたらそのまま脱がすくせに…」

その言葉に、マジックは笑顔で もちろん、と答えた。

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mmm

マジックはあまり自分の事を話したがらない。

オレの事は根堀り葉堀り何でも聞きたがって、
あらゆる手段を使って調べやがるくせに自分の事となると

「知ってどうするの」

と、何も教えてくれない。

知ってどうするのって…

オレが、アンタの事を知りたいと思っちゃいけねーのかよ...。



書置きもなしに家を飛び出して公衆電話から日本にいる親父に『暫く帰らない』と告げる。

「何言ってるの?!今何処にいるの!
どれ程心配してると思ってるんだ、シンタロー!」

親父のヒステリックな声に頬が緩まるのを抑えられない。

帰る頃には紅茶のうまい入れ方でも、覚えているだろうさ。

ニヤリと笑って電話を切った。







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キミと私の温度差に、ひどく落胆するのは
もうウンザリだ。




毎日毎日仕事も忙しい中、一緒に食事ができるようになるべく早く帰宅するよう心掛けたり
週末には絶対に予定が立て込まないよう気を配っているのは
一体誰のためなのか、解かっていないわけじゃないだろうに

どうしてシンタローは、
パパに何も言わずに何処かへ行っちゃうんだよ。

執事に行き先を言付けるよりは
せめて、紙切れ一枚でも良いから書き置きを残して行く位の思いやりは欲しい。


行き先を教えるよりも、シンタローの言葉を パパに頂戴。


シンちゃんがパパを置いて友達と旅行に出かけてしまう事や
その間、顔も合わせられない事よりも、

それが平気なシンちゃんの事の方がずっとずっと寂しいよ。


パパはシンタローほど、強がりじゃないから
泣きそうになったら我慢なんてできない。

お願いだから
そんなに意地悪しないで。

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「遠征先より、マジック様からお電話です」

執事の言葉に、ただでさえ元々不機嫌なシンタローの眉間に一層濃い皺が寄る。
何日ぶりだろうか。あの男の声を聞くのは。
傍にいると喧しいし暑苦しいのに、いなければいないでイライラして何もかもが上手くいかない。
どうしてあんなアホ親父のために自分が振り回されなければならないんだ。
マジックのくせに。
シンタローは執事を追い払おうと『あっちへ行け』の動作を片手でやりながら無言で悪態をついた。
彼が部屋から出て行くと、満足げに椅子の背もたれに寄りかかって足を組んで読みかけの本に目を通す。
暫らく経ってからもう一度執事が部屋を訪れた。
ここまではシンタローも予想していたから、アイツはどんな言葉でオレを呼び出すつもりなのかと
興味深げに身を乗り出す。すると、執事は極めて淡々とした口調で

「『私の愛しいベイビーちゃんは居留守を決め込むつもりなのかな?』と、申しております。」

と、彼に言ってのけた。
何故そんな台詞を恥ずかしがらずに無表情で伝えられるのか不思議でたまらない。
シンタローはと言えば椅子から転げ落ちて床に突っ伏していた。
怒りにまかせて電話のところまで走ると、受話器を持って叫んだ。

「このクソ親父!」

「やっと出てきたね。
久しぶりだって言うのにどうしてシンタローはそんなに素っ気無い態度をとるのかな?
パパの声が聞きたくないのかい?」

悪びれた様子も見せずにいつもの調子で語りかける父親に肩がわななく。
ちょっとは疲れた様子でも見せやがれ!と、シンタローは思った。

「あーあー、別に望んじゃいなかったよ。
それより他所様に変な言葉を吹き込まないで下さい迷惑です。」

「変な言葉・・・?おかしいな。パパは日本語は愚か母国語含めて軽く8カ国語はペラペラのはずなんだけれど。
何か問題が?」

「オ、マ、エって何でそームカつく言い回ししかできねぇんだ?!
何が‘愛しのベイビーちゃん’だ!オレを幾つだと思ってやがるッ」

「‘ベイビー’は赤ん坊って意味じゃなくて、口説き文句で言ったんだよ。シンタロー」

マジックが軽く笑うと、シンタローは威勢良く‘アホか!’と怒鳴った。

「どこの世界に息子に向かって口説き文句を言う父親がいるっつぅんだよ!」

「ここにいるよ。」

「オマエ・・・頭どっか可笑しいんじゃねーの?いや、今さらだったか・・・。」

「そう、パパは狂ってる。
シンちゃんと話す時は、いつだってシンちゃんを口説くつもりで話しているからね。」

マジックの気違い染みた言動に、シンタローはますます頭に血を昇らせる。
だが、頬が紅いのは怒りのせいだけではない。
その事を認めたくなくて早く電話を切ってしまいたいのに
マジックはそうさせてくれなかった。

