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|単発| |女体化| |リキシンお題| |シン受けお題| |キンシンお題|
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アレからいつも夢を見た。
抜けるような青空とまるで切り取ったような白い雲。
こちらでは人工的にしかないようなごみひとつ落ちていない白い砂浜と、地平線まで見渡せる決して荒れることのないグラデーションを描いた青い海。
だが今はどうだろう。
好きではないがすっかり定位置となってしまった総帥室の椅子の感触。
常に隣にいる同じ気配を持つ片割れ。通信が入り、真っ先に向かう艦。
あちらの事が気になって、仕方ない。
結局はないもの強請りか……自然とため息がこぼれた。
腕には暖かい感触。
目を開けるとパプワとチャッピーが隣で眠っている。
口を開けば小憎たらしいことばかりでちっとも子供らしくないが眠っているときは歳相応の可愛らしい少年の顔だ。
『いっぱいいっぱい焦っていーんだぞ』
あちらの光景とパプワの大人びた表情が重なる。
パプワにはいつまで経っても敵わない。なんでパプワには全部バレちまうんだろうなぁ。
あれから俺も少しはパプワに胸張って会える様に、と信じる道を突っ走って来たつもりなんだが。
……本当に10歳なのかコイツは、とそっと腕を動かし柔らかそうな頬っぺたをつんとつつく。
起きていたら子供扱いするなと跳ね除けられているだろうが、今はすうすうとかすかな寝息をたて気持ちよさそうに眠ったままだ。
――帰ってきた。
そう実感する。初めてコイツと会ったときも俺、焦ってたよなぁ。今回もそうだ。
カッコ悪いところばかり見せてしまう。なさけねぇな。……パプワにカッコ付けても意味ないか。
どうせ繕っていることなんてコイツには一瞬でバレちまうし。直ぐにそう思い直した。
パプワは俺にとっていつまでも特別な存在であり続けるのだろう。
今回こんな事にでもならなければきっと俺はパプワ島には来なかった、いや来れなかっただろう。
目を瞑ってもぬくもりは手を伸ばせばすぐ届く。
人の動く気配がした。そう頭が認識したとたん目が冴えた。
あわてて起き上がるとリキッドが朝食の支度を始めようと台所に立っていた。
行き成り起き上がった俺に驚いたのだろうか、
「あ、すんません、音、ならべく立てないようにしていたんすけど起こしちゃいましたか?」
人のよさそうなお坊ちゃん顔に済まなそうな表情を浮かべていた。
軽く首を振る。コイツも元軍人なら分かるだろう。
「そうっすか。朝食の準備するんでもう少し横になってて下さい」
にかっと笑いながら腕により掛けてつくりますから、と。
パプワが少し身じろぎをした。今のやり取りも小声だったのだが、パプワを起こしてしまっただろうか?
そう思い目を向けたがチャッピーと一緒に仲良くまだ夢の中のようだ。
目が冴えてしまったのでもう一度寝なおす気にはなれない。かと言ってこのままぼーっとしているのもなぁ。
がしがしと頭を掻く。仕方ねぇか。そのまま台所に向かい食材を並べ始めているリキッドの隣に立つ。
なんすか?と言うような目線を向けてくるリキッドに
「手伝ってやるよ」
と声を掛けた。瞬間、ヤツはざっと半身を引き右の手の甲を口元にもっていき怯えをあらわにする。
そんな態度にムッとし
「なんだぁ?その態度は」
「いえ、まさかお姑さんからそんな言葉が出るなんてっ……」
コイツのいい所は自分に素直なことだ。良くも悪くも。そう、良くも悪くも。
思わず目つきが剣呑になった。が、リキッドは何か凶事の前触れ?!とかなんとか言いながらお玉を右手に右往左往。
わたわたと怯えるリキッドを見ていると自然と笑いがこぼれた。
そう、こいつだから番人に選ばれたのだろう。
変な格好で怯えていたリキッドが呆けた様な表情を浮かべヒトの顔をまじまじと凝視していた。
「なんだよ?俺が手伝うって言うのがそんなにオカシイのか?」
そんなに驚かれたり怯えられるたりすると俺がものすごく酷い人間だと言われている様でムカつく。
「いえ、そうじゃないっすっ!」
そんな俺の気配を察知したのだろうかリキッドはあわてたようにぱたぱたと手を振って否定する。
「えっと、じゃあお願いしますっ」
「よし」
最初から素直にそう言えばいいんだよ。久しぶりにパプワに腕を振るえると思うと気合が入る。
見てろよ、アレから料理にはちょっと凝ってたんだ。4年前の俺ではないっ!
パプワの顔を想像すると笑顔が浮かんでしまう。さっきから俺笑顔の叩き売り状態かも。
ふと視線を感じて横を見るとリキッドがまたこっちを馬鹿面下げて見ていた。
「さっきから何見てんだよ、それ洗って切るんだろ?貸せよ、俺が洗う」
「あっ、ハイ!」
「オマエ大丈夫か?さっきからボーっとしっぱなしじゃないか。まだ眠いのか?」
「いえ、そんなことないっす!」
返事だけはいいだけどなぁ、コイツ大丈夫か?
