忍者ブログ
* admin *
[28]  [29]  [30]  [31]  [32]  [33]  [34]  [35]  [36]  [37]  [38
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

v





作・斯波

言いたいことがたくさんある
言葉にならないほど
言えないこともたくさんある
涙がにじむほど



BLUE ON BLUE



おまえの眼は、海のようだな。
そう言ってくれるおまえに出会うまで、俺はずっと闇の中にいたんだ。

「シンタロー」
低い声に名前を呼ばれて振り返る。部屋の中央に佇むおまえは、夕陽を浴びてちょっと眩しそうにこっちを見ていた。
金色の髪に夕陽が映えて、まるで本物の黄金のように綺麗だった。
俺は音もしない絨毯を踏んでおまえに近づいた。燃えているような髪に指を差し入れて梳いてみる。おまえは怪訝そうに眼を細めた。
「どうした?」
「綺麗な髪だな。―――」
俺の一族は皆金髪に碧眼だ。
だがそれぞれ少しずつその色は違う。薄かったり濃かったり、並んで立っているとその差はよく分かる。その中でもこの男のは本物の金糸を織り込んだような濃い蜂蜜色だった。
「眼も、綺麗だ。サファイアを溶かしたらきっとこんな色になるだろうぜ」

透き通るような金色の髪も、深い湖のような青い瞳も。
決して俺には与えられなかったもの。
否応なしに自分の異端を見せつける、この黒髪と黒い瞳が俺はずっと嫌いだった。


「そうか?」
逆光に顔をしかめておまえは少しだけ笑った。俺の隣を擦り抜けてカーテンを引く。
遮光の厚いカーテンが光を閉ざすと、途端に部屋の中は薄暗い夜に変わった。
「俺はおまえの髪の色の方が好きだな。艶々して、鴉の濡れ羽色だ」
「慰めてくれてんのか?」
「馬鹿な」
二十四年間同じ身体を共有してきたのに、今のおまえの手は俺のより大きい。
長い指に包まれた頬がかっと熱くなるのが自分でも分かった。
だが咄嗟に引いた俺の身体をその手は離そうとせず、逆に俺は広い胸の中に抱きこまれる形になってしまった。
「俺はこの黒い髪が好きだ。黒い瞳が好きだ。おまえの瞳を見ていると、俺はいつも夜明け前の海を見ているような気持ちになる」
「・・・・」
「そのまま深い海の底まで引きずりこまれても構わない―――そう思うんだ」
俺を凝視める大きな眼は深く澄んで、おまえの眼こそ海のようだと俺は思った。
昔テレビで見たことのある、氷河から続いているあの北の海みたいだ。
ああ―――そうだな。
俺だってその海に溺れるんなら、沈んで凍ってしまっても平気だぜ。

近づいたおまえの唇を、目を見開いたまま受け止めた。

顔を離したおまえは、困ったように眉を寄せた。
「・・・眼を開けたままキスする奴があるか」
「だっておまえの眼、見てたかったから」
「近すぎて見えないだろう」
人間の眼は、いいか人間の視機能というものはだな、と講釈を始めたおまえの顔を引き寄せて、もう一度キスをする。
驚いたように見開いたおまえの眼の中にあったのは、哀しいくらい綺麗な青い海だった。


「―――シンタロー」
離した唇から洩れた声は、かすかに掠れていた。
「俺を挑発しているのか?」
苛立ったような口調に、俺は喉の奥でくくっと笑った。
「気づくのが遅えよ」
歯列を割り、柔らかな舌が入ってくる。わずかにコーヒーの味がするそれに舌を絡めて、俺はやっと眼を閉じた。

人は生まれたときに二つに裂かれる。
だから一生かけてその半身を探し求めるのだと、昔俺にそう言ったのは意外にロマンチストな叔父のハーレムだった。
―――その相手を見つけるまでは俺もおめえも半人前ってこった。
笑いながら言われた言葉を、今なら俺は完全に理解出来ると思う。

(俺の、失われた半身)
次第に激しくなる口づけに、心ばかりでなく身体までが熱くなる。
(こんなのは、おまえだけだ)
キスするのも、抱かれてもいいと思うのも。
その海になら足を取られて沈んでしまっても本望だとさえ信じられるのも。

切羽詰まった声が耳許で俺の名を呼ぶ。
眼を上げて、端整なその顔を見つめた。
「好きだ、キンタロー。―――」

もがけばもがくほど、おまえに溺れてゆく。
(俺にはおまえしか)

