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~ある日の従兄弟達~

グ「そういえば昔、究極の選択ってやつが流行ったよねー」

キ「究極の…?何だそれは?」

シ「あー、懐かしいなそれ。カレー味のウンコかウンコ味のカレーかってやつだろ」

グ「それそれ!あれってついどっちか選んじゃうんだよね」

シ「たしかにな、どっちも最悪なのによ」

キ「……なら、シンタロー俺を“ダーリン”と呼ぶか俺に“ハニー”と呼ばれるかどっちか選べ」

シ「…う、うーん(悩み中)」

グ「シンちゃん。それ、騙されてるよ」


 ・終・

うっかり引っ掛かっちゃうシンちゃん。二択にされちゃうとついつい選んでしまうから不思議。


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~マジックとお守り~

マ「シーンーちゃん。手、出してごらん」

シ「ぁん?何だよ糞親父」

マ「もー、シンちゃんったら相変わらず冷たいんだからー。はい、これ。シンちゃんにあげるよ」

シ「ん?…何だ、これは?」

マ「何って見てのどおり“お守り”だよ」

シ「はぁ、お守りかよ。何でまたこんなもん…」

マ「シンちゃんがいつも元気で安全にいますように、ってね。だってシンちゃん自分が総帥だからっていっつも無理ばっかするでしょ?だから気休めだけどお守り。体調に気を付けてって言っても聞かないんだからこれぐらいは許してよね?」

シ「……ん、まぁ、仕方ねぇから貰ってやるよ」

マ「ふふ、ありがとうシンちゃん」

シ「ばっ、何で親父が礼を言―――って、これ!よく見たら安産のお守りじゃねぇかっ!!」

マ「えっ、なになに?パパ何か間違えた?」

シ「おもっくそ大間違いだこのくそボケヤローがぁぁぁ!!」


 ・終・

マジックパパはシンちゃんはいつか自分の子を産んでくれると本気で思っています。


--------------------------------------------------------------------------------

~今日は何の日いい歯の日~

キ「今日は、11月8日か」

シ「ん、あぁ、そうだな」

キ「いい歯の日、だ」

シ「………へ、へぇー…」

キ「…そういうわけで、シンタロー」

シ「え、なにがだよ」

キ「いい歯の日、だから今日は特に歯を大事にしないといけない」

シ「あ、あぁ、そうだな」

キ「だからだな、シンタロー。お前の歯を俺がしっかり磨くぞ。いいか、この俺がお前の歯――」

シ「二度言わんでいい!つか、そんな事しなくていいから!歯磨きくらい自分でできるって!」

キ「何を言うシンタロー。自分では磨けていないところも意外とあるんだぞ。だから自分で磨いた後は、母親にチェックしてもらって再度磨いてもらっているんだ。ましてお前はずぼらだから俺がしっかりと磨いてやるぞ」

シ「それは子供の話だろうがー!!俺は27歳なんだぜ!そんな恥ずかしいことできるかっ!」

キ「む、今日はただのゴロ合わせだとしても、いい歯の日なんだ。だからしっかり磨かなくていけない。ほら、こっちに来いシンタロー」

シ「人の話を聞けキンタロー!って、お前!なんで俺の歯ブラシ手に持って準備してんだよ!しかも歯磨き粉はイチゴ味かよっ!!」

キ「往生際が悪いぞシンタロー。いい加減に上向きで寝て口を開けるんだ。俺が奥歯や歯の裏も磨いてやる。それとも歯磨き粉はメロン味がよかったのか?」

シ「いやいやいや、よくねーよ!だから27にもなってそんな事したくねーって言ってんだ!って、キン!歯ブラシ持って迫ってくんな!ちょっ、誰かこいつを止め…ギャーー!!」


 ・終・

仕事以外では空回りしているキンにきゅんときます。


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~節分なんですそうなんです~

マ「あ、シンちゃん。今日は節分だよ!」

シ「ん、そうだな」

マ「そういえばシンちゃんってあれ好きだよね」

シ「あぁ?あれってなんだよ。豆は嫌いじゃないけどさ」
マ「ほら、あれだよ。黒くて太くて長いの」

シ「……って、なっ!おまっ、何言ってんだ馬鹿っ!!」

マ「あれー、何でシンちゃん顔赤くなってんの?節分の黒くて太くて長いのってもちろん恵方巻のことじゃない」

シ「!?な、な…っ!!!」

マ「あ、もしかしてシンちゃん他のこと考えた?わー、シンちゃんや――」

  ドゴッ!!