素直なのもいい事だが、心配を覚えた。こいつ一人で大丈夫なのか?まぁいいけどよ。
いつまでこの状況なのかも分からないのだ。
今度はいつ別れが来ても後悔のない様、ここでの時間を大切にしよう。
H18.11.5
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アレからいつも夢を見た。
抜けるような青空とまるで切り取ったような白い雲。
こちらでは人工的にしかないようなごみひとつ落ちていない白い砂浜と、地平線まで見渡せる決して荒れることのないグラデーションを描いた青い海。
だが今はどうだろう。
好きではないがすっかり定位置となってしまった総帥室の椅子の感触。
常に隣にいる同じ気配を持つ片割れ。通信が入り、真っ先に向かう艦。
あちらの事が気になって、仕方ない。
結局はないもの強請りか……自然とため息がこぼれた。
腕には暖かい感触。
目を開けるとパプワとチャッピーが隣で眠っている。
口を開けば小憎たらしいことばかりでちっとも子供らしくないが眠っているときは歳相応の可愛らしい少年の顔だ。
『いっぱいいっぱい焦っていーんだぞ』
あちらの光景とパプワの大人びた表情が重なる。
パプワにはいつまで経っても敵わない。なんでパプワには全部バレちまうんだろうなぁ。
あれから俺も少しはパプワに胸張って会える様に、と信じる道を突っ走って来たつもりなんだが。
……本当に10歳なのかコイツは、とそっと腕を動かし柔らかそうな頬っぺたをつんとつつく。
起きていたら子供扱いするなと跳ね除けられているだろうが、今はすうすうとかすかな寝息をたて気持ちよさそうに眠ったままだ。
――帰ってきた。
そう実感する。初めてコイツと会ったときも俺、焦ってたよなぁ。今回もそうだ。
カッコ悪いところばかり見せてしまう。なさけねぇな。……パプワにカッコ付けても意味ないか。
どうせ繕っていることなんてコイツには一瞬でバレちまうし。直ぐにそう思い直した。
パプワは俺にとっていつまでも特別な存在であり続けるのだろう。
今回こんな事にでもならなければきっと俺はパプワ島には来なかった、いや来れなかっただろう。
目を瞑ってもぬくもりは手を伸ばせばすぐ届く。
人の動く気配がした。そう頭が認識したとたん目が冴えた。
あわてて起き上がるとリキッドが朝食の支度を始めようと台所に立っていた。
行き成り起き上がった俺に驚いたのだろうか、
「あ、すんません、音、ならべく立てないようにしていたんすけど起こしちゃいましたか?」
人のよさそうなお坊ちゃん顔に済まなそうな表情を浮かべていた。
軽く首を振る。コイツも元軍人なら分かるだろう。
「そうっすか。朝食の準備するんでもう少し横になってて下さい」
にかっと笑いながら腕により掛けてつくりますから、と。
パプワが少し身じろぎをした。今のやり取りも小声だったのだが、パプワを起こしてしまっただろうか?
そう思い目を向けたがチャッピーと一緒に仲良くまだ夢の中のようだ。
目が冴えてしまったのでもう一度寝なおす気にはなれない。かと言ってこのままぼーっとしているのもなぁ。
がしがしと頭を掻く。仕方ねぇか。そのまま台所に向かい食材を並べ始めているリキッドの隣に立つ。
なんすか?と言うような目線を向けてくるリキッドに
「手伝ってやるよ」
と声を掛けた。瞬間、ヤツはざっと半身を引き右の手の甲を口元にもっていき怯えをあらわにする。
そんな態度にムッとし
「なんだぁ?その態度は」
「いえ、まさかお姑さんからそんな言葉が出るなんてっ……」
コイツのいい所は自分に素直なことだ。良くも悪くも。そう、良くも悪くも。
思わず目つきが剣呑になった。が、リキッドは何か凶事の前触れ?!とかなんとか言いながらお玉を右手に右往左往。
わたわたと怯えるリキッドを見ていると自然と笑いがこぼれた。
そう、こいつだから番人に選ばれたのだろう。
変な格好で怯えていたリキッドが呆けた様な表情を浮かべヒトの顔をまじまじと凝視していた。
「なんだよ?俺が手伝うって言うのがそんなにオカシイのか?」
そんなに驚かれたり怯えられるたりすると俺がものすごく酷い人間だと言われている様でムカつく。
「いえ、そうじゃないっすっ!」
そんな俺の気配を察知したのだろうかリキッドはあわてたようにぱたぱたと手を振って否定する。
「えっと、じゃあお願いしますっ」
「よし」
最初から素直にそう言えばいいんだよ。久しぶりにパプワに腕を振るえると思うと気合が入る。
見てろよ、アレから料理にはちょっと凝ってたんだ。4年前の俺ではないっ!
パプワの顔を想像すると笑顔が浮かんでしまう。さっきから俺笑顔の叩き売り状態かも。
ふと視線を感じて横を見るとリキッドがまたこっちを馬鹿面下げて見ていた。
「さっきから何見てんだよ、それ洗って切るんだろ?貸せよ、俺が洗う」
「あっ、ハイ!」
「オマエ大丈夫か?さっきからボーっとしっぱなしじゃないか。まだ眠いのか?」
「いえ、そんなことないっす!」
返事だけはいいだけどなぁ、コイツ大丈夫か?
素直なのもいい事だが、心配を覚えた。こいつ一人で大丈夫なのか?まぁいいけどよ。
いつまでこの状況なのかも分からないのだ。
今度はいつ別れが来ても後悔のない様、ここでの時間を大切にしよう。
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