もうきっと、離れられない。


--------------------------------------------------------------------------------

天然なキンちゃんを見ると可愛すぎて、
グンマさんあたりに突っ込んで欲しいところなのですが、
でもやっぱり紳士は格好良いのだと信じております。

キンシン一覧に戻る

PR
c





作・斯波

暗い世界に生きていた俺に
光を与えてくれたのは紛れもなく
輝くようなおまえの瞳だった



あいのうた



俺は身体を離して起き上がった。
ベッドが軋んでも、眠り続ける俺の恋人は目を覚まさない。
(・・・また無理をさせたか)
分かってはいてもいざ目の前にこの顔を見るとまるきりセーブが利かない。
まるで初めて女を知ったガキのようだと自分でも可笑しくなる。
情事の疲れが色濃く残った寝顔にかぶさる黒髪を払いのけてやり、上半身は裸のままで寝室のドアを開けた。
「待たせたな」
「―――あのなあ、キンタロー」
うんざりしたような顔で食卓に頬杖を突き、煙草を吹かしているのは陰気で人間嫌いな№2。
「気持ちは解るけど、人待たしてる時くらい遠慮せえ」
「これでもおまえに気を遣って途中で切り上げてきたのだが」
「最低どすな、このエロ魔人」
嫌味な口調にはもう慣れている。
「わてかて忙しいんどすえ。あんさんが急ぎの書類や言うから持ってきたったのに」
「いいから寄越せ」
アラシヤマの手から書類をひったくって眼を通す。
性格も口も悪いが仕事だけは無駄に出来るこの男は今日もきっちり仕事をしていた。
内容をチェックしている間、アラシヤマは足をぶらぶらさせながら待っている。
小さな声で歌を口ずさんでいるのが聞こえて俺は少し驚いた。
それは音楽には疎い俺も聞いたことがある、有名な賛美歌だった。
「おまえの歌は初めて聞いたな」
いつも人魂を背負って歩いているこの男が鼻歌を歌っているシーンになど、ついぞお目にかかったことがない。
「わてが最初から最後まで歌えんのはこれだけなんどす。ちっちゃい頃、ハーレム隊長はんに教えて貰いましたん」
あのハーレムが、賛美歌を?―――似つかわしくないことこの上ない。
アラシヤマは初めて俺をちらりと見た。
「ハーレムはんは・・・ルーザー様に教えて貰た、言うたはりましたえ」
書類をめくる俺の手が止まった。


「昔、まだ仲良かった頃に」
―――今はもういない、俺の父親。
「その頃のハーレムはんにとっては、ルーザー様が闇を照らす光やったんやそうどす」

アラシヤマが出て行った後、俺は暫くぼんやりと座っていた。
携帯が鳴って我に返る。
「もしもし?」
『忘れるとこやった。ラジオつけてみ』
「はあ? 貴様何を言っているんだ」
『ええから。ほな』
一方的に切れた電話に舌打ちをして立ち上がり、ラジオをつける。
静かな音楽が部屋いっぱいに広がった。

信じていいの?
その甘い響きが
彷徨っていた私を救ってくれた


(これはさっきアラシヤマが)
名前も知らない女性歌手の優しい声が、まるで雨の滴のように俺の心に降り注ぐ。
俺は開いたままになっていた寝室の扉の向こうに視線を投げた。

かつて道を見失った私を
見つけだしてくれた

これは俺の歌だ。
長い間闇の中で生きていた、俺の。

今は私にも全てが見える

闇の中を彷徨って、誰にも気づいて貰えずに泣き続けていた俺を、あいつが救ってくれた。
抱きしめて、笑いかけて。
俺のために泣いてくれた。
俺を閉じ込めてる張本人だと思っていたあいつこそが、俺の光だったんだ。

私の心に
畏れを植えつけて
同じその手で恐怖を取り除いて下さった

シンタローに逢って初めて俺は恐怖を知った。

一度知った光を手放すこと。
再び孤独の底に突き落とされること。
愛する者を失うことを、俺は心の底から怖れた。


甘く澄んだ歌声が部屋を、そして俺の心を満たす。
ボリュームを上げておいて、寝室へ向かった。

真っ白なシーツに長い黒髪を乱して眠る恋人の頬にそっと触れてみた。

おまえが俺の宝物だ。
たとえ何を失っても、おまえがいれば俺は生きていける。
(俺に恐怖を教えたのはおまえの存在だったけれど)
その恐怖を取り除いてくれたのも、おまえだったから。

「・・ん」
ゆるりと瞼が開いて、漆黒の瞳が俺を捉える。
「キンタロー・・?」
隣の部屋から流れてくる歌に気づいたのか、シンタローは眼を擦って起き上がった。
「―――・・この歌、知ってる」
幼さの残る口許がふわりとほころんだ。
「親父がよく歌ってた」
「・・・俺の父さんも、好きだったそうだ」
「そうか、だって兄弟だもんな。きっと、祖父ちゃんが好きだったんじゃねえかな」


