シンタローがジャンの体で復活し、メンバーたちがパプワ島からガンマ団に戻り 怪我が完全に治ってから、アラシヤマはシンタローからしばらく無視をされていた。
任務から帰還し、久々に暇が出来たアラシヤマはその状況をどうにかしようとほぼ 1日中シンタローの後をついてまわっていた。
「シンタローはーん?」
「・・・・」
シンタローは、相変わらずアラシヤマを無視して歩いている。
「何怒ってはりますのん?わて、あんさんに何かしました??えーっと、着替えを 覗こうとするのはいつものことですし、盗撮もストーキングも日課みたいなものです やん?」
「・・・・(怒)」
アラシヤマの言葉を聞いたシンタローは、ますます険しい顔をし、歩調を速めた。 それでもアラシヤマは後を追いかけ、なんとか理由を聞き出そうとする。
「あまり、訳の分からんことですねてはりますと、いくらわてでも困りますえ?」
その言葉を聞いたシンタローは、急にピタッと立ち止まった。
勢い余ったアラシヤマは、危うくこけそうになった。
振り返ったシンタローは、妙に無表情であり、いつも表情豊かなシンタローを見慣れ ているアラシヤマは戸惑った。
「・・・お前は、顔が同じだったらジャンでもいいんだろ?洞窟でアイツに友達に なってくれって頼んでたじゃねぇかヨ。そもそもこの体も、もともとはアイツのだし。 『親友、親友』って、別に俺に拘る必要はないと思うぜ」
「・・・(そう言われると痛いどすな。わて、実際ジャンはんに友達になってくれ言うて しもうたし。うーん(何かを妄想)。あっ、やっぱり中身がシンタローはんやないとあきま へんわ)。(←この間3秒)シンタローはん、わてはあんさんの外見やのうて中身が好きなん どす(・・・もちろん外見も好みどすけど、それを今言うたら逆効果になりそうですしな)。 いくら顔や体が同じでも、ジャンはんは、あんさんとは別の人間どすから、わてが心友に なりたいと思うのはあんさんだけどす。だから、例えあんさんがまた体の無い幽霊になった としても、わての『バーニング・ラブv』な友情パワーでなんとかしてみせますえ!!」
シンタローの表情が少し和らいだ。
「まぁ、とりあえずはその言葉を信用しといてやるヨ。・・・ただ、お前が答えるまでに 3秒かかったけどナ」
ホッとした後、ギクッとしたアラシヤマはダラダラと冷や汗をかきつつ弁明した。
「い、嫌やわぁ、シンタローはん。わてが答えるまでに3秒もかかったやなんて、たぶん 気のせいちゃいますのん?・・・それにしても、そないなことですねはるやなんて、シン タローはんはやっぱり可愛いおすなぁvvv」
なんとなく有耶無耶のうちに仲直り出来そうな雰囲気に気が緩んだアラシヤマが思わず本音 をもらすと、少し和らいでいたシンタローの表情が、再び険しいものに戻った。
「やっぱりお前、無視決定。・・・眼魔砲!」
「あぁー、痛いどすが、シンタローはんがヤキモチ妬いてくれはったなんて、幸せどす~」
その後しばらく、大怪我をしながらも何故かアラシヤマは幸せそうにニヤニヤ笑っていたので、 周囲のみなさん方は非常に不気味に思ったらしい。
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本日、シンタローが半年ぶりに帰って来るというのでガンマ団内はお祭り騒ぎの状態であった。
総帥のマジックが上機嫌なので、その雰囲気は部下にも伝わり、心なしか誰もが嬉しそうな顔をして廊下を行き交っていた。
アラシヤマはお祭り騒ぎには興味がなく、明日からの任務の準備を黙々としていた。 彼は最近では単独の暗殺任務が多かったが、今回は少人数単位での任務であった。
彼は常々、(わては、シンタローが総帥の息子ということはどうでもええし、その部分でシンタローと友達になりたいとは全く思わへんから、他の奴らよりもシンタローに対する評価が客観的どす)と自負していた。