マ「ぐふぅっ。シ、シンちゃん…照れ隠しするのは可愛いけれど、全力満開で肘打ちするのはパパもさすがにこたえるから」

シ「う、うっさい!ボケっ!」

  ドスンッ!!!

マ「ごふっ。もうシンちゃんったら可愛いなぁ。はははは」




キ「…グンマ。伯父貴がみるみるうちに血で赤く染まっていくが、助けなくていいのか?」

グ「んー、いいんじゃない?なんだかんだでおとーさまもシンちゃんに構ってもらえて喜んでるみたいだし」

キ「……そうか」


 ・終・

マジックパパは確信犯。
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お菓子をあげる!



「……あの」

恐る恐る、と言った風に口を開いたのは成人になるかならないかというぐらいの青年だった。
その前に立っていた男はちらりと視線を向けて何だと促す。
青と赤、違う色形だが同じGの文字を背負う制服に身を包む二人は、大きく捉えれば同じ組織の人間だ。
だが決定的な違いがある。それこそ天と地ほどの、だ。
そのはずの二人が、今は通路で向き合って立っていた。

「あ、あのう…総帥」

青年はもう一度問掛ける。
総帥と呼ばれた男はそれに、だから何だと今度は言葉にして返した。
青年はというと、目を右へ左へときょろきょろと動かしながら次の言葉を探している。
そのまましばらくあ、とかう、とか言葉を洩らしながら口を閉開させていたが、覚悟を決めたのか青年は一度呼吸を整えると、意見を述べるべく口を開いた。

「お、恐れ多いながら発言させていただきますが…こちらは、何でしょうか」

これ、と指したのは先程目の前の人物に手渡された物。
それは何かと言うと、シンプルだが綺麗にラッピングされたクッキーだ。
なぜそれが青年の手にあるかと言うと、これまでの経緯を数分前に遡る必要がある。

青年は頼まれた資料をある部署に届けるため、今では幾分慣れてきた通路をいつも通りに歩いていた。
そうしたら背後から急においと呼び止められ、青年が振り向けばその先に総帥がいたのだ。
はっ、として青年が挨拶をし頭を下げようとするが、それよりも先に手を出せと要求をされる。
その言葉のまま遠慮がちに手を差し出せば…渡されたのだ。これを。
そして今に至るわけだ。
だがなぜこれが自分に、しかもこのような方から手渡されたのだろうか。
分からない。
分からない、というか想像もつかない。
だから青年はこれは何かと聞いた。
いや、これがクッキーということは分かる。
そういうことではなく、それが自分の手の上に置かれている現状が分からないのだ。
しかし青年はそれを聞いたことを次の瞬間には後悔した。
赤い服の男が、この団の最高地位者が、その眉間にぐっと皺を寄せたからだ。
青年は自分の顔からさっと血が引いていくのが分かった。
もしかしたら自分は失礼な言い方をしてしまったのかもしれない!
それとも何かの地雷を踏んでしまったのか!
青年は頭の中でぐるぐるとその原因を考えようとした。
だがそれもすぐに真っ白になってしまい、代わりに冷や汗がだらだらと流れる。
対して男はというと、かちんこちんに固まってしまった青年の様子を目にして眉間の皺をといていた。
その代わりにぽかんと、どうしたんだこいつ?というような表情でもって青年を見ている。
しばらく固まった様子を(固まってはいるが冷や汗がだらだらと流れていてそのまま溶けてしまいそうだ)見ていたが、その理由に何か合点がいったようでああ、と声を洩らした。

「そうか、お前まだ一年目か」

男の発言を耳にした青年はハッとして、真っ白だった思考から一気に我に帰ってきた。
慌てて視線を目の前の赤い人物へと向ける。
先程の発言に「何が」とは含まれていなかったが、その主語が何かは青年にも伝わったようで急いで返答するべく口を開いた。

「あ、はい!今年入隊しました!」

「だからか、なるほどな」

青年の慌ただしい発言を聞いて男はうんうんと納得していた。
だが、今度は青年がぽかんとしている。
「何が」なるほどなのかが分からないからだ。
じっと赤い男の黒い目を伺うように見る。
おそらくこれは無意識に、その意味を知ろうとしているからの行動だろう。
でなければこの青年にとってこのような恐れ多いことはできやしない。
その視線に気付いた男は、実はなと話しを切り出してきた。

「俺はてっきりこのクッキーが何なのかって聞かれたんだと思ってよ。俺はクッキーのつもりで作ったのに、そうとは見えないぐらいの出来になっちまったのかなーって考えてたんだが…」

