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|単発| |女体化| |リキシンお題| |シン受けお題| |キンシンお題|
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アレからいつも夢を見た。
抜けるような青空とまるで切り取ったような白い雲。
こちらでは人工的にしかないようなごみひとつ落ちていない白い砂浜と、地平線まで見渡せる決して荒れることのないグラデーションを描いた青い海。
だが今はどうだろう。
好きではないがすっかり定位置となってしまった総帥室の椅子の感触。
常に隣にいる同じ気配を持つ片割れ。通信が入り、真っ先に向かう艦。
あちらの事が気になって、仕方ない。
結局はないもの強請りか……自然とため息がこぼれた。
腕には暖かい感触。
目を開けるとパプワとチャッピーが隣で眠っている。
口を開けば小憎たらしいことばかりでちっとも子供らしくないが眠っているときは歳相応の可愛らしい少年の顔だ。
『いっぱいいっぱい焦っていーんだぞ』
あちらの光景とパプワの大人びた表情が重なる。
パプワにはいつまで経っても敵わない。なんでパプワには全部バレちまうんだろうなぁ。
あれから俺も少しはパプワに胸張って会える様に、と信じる道を突っ走って来たつもりなんだが。
……本当に10歳なのかコイツは、とそっと腕を動かし柔らかそうな頬っぺたをつんとつつく。
起きていたら子供扱いするなと跳ね除けられているだろうが、今はすうすうとかすかな寝息をたて気持ちよさそうに眠ったままだ。
――帰ってきた。
そう実感する。初めてコイツと会ったときも俺、焦ってたよなぁ。今回もそうだ。
カッコ悪いところばかり見せてしまう。なさけねぇな。……パプワにカッコ付けても意味ないか。
どうせ繕っていることなんてコイツには一瞬でバレちまうし。直ぐにそう思い直した。
パプワは俺にとっていつまでも特別な存在であり続けるのだろう。
今回こんな事にでもならなければきっと俺はパプワ島には来なかった、いや来れなかっただろう。
目を瞑ってもぬくもりは手を伸ばせばすぐ届く。
人の動く気配がした。そう頭が認識したとたん目が冴えた。
あわてて起き上がるとリキッドが朝食の支度を始めようと台所に立っていた。
行き成り起き上がった俺に驚いたのだろうか、
「あ、すんません、音、ならべく立てないようにしていたんすけど起こしちゃいましたか?」
人のよさそうなお坊ちゃん顔に済まなそうな表情を浮かべていた。
軽く首を振る。コイツも元軍人なら分かるだろう。
「そうっすか。朝食の準備するんでもう少し横になってて下さい」
にかっと笑いながら腕により掛けてつくりますから、と。
パプワが少し身じろぎをした。今のやり取りも小声だったのだが、パプワを起こしてしまっただろうか?
そう思い目を向けたがチャッピーと一緒に仲良くまだ夢の中のようだ。
目が冴えてしまったのでもう一度寝なおす気にはなれない。かと言ってこのままぼーっとしているのもなぁ。
がしがしと頭を掻く。仕方ねぇか。そのまま台所に向かい食材を並べ始めているリキッドの隣に立つ。
なんすか?と言うような目線を向けてくるリキッドに
「手伝ってやるよ」
と声を掛けた。瞬間、ヤツはざっと半身を引き右の手の甲を口元にもっていき怯えをあらわにする。
そんな態度にムッとし
「なんだぁ?その態度は」
「いえ、まさかお姑さんからそんな言葉が出るなんてっ……」
コイツのいい所は自分に素直なことだ。良くも悪くも。そう、良くも悪くも。
思わず目つきが剣呑になった。が、リキッドは何か凶事の前触れ?!とかなんとか言いながらお玉を右手に右往左往。
わたわたと怯えるリキッドを見ていると自然と笑いがこぼれた。
そう、こいつだから番人に選ばれたのだろう。
変な格好で怯えていたリキッドが呆けた様な表情を浮かべヒトの顔をまじまじと凝視していた。
「なんだよ?俺が手伝うって言うのがそんなにオカシイのか?」
そんなに驚かれたり怯えられるたりすると俺がものすごく酷い人間だと言われている様でムカつく。
「いえ、そうじゃないっすっ!」
そんな俺の気配を察知したのだろうかリキッドはあわてたようにぱたぱたと手を振って否定する。
「えっと、じゃあお願いしますっ」
「よし」
最初から素直にそう言えばいいんだよ。久しぶりにパプワに腕を振るえると思うと気合が入る。
見てろよ、アレから料理にはちょっと凝ってたんだ。4年前の俺ではないっ!