アラシヤマから見ると、シンタローは格闘技が出来るほうだが、まだまだ隙があり、甘い部分が多かった。
アラシヤマが伝え聞いた噂によると、シンタローは、叔父のサービスと修行をしていたようで、彼はシンタローが修行によってどれほど強くなったのか興味があり、そしてただ単純にシンタローに会いたかったが、アラシヤマは、(わ、わては、別に、シンタローなんかに会いとうおまへん!)と自分を無理矢理納得させ、意地を張ってシンタローに会いに行こうとはしなかった。
アラシヤマが食堂で昼食を食べているとき、近くに座っていたガンマ団員の会話が耳に入った。
「おい、お前聞いたか?総帥の息子がガンマ砲を撃てるようになったらしいぞ」
「ふーん。やっぱり、全然似てなくても親子なんだな。良かったじゃねぇか。これで親子だって証明されてよ」
「そうだな。今まで散々いろんな噂がたってたしな。お偉方もホッとしてんじゃねぇか?まぁ、俺らには関係ねぇがな」
「違ぇねぇ」
そう言って、シンタローのことを少し揶揄して笑うガンマ団員の会話に、アラシヤマは(シンタローは、わてのライバルなんどすから、あんさんらが馬鹿にしてもええもんやおまへん!!)とムカつきつつも、(それにしてもシンタローは眼魔砲が撃てるようになったんどすか)と、少し感心した。
翌日の任務で、アラシヤマはシンタローが居ることに非常に驚き、上官に食って掛かった。
「なんで、いきなりシンタローがいるんどすか?ここはそんなに危なくないとはいえ、まだまだ残党がたくさんいますえ?この人数やと誰もシンタローを守る余裕なんてないでっしゃろ?」
上官は、食って掛かるアラシヤマに迷惑そうな顔をしつつも、
「総帥命令だ。まぁ、マジック総帥も使えないようならいくら自分の息子とはいえ、こっちには遣さないだろう。その辺りはきっちりしているお方だからな」
と言い、それ以上の抗議は受けつけなかった。
その向こう側でシンタローは団員と話しており、追い払われたアラシヤマはシンタローを見るともなしに見ていた。
久々に見かけたシンタローは、半年間の間に以前よりも髪が長くなり、顔つきが大人びており、アラシヤマは少々戸惑った。
シンタローは、アラシヤマに気が付くと嫌そうな顔をし、顔を顰めて舌を出した。そんなところは、まだまだ子どもっぽく、アラシヤマは少し安心した。
今回の任務は、麻薬を秘密裏に栽培していた村そのものと、その村に大量に残された麻薬の原料を消滅させることであった。そこの村で精製されていた麻薬は質が悪く、使用するとすぐに死に至ることで有名であったので、ガンマ団に徹底破壊の以来が来た。その村で働いていた従業員達の中で、危険な麻薬を作っていることを知っていた者は極一部であったが、ほとんどの村民は麻薬を精製する過程で何らかの有毒な物質に触れていたので現在病院に収容されていた。建物自体も有毒な物質の成分が染み込んでいたので、全て消滅させなければならなかった。その村の周囲にはゲリラの残党が、その麻薬を狙って潜伏しており、いくら決着は着いていたとはいえ油断は出来ない状況であった。
麻薬を一箇所に集め、アラシヤマが低温の炎で煙を出さずにそれを燃やし尽くし、他の団員達がその後の化学的処理を行っていた。
シンタローは建物を破壊し、アラシヤマがそれを燃やすという役割であり、2人は村の入り口に戻った。
「あんさん、新しい技を覚えたそうどすが、ほんまに使いものになるんどすか?」
「てっめぇ、疑ってやがんのかヨ?そんじゃ、見せてやるぜ!眼魔砲ッツ!!」
シンタローの手に球形のエネルギーの塊が生まれ、爆発音とともに木で出来た建物を破壊した。
「なるほど。これが眼魔砲どすか」
「そーだ!スゲェだろ?」
嬉しさからか、非常に珍しくアラシヤマに向かって無邪気に笑うシンタローに、ここ数年、そんな笑顔を自分に向けられた事のなかったアラシヤマは非常に動揺した。
