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--------------------------------------------------------------------------------
『新しい体をやろう』
『それは元赤の番人のですからね』
『赤と青の融合体であるお前には期待している』
『どうか、パプワ君の思いを・・・』
『ついでに付け加えると、その方が面白いってこともあるが。
じゃあ、色々頑張れよ~。あ、その体、身体能力が男に劣るけど、
身を守る分、眼魔砲の威力は青の一族最強にしといたから。安心しろよ。』
一面真っ暗な世界。
赤・青の秘石のバカな会話が終わったら現れた光。
あまりの眩しさに目を瞑る。
焼きついている。
もう一度目を開ける。
自室のしみ一つ無い、無機質な天井が見えた。
「あ゛ー、変な夢を見た・・・」
思わず声に出して呟く。
ん?なんだか違和感を覚える。
俺、こんな声だっけ?
直接自分の頭に響く声と、他人が聞く声は違うというが。
俺は今いつもどおりだぞ?
まあ、いいか。とベッドから起き上がり洗面台へと向かう。
鏡には知らない女が映っていた・・・
は?
今俺は鏡の前に立っている。
つまり、鏡に映っている女は俺ってことだ。
OK?うんOK。そんなのあたりまえじゃないか、と頭の中で
勝手に一人会話が進行していく。
間。
あ、無心ってなれるもんなんだなー。
どうしてもほかの事考えちゃうじゃん?普通はさ。
どうやら頭がこの状況を受け入れられないらしい。
うん。そりゃそーだヨ。
取り敢えず、鏡の前で動く。
右手をあごに持っていった。
当然鏡の中の女も同じ動きをした。
あ、髭がまったくないわ。
あんまり毛深くないから一日ぐらいほっといてもそんな目立たないんだけど、
やっぱ感触が気持ち悪いからさ。
今日は剃らなくていいみたいだ。うん。楽でイイワ。
どーしても現実から、それていく。
今度は、自分の胸を見てみた。
なんか、膨らみが出来てるわ。
・・・。やっぱまだ寝ぼけてるのかなー。
トイレにでも行って来よう
ドアを開き、中に入る。
ドアを閉じる。
スエットをおろす。
・・・・。
・・・・・・・・。
「あ゛ーーーーーーーーーっっ!!!」
ガンマ団本部とは違い、自宅は親子喧嘩で乱発する眼魔砲対策のため強度重視のため
防音処理は特にしていない。
そのため普通の住宅よりは、音は漏れにくくなっているが、アレだけの大声を出せば
家中に響いたであろう。
2つの物凄い足音が聞こえる。
「シンちゃん!」
「シンタロー、どうした!?」
シンタローの叫び声を聴き、駆けつけた父親と従兄弟。
父親といってもシンタロー自身は青の秘石から作られたので血のつながりは全く無い。
従兄弟もしかり。
パプワ島では色々あったが、元は同じ存在。愛憎は紙一重。
最近は何故かシンタローになついていた。
2人がシンタローの部屋で、見たのはシンタローの面影を残した、妙齢の美女だった
長く艶やかな黒髪。切れ長の眼。
「「・・・・・・・・」」
「シンちゃん?」
「シンタロー?」
「と、父さん・・・。キンタロー・・・・・。なんだか、俺、女になったみたいだわ。」
「シ、シンちゃーんvvv」
シンタローに突進するマジック。
我を失っているため、避けきれずにそのままマジックに抱きしめられる。
と、なるハズだったか、女の身ではマジックの勢いを受け止めきれずに後ろのベッドへと二人とも倒れこむ。
「ぐえっ」
潰れるシンタローには気づかず、
「シンちゃん、シンちゃんは女の子だっただね!パパ知らなかったよ!!
これで、パパと思う世間に堂々と存分に愛し合えるね!」
「叔父貴。シンタローが潰れている。それにいつも外聞関係なくシンタローに抱きついているじゃないか。」
どいてやれ。っとマジックの腕をつかみシンタローから離す。
「で、シンちゃん。なにがあったの?」
マジックに問われ、昨夜見た夢を話す。
アレしか原因がないと。
「秘石も粋な事してくれるねぇ。」
「人の一大事を『粋な事』で済ますなっ」
「でも、女になったからと言って困ることもあるまい。
弱くなった分、眼魔砲の威力は上げる、といったんだろう?