信じられないほどに美しいその調べを
生まれて初めて私は信じたの

ベッドに腰を下ろして、目覚めたばかりの恋人を抱きしめる。
「キンタロー・・どうした?」
「おまえは温かいな」
「・・? おまえもだぜ?」
(俺の光)
俺を人間に戻してくれた、唯一の光。
おまえの全てが俺は欲しくてたまらなくて、俺の全てを受け取って貰いたくて。

「おまえがいれば俺は他に何も要らない」
「―――・・朝から熱烈だな、オイ」

愛してる、おまえを愛してる。
憑かれたように囁く俺を、おまえは笑って抱き返してくれる。

まだ眠そうな瞼の上にキスをひとつ落とした。
「―――今朝だけはアラシヤマに感謝だな」
「えっ、何で!?」

父さん。
一人でも俺はちゃんと生きているよ。

Amazing Grace

俺を支えてくれるのはこの恋人と、あなたが残してくれた愛の歌。


--------------------------------------------------------------------------------

キンちゃんは天然でエロ魔人に違いない、
としつこく主張し続けていきたいと思います。

キンシン一覧に戻る

xv





作・斯波

まあわてにも覚えはあるけどなあ。
恋してる奴らにはついていかれへんわ。
あいつら、周り見えてへん。



KISS OR KISS



総帥室へ続く秘書室に居るのは普段は事務官一人。
有能な秘書二人は大抵総帥室で一緒に書類仕事を手伝わされているからだ。
だがアラシヤマが扉を開けると、今日は珍しく二人揃ってパソコンに向かっていた。
「あ、アラシヤマさん」
チョコレートロマンスが立ち上がるのを手で制して、
「総帥はいてはる?」
と訊いた。チョコレートロマンスは肯いたが、
「今は休憩中です。あと三十分ほど待って頂ければ」
「でもいてるんどすやろ」
「ええ、しかし―――」
全く忠実な秘書だ。めったに休憩も取れない忙しいボスを思い遣っているらしい。
しかしこちらにも都合というものがある。
「悪いけど急ぎなんどす。すぐ済みますさかい、通りますえ」
「あ、ちょっとアラシヤマさん!」
制止するのを無視して、総帥室の扉を開いた。
音もなく扉を閉めて足を踏み入れると、靴の半ばまでふかふかの絨緞に沈みこむ。
ここに来るたびにいいなあ、と思うのはアラシヤマ自身が人の足音が行き交う自分の執務室が気に入らないからだ。本来人が大勢いるところが大嫌いなアラシヤマは、許されるなら一人きりで仕事がしたいくらいだったが、そうもいかない。なので、広くて静かな総帥室の雰囲気にいつも憧れているのだった。
だが今日ばかりは勝手が違った。
普段はシンタローと秘書しかいないから、仕事をしていても休憩していても静かなこの部屋に、聞こえているのはひそやかな衣擦れの音と喘ぎ声だった。

反射的に、気配を殺した。


そっと足を運んで衝立の向こうへ出る。
高価そうなソファの向こうに、大きなマホガニーのデスクがある。そのデスクに向かった椅子の上でキスを交わしているのは総帥とその従兄弟である補佐官だった。
アラシヤマはげっそりした。
―――いくら休憩時間やからって。
仕事は停滞していないし、誰に迷惑をかけている訳でもない。
確かに責められる筋合いはないのだが、しかし。
―――夜になるまで待たれへんのんかい、このバカップル!
「は・・あっ・・・」
キンタローの右手はシンタローの胸元深く忍び入っている。
さすがに昼日中から行為に及ぶつもりはなさそうだが、どこをどう触られているのか、その手が動くたびにシンタローは切ない吐息を洩らす。
キンタローの顔が離れると、シンタローはすぐに手を伸ばして頭を引き寄せまた唇を重ねた。
二人ともキスに夢中になっていてアラシヤマには気づく様子もない。
最初こそ呆れ果てたものの、めったに見られるものではない光景に興味を覚えて、アラシヤマは暫く見物することにした。
「・・あっ、あ、―――んんっ・・・」
角度を変えて何度も繰り返される口づけに、次第にシンタローの息が上がってゆく。
―――エロいキスやなあ・・・何処で覚えてくるんやろ、あんなん。
シンタローとは士官学校からのつきあいだし、長い寮生活の間にはお互い一人で処理している姿を見たことも見られたこともある。
だがそのアラシヤマも、これほど色っぽい表情をするシンタローを見たことはなかった。
―――ええ顔しはりますやんか、シンタローはん。
それはシンタローが大人になったからだろうか。
それとも、相手がキンタローだからだろうか。
どっちにしろ心友にとっては喜ばしいことだろう。それに普段は冷徹な紳士の仮面を被っているキンタローの意外な一面を見られたのも面白かった。
優しいが濃厚なキスを恋人に与えているキンタローの眼差しには雄の欲望がはっきり表れていて、不思議なことにそれがアラシヤマに親近感を抱かせる。
―――こいつも普通の男っちゅうことか。
まあ、そうでなければ一緒に仕事など出来るものではない。