「す、す、すごいどす・・・」
オドオドしているアラシヤマを見たシンタローは、眼魔砲の威力に恐れをなしたと思い、上機嫌であった。
そして、シンタローが順調に建物を破壊し、アラシヤマがそれを燃やしていくうちに1軒の民家を残すのみとなった。
「そんじゃ、最後の1軒か。眼魔――」
その時、民家の中から小さな人影が飛び出してきた。
「止めろっつ!僕の家を壊すなッツ!!」
4歳程の年齢の男の子が家の前に立ち塞がり、両手を広げて通せんぼし、2人を睨みつけた。
2人は予想もしなかった出来事に、思わず顔を見合わせた。
「確か、村民はみんな避難したって・・・?」
「マァ、こんなこともありますやろ。それにしても、このガキどないしまひょか?面倒でおすな」
「面倒って、オマエ、保護して病院か避難所に連れて行くしかねぇだろ?オイ、そこのお前、こっち来い。父ちゃんと母ちゃんのとこに連れてってやる」
そう声を掛けたシンタローであるが、子どもは頑としてそこを動こうとしなかった。
「その家は、危険なんだ。早くしねぇと家の下敷きになっちまうぞ?すぐにどかねぇと知らないからな?」
シンタローが少し脅すような調子で言うと、子どもはますます意固地な様子になった。
「嫌だ!そんな嘘言って、僕の家を壊すつもりだろ!!お前らみたいな化け物の言うことなんか誰が聞くかよ!!」
化け物という言葉を聞いたシンタローは、ショックを受けたようであり、しばらく呆然としていた。
アラシヤマはシンタローの横を通り過ぎ、ズカズカと子どもの前に進んだ。
怯えた顔でそれでも精一杯睨みつける子どもに対し、アラシヤマは1つ溜め息をつき、
「あんさん、人に言うていいことと悪いことがありますやろ。ライバルの俺以外がシンタローを傷つけるのは許せまへんな。子どもやからというて、俺は容赦しまへんで」
と言った。
アラシヤマが子どもの首筋を何か針のようなもので刺すと、子どもは気を失った。
子どもが倒れるのを見て我に返ったシンタローが慌てて、
「おい、殺したのかヨ?」
と、アラシヤマに詰め寄ると、子どもを荷物のように左腕に抱えたアラシヤマは、
「もし、そうやったらどないします?いくら子どもやからて、油断できまへんえ?」
と、小馬鹿にしたように言った。
「もし、子どもを殺したんなら、俺はお前を許せねぇ」
シンタローがアラシヤマを睨み付けながらそういうと、
「そういう考え方が甘いんどす。―――子どもは気ぃ失うとるだけですわ」
そう答えた後、アラシヤマは最後に1件だけ残っていた民家を燃やした。火の勢いは強く、木で出来ていた粗末な家屋はあっけなく燃え落ちた。
シンタローは何か考えているようであり、なかなかそこを動こうとしなかったので、アラシヤマが焦れてシンタローの肩を掴み撤退を促そうとすると、シンタローはアラシヤマの手を振り払った。
そのまま1人で先に歩いて行ったシンタローの後を、アラシヤマは急ぐでもなしに追いつつ、(シンタローは、眼魔砲ていう特殊な能力を持ってわてと立場は同じになったはずやのに、甘いままどすな。どうして変わらへんのやろか?わてと同じところまで堕ちてきたらええのに。・・・でも、シンタローにはやっぱりそのままでいてほしい気もしますな)と思いながら集合場所へと歩いていった。
士官学校時代で、なんだか地上げ屋な17歳のお2人です。アラが大人気ない&大変ムカつきますかと・・・。
「シンちゃーん!!一緒にビデオ見よ~~vv」
突然、俺の部屋の扉がバンッと開き、グンマが部屋に入ってきた。
「今日はシンちゃんお休みでしょ?僕、近所のT○UT○YAが昨日サービスデーだったからビデオ借りてきたんだよvv」
そう言って、グンマは少し厚みのある青い袋をヒラヒラと振った。
「ビデオか・・・(まぁ、暇だからいいか)。で、何見るんだヨ?」