実際に女になっているわけだし、威力も大丈夫だろう。
女で総帥と舐められる事もあるまい。お前に適うヤツがいないんだからな。」
だから、そのままでいいじゃないか。
頼みの綱であるキンタローもマジックと同意見だ。
「いま慌てたところで事実が変わるわけではない。
とりあえず、今の服装を何とかした方がいいぞ。」
キンタローに言われ、ハタと自分を見下ろしてみる。
南国暮らしから愛用している、タンクトップとスエット。
もとの体と大きく異なる所為で、胸が丸見えだった。
「・・・。」
男だったら別に上半身裸、はよくあることだろう。
昨日まで、男だったシンタローにはなんのリアクションもなかった。
ただ、新たに出来た谷間を俯いて見ていただけだった。
「シ、シンちゃん。パパとしてはちょっとは恥らって欲しいかなぁ~なんて。」
ぴくっとシンタローの耳が反応する。
「親父とキンタロー相手に何を恥らうんだよ。てーか恥らうってなに?」
「恥らう、というのはだな・・・」
とキンタローが薀蓄を始める。
「よし、パパが買ってきてあげるよ。シンちゃんならきっと何でも可愛いよ。」
「キンちゃんはどんな服がシンちゃんに似合うと思う?」
「やはり、和服だと思うぞ。」
常人ならば絶対に起こりえない事態に対し、
二人は嬉々としてシンタローの服について語っている。
何故、こんなに嬉しそうなのだろうか、と思う。
なんか色々嫌な事が脳裏によぎる。
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
そのあまりのリアルさに目の前が真っ暗になる。
「シンちゃん?」
「シンタロー?」
最後にマジックとキンタローの声が聞こえたような気がする。
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バカ秘石共の所為でこんなになってしまってから、早数日。
あいつ等が夢に出てきたのはあれ一度きりだ。
どうやらもうこのままの性別でこれからの人生を過ごすことになりそうだ。
コタロー目ぇ覚ましたら吃驚するだろーナ。
俺だって未だに信じられない。
親父やキンタロー、グンマあたりはなんの違和感もなく
むしろ嬉々として受け入れてくれているがコタローはどうだろうか?
性別うんぬんより、俺の事を家族として受け入れてくれるのだろうか?
そんな不安が頭をもたげる。
つい先日ガンマ団の幹部を招集して今後の方針と親父の引退、俺が引き継ぐ事を発表したばかりだ。
そのすぐ後にこのザマだ。どうせ面白おかしく俺の体取り替えるんだったらもうちょっと
早くしろってんだよ。秘石共。
他の団員たちにも説明しないとな。泣く子も黙るガンマ団の総帥が女で大丈夫だろうか?
ああ、頭が痛くなるような事が山盛りだ。
『とりあえずシンちゃんのお披露目会を催さなくっちゃね。
まずは幹部に挨拶だね。その後しばらくしてから、全団員の前で挨拶にしようか。
それまでのお仕事はパパに任せてよ。行き成りその格好で歩いていたら皆ビックリしちゃうでしょ?
シンちゃんの就任がちょっと先送りになっただけだし、大丈夫、こう見えたってパパはまだまだ現役だよ。』
マジックの尤もな忠告に従い、暫くは休みを貰った。
自宅に居ても暇だし、体を慣らそうにもキンタローは親父の補佐というか
見学に行っているので相手が居ない。
この姿ではあまりうろうろ出来ない。場所は限られる。
自然、グンマの研究室へと足が向かう。
「ああ、いらっしゃいシンちゃん。ちょっと待っててね。いまお茶用意するから。」
とグンマが向かっていたディスプレイから目を離し、答える。
この個室の研究室は何日間も篭れるように、台所などの一通りのものは全て揃っている。
「まあ、そこに座って。」
グンマの趣味らしいガーデニングで庭に置くような愛らしい花柄の椅子の方を指差す。
程なく用意された2つのお茶。
「シンちゃんホントに女の人になっちゃったんだね~」
俺を見ながらシミジミと呟く。
「ああ、信じられあいことにな。」
そんな事をつらつらと話し合っていた。
グンマとのまったりと流れる時間に気を許し、つい先ほどの不安を口にしてしまう。
「心配ないよぉ。シンちゃんは影の異名が『男殺し』『女殺し』だもん。
きっと女性になっても異性・同性からモッテモテだよ!