思わずくすりと洩れた忍び笑いに、総帥と補佐官がぱっと顔を上げた。


「―――・・なっ・・!!」
シンタローの端整な顔にみるみる血が昇ってくるのを、アラシヤマは冷静に眺めている。
「シンタローはん、これ急ぎの書類やさかいすぐ決裁しておくれやす」
「てめェいつからいやがったァ!」
「いつからて訊かれても・・ちょっと前どす」
狼狽しきっているシンタローに較べ、身体を離したキンタローは小憎らしいほど悠然としている。アラシヤマが渡した書類に眼を通し、
「すぐ処理して後でティラミスに持っていかせる。執務室にいるのか?」
「へえ、午後はずっといてます」
「分かった」
「ちょっと待てアラシヤマァ!」
真っ赤な顔で怒鳴る総帥の唇を、アラシヤマは笑って指で押さえた。
「てめ―――」
「大声出したら、ティラミスとチョコロマが吃驚して飛んできますえ。今は顔見られへん方がええんちゃいますのん?」
「何で!」
「そんなフェロモンだだ漏れの顔」
「はあ!?」
「エロすぎどす、今のシンタローはん」
あっさりとまとめられ、シンタローはもう言葉も出ない。
そんな従兄弟を見てキンタローがニッと笑う。
「確かにな」
「そやろ? 何て表現したらええかなあ、こーゆうの」
「・・・濡れ濡れ、とでも?」
「あっそれ! それどすわ!」
「てめーアラシヤマさっさと出てけエェェ!」

あまりといえばあまりな会話にぶち切れた総帥の眼魔砲が炸裂する前に、アラシヤマは笑いながら総帥室を逃げ出した。


肩で息をしているシンタローにキンタローは落ち着き払って書類を渡した。
「決裁。―――」
「キンタロー、おまえなあ!」
「そんな顔は誰にも見せない」
強く抱きしめられて息が止まりそうになる。
「ちょ、キンタ・・・」
「感じている時のおまえの顔を知っているのは、俺だけでいい」
「・・ったく・・・おまえ以外の誰が見るっつーんだよ、馬鹿」
―――当分アラシヤマの顔はまともに見られそうにねえ。
面の皮の厚い恋人の背に腕を回して、シンタローはがっくりと溜息をついた。


何か問題でも、と心配する秘書の洋菓子コンビに手を振って廊下に出たアラシヤマは、笑いを噛み殺しながらさっきのシンタローの顔を思い出していた。
(あんな狼狽えたシンタローはん、久しぶりやなあ)

まあ仕方おへんなあ。
恋に落ちたら周りなんか見えへん。
好きなお方しか目に入らへん、それが恋人同士の特権やものね。

―――今は遠い戦場にいてるあの人に、あんなキスをして貰えるんはいつのことやろか。

「そやけどあの顔は反則やろ・・」
(濡れ濡れ)
「・・・あっ来た、ツボに来た―――ッ!!」
決裁済みの書類を持ってガチャリと扉を開いたティラミスの目に映ったのは、膝を折って笑い転げるアラシヤマという悪夢のような光景だった。


日頃人魂を背負って歩いている陰気な№2が総帥室の前で爆笑していたという不吉な噂はその日のうちにガンマ団中に広がり、原因を煩く聞きにくる親戚連中と側近に悩まされた新総帥は、二度と執務中にいちゃつくことはしまいと固く決心したのだった。


--------------------------------------------------------------------------------






作・斯波

まあアレだ、世の中不条理なことは多々あるが。
恋してる奴らほどタチの悪ぃもんはねェ。
―――分かってたはずなのにな。



KISS AND KISS



「―――は!?・・・キスの仕方!?」
開けかけた壜を片手に持ったまま、ハーレムはまじまじと目の前の甥っ子を眺めた。
久しぶりに本部に帰還し、現総帥であるシンタローに任務報告を提出してその晩は恒例の酒盛りとなった。仕事では衝突が絶えないものの、いつまで経っても大人になりきれない不良中年の叔父をシンタローも内心では兄のように慕っていて、酒を持って訪ねていくと向こうも大抵酒に合う肴を用意して待っているのが常だった。
留守中の出来事を聞いているうちにシンタローは大分酔ってきて、だからこそ話してくれたのだろうが、総帥室でのキンタローとのキスの一部始終をアラシヤマに見られたという話はネタとしては最高の出来だった。
「それでキンタローの奴はどうしたんだよ」
「あいつは憎たらしいくらい落ち着いてやがったよ。俺の顔を濡れ濡れだとか抜かしやがった」
ハーレムはもう笑って笑って笑い転げた。
その時のシンタローの狼狽と、対照的に悠然としたキンタローの顔が眼に見えるようだ。
「いいねえ若いってのは・・・」
「若いって、あいつはまだ実質四歳じゃねえか。なのに―――」
「あん? なのに何だ?」
激しかけて急に消えた言葉の先を促してみる。