「これこれッ♪僕、この監督の作品大好きなんだ~♪」
「へェ、俺、これは見たことないな。別の作品は見たことあるけど」
「えっ?そうなの!?じゃぁ、ちょうど良かった♪これは、何回見てもいい映画なんだよ~」
「ふーん」
そういって、俺は、グンマと一緒に約2時間ほど、そのビデオを見た。
感想はというと・・・、ストーリーにも引き込まれたし、アクションもなかなか良かったと思う。
ただ、なんとなく、主人公が殺し屋で、不器用な割りに殺しの技術だけは秀でているところや、「植物しか友達がいない男」などという点が、あの変態(どすえ)を思い出させた。主人公役の男は、渋くてカッコイイ俳優だとは思うのだが。
「ねぇねぇ、シンちゃん、どうだった??」
「うーん。よかったと思うけど、俺、もうこれ見ないと思うわ」
「えっ、どうして~!?また一緒に見ようよ~~」
「すまん。今度からキンタローと一緒に見てくれ」
「変なシンちゃん」
俺も自分でも変かと思ったが、どうもその映画を見ていると現在遠征中でここにはいない“どすえ”のことを思い出し、最悪のことなど色々と考えてしまい、結局あまり映画に集中できなかった。
できれば“どすえ”がいない時にヤツを思い出させるものは、何であろうと、もう見たくはない。
ある日の、アラシヤマの部屋でのことである。
シンタローは、本棚前の床に座って本を読んでいた。
「シンタローはーん。本なんて、どうでもええですやろ?わてをかまっておくれやす~」
そう言って、アラシヤマは胡坐を掻いて座っているシンタローの背後から、圧し掛かった。
「ウゼぇ。眼魔砲!」
シンタローは、手に持った本から目を離さないまま、片手で後ろに向けて眼魔砲を撃った。
眼魔砲をくらったアラシヤマはある程度ダメージを受けたらしく、しばらくは静かにしていたが、数分経つと立ち直ったようであり、ブツブツ言い始めた。
「なんで、いきなり眼魔砲ですのん?わてら、ラブラブ(死語)な恋人同士ですやろ!?しかも、ここはわての部屋どすえ?ちょっとはいい雰囲気になってもいいはずどす!!」
それに対しシンタローは、
「オマエと恋人同士になった覚えはねェヨ。そんなことより、今いいとこなんだから邪魔すんな」
「えッ?恋人同士やないんどすかぁ!?あの時、あんなにかわええ声だしはって、わてに縋りついてきましたのに・・・。あれをオカズに、ご飯3杯は軽くいけますな!!」
アラシヤマが何かを思い出し鼻血を垂らしつつ妄想に浸っていると、読んでいた本を置き不意に後ろを向いたシンタローは、般若の形相をしていた。
「さっきから、いちいちウルセーんだヨ!眼魔砲ッツ!!」
今度は、先ほどよりも威力が増した眼魔砲であり、アラシヤマはかなりのダメージを受けた。
静かになったアラシヤマを放って置き、シンタローは再び本を読み始めた。
「シ、シンタローはーん・・・。非道うおす~」
なんとか復活したらしいアラシヤマは、ズリズリと床を這ってくると、シンタローの背中に自分の背中を預け膝を抱えて座った。今度は、シンタローも何も言わなかった。
そのまま時間が経ち、シンタローが本を読み終わって立ち上がろうとすると、アラシヤマが
「もうちょっと、そのままで聞いておくんなはれ」
と言うので、シンタローも膝を抱えて座りなおした。
「言うの忘れとりましたけど、シンタローはん。わて、あんさんのこと愛しています。だから、あんなことしたんどす」
「――――ッツ」
シンタローは、真っ赤になった。
「あんさんの方は、どうなんどすか?わて、聞いたことがおまへんえ?」
シンタローはしばらく、どう言うべきか迷っていたようであったが、
「・・・少なくとも、そんなには嫌いじゃねぇヨ」
そう言って、膝に顔を伏せた。
「それって、ちょっとは好きってことどすか?」
アラシヤマがそう聞くと、かなり間が空いた末、後ろでコクリと頷く気配がした。
(か、可愛おす~!!)