「そ、そんなことはありません!これほど素晴らしい焼き菓子はありませんよ!」

男がそこまで言ったところで、青年はとっさにそれを否定した。
これをないがしろにしてはいけない気がしたからだ。
だが実際に手元を見てみると、渡された当初は頭が混乱していて翌々見ることが出来なかったが、そこには実に美味しそうな色合いで焼けてたクッキーがある。
小麦色の生地にぽつぽつと浮き出ていたり沈んでいたりする黒い点。
これはチョコチップクッキーと言うもののようだ。
食べるのが楽しみだな、と青年がそこまで考えてふとあることに気付く。
先程眉間に皺が出来ていたのは、怒っていたのではなく考えていたからだということ。
いや、それよりも総帥はこれを「作った」と言っていたよな、ということに。
そこまで気付いて青年は、

「えぇーー!!?」

おもいっきり驚いた。

「あの、まさかこれって総帥のて、手作りなんですか!」

「そうだけど…何だ、嫌だったか?」

青年はそんなつもりで言ったわけではなかったが、先程の発言はそう思われてしまっても仕方がない言い方だったと今頃になって気付いた。
いや、むしろ不快に感じてしまってもおかしくない。
またもや青年の顔が着ている服のように青くなる。
否定しなくては!と思い、ぶんぶんと顔を横に振る。おもいっきりにだ。

「いえそんなわけありませんしむしろ嬉しい限りでありまして食べるのが楽しみだと思っているぐらいです!ただ少し驚いてしまってそのっ…!」

青年は途中から自分でも何を言っているか分からなくなるくらい勢いよく話しだした。
この組織のトップである彼が料理上手だということは噂で聞いたことぐらいはある。
しかしそれが青年が思っていたよりも遥かに上の腕であった(男の手料理なんて切って炒められれば充分だと思っていた)ことと、まさかそれが総帥直々に貰えるなんて思ってもいなかっただけに大層驚いてしまったのだ。
青年が言い終えると待っていたものは頭痛だった。
思っていたよりも大声でしかもほぼノンブレスで口走っていたことと、頭をぶんぶんと振りすぎたことで酸欠と伴って頭ががんがんと痛む。
だがそんなのを気にしている暇はない。
自分は目の前の相手を怒らせていないだろうか、と恐る恐る相手の表情を見る。
すると男は不快な感情を表すどころか、にっと笑っていた。

「そうか気に入ったか、なら有り難く食えよ。で、お前はあれだろ?何でこんなもんをもらったんだろう~とか思ったんだろ?」

「…あ、はい。そうです」

「お前は貰うの初めてだもんな。ほらよ、今日ってハロウィンだろ?だから菓子を配ってんだ」

「ああ、なるほどー…」

って、えぇー!!?
青年はもう一度驚いた。
だが今度は口に出さずに心の中で思うことに成功したようだ。

「も、もしかして毎年配っているんですか!ガンマ団全員に!」

しかし疑問に思ったことはついぽろっと口から出てしまった。
こうやって思ったことを考えずにすぐ出てしまうあたり、若さというものがまだまだ見られる。
が、男はそんな青年を無礼等とは思わず、まあなと返答をした。

「つっても、これをやりだしたのは3年前だけどな。それに全員ってのは俺もさすがに無理だから、会えた奴にだけ渡してんだ。量も量だから簡単なものしか作れなかったけど、これでも味に自信はあるんだぜ?」

そう言って笑ってみせた男を、青年はぼけっと見ているだけであった。
次はどうすればいいのか、どう返事をすればいいのかとか、混乱しすぎていよいよ分からなくなってきたのだ。
青年にとって今日は驚いくことが多すぎた。
自分が仕事の最中であったということを(と、言っても書類を運ぶだけだが)忘れてしまうぐらいに。
まさかここで、しかもこの組織の頂点に君臨する人物にハロウィンだからとわざわざ作ってくれたクッキーを貰えるなんて十分前の青年はみじんも考えていなかった。
だが実際こうして自分の手の中にそれはある。
しかも先程の男が言っていた内容には、これは皆が皆貰えるわけではないらしい。
そう思うと青年の中で何か込み上げてくるものがあった。
自分の顔が崩壊する前に、青年はぐっと口元を引き結んだ。
そんな青年を男は不思議そうに見ていたが、やがてああそうだと言ってもう一度にっと笑った。