特に男性からはすごいだろーね。只でさえここには女の人居ないしねー。
安心してね、僕らもちゃんとシンちゃんのこと守るよ!」
などとグンマが無責任かつ嬉しそうに励ましてくれた。
あまり励ましになってないよーな気がするが、グンマの無邪気な顔を見ていると幾分か和む。
そう思いつつ紅茶が入ったカップを傾ける。
「それにさ~、これでおとーさまと結婚できるじゃない?」
「ブハッ」
飲んでいた紅茶を噴出す。
「な、何を言い出すんだ!オマエはっ!」
「え~、だってシンちゃんブラコンだけど重度のファザコンでもあるでしょ?
今までこうして頑張ってきたのもおとーさまに認めてもらいたいからでしょ?」
サラサラとカールされた金髪を揺らし、可愛らしく小首を傾げながら俺に向かって聞いてきた。
疑問系を用いているがこれは確実に確認だ。
ぐっと言葉に詰まる。
畳み掛けるようにグンマが言葉を連ねる。
「シンちゃんはさ、おとーさまが本当のお父さまじゃないことがショックだったみたいだけど、
もうちょっと前向きにとりなよ。どうしてだか、おとーさまのことになると弱気になっちゃうみたいだけどさ。」
思わず目を見開く。あのぼんやりおっとりした、頭に鳩を飼っているグンマに見抜かれていたとは。
そんな俺の反応を見てか、
「コレでもずっとシンちゃんと一緒だったんだからね。バカにしないでよ。」
照れたような、拗ねたような口調で言う。
「だからさ。きっと女性になったのだって秘石からの贈り物だよ。
別に同性に偏見は無いけれど、異性の方が望ましいと思うし。」
それに、と言葉を続ける。
「シンちゃんの一番が僕じゃないのはちょっと悲しいけど、これからも仲の良い従兄弟でいてね。」
「グンマ・・・」
「あ、でもシンちゃんがおとーさまのお嫁さんになったら、僕のおかーさま?」
それは嫌かも、と冗談交じりに呟くグンマの頭を軽く小突く。
「もぅ、止めてよシンちゃん。」
とグンマが俺の手を払いのける。
「茶ぁ、ご馳走様。俺もう行くわ。」
そう言い立ち上がる。
「うん。また何時でも来てね~。シンちゃんなら大歓迎だよ。」
グンマがにこりと応じてくれた。
「サンキュ、グンマ。」
気恥ずかしいから、去り際に背を向けて小声で言う。
「どういたしまして。」
ドアが閉まる直前、グンマの声が聞こえた。
何だか吹っ切れたような気がする。
H16.4.21
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じゃあ、色々頑張れよ~。あ、その体、身体能力が男に劣るけど、
身を守る分、眼魔砲の威力は青の一族最強にしといたから。安心しろよ。』
一面真っ暗な世界。
赤・青の秘石のバカな会話が終わったら現れた光。
あまりの眩しさに目を瞑る。
焼きついている。
もう一度目を開ける。
自室のしみ一つ無い、無機質な天井が見えた。
「あ゛ー、変な夢を見た・・・」
思わず声に出して呟く。
ん?なんだか違和感を覚える。
俺、こんな声だっけ?
直接自分の頭に響く声と、他人が聞く声は違うというが。
俺は今いつもどおりだぞ?
まあ、いいか。とベッドから起き上がり洗面台へと向かう。
鏡には知らない女が映っていた・・・
は?