「もう、とっとと仕事戻れよ。暇じゃないんだろ?」

「おや、珍しいね。パパに気を遣ってくれているの?」

「~~~~切るぞ、良いな?」

「帰ったら一番に抱きしめるよ。」

独特の低い、掠れた声で告げられた言葉に
シンタローは返事をせずに受話器を置いた。
とんでもない親父だと呆れながら、その男に心を乱される自分が確かにいて
マジックの声が耳から離れてくれない。

シンタローは今日も眠れぬ夜を過ごす事になるだろう。

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「シンちゃんてさ、おとー様の事嫌い?」

グンマの無邪気な質問に対し、シンタローは至って爽やかに

「大ッ嫌いだ。」

と答えた。

「ふーん。そんなにおとー様に纏わり疲れるの、嫌?」

「嫌ですね。ついでに言うと今のこの状況もオレは大変不満だ。
何なんだ?何がしたいんだ?」

「シンちゃん。良いものあげようか。」

コトン、とテーブルの上に小さな小瓶が置かれる。
中には水のような透明な液体が入っていた。
奇妙なそれにシンタローは訝しげに首をひねる。
コレは?と問えばグンマは可愛らしい笑顔で魔法の薬だよ、と言った。

「魔法の薬?」

「高松にお願いして作ってもらったんだ!
おとー様はシンちゃん好きだけど、シンちゃんはおとー様嫌いでしょう?」

「あぁ。」

「そしてその状況にウンザリしている。」

「あぁ。」

「でもおとー様はシンちゃんにメロメロだから、シンちゃんに冷たくされる度に泣いちゃう。」

「オマエの前でも泣いてんのかいアイツは。」

「だからさー、おとー様がシンちゃん嫌いになっちゃえば良いと思わない?」

「…はァ?!」

一気にシンタローの声のトーンが上がる。
グンマはそれを気にもしない様子で両腕を組み、ウンウン、としきりに頷いていた。

「もっと早い内からこうすれば良かったんだよ。
そしたらシンちゃんも大嫌いなおとー様から解放されるし
おとー様もシンちゃんが大嫌いだから、例えシンちゃんに嫌われてもちっとも悲しくなんかならない。
一石二鳥だと思わない?僕ってば天才!」

「・・・・。」

「シンちゃん?」

「あー…あぁ、そうだな。名案だな…」

晴れやかなグンマの表情とは逆に、シンタローの表情は暗雲に満ちていた。

「じゃあ、これからおとー様来るから紅茶の支度をするね。
おとー様のカップの中にこの薬を混ぜるから、シンちゃん傍で見てると良いよ。」

暫くするとグンマの手筈通りにマジックが訪れる。
マジックは自分の視界にシンタローが入るなり、それは嬉しそうに
シンちゃんだー!と彼に近寄った。

「シンちゃんもグンちゃんのお茶会に呼ばれたの?!
嬉しいなー!嬉しいなー!!」

幸せそうなマジックの笑顔が更にシンタローの顔を曇らせる。
マジックは自分や身内には甘いが他人にとても厳しい面も持っていて
あの、感情の篭らない冷たい視線が
グンマの用意した薬を飲んだ後、自分にも向けられるのかと思うと
途端に胸が苦しくなる。
そんなのは嫌だと、気が付けば心の中はそればかりだった。

「おとー様~!はい、ミルクティーですよ~」

「ありがとー!グンちゃん!」

グンマから渡されたカップを受け取り、マジックがそれに口をつけようとした瞬間、
シンタローは乱暴にテーブルを叩き「やめろ!!」と大きな声で怒鳴った。

「それを飲んだら死んでやるッツ!!!」

シンタローの悲痛な叫びにマジックが目を丸くする。
‘死’と言う言葉に動揺を隠せない。

「え、死ぬって、シ、シンちゃんが?」

「飲むな!」

「の!?いや飲まないけど…シンちゃんこれ欲しいの?」

そんなに怖い事を言って脅さなくてもあげるよ?とマジックは大人しくシンタローに言われるまま
カップを下に置いた。

きっと今、自分は相当酷い顔をしているに違いない。

グンマの視線が痛くて顔を上げることができずにシンタローが俯いていると
グンマはシンちゃん、と呼んで一言。

「アレ、実はただの水だから安心してね。」

シンタローの顔がカァ――――――ッと赤く染まる。

(ホントに死にたい…)

そう思わずにはいられなかった。

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