「ハッピーハロウィン、仕事頑張れよ」

そう言うと男は満足したようにじゃあなと告げてその場から去っていった。





















「ほお、そんなことがあったんか」

昼時。施設内に設けられた食堂で(食堂といってもそんじょそこらとは比べ物にならないほどの広さと設備だ)自分が午前中に体験したことを居合た人物に話す。

「そうなんですよ先輩、まさかここでそんな行事をしてもらえるとは思っていませんでした」

互いに青い服を着た二人のうち、先輩と呼ばれた右眉に傷のある男は本来そのように軽々しく「先輩」と言えるような立場の人間ではなくむしろ幹部クラスの上司だ。
だが、その彼自身が軽い性格であり「それじゃあつまらんじゃろう」と言って自分の部下には自分のことを上司ではなく先輩と思え!という注文をしていたりするのはこの組織の中で結構有名だったりする。
そんなわけで、新人格である青年と伊達衆と呼ばれている大男は同じテーブル席にて本日の昼食を咀嚼しながら会話をしていた。

「まぁ、あいつが手料理を誰かに食わすんは珍しくないが、ハロウィンにああいうことをしだしたのはちーっと訳があるんじゃよ」

もごもごと食べ物を口に入れながら、かつそれをこぼすことなく男は話した。
起用な人だなと思いながら聞いていた青年は、その言葉に興味を示しどんな訳ですかと話しの続きを促した。

「ほら、ハロウィン言うたら有名な台詞があるじゃろ?鳥食うおおトリートメントっていう」

「……それってトリックオアトリートのことですか」

「おおそれじゃけ!」

青年の訂正にぽん、と大きく両手を打った男はうっかりしたけぇのうと声を出して笑った。
青年は自分の上司ながら、この人は大丈夫なのだろうかと少し心配になる。
だが、そう思うのもこれが初めてではないし、この人の凄さも見てきている青年はまぁ大丈夫なんだろうな、と思うことにしてとりあえず話しの続きを待つことにした。

「ありゃあ菓子をくれなきゃ悪戯しちゃるぞってやつじゃろ?じゃから毎年この時期はシンタローの周りに人が集まるんじゃけん」

「…………。」

青年はそこまで聞いてその先に何を言わんとしているのかが安易に分かってしまった。
つまりはあれだ。
お菓子を貰えなかったらあわよくば悪戯をしてやろうというべったべたなことを総帥、ことシンタローにしようとする輩がいるということだ。

「それってつまり…」

「まぁ、そういうことじゃのう。ほいじゃから毎年シンタローも迷惑しててな、そこでキンタローが入れ知恵をしたんじゃ!」

男は自分が持っていた箸をびしっと青年に向けて、まるで核心に迫るように言った。
青年も食べるのを一時中断してその続きを聞くべく耳へと神経を集中させた。
その様に男は満足してつまりじゃな、と口を開く。

「トリックオアトリートと言わせる前に先に菓子を配っといて、牽制してそんなことを言わせないようにすればいいとキンタローが言ってな、じゃからこの時期はこのむさ苦しいガンマ団でも甘い匂いがするんじゃよ」

つまりは先手必勝ということか。
青年はそこまで聞いて何だそれだけかと少々肩透かしを食らった。
てっきり毒でも仕込んでいるのかと思ったからだ。
いや、もしそれだったら大変困るのだが。

「本当はキンタローの奴、毒でも仕込んで始末すりゃええって最初に言ったらしいんじゃがな」

……そこで止まってくれた総帥に感謝しよう。
青年は心底そう思った。

「さ、ここまで話したんじゃし、わしにもそのクッキーを食わしてもらおうかのお」

青年がクッキーの作り主へ感謝していると聞こえてきたとんでもない台詞に、え?この人は今なんと?と数秒ほど反応出来ずにいた。
その言葉が脳内にやっと届いた頃には、青年は持っていたフォークを落としそうになった。
 ガシャン
いや、実際に落とした。

「な、何を言ってるんですか!駄目ですよあれは俺のなんですから!」

「なんじゃ、ちっとくらいええじゃないか。わしはまだ貰えとらんのじゃし」

なおもぶーぶーと文句を垂らす男に、あげませんからね!と青年は必死に防御する。
青年はこの場にクッキーを持ってこなくて良かったと思った。
きっと持ってきたら目の前の相手につまみ食いされていただろう。
大事に自分のデスクの引き出しにしまったそれに「お前は俺が守るからな!」と想いをはせながら、男に対しぎっと視線を送る。
と、いっても青年にとっては上司である相手なので、控え目程度にだが。