今俺は鏡の前に立っている。
つまり、鏡に映っている女は俺ってことだ。
OK?うんOK。そんなのあたりまえじゃないか、と頭の中で
勝手に一人会話が進行していく。
間。
あ、無心ってなれるもんなんだなー。
どうしてもほかの事考えちゃうじゃん?普通はさ。
どうやら頭がこの状況を受け入れられないらしい。
うん。そりゃそーだヨ。
取り敢えず、鏡の前で動く。
右手をあごに持っていった。
当然鏡の中の女も同じ動きをした。
あ、髭がまったくないわ。
あんまり毛深くないから一日ぐらいほっといてもそんな目立たないんだけど、
やっぱ感触が気持ち悪いからさ。
今日は剃らなくていいみたいだ。うん。楽でイイワ。
どーしても現実から、それていく。
今度は、自分の胸を見てみた。
なんか、膨らみが出来てるわ。
・・・。やっぱまだ寝ぼけてるのかなー。
トイレにでも行って来よう
ドアを開き、中に入る。
ドアを閉じる。
スエットをおろす。
・・・・。
・・・・・・・・。
「あ゛ーーーーーーーーーっっ!!!」
ガンマ団本部とは違い、自宅は親子喧嘩で乱発する眼魔砲対策のため強度重視のため
防音処理は特にしていない。
そのため普通の住宅よりは、音は漏れにくくなっているが、アレだけの大声を出せば
家中に響いたであろう。
2つの物凄い足音が聞こえる。
「シンちゃん!」
「シンタロー、どうした!?」
シンタローの叫び声を聴き、駆けつけた父親と従兄弟。
父親といってもシンタロー自身は青の秘石から作られたので血のつながりは全く無い。
従兄弟もしかり。
パプワ島では色々あったが、元は同じ存在。愛憎は紙一重。
最近は何故かシンタローになついていた。
2人がシンタローの部屋で、見たのはシンタローの面影を残した、妙齢の美女だった
長く艶やかな黒髪。切れ長の眼。
「「・・・・・・・・」」
「シンちゃん?」
「シンタロー?」
「と、父さん・・・。キンタロー・・・・・。なんだか、俺、女になったみたいだわ。」
「シ、シンちゃーんvvv」
シンタローに突進するマジック。
我を失っているため、避けきれずにそのままマジックに抱きしめられる。
と、なるハズだったか、女の身ではマジックの勢いを受け止めきれずに後ろのベッドへと二人とも倒れこむ。
「ぐえっ」
潰れるシンタローには気づかず、
「シンちゃん、シンちゃんは女の子だっただね!パパ知らなかったよ!!
これで、パパと思う世間に堂々と存分に愛し合えるね!」
「叔父貴。シンタローが潰れている。それにいつも外聞関係なくシンタローに抱きついているじゃないか。」
どいてやれ。っとマジックの腕をつかみシンタローから離す。
「で、シンちゃん。なにがあったの?」
マジックに問われ、昨夜見た夢を話す。
アレしか原因がないと。
「秘石も粋な事してくれるねぇ。」
「人の一大事を『粋な事』で済ますなっ」
「でも、女になったからと言って困ることもあるまい。
弱くなった分、眼魔砲の威力は上げる、といったんだろう?
実際に女になっているわけだし、威力も大丈夫だろう。
女で総帥と舐められる事もあるまい。お前に適うヤツがいないんだからな。」
だから、そのままでいいじゃないか。
頼みの綱であるキンタローもマジックと同意見だ。
「いま慌てたところで事実が変わるわけではない。
とりあえず、今の服装を何とかした方がいいぞ。」
キンタローに言われ、ハタと自分を見下ろしてみる。
南国暮らしから愛用している、タンクトップとスエット。
もとの体と大きく異なる所為で、胸が丸見えだった。
「・・・。」
男だったら別に上半身裸、はよくあることだろう。
昨日まで、男だったシンタローにはなんのリアクションもなかった。
ただ、新たに出来た谷間を俯いて見ていただけだった。
「シ、シンちゃん。パパとしてはちょっとは恥らって欲しいかなぁ~なんて。」
ぴくっとシンタローの耳が反応する。
「親父とキンタロー相手に何を恥らうんだよ。てーか恥らうってなに?」
「恥らう、というのはだな・・・」
とキンタローが薀蓄を始める。
「よし、パパが買ってきてあげるよ。シンちゃんならきっと何でも可愛いよ。」
「キンちゃんはどんな服がシンちゃんに似合うと思う?」
「やはり、和服だと思うぞ。」
常人ならば絶対に起こりえない事態に対し、
二人は嬉々としてシンタローの服について語っている。
何故、こんなに嬉しそうなのだろうか、と思う。
なんか色々嫌な事が脳裏によぎる。
・・・・
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そのあまりのリアルさに目の前が真っ暗になる。
「シンちゃん?」
「シンタロー?」
最後にマジックとキンタローの声が聞こえたような気がする。
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あいつ等が夢に出てきたのはあれ一度きりだ。
どうやらもうこのままの性別でこれからの人生を過ごすことになりそうだ。
コタロー目ぇ覚ましたら吃驚するだろーナ。
俺だって未だに信じられない。
親父やキンタロー、グンマあたりはなんの違和感もなく
むしろ嬉々として受け入れてくれているがコタローはどうだろうか?
性別うんぬんより、俺の事を家族として受け入れてくれるのだろうか?