「・・・あいつに、おまえはキスが下手だって言われたんだよ」
消え入るような声に、ハーレムは再び声も出ないくらい笑い転げたのだった。

「俺はこの年齢までキスが下手だなんて誰にも言われたことはねェのに」
「まあアレだ。あいつも別に悪気があって言ったんじゃねえだろ」
気のない慰めにシンタローは長い黒髪を振り払って溜息をついた。
「・・・だけどあいつは確かに上手いんだ」
「惚気か? 結局惚気なのかオイ!」
「あいつにキスされると気持ち良過ぎて息も出来なくなる。何もかもどうでもよくなっちまう」
「はいはい、御馳走サン」
―――やってらんねえよ、もう。
ハーレムは嘆息して酒壜を傾けた。
だが酔った甥っ子の話はこれからが大事なところらしかった。拳を握りしめて、
「ここはやっぱ男としては負けてらんねえだろ、なあ!?」
「何滾ってんだよオマエは・・・」
「だからさ、ハーレム! 俺にキスの仕方を教えてくれ!!」
そこで話は冒頭に戻るというわけなのだ。

「おまえ酔いすぎだ」
「酔ってたって頭はちゃんとしてる!」
「そーいうことは俺に訊くな」
「だって他に頼める奴いないだろ」
断固と言われて言葉に詰まる。確かにグンマはあてにならないし、サービスは今不在だ。
ではマジック兄貴―――そんなことを頼もうものなら部屋中が血の海になるだけではなくキンタローをハーフ殺しにしかねない。他には、と考えてハーレムは指を鳴らした。
「あいつがいんじゃねーか、アラシヤマ! ああ見えてあいつは昔っから諜報活動と暗殺のために男をたらしこむ技術を仕込まれてたからな、めちゃくちゃ上手いんだぜ。あいつに頼めよ。友情餌にすんのはテメーの得意技だろうが」
そう言うと、意外なことにシンタローはしゅんとした顔になった。
言われるまでもなくそれはもう考えたのだという。
しかし、部下でありしかもこの間あんな現場を見られてしまったアラシヤマに直接頼むのはプライドが許さない俺様総帥が考えた挙句に取った行動はといえば、これがまた最悪で。
「・・・マーカーのとこへ行ったんだ」
―――ブーッ!
これはハーレムが酒を噴き出した音である。
「何だよ、汚えな」
「おまえ今何つった!」
「だってマーカーはあいつの師匠なんだろ。あいつから言って貰えばアラシヤマも言うこと聞いてくれるかなって思って」
「思って、じゃねえよ! おまえあいつらのこと知らねえの!?」
「え、何を?」
きょとんとしたシンタローにハーレムは額を押さえて呻いた。
―――決定。俺の甥っ子は3バカトリオだ。
しかしよりによってマーカーにねえ、と考えるとまた笑いがこみあげてきた。
大事な愛弟子へのとんでもない命令を頼まれたときのマーカーの顔を想像すると、可笑しくて仕方が無い。
「で、マーカーは何て?」
「駄目です、ときやがった。それも0.2秒でだぜ! オッサン、てめえどんな教育してんだ!」
―――それは俺がマジック兄貴に言いたいことだよ。
「だからって俺んとこくるか普通・・・」
「だっておまえ爛れた恋愛してそうだし、碌でもない経験も豊富だろ。キスの上手な淫売ともヤッてそうじゃん。そこを見込んで頼んでんだよ」
「・・・褒めてるつもりなら間違ってんぞ、坊主」
乱暴に酒を飲み干し、壜をドンとテーブルに置く。
その仕草を目で追っているシンタローは、確実にいつもより悪酔いしているようだった。
とろんとした瞳には、男をふらりとさせる刹那的な魅力がある。
(あーもう、勢いでいっちまうか?)
シンタローのことは前から気に入っているし、これは明らかに据え膳といっていいだろう。
そもそも血族同士だという倫理観は青の一族に最も欠けている観念なのだ。
しかしそれでもハーレムが躊躇っているのは、事がキンタローに露見したときの面倒な事態をつい考えてしまうからだった。
―――・・何しろあいつはルーザーの息子だからなあ。
かつて恐怖でハーレムの上に君臨した次兄の血は、紛れもなくあの甥の中にも流れている。
「なあ、ハーレム・・・」
切ない吐息を一つついて瞳を見上げてくるシンタローの眼差しに、ハーレムは地団駄を踏んだ。
心の中では理性という名の獅子舞が必死に踊り続けている。
「お願いだってば・・あいつを落とせるようなキスを、俺に教えて?」
(ハイィ獅子舞さん退場―――!!)
「・・・てめェわざとやってんのかコラ」
ハーレムの声も掠れていた。
「ったく、後で文句言っても聞かねえぞ」
乱暴に顎をすくいあげると黒髪がさらさらと流れ落ちた。
「・・・ん」
こくりと肯いてシンタローがゆっくり瞼を閉じる。
半開きになった唇を奪いかけた寸前―――黒い頭がすとんとハーレムの肩に落ちた。
「・・・はあ?」
ハーレムの手がわなわなと震えだす。