「ぬぅ、ぬしも中々にケチじゃのう…」

やれやれといったように吐き出した言葉に、やっと男が諦めてくれたかと青年はほっとした。
対して男は未だに名残惜しそうな顔をしていたが、やがてまぁ仕方がないかとため息を一つした。

「ハロウィン一つでそんなにムキにならんでもええじゃろうに…あれか、ぬしはそんなにクッキーが好きなんか?」

「いえ、そういうわけではありませんが…」

そうなのだ。
別段このイベントが好きというわけでも、クッキーが大の好物というわけでもない。
だがこれだけは別なのだ。青年自身もよくわからないが、あれを貰えたと自覚した時にはとにかく嬉しかった。
そんなわけで、総帥との別れ際は顔がにやけそうになるのを抑えるのが大変だったのだ。

「ああ、でも…」

ぽつり、と思い出したように先程の続きを言う。
テーブルの上に置いた手を組み、渡された時のことを思い浮かべる。
思い出すと自然と自分の頬が緩むのが青年にも分かった。
これまでのことを思い、考え、そしてそれは一つの結論につく。
ああそうだ。そういうわけではなかったのに、たぶんそうなんだ。

「今年から、好きになりました」

今までなんともなしに思っていたハロウィンやお菓子。
でも今日は特別。
今日からは特別なんだ!


 ・END・

----------------------------
流行に乗れない、それがここのクオリティ。(お前…)
遅ばせながら、ガンマ団のハロウィンなお話しです。
大体お察しはついたと思いますが、男はシンタローさんで先輩がコージ、そして青年は新人ガンマ団員(捏造)です。

キンタローの入れ知恵で始まったこのハロウィンですが、実はシンタローさんからお菓子を貰うのが難しかったりします。
シンタローさんも総帥ですからもちろん仕事があり、そんなに本部内をうろちょろなんて出来ません。
なので出現率が低すぎる。
だからこちらから向かおうにも、仕事でもないのに総帥室に行こうものなら仕事をしろー!と怒られて返されます。
あと数にも限りがあるから早いうちに偶然総帥と出会うか、仕事で総帥室に向かうかが貰える条件です。
と、言っても総帥室に直に入れるのも限られたクラス以上ですがねー。
総帥の手作り、そして直々による手渡しということで倍率はかなり高いと思うよ!
でも青の一族はしっかり貰えていそうだ。あと伊達衆も。
一族分は最初からちゃんと作ってあって、伊達衆は当日にタイミングが合わず貰えなくても欲しい!作って!お願いします!とかって言えばすんげー嫌な顔するけど仕方ねぇなぁってなんだかんだで作ってくる!
シンタローさんはそういう人だと思っています。
s

シンちゃんがいない。
それだけのことでも、僕にとってはひどく寂しいんだよ。








寂しいから帰っておいで!













シンちゃんが遠征に行ってから五日目。
さすがに僕も寂しくなってきた。
シンちゃんが遠征に行くのはもちろんこれが初めてのことじゃない。
でも、やっぱり寂しいものは寂しいんだから仕方がないよ。

「だから僕も会いに行っていいでしょ?ねぇねぇチョコロマー、ティラミスー」

「駄目です」

ピシャリ、とティラミスに否定されてしまった。
ティラミスは相変わらず厳しい。
それでも抵抗のつもりで僕は執務机にうなだれて、えー、ケチンボ!と文句を言った。
視線をティラミスから外せば、その横にいたチョコレートロマンスと目があう。
そこで今度はチョコロマにじーっと訴え賭けるように視線を送ってみる。
けれどチョコロマったら助けてくれるどころか苦笑いをするばかりだ。
もう!二人とも僕に優しくないんだから!

「ただでさえマジック様が行かれてしまって執務に遅れが出ているのですから、さらにグンマ様までもが行かれては大変なことになってしまいますよ」

「そうだけど、さぁ…」

チョコロマの言うとおり、おとーさまはあまりにも寂しさに耐えられなかったらしくて、一昨日の朝に飛行船でシンちゃんのとこに行ってしまったのだ。
いいなぁー、おとーさまは行けて。

「ボクだって、ついて行きたかったのになー」

「…総帥はこの度激戦区の沈静化のために向かわれていますので、グンマ様はこちらで総帥のサポートを成されるが良いかと」

今度はティラミスが言った。
それが何を言おうとしているのかは汲み取ることができる。
所詮、僕は戦闘能力は青の一族の中で一番低いんだ。
だからこれは、ティラミスなりの励まし、なんだよね。
ちゃんとそうだって分かっている。
どうせ行ってもただの足手まとい扱いされるってのも、分かっているよ。
だけど仕方ないよー。
邪魔者扱いされても会いたいんだもの。