パプワの顔を想像すると笑顔が浮かんでしまう。さっきから俺笑顔の叩き売り状態かも。
ふと視線を感じて横を見るとリキッドがまたこっちを馬鹿面下げて見ていた。
「さっきから何見てんだよ、それ洗って切るんだろ?貸せよ、俺が洗う」
「あっ、ハイ!」
「オマエ大丈夫か?さっきからボーっとしっぱなしじゃないか。まだ眠いのか?」
「いえ、そんなことないっす!」
返事だけはいいだけどなぁ、コイツ大丈夫か?
素直なのもいい事だが、心配を覚えた。こいつ一人で大丈夫なのか?まぁいいけどよ。
いつまでこの状況なのかも分からないのだ。
今度はいつ別れが来ても後悔のない様、ここでの時間を大切にしよう。
H18.11.5
|単発| |女体化| |リキシンお題| |シン受けお題| |キンシンお題|
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アレからいつも夢を見た。
抜けるような青空とまるで切り取ったような白い雲。
こちらでは人工的にしかないようなごみひとつ落ちていない白い砂浜と、地平線まで見渡せる決して荒れることのないグラデーションを描いた青い海。
だが今はどうだろう。
好きではないがすっかり定位置となってしまった総帥室の椅子の感触。
常に隣にいる同じ気配を持つ片割れ。通信が入り、真っ先に向かう艦。
あちらの事が気になって、仕方ない。
結局はないもの強請りか……自然とため息がこぼれた。
腕には暖かい感触。
目を開けるとパプワとチャッピーが隣で眠っている。
口を開けば小憎たらしいことばかりでちっとも子供らしくないが眠っているときは歳相応の可愛らしい少年の顔だ。
『いっぱいいっぱい焦っていーんだぞ』
あちらの光景とパプワの大人びた表情が重なる。
パプワにはいつまで経っても敵わない。なんでパプワには全部バレちまうんだろうなぁ。
あれから俺も少しはパプワに胸張って会える様に、と信じる道を突っ走って来たつもりなんだが。
……本当に10歳なのかコイツは、とそっと腕を動かし柔らかそうな頬っぺたをつんとつつく。
起きていたら子供扱いするなと跳ね除けられているだろうが、今はすうすうとかすかな寝息をたて気持ちよさそうに眠ったままだ。
――帰ってきた。
そう実感する。初めてコイツと会ったときも俺、焦ってたよなぁ。今回もそうだ。
カッコ悪いところばかり見せてしまう。なさけねぇな。……パプワにカッコ付けても意味ないか。
どうせ繕っていることなんてコイツには一瞬でバレちまうし。直ぐにそう思い直した。
パプワは俺にとっていつまでも特別な存在であり続けるのだろう。
今回こんな事にでもならなければきっと俺はパプワ島には来なかった、いや来れなかっただろう。
目を瞑ってもぬくもりは手を伸ばせばすぐ届く。
人の動く気配がした。そう頭が認識したとたん目が冴えた。
あわてて起き上がるとリキッドが朝食の支度を始めようと台所に立っていた。
行き成り起き上がった俺に驚いたのだろうか、
「あ、すんません、音、ならべく立てないようにしていたんすけど起こしちゃいましたか?」
人のよさそうなお坊ちゃん顔に済まなそうな表情を浮かべていた。
軽く首を振る。コイツも元軍人なら分かるだろう。
「そうっすか。朝食の準備するんでもう少し横になってて下さい」
にかっと笑いながら腕により掛けてつくりますから、と。
パプワが少し身じろぎをした。今のやり取りも小声だったのだが、パプワを起こしてしまっただろうか?