そんな不安が頭をもたげる。
つい先日ガンマ団の幹部を招集して今後の方針と親父の引退、俺が引き継ぐ事を発表したばかりだ。
そのすぐ後にこのザマだ。どうせ面白おかしく俺の体取り替えるんだったらもうちょっと
早くしろってんだよ。秘石共。
他の団員たちにも説明しないとな。泣く子も黙るガンマ団の総帥が女で大丈夫だろうか?
ああ、頭が痛くなるような事が山盛りだ。
『とりあえずシンちゃんのお披露目会を催さなくっちゃね。
まずは幹部に挨拶だね。その後しばらくしてから、全団員の前で挨拶にしようか。
それまでのお仕事はパパに任せてよ。行き成りその格好で歩いていたら皆ビックリしちゃうでしょ?
シンちゃんの就任がちょっと先送りになっただけだし、大丈夫、こう見えたってパパはまだまだ現役だよ。』
マジックの尤もな忠告に従い、暫くは休みを貰った。
自宅に居ても暇だし、体を慣らそうにもキンタローは親父の補佐というか
見学に行っているので相手が居ない。
この姿ではあまりうろうろ出来ない。場所は限られる。
自然、グンマの研究室へと足が向かう。
「ああ、いらっしゃいシンちゃん。ちょっと待っててね。いまお茶用意するから。」
とグンマが向かっていたディスプレイから目を離し、答える。
この個室の研究室は何日間も篭れるように、台所などの一通りのものは全て揃っている。
「まあ、そこに座って。」
グンマの趣味らしいガーデニングで庭に置くような愛らしい花柄の椅子の方を指差す。
程なく用意された2つのお茶。
「シンちゃんホントに女の人になっちゃったんだね~」
俺を見ながらシミジミと呟く。
「ああ、信じられあいことにな。」
そんな事をつらつらと話し合っていた。
グンマとのまったりと流れる時間に気を許し、つい先ほどの不安を口にしてしまう。
「心配ないよぉ。シンちゃんは影の異名が『男殺し』『女殺し』だもん。
きっと女性になっても異性・同性からモッテモテだよ!
特に男性からはすごいだろーね。只でさえここには女の人居ないしねー。
安心してね、僕らもちゃんとシンちゃんのこと守るよ!」
などとグンマが無責任かつ嬉しそうに励ましてくれた。
あまり励ましになってないよーな気がするが、グンマの無邪気な顔を見ていると幾分か和む。
そう思いつつ紅茶が入ったカップを傾ける。
「それにさ~、これでおとーさまと結婚できるじゃない?」
「ブハッ」
飲んでいた紅茶を噴出す。
「な、何を言い出すんだ!オマエはっ!」
「え~、だってシンちゃんブラコンだけど重度のファザコンでもあるでしょ?
今までこうして頑張ってきたのもおとーさまに認めてもらいたいからでしょ?」
サラサラとカールされた金髪を揺らし、可愛らしく小首を傾げながら俺に向かって聞いてきた。
疑問系を用いているがこれは確実に確認だ。
ぐっと言葉に詰まる。
畳み掛けるようにグンマが言葉を連ねる。
「シンちゃんはさ、おとーさまが本当のお父さまじゃないことがショックだったみたいだけど、
もうちょっと前向きにとりなよ。どうしてだか、おとーさまのことになると弱気になっちゃうみたいだけどさ。」
思わず目を見開く。あのぼんやりおっとりした、頭に鳩を飼っているグンマに見抜かれていたとは。
そんな俺の反応を見てか、
「コレでもずっとシンちゃんと一緒だったんだからね。バカにしないでよ。」
照れたような、拗ねたような口調で言う。
「だからさ。きっと女性になったのだって秘石からの贈り物だよ。
別に同性に偏見は無いけれど、異性の方が望ましいと思うし。」
それに、と言葉を続ける。
「シンちゃんの一番が僕じゃないのはちょっと悲しいけど、これからも仲の良い従兄弟でいてね。」
「グンマ・・・」
「あ、でもシンちゃんがおとーさまのお嫁さんになったら、僕のおかーさま?」
それは嫌かも、と冗談交じりに呟くグンマの頭を軽く小突く。
「もぅ、止めてよシンちゃん。」
とグンマが俺の手を払いのける。
「茶ぁ、ご馳走様。俺もう行くわ。」
そう言い立ち上がる。
「うん。また何時でも来てね~。シンちゃんなら大歓迎だよ。」
グンマがにこりと応じてくれた。
「サンキュ、グンマ。」
気恥ずかしいから、去り際に背を向けて小声で言う。
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