(おとーさまは邪魔とかそんな次元じゃなくて、もっとヒドイ扱いらしいけど)


以前、シンちゃんが遠征中の時に思い切って電話を掛けたこともあるんだ。
その際に「シンちゃんに会えなくて寂しいよー」って言ったら、「んなことで泣き言言ってんじゃねぇよ。」って、シンちゃんに言われちゃった。
シンちゃんは“そんなこと”って言うけど、ボクにとってはそんなことじゃすまないんだよ。
たしかに、周りから見ればシンちゃんが仕事でいないってだけのことだよ。
でも僕にとってはそれが辛いって、きっとシンちゃんはわかってないんだろうなー…
むぅ、一緒にいられるキンちゃんが羨ましいよもぅ。
僕だって君達の従兄弟なのに、置いてきぼりは嫌なんだよ。

そんな、以前シンちゃんに言われたこととかを思い出して考えていたら、ちょっとイラッとしてきた。
むすっと頬を膨らます。
そんな僕の様子を見てティラミスは溜め息をついた。

「グンマ様、お手元が捗っておられないようですが」

その言葉に、そういえば仕事中だったんだけと思い出し、ちらりと机の上を見た。
う、相変わらずの書類の多さだなぁ。
いっそのこと思い出さなければ良かった。

「会いたい、と思われるのも良いですが、頼まれている仕事をやらないでいたらそれこそ総帥にお叱りを受けますよ」

「……、だったら二人がや」

「私達ごときがそのような重要な仕事に手を出すなんて恐れ多い。所詮、私達にはグンマ様のサポートで精一杯ですよ」

「………」

僕が言い切る前に間発入れずに先手を打たれた。
この二人のことは嫌いじゃないけど、仕事が絡んだ時の二人は苦手だ。
と、言うかむしろ避けたいよ。

「大体、僕はこういうデスクワークは、ほんっとに苦手なのにさー」

「ですがグンマ様は外で活動をされるより、部屋に篭って作業をするのを好む派ではないですか」

「確にそうだけど、これと発明は違うんだよーもう、チョコロマのバカ!」

「えっ、俺ですか!?」

八つ当たりは止めてくださいよー、というチョコロマの声が聞こえたが、それは聞こえていないことにした。
確に八つ当たりかもしれないけど、さっきからへらへらしてて助け船の一つも寄越してくれないチョコロマだって悪いんだからね!
そう思いながらつーんとそっぽを向けば、またティラミスが溜め息をついた。

「…グンマ様、あの方は人を見る眼が優れている方です。ですからあなたに任すことで、総帥は気兼なくここを空けられることができるのです」

「そうですよ!“頭が足りねー時もあるけど、あいつはあれでも頭が切れる。だから俺がいない間はグンマと、ガンマ団のサポートをよろしくな”って俺たちも言われたんですから!確かにグンマ様は普段アレでも、シンタロー総帥はあなたのことかってるんですよ」

二人は言うことを聞いてくれない子どもを諭すように、静かに言った。
……もう、そんなことを言われたら僕は少しくらいやる気を見せないといけないじゃないか。
さすがおとーさまとシンちゃんの秘書を勤めているだけあって、人の気持ちを浮上させるのが巧いなあ。
チョコロマは一言多いけど。

「分かったよー、これからちゃんと仕事するって」

「そうですか、では溜った追加分の仕事も直ちに持って参ります」

「えっ、これ以外にもあるの!」

「はい、なにせとあるミドルが一昨日からいなくなってしまったので」

おとーさま……。
うう、この先のやらなきゃいけない事を思うと、頭が痛くなってきた。
せんせーい、早退しても良いですかーと言いたいところだけど、120%で却下されそうだ。
ぷひーと溜め息をはいてうなだれる。
そこでふと、現実逃避のためかあることを思った。
そういえば、シンちゃんたちはいつ頃帰ってくるのかなー、と。
今回の遠征は急だったため、ちゃんと話を聞く前にシンちゃんたちは行ってしまったんだ。
長期だったら嫌だなあ。