そう思い目を向けたがチャッピーと一緒に仲良くまだ夢の中のようだ。
目が冴えてしまったのでもう一度寝なおす気にはなれない。かと言ってこのままぼーっとしているのもなぁ。
がしがしと頭を掻く。仕方ねぇか。そのまま台所に向かい食材を並べ始めているリキッドの隣に立つ。
なんすか?と言うような目線を向けてくるリキッドに
「手伝ってやるよ」
と声を掛けた。瞬間、ヤツはざっと半身を引き右の手の甲を口元にもっていき怯えをあらわにする。
そんな態度にムッとし
「なんだぁ?その態度は」
「いえ、まさかお姑さんからそんな言葉が出るなんてっ……」
コイツのいい所は自分に素直なことだ。良くも悪くも。そう、良くも悪くも。
思わず目つきが剣呑になった。が、リキッドは何か凶事の前触れ?!とかなんとか言いながらお玉を右手に右往左往。
わたわたと怯えるリキッドを見ていると自然と笑いがこぼれた。
そう、こいつだから番人に選ばれたのだろう。
変な格好で怯えていたリキッドが呆けた様な表情を浮かべヒトの顔をまじまじと凝視していた。
「なんだよ?俺が手伝うって言うのがそんなにオカシイのか?」
そんなに驚かれたり怯えられるたりすると俺がものすごく酷い人間だと言われている様でムカつく。
「いえ、そうじゃないっすっ!」
そんな俺の気配を察知したのだろうかリキッドはあわてたようにぱたぱたと手を振って否定する。
「えっと、じゃあお願いしますっ」
「よし」
最初から素直にそう言えばいいんだよ。久しぶりにパプワに腕を振るえると思うと気合が入る。
見てろよ、アレから料理にはちょっと凝ってたんだ。4年前の俺ではないっ!
パプワの顔を想像すると笑顔が浮かんでしまう。さっきから俺笑顔の叩き売り状態かも。
ふと視線を感じて横を見るとリキッドがまたこっちを馬鹿面下げて見ていた。
「さっきから何見てんだよ、それ洗って切るんだろ?貸せよ、俺が洗う」
「あっ、ハイ!」
「オマエ大丈夫か?さっきからボーっとしっぱなしじゃないか。まだ眠いのか?」
「いえ、そんなことないっす!」
返事だけはいいだけどなぁ、コイツ大丈夫か?
素直なのもいい事だが、心配を覚えた。こいつ一人で大丈夫なのか?まぁいいけどよ。
いつまでこの状況なのかも分からないのだ。
今度はいつ別れが来ても後悔のない様、ここでの時間を大切にしよう。
H18.11.5
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総帥と秘書
「総帥・・・こんなに人形作ってどうするおつもりですか。」
「フフフ・・この際だからシンちゃん人形を1000個作って千羽鶴ならぬ千人シンちゃんを作って
シンちゃんが団に戻ってくるよう願をかけようと思ってね。」
「そんな暇あったら仕事してください。」
「そんなことしたら余計帰ってきませんよ。というか俺だったら絶対帰りません。」
ピタゴラ●イッチの「お父さんスイッチ」。
ということでシンちゃんスイッチを考えてみました。
「シンちゃんスイッチ。
か! かわいくおねだり☆
き! キスしてくれる(パパに)
く! くっつく(パパに)
け! 結婚してくれる(パパと)
こ! 今夜は眠らせ・・」
「オヤジなにその変な箱。」
「これからグンちゃんに作ってもらおうとおもってる素敵発明品のモデルだよ。」
「ふーん。」
「ちょっ、何するのさ!返してよ、パパのだよ!」
「なんか嫌な予感するから没収。」
片思い(キンシン)
俺は恋をしていたんだと思う。
24年間ずっと
俺はそばにいるのに、ずっとお前を見ているのに
お前は俺を見なかったから
いつしかお前を憎むようになったんだ。
やっと俺を見てくれたな、シンタロー。
例の七つの龍の玉のおはなし
「ドラゴン●ールがあったらシンちゃんとキンちゃんは何をお願いする?」
「とりあえず金。金が欲しい。」
「だったらハーレムあの性格を更正してもらって三億円を回収させたほうがいいんじゃないか?」