「―――なんだこのお約束どおりのベタなオチはアァ!」
シンタローは、すやすやと気持ち良さそうな寝息をたてていた。


翌日がんがんする頭を抱えて部屋から出てきたハーレムを待っていたのは、お気遣いの紳士の仮面をかぶった恐怖の甥っ子だった。
「あん? 何か用か」
「シンタローはキスが下手だっただろう?」
いきなり斬りこまれて一気に酔いが醒めた。
「―――下手も何もやってねえっての」
真実だから仕方がない。さすがに眠ってしまった相手に手を出すほどは飢えていないのだ。
ハーレムはだるそうに見事な金髪をぐしゃぐしゃとかき回した。
「何であいつにんな事言ったんだよ? あの性格だからムキになんのは見えてたろ?」
「俺のせいでムキになるあいつを見てるのが楽しいから。―――」
死んだ兄そっくりの整った顔がほころぶ。

「俺の言葉に一喜一憂するシンタローが、可愛くてたまらないんだ」

「あそこで俺が退かなかったらテメーどうするつもりだった」
「ふん、シンタローが俺以外の男のキスで感じる筈が無い」
―――こいつァ見てくれだけじゃなくて性格までルーザー譲りだな。
ハーレムは昨日からもう何度目なのかも分からなくなった溜息を吐いた。

「ほんと、テメーはタチが悪いぜ」
「あんたほどじゃないさ、叔父貴」

ハーレムの教訓。

―――恋に落ちてる奴らにはもう絶対関わらないでおこう。
   特に、それにルーザーの忘れ形見が絡んでいる場合には。


--------------------------------------------------------------------------------






作・斯波

幸せそうな人を見るとこっちまで嬉しくなる。
恋をしなくちゃと思う。
恋を知らなければ、人はギリギリの生き方しか出来ない。



KISS OF KISS



「・・頭痛ェ・・・」
目覚めは最悪。
だけど、昨日見た夢はまるで総天然色の映画のように鮮やかだった。

夢の中でキンタローとキスをしていた。
何度も何度も、繰り返し繰り返し。
おまえは相変わらずキスが下手だな、と耳許で囁かれた。下手で悪かったな、と言い返そうとしたけれどあんまりあいつの唇が熱いからうまく呼吸も出来なくてただ吐息だけが零れた。
このまま一つになって溶けてしまいたいと、そうねだったような気がする。

シンタローは暫くぼうっとベッドの上に座り込んでいた。
「―――・・何だコレ」
テーブルの上には酒壜や皿がそのままになっている。
(そういや昨日はハーレムがやってきたっけ)
随分飲んだ気がする。何だかキンタローの話もしたような覚えがあるが定かではない。
割れるように頭が痛いのは酒のせいか、とやっと理解してベッドを降りた。
ふと、唇に指を当ててみた。

目を閉じると鮮やかに記憶が巻き戻される。
昨夜のことは覚えていないのに、夢の中のことは全部覚えていた。
忍び入るような甘い声も、淫らで執拗なキスも。
(―――シンタロー)
不意にキンタローが本当に囁いたような気がしてぱっと眼を開いた。
びりびりと、身体中に電流が走った。


「おはよー、シンちゃん」
シンタローは吃驚して振り返った。もう着替えを済ませたグンマが顔を覗かせている。
「あ・・グンマか」
「大丈夫~? 昨日は随分飲んでたみたいだったけど」
「ああ・・ハーレムは?」
「自分の部屋で寝てるよ。何だか荒れてたけど、叔父様と喧嘩でもしたの?」
「―――覚えてねェ」
「・・・ふーん」
呆れたことにグンマは朝からアイスクリームを食べている。
棒つきのアイスを舐めながらまじまじとシンタローの顔を眺めている従兄弟に、眉根を寄せた。
「何だよ? てゆーか何ソレ」
「えー、アイス。当たりが出たらもう一本貰えるのv」
「気持ち悪・・・朝からそんなもん食うなよ」
「いいじゃん、美味しいんだから」
溶けかけたそれを口から離して、グンマがニッと笑った。

「シンちゃん、どんな夢見てたの?」
「え?」
「何か、そんな顔されたら襲いたくなっちゃうんだけど。―――」

何言って―――といいかけた口に思い切りアイスを突っ込まれた。
「ぐふ・・っ!」
顎を伝う甘い液体を、グンマがぺろりと舐め上げる。
「うーん、非常にやらしくていい感じー」
無邪気な笑顔でにこりと微笑まれて、絶句した。