「…あ、そーだ!」

「ソーダ、をご所望ですか?」

あれ、ティラミスって意外と天然…?
それともわざと言ってるのかなこの人。
ティラミスに違うよ、と否定をしてから僕はペンを握って、紙面にそれを走らせる。
ちょっとした願掛けというか、まじないみたいな気持ちで書いた一文。
そのたった一文に今の気持ちを込めて書いたんだ。
書き終わると、その書いた文字を心の中で反芻しながら今度はその紙を折り始める。
縦半分に折り目を付けて、その折り目にて端と端が直角に合うように三角に折る。
そして今度は三角の両端をまた真ん中の折り目に合わせて折り、真ん中の折り目に沿って半分に折る。
あとは両端を翼になるように折れば完成だ。
いわゆる、紙飛行機ってやつ。
完成品を手に持って久しぶりに椅子から立ち上がる。
二人がどうなさいました?という顔になったので、何でもないよ、という意味を込めてとりあえず笑顔を返しておいた。
そのまま僕は大きな妨弾ガラスがはめこまれた窓に近付き、ガラスとガラスを仕切っている支柱の中央部にある赤いボタンを指先で押した。
ピ、と電磁音が小さく鳴った後、僕の左側にある大きなガラスはシュッと音を立ててなくなった。
そのことによしよし、と満足して開け放たれた窓辺へと寄ると、持っていた紙飛行機を外へと飛ばす。
少しでも遠くへ飛びますように、彼のところへ届きますように、と願いながら。
紙飛行機は清々しいほどの青い空へと吸い込まれていった。

そして、僕は見たんだ。
青い空を飛ぶ白い紙飛行機の奥に、白い飛行船の姿を。



 ・END・


(早く帰ってきて、と願ったんだ。そうしたら僕の目の前にはこの光景、頬が緩むのは仕方がないよ。さあ、迎えに行こう。笑顔で君のもとへ!)

sks




シンタローの遠征についていくようになってから研究に費やす時間が極端に減ってしまった。
そこで、遠征中はホテルでは必ず論文や自分がまとめた理論の洗い変えを行うようになっていた。
だから、今日、この時まで気が付くことがなかったのである。
シンタローの秘密を…


…目が疲れてきたな……
ばさりと細かい字が書かれたレポートを脇において伸びをする。
細かい字ばかり読んでいるとどうにも肩がこっていけない。
軽く首を回しながらトントンと肩を叩きく。
疲弊していたのは目だけではなかったらしい。
すっかり集中力が途切れてしまった。
立ち上がってぐるぐると部屋を歩き回ってみるが一向に集中力は戻ってこない。
戻らない集中力はどうでもいい行動に分散されていった。
「…シンタローはどうしてるかな?」
思いついたらどうにも気になって仕様がない。
早速、久しぶりに従兄弟の部屋を訪ねることにした。


今思うと此れがいけなかったのだ。


「シンタロー…入るぞ」
「は?キンタロー?いや、ちょっと待…」
ノックもそこそこにドアを開けるとそこには…


真っ裸でベッドに横たわって寛いでいたところに突然の来訪者が来て、慌てて立ち上がろうとしているシンタローがいた。


「…………」
「…………」
無言で向かい合った後、慌ててパタリと後ろ手にドアを閉めた。
それに反応してシンタローがベッドのシーツを剥ぎ取って体に巻く。
「……風呂に入る途中だったのか?すまなかったな…」
一応、常識の範疇で謝っておく。
「いや…」
そういうと見る見るシンタローの顔が赤く染まっていった。
こっちが赤くなりたい…
寧ろ時間を巻き戻してこの部屋に入るところからやり直せないだろうか…
まだ、正常に動かない頭はそんなどうにもならないことを考えていた。
「俺さ…」
何とか従兄弟の醜態をなかったことにしようと躍起になっていると
当の従兄弟がぽつりぽつりと真相を語りだした。


「ホテルってさ…空調が利いてるだろ?丁度いい温度でさ…それに普段とは違う部屋だろ?
 開放感があるっていうか…ぶっちゃけ裸だと気持ちいいんだよな」
ぶっちゃけないでくれ…
最後のほうはいっそ清々しく話す従兄弟に掛ける言葉があるだろうか?いや、あるまい。
「…そうか」
だが、今回のようなこともある。
せめて下着ぐらいはつけてくれ。
そう、説得して俺は従兄弟の部屋を後にした。


常識とは誰が決めることなのだろうか?