「何の話をしてるんだい?」
「あ、お父様!」
「もしド●ゴンボールがあったらどんな願いを叶えるかという話をしていたんだ。」
「あんたはどうせロクでもねぇ願いするんだろうな。」
「わかった!『シンちゃんのパンティちょうだい。』っていうんでしょ!」
「そんなことわざわざお願いしなくてもちゃんとコレクションしてるよ。」
「よし、テメェちょっとこっちこい。とりあえずぶっ飛ばしてやる。」
俺しか知らない
シャワーを浴びて部屋に戻ってきたマジックみる。
シャワーでしっとりとした髪の毛が肌に張り付いている。
いつもは後ろになで付けている金色が前に降りているのがなんだかいつもと違った雰囲気で、ちょっとドキドキする。
こっちがみてるのに気づいて嬉しそうに笑いやがった。
すんげぇムカついいた
けど
もうちょっとだけ、見ていたいと思った。
ストロベリー オン ザ バースデーケーキ
もう既に、マジックの半生にはシンタローがいる。
そして誕生日を迎えるごとにマジックの人生の中でシンタローがいる時間が増えていく。
「それってすごく素敵なことだと思わない?」
ばかやろう。
俺の人生には一度だって、あんたがいなかったことなんてなかったじゃねえか。
シンタローはそう思いながらケーキの上のイチゴにフォークを突き刺した。
パイナップルの秘密
「よぉ、なんだてめぇがキンタローの髪切ったんだってな」
「ええ、だいぶうっとおしそうになさってましたから。」
「あの髪型はわざとか?趣味悪ぃにもほどがあるぜ。」
「偶然ですよ。シンタロー様もマジック様に髪を切ってもらってましたよ。南国暮らしは髪に悪いですからね。」
「ハーレム、あなたも手入れはしてるんですか?見苦しいですよ。いい年して。」
「そういやぁ、俺もしばらくなんもかまってなかったぜ。ちょうどいい、お前切れよ。」
「・・・しょうがありませんね。まぁ見苦しいよりはマシですし。」
数時間後、眼魔砲の轟音と、仕返しとばかりにばっさり髪を切られた高松の姿が会ったとさ。
BACK
覇王への道 続き
覇王への道三部作として先駆けて発売された第一章幼少版。
秋葉原でも長蛇の列が出来、発売開始後数時間で売り切れとなり、売場内は買いそびれた客によって暴動が起きる程であった。
プレイヤ─からの質問。
Mさん(仮名)
「ステータス画面のパラメータの中に覇王度、鬼畜度、変態度、道徳心ってあるんだけどどうやったら上がって、何に使うんだべ?」
「え~と。覇王度は侵略の成績とかで影響をうけま~す。少ない損害で敵をやっつけたりするとあがるよ。
下がり過ぎると他国に侵略されてゲームオーバーになるよ。鬼畜度は敵の捕虜を殺すかどうかの選択や部下との会話中の選択肢で変化します。高いと部下が言うことを聞きやすい反面あまり会話が発展しないから起こらなくなるイベントもあります。
息子の世話をすると少し下がるみたい。意外な効果もあるみたいだよ。変態度とは主に育児中に変化します。
お風呂にいれる時にどこを触るかとかシンちゃん愛息子との会話選択肢で変わるよ。
道徳心はあらゆる場面で変動します。あるいみ一番大事なパラメータだよ。」
Aさん(仮名)
「…幼少版の時点で息子はんに…て…手はだせるんどすか?」
「だせます。パラメータが一定条件を満たせば可能です。パラメータ内容と年齢に応じたプレイができます。
道徳心を下げるとより低い年齢から悪戯ができるようですね。
身内にバレるととめられますし、あまりやりすぎると息子との関係がムチャクチャになりますよ。
っていうか18禁ゲームなんですから当たり前でしょ。」
Lさん(仮名)
「EDは全部でいくつあるんスか?」
「強制エンドが4種類(侵略、虐待、暗殺、逆襲)と無事12才まで育った時のエンドが20種ありま~す。」
2004/
BACK
『覇王への道~パパ大好きっていってよ』
幼少版