「どうせまたキンちゃんの夢でも見てたんでしょ~?」
「―――おま・・おまえなあアァ!」
「はいはい、怒らない怒らない。おとーさまがご飯作って待ってるよ♪」
早く来てねェ冷めちゃうから、と言ってひらひら手を振って背を向けたグンマを見送ったシンタローの背筋にぞくりと寒気が走る。
(・・・そういやあいつは青の一族の直系も直系だった)

血の繋がり、というものをしみじみと考えさせられる羽目になった総帥を残して、ドアは軽やかな音を立てて閉まったのだった。


「ご機嫌ですね、グンマ様」
上に馬鹿がつくほど過保護なドクターに紅茶を淹れながらグンマはにっこり笑った。
「うん。何だか幸せな気分なんだ~」
「・・・それはそれは」
「ねえ高松」
「はい?」
「やっぱり人間恋をしなくちゃ駄目だよね。僕も綺麗な恋がしたいな―――って高松!? 高松しっかりして! もお鼻血出しすぎだよーッ!!」

夢中になって恋をしている二人の従兄弟を見てるとこっちまで嬉しくなる。
あんなにもただ一人の相手を想う力が、人間にはあるのかと感心する。
―――全くどうしようもないくらい人騒がせなカップルだけど。

(それでも恋をしてる二人を見てるのはとても面白いから)

当分僕は、退屈しそうにない。


--------------------------------------------------------------------------------

以上、キンシン・キスシリーズ三連弾でした。
加えてアラシンでハレシンでグンシンぽいあたりを感じで下さると、
シン受けサイトらしくて非常に嬉しいです。

キンシン一覧に戻る

v





作・斯波

自分の気持ちを大事にしよう
失くさないでいいものまで失くしてしまわぬように

今のあなたがとても好き



ONE MORNING



カーテンを閉め忘れた窓から朝の光が射しこんでいる。
俺は隣で寝息を立てているシンタローを起こさないようにそうっとベッドを出た。
少しだけ窓を開けると、風とともに小鳥の囀りが飛び込んできた。
(いい天気だ。―――)
俺は眼を細めて、眠っているシンタローを振り返る。
今日は一月振りの休日だ。ガンマ団総帥であるシンタローは、決して自分からは休みを取ろうとしない。放っておくと極限まで無理をするタイプなので、俺は時々半ば強制的に休みを取らせることにしていた。それでも渋るシンタローを従わせたのは、
―――おまえが休まないと俺も休めない。
という理屈だった。実際それは嘘ではない。補佐官である俺は本部においてはシンタロー以上に忙しいのだし、総帥が休まないと秘書官のティラミスとチョコレートロマンスだって休めないのだ。
(もう少し寝かせておくか)
目を覚ます気配のないシンタローをそのままにして戸棚を開けた。普段は忙しくて開けることもない棚の奥には、買い置きの豆が置いてある。ミルの音で起こしてしまっては可哀想なので、豆は前もって挽いて小分けにしてあった。
コーヒーメーカーのスイッチを入れると、数分でいい香りがしてきた。ソファに腰掛け、目覚めの煙草に火をつける。
時計に眼を遣るとちょうど8時30分。
今頃総帥室には、性格も口も悪いが仕事だけは無駄に出来る№2が向かっている筈だ。
出来上がったコーヒーをカップに注ぎ、咥え煙草のまま部屋を横切ってベッドへ向かう。
サイドボードにカップを置いた時、俺のシャツの裾がきゅっと引っ張られた。
振り向くと、眩しそうに顔をしかめたシンタローが俺を見上げていた。
「ああ、起きたか?」
「ん・・・」
「まだ大分声が掠れているな。無理をさせすぎたか?」
「ばっ―――」
一瞬で顔が真っ赤になる。怒鳴り声を上げられる前に、俺は自分が吸っていた煙草を咥えさせることに成功した。
「灰が落ちるぞ」
くすくす笑いながら灰皿を差し出してやると、シンタローは溜息を吐いて起き上がった。
寝ている時は束ねている長い髪を解くと、しなやかなその髪はまるで生き物のように裸の上半身に広がる。朝陽に惜しげもなく晒した肌に残った昨夜の痕跡が眼に飛び込んできて、俺は慌てて視線を逸らした。
「・・・コーヒー」
声が物憂げなのは、まだ完全に目覚めていないからだろう。
俺が渡したカップに口をつけ、その熱さにまた顔をしかめる。
「―――いい天気だな」
「ああ、久し振りの上天気だ。朝飯を食ったら出かけるか?」
「今年はまだ桜を見てねえなあ」
「花見に行ってもいいぞ。弁当なら作るから」
「んー・・でも暖かそうだから海を見るのもいいかもな」
「車の用意は万全だ。いつでも出発出来るぞ」
「だけど久しく買い物にも行けてねえし」
「近くに新しい百貨店がオープンしたそうだ。なかなかの評判だが、行ってみるか」
二本目の煙草を咥えながらそう言うと、シンタローは可笑しそうに笑い出した。
「どうした?」
「だって、おまえ何処でもいいみたいな返事するから」
「・・・何処でもいいぞ?」
何でそんなことが可笑しいのだろう。
シンタローはコーヒーカップをボードに置いて煙草を揉み消した。
「おまえ、絶対怒んねーよな。俺が何したいっつってもしたくないっつっても」
「?」
「俺を甘やかしすぎだとか思わねーの?」
「全然」
しなやかに流れる黒髪を撫でながら、コーヒー味の唇に軽いキスをする。