知りたくなかった事実を知ってしまった中秋であった。





ss






ティラミス「拍手、ありがとうございます」
チョコレートロマンス「拍手、ありがとうございます」
ティラミス「以下、御礼SSだそうです。よろしければ、ご覧下さい」
チョコレートロマンス「『当サイト名物、叩いて行く度危険度が増えるッ♪』SSです………って、こんなの披露してもいいのか?(こっそり)」
ティラミス「………聞くな、オレに」




洗濯日和 ~マジシン編~



 見上げると、目に染み入るような青。
 白い雲とのコントラストも、眩しい―――そんな。
 天下一品の、秋晴れの朝。

 ふんふふふ~~~ん♪♪ と。
 鼻歌混じりの、実に上機嫌なご様子で。

 鮮やかな手並みでもって、次々と洗濯物を干して行くのは。
 堂々たる体躯に、レーシィなシャツの良く似合う、金髪英国紳士。

 …………と。

「親父ィッッ!!」

 実に平和な(視覚的に、ちょっと妙だが)朝の一幕に。
 突如、乱入してきたのは。
 艶やかな黒髪を誇る、東洋美人な―――彼が、溺愛してやまない――― 一番上の息子。

「何してんだ、テメッ!!」

 ………が。
 いっそ迷惑なほどの愛情を、一心に注がれている、彼は。
 現れるなり、ドスを効かせた声で、そうスゴみ。

「んー? 洗濯物、干してるんだヨ??」

 それがどうかした? とか言わんばかりの、アッサリ口調で。
 マジックは、キョトン、と。邪気なく、首を傾げてみるが。

「その、手にもってンのはッッ!!??」
「パンツ」
「………誰のッ!?」
「シンちゃんの♪」

 ――――――みぃん、とした沈黙が。
 ほんの数瞬、辺りを支配し。

「勝手に、洗ってんじゃねぇぇ――――ッッ!!」

 罵声と同時に、シンタローは。
 力一杯、タメ無し眼魔砲を放っていた。


 親譲りに、家事の得意なシンタローである。

 いつもであれば、忙しい日々の中でも。
 自分の下着ぐらいなら、入浴時に、一緒に洗ってしまうのだけれど。

 昨日は、仕事がかなり押して。
 家にたどり着いたのは、早朝と呼ばれる時間。
 そのまま、部屋に入るなり。
 バタンキューで、眠ってしまった。

 ―――まぁ、丁度。今日は、久々の休みであるし。 
 制服と一緒に洗えばいいかー、とか。

 先刻。シャワーを浴びつつ、思っていたのだが。

 風呂から、上がってみると。
 着替えだけを残し………脱いだ服は一式、その場から消えていて。

 思わず血相を変え、駆けつけた次第である。

「………う、だ、だってっ!! 一人分だけ別なんて、不経済でしょぉ??」

 頭ごなしに、眼魔砲の洗礼に会い。
 ぷすぷすと、黒くくすぶりつつ。
 でも割と平気そうに―――ええいっ、この人間離れした中年めッッ!! ―――意見してくる、マジックから。

「いいから返せよッ、触ンなっ、オレが干すッッ!!!」
 シンタローは、洗濯カゴを奪い取ると。

 ――――まったく、油断もすきもあったもんじゃねぇ、と。

 ブツブツ、悪態を吐きつつ。
 オロオロと謝罪するマジックを、完璧に無視し。

 父親以上の、手際の良さで。
 さっさっと、籠の中身を片付けていく……………。






「………ねェ、キンちゃん?」
 お砂糖タップリ♪ のフレンチトーストに。
 更にたっぷり、ハチミツを注ぐという。
 見ているだけで胸焼けのしそうな、朝食を摂りつつ。

 グンマは、実に可愛らしく。
 向かいに座る従兄弟に向かい、小首を傾げた。

「何かー、アレ。”やもめの父親と思春期の娘”の会話に、聞こえるんだケド………」
 ………気のせいかナ?

 更に、反対側に首を傾けた、その意見に。
 問い掛けられた、キンタローは。

 バターを塗っただけの、トーストを。
 コーヒーと共に、飲み下して。

「イヤ。オレにも、そう聞こえる」

 ―――きっぱりと、断言し。

 そのまま、顔を見合わせた従兄弟達は。

 ………”やもめの父親”だけなら、そのままだったのに、と。

 流れゆく雲を、見つめつつ。
 とことん不器用な、従兄弟を想い。
 つくづくと、溜息をついた。




<終>









○●○コメント○●○  子離れできない母親と、思春期の娘でも可デス(笑)
 それでも、シンちゃんは、娘………(爆)
 パンツに名前を書いてそうvv というご感想を下さった方、ありがとうございますvv
 コタローちゃんのパンツに書いてるンだから、もちろん、シンちゃんも書かれるでショーね。

 マジシンの、パンツにナマエ、な攻防戦も楽しそうですー♪♪





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