家族の死を乗り越え、過酷な総帥としての責務に追われる日々…しかしそれを救うかのように私のまえに黒髪の天使が舞い降りた…
プレイヤ─は育児をこなしながら激戦となっているN国との戦争に勝利しなければなりません。
シンちゃん愛息子の世話をすると家事レベルが上がります。
調理レベル…子供に優しいメニュー作りを。レベルがあがるとカレーのスパイスや材料が増えます。
裁縫レベル…エプロンやぞうきんをつくったりレベルがあがると愛息子の人形なども
記録レベル…ビデオカメラから写真、記念品に至るまですべてを記録。
ほかにも沢山の家事が…
しかしあまり息子の世話ばかりしていると他国に侵略されてしまいます。
適度に作戦指示や遠征をこなしエリアを占拠しながら敵の将軍を倒します。
あまりに戦争しすぎるとかまってもらえない息子に嫌われてしまいます。
「…難しい……この俺が、いいかこの俺がシンタローに嫌われるなどあってはならない!」
「え~?やっぱりもうちょっと難易度下げたほうがいいかな~?」
「この手のゲームは攻略本があればOKですから心配いりませんよ。それよりもCGイラストの量を増やしたほうがよいのでは?ゲームが売れるにはそれが不可欠かと思います。」
「う~ん。発売日に間に合うかなぁ~」
「いざとなれば延期しても構いませんよ。」
「これでガンマ団の赤字も解消だね☆」
「……リセットだ…。」
2004/
BACK
25
おやじが写真の整理をするっていうからついでに俺の恥ずかしい昔の写真とか消しちまおうと思って、
そんなつもりで手伝いをしてた。
「これはね、シンちゃんがはじめてプールにいったときの写真だよ。」
うわぁ。
俺ってばちっせえ。つか写してるところ明らかにおかしくないか?
ち…乳首とかひざとか違うだろ、顔をちゃんと写しやがれこの変態め。
とりあえず一発殴って変な写真は没収。
「ああっ。パパの大切な思い出がぁぁぁ」
「シンちゃんの鬼!悪魔!鬼畜!!ドえ…」
ガコッ
成長記録に望ましくない写真でいっぱいなアルバムの角で二発目をおみまいしてやった。
親父が気絶してるいまのうちに変な写真を処分してやるぜっっ
しかしまぁ小さい頃ってのはなんでもはじめてだったりするもんだからとにかく親はビデオとったり写真とったりするんだよナ。
俺だって俺だってコタローが生まれてからは死ぬほど写真とってやったし。
あんただっておぼえてるよな?
目の前の黄色いアルバム。油性のペンで「成長記録コタロー用」って書いてある。
あいつの字。
あまたらしい表紙をそっとめくった。
ああ
よかった。
ちゃんと写真があった。俺のに比べたら、そりゃあ少ないなんてもんじゃないく
らいの数だし、だいたいは俺が撮ったやつだけど。
でもあんた、ちゃんととっててくれたんだな。
親子三人で撮った写真、これ、俺も持ってるぜ。
なんだがホッとして嬉しくて、目がじんわりしてきた。
一番新しいページにはあの島から帰ってきて、みんなで撮った写真があった。
俺とコタローと親父とグンマとキンタローとサービスおじさんとハーレムで、コタローの部屋で撮ったヤツ。
「コタローが起きたら、このアルバムを写真でいっぱいにしなきゃね。」
いつの間にか親父が横からアルバムをのぞいてた。俺の顔は見えてないだろうけど、
目が赤くなってるのを見られるのは恥ずかしいからそのまま写真をみつづけた。
「このアルバムどころか、書斎の本棚いっぱいになるくらい撮ってやるよ。」
「うん、そうだね。」
俺はアルバムを閉じるといそいそと古いアルバムの山をかき分けた。
「ほら、さっさと片づけちまおうぜ。」
古い写真はこれ以上劣化しないようネガをデジタル処理するらしい。古いアルバムからネガを丁寧に取り出してゆく。
あれ?これってもしかして。
見つけたアルバムには「サービス17歳」とかいてある。
思わずガッツポーズ。
親父が自分の保存用に選んだ選りすぐりのサービスおじさんコレクション!!