「まだまだ足りない。―――」


―――もっと我が儘を言って、俺を振り回して。  
            子供のように俺を困らせて―――


「やっぱおまえ、甘過ぎ」
喉の奥で笑って、シンタローが俺の首に手を回す。
「別にいいじゃないか。おまえは俺にとって、いいか俺にとってはだな」
「煩い、二度言うな」
むきになった俺の言葉を封じて、シンタローは白い歯を見せて笑った。
「よし、決めた」
「シンタロー?」
「今日は一日、おまえとベッドの中にいることにする!」

桜も海も、新しい洋服も要らない。
大好きなひとと、二人だけの夢を見よう。
「嫌か?」
「・・・まさか」
悪戯っぽく笑ったシンタローをコーヒーの香りごと抱きしめる。

休日の朝はまだ、始まったばかり。


--------------------------------------------------------------------------------

天然紳士なキンちゃんも可愛いですが、
シンタローさんに優しい大人紳士も好きです。

キンシン一覧に戻る

zx





作・斯波

俺、新しい枕が欲しいんだけど。
そう言い出したのは、シンタローだった。



ピロー・トーク



「・・・枕?」
「うん。低反発素材の、すごく身体にいいのが発売されたってネットに載ってたから」
俺の隣に横たわって、シンタローは枕を自分の目と同じ高さにまで持ち上げて眺めている。
「これも悪くはないんだけどなー・・何かイマイチ頭の位置が決まんねっつうか」
「低反発・・」
「ついでにマットレスもそれに変えたいんだけど」
「何故だ?」
「安眠出来るんだって。睡眠時間が短くても、疲れを明日に残さないってのが売りらしいぜ」
「おまえ、そんなに疲れているのか?」
訝しむように訊いた途端に枕が俺の顔面に落ちてきた。
「誰のせいだと思ってんだよ、ああ!?」
「ちょ、シンタロー息が」
「おまえが全然寝かしてくんねーから俺の睡眠時間が減少してんだろーが!」
ばんばんと俺の顔を叩きながらシンタローは怒鳴った。
所詮枕なので痛くはないが、呼吸のタイミングがずれて少々苦しい。
「だいたいおまえは何につけても適度ってもんを―――」
「シンタロー」
攻撃を続ける枕をやっと掴み、部屋の隅に放り投げる。
「あってめ」
そのままシンタローを胸の中に抱きこむ。その肌はエアコンのせいでひんやりと冷えていた。
「つまりおまえは、その安眠マットで睡眠不足を補いたいと思っている訳だな?」
「だからさっきからそう言ってるじゃん」
「睡眠不足の根本的な原因を排除するという考えは端から頭に浮かばなかった訳だな?」
「えっ?」
シンタローは一瞬きょとんとした。その顔がみるみる赤くなる。
「ばっ―――テメー何言って・・自惚れんな、バカ!」
「それじゃあその低反発マットレスは俺が買ってやる」
「こら離せ! 暑苦しい!」
「でも枕は駄目だな」
「はあ!? 何でだよ、おまえもうまるで意味分かんねーよ!!」
「だって要らないだろう、俺の腕があれば。―――」

大真面目にそう言うと、恥ずかしいことを言うなと今度はグーで殴られた。
きっとシンタローは、自分が眠りに落ちた後、いつも枕をベッドの足許に放り投げて俺の腕で眠っていることをを知らないのだろう。

―――とりあえず、次の休みにはその低反発マットレスとやらを買いに行こう。


--------------------------------------------------------------------------------

定期的にキンシンをアップしないと、
エラーが出たり睡魔に負けたりしてしまうのです。
これはやっぱりキンちゃんの呪いでしょうか。

キンシン一覧に戻る

BACK HOME NEXT
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
as
(06/27)
p
(02/26)
pp
(02/26)
mm
(02/26)
s2
(02/26)
ブログ内検索
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: ふらいんぐ All Rights Reserved