そこには憧れのおじさんの青年時代の姿があった。
ああっ。やっぱり美しい。
あの親父もこうやって弟の成長を時折アルバムをみて確かめてたのかな。けっこうやるじゃん、アイツ。
ペラペラと一枚一枚目を皿のようにしてみる。たまに仲がよかった(らしい)若い高松とジャンがいる。
へぇ、あのドクターにもこんな時代があったんだな。ジャンの野郎は相変わらずへたれた顔してやがる。
おまえがジャマで麗しいおじさんの顔がみえないじゃないか。まったくもう。
次のページからなにも無い真っ白なページになった。これで終わりか。念のためもう一枚ページをめくった。
そこにあったのは
たくさんの写真。
でもさっきとはうって変わって、そこに写っているのはたったひとり。
たったひとり。
俺と同じ顔の男だけ。
カメラはそいつだけを追いかけるように写してる。
アルバムを持つ手が震えてきた。
体中の血がまたたくまに冷えきっていく。
この写真が誰のものかなんて考えたくなかった。
なんで。
なんで。
なんでだよ。
俺はアルバムを乱暴に閉じるとそのまま部屋をとび出した。
「シンタロー?!」
背後で自分を呼ぶ声に今はもう一秒だって耐えることはできなかった。
どこをどう走ったかわからない。
とにかく遠くへ。
誰もいないところに行きたかった。
気がつけば本邸とはかなりなはれた士官学校の中庭まできていた。
ようやく立ち止まると、近くにあった噴水の縁に腰掛ける。
ああ。
あんたがあのアルバムを開くとき眺めてたのはあの写真なんだな。
手に入らないあの男を、せめて写真だけでも写し取って自分のものにしたかったの?
ああもう。見なきゃよかった。
せっかく忘れかけてたのに。
もう思い出したくなかったのに!
あんたが本当にほしいのは俺じゃないなんて。
今更だと。シンタローは思った。
そんなことはあの島で知っていた。
シンタローは島から帰ってきて以来、夢を見ることがあった。
それは妙にリアルで、どこか懐かしい感じがした。
最初の夢はあの島のような、うっそうとしたジャングルだった。ぐるぐるとまわる視界。
そして最後にうつるのは赤い世界。
三度目に夢を見たときにようやくシンタローはそれが赤の番人であったあの男の記憶なのだとわかった。
夢の中の音声は、壊れたラジオのように時折聴こえては遠くか細くなり、聞き取れるコトバはすくなかったが、
夢の中の男は確かにジャンとよばれていたのだ。
おそらくあの島でジャンと融合しかけたときにジャンの記憶が一部紛れ込んだのだろう。
それが今になって、夢の中で再生されているのだ。
場面は夢を見るたびに時がバラバラで、一瞬で終わることもあれば数か月分を編集したようなものを見たこともあった。
そして、たびたび現れるサービスや高松に混じって、彼も時々現れたのだ。
その夢を見た時は、もはや笑うしかなかった。
どうして一族の証を持ってううまれてこなかった己にこんなにも執着するのか、その答えがやっとわかった。
滑稽で
惨めで
涙を流すことさえ出来なかった。
それでも生きていられたのはあの少年がいたから。果たさねばならない未来をあの少年に誓ったから。
少なくとも、幼い頃の自分への愛情は信じていた。それは父親としてのものであっただろうが、
唯一ジャンにはないものが、自分には親子としての絆があった。
でも、それ以上はきっと全てがジャンに対するものだったのだ。
自分の肩を抱き寄せて、体を小さく丸めた。こうしていないと、壊れてしまいそうだった。
ああやって目の当たりにすると、このままこの世界から消えてしまいたくなる。
さむくてさむくて しんでしまいそうだよ
どれくらいたっただろうか。気づくとあたりは日が落ちかけて、夜の帳がおりるところだった。
突然その場の空気がかわったのがわかった。
周りにあるもの全てが、徐々に近づいて来る存在に支配されていくようだった。
「ずいぶん探したよ。」
「やっとみつけた、わたしのぼうや。」
体を丸めて俯いていたシンタローにも声と気配で目の前にいることがわかった。
「お前が何を思って部屋から出て行ったのかわかっているつもりだよ。」
「きっとお前は私が何を言っても信じてはくれないだろうね。でも言うよ。それでもお前が好きだといいつづけるよ。」
いつもよりもマジックの声は幾分低かった、震えているような気さえした。
まるでとびきりの宝物をだいじにだいじに運び出すように、マジックの口から紡がれた言葉が俺の耳に吸い込まれていく。
「過去を変えることはできないけれど、それでも今この瞬間は、お前を愛してるんだ。」
「いまなら分かるよ。私はずっとお前を探していたんだ。ずっとずっと永い間、お前を、シンタローを探していたんだよ。」
膝をついて、俺の目の前にかがんだマジックが俺を見つめているのを感じた。
俯いているのにマジックの視線が俺の心臓に刺さっているみたいだ。
そして焦がれるようにゆっくりと囁いた。
「ずっと『シンタロー』に遭いたかった。」
そっと、羽毛がすべるようにマジックの指が真っ黒な髪を梳いてゆく。
俺はただその感触が泣きそうな位に心地よくて、今まで必死に抑えていたもののたがが外れてしまって
とうとう泣き出してしまった。
「っく、うっうう。うっく、ひっく、ちくしょ・・・っ」
「うん。」
「ううっ、ば、ば、ばかやっ、ううぅ」
「うん。」
「うっ、うあぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
涙はいっこうにとまらなかった。
そのうち頭が痛くなってきて、泣きつかれてきて、しゃくりあげるのがやっとになって、
ようやく静かになった頃には空は闇に包まれていた。
俺の肩に顔をうずめて、いつのまにか俺はマジックに抱きしめられていた。
「シンちゃん・・・・どうしてもっと早く私の前に現れてくれなかったのさ。
そうしたら私はお前を、一番最初に愛する事が出来たのに。」
「今この瞬間最も愛しているのは『シンタロー』なんだって信じてもらえたのに。」
「ひどいなぁ、シンちゃんは。」
「・・・・・ホント、ひどいよ。」
「ねぇシンちゃん。知ってた?もう十二時を過ぎちゃった。パパ、これで正真正銘50歳だよ。
これ、どういう意味かわかる?」
俺はもう泣きつかれてマジックの話を聞くのがやっとで、考える余裕なんて全然なかった。
「やっと、やっとお前と出逢ってからの人生のほうが長くなったんだよ。」
「これからは歳を重ねるたびにお前と過ごした時間が私の人生の中を占めていくんだ。」
「私から離れないで。どんどん私をシンタローで埋め尽くしてよ。」
「ずっと一緒にいてよ、シンタロー。」
俺は声を出す気力さえ失っていて、
なんとか返事の代わりにマジックの肩に顔を埋めることができた。
涙と鼻水まみれだ、ばかやろう、ざまぁみろ。
やっぱりこいつの全部を信じたわけじゃないし、あんな写真をいまだにとってあるってだけで
全然俺の気持ちなんて分かっちゃいないんだろうけど
それでも
もうあの赤い夢は見ることはないだろうと思ったんだ。
2005/12/12
シンタロー25歳、マジック50歳の冬。
25年というのはマジックがシンタローと出逢うまでの年月であり、この時点でのシンタローの年齢という話。
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