「シ、シンタローはーん!!」
アラシヤマが思わず立ち上がりシンタローを抱きしめようとすると、シンタローは素早く立ち上がってそれをかわし、ドアのほうに向かった。
「じゃぁナ。また、本読ませろヨ」
振り返らないままそう言うと、シンタローは部屋から出て行った。
(素直じゃおまへんなぁ・・・。まっ、そんな所がシンタローはんの可愛いとこなんどすけどvv)
アラシヤマは、とても幸せであった。
お2人に何があったんでしょうか・・・(無責任)。まぁ、たまには薬味アラさんも報われるということで☆
scene1:
本日の気温は、40度である。
「何で、こんなにクソ暑ぃんだヨ!」
シンタローは、士官学校に生徒達の訓練の様子をお忍びで見に行く予定であった。しかし、突然緊急に総帥の判断を要する書類が舞い込み、思ったよりも時間がかかったので予定していたよりも遅くなってしまった。
総帥室から士官学校までは建物内を通って行くことができるが、真ん中の広場というか公園(かなり広い)を突っ切っていった方が近道なので、シンタローは現在暑い中公園内を歩いているわけである。普段人が多いはずの公園であるが、炎天下のせいか公園内に人影はなかった。
「あちィ。やっぱ、間違えたかも…」
最近、あまり外へ出る機会が無く、建物の中で過ごすことの多かったシンタローにとってこの暑さはかなりキツイものであった。赤い総帥服はいくら夏用といってもTシャツやその他夏用の普段着に比べると涼しいと言えるものではなく、特に赤い生地は温度が上昇しやすいのでさらに暑かった。
やっと士官学校が見え、「もうすぐだ」と少しホッとした瞬間、急にシンタローの視界がブレた。
(えッ?何だコレ??)
そう思った瞬間、シンタローの目の前は暗くなり、シンタローは意識を失いその場に崩れ落ちた。
scene2:
その少し前、アラシヤマは特別ゲスト(?)として士官学校の体育館で生徒達の演習の指導を行っていた。
(何でわてが、貴重な休みやのにこんなガキ共の面倒をみなあかんのやろか。わて、子どもは嫌いどす。あぁー。こんなことしてるよりも、シンタローはんに会いとうおますなぁ・・・。シンタローはーん!!)
―――心の中で何を考えていようと、外見上は一応きちんと指導していたアラシヤマであったが、何気なく外を見て何かに気づいたようであり、急に持っていたチョーク(実技後、可動式の黒板に理論を書いて説明していた)を近くに居た指導教官に押し付け、
「わて、急な任務を思い出したんですわ。ここで失礼しますえ?」
と、有無を言わさぬ迫力で言ったので、上官命令に逆らえない体質の教官は思わず頷いてしまった。
教官が、座って成り行きを見守っていた生徒達に、
「あー、アラシヤマ上官は、急な任務が入られたようで・・・」
と言いつつ、アラシヤマが居た方を振り向くと、そこには誰も居なかった。
生徒達は、小声で、
「スゲーな、あのダッシュ。さすが幹部だぜ」
「人間離れしてるよなぁ・・・。あれぐらいじゃないと幹部になれないのかな?俺、将来が不安になってきたかも・・・」
等々、囁きあっていたが、
「静かに!それでは、今から授業の続きを再開する!!」
という教官の一喝に一同は静まり、何事も無かったかのように再び授業が始まった。
scene3:
「あっ!やっぱりシンタローはんどしたか!!来てみてよかったどす~」
アラシヤマがダッシュで公園の方まで来てみると、そこにはシンタローが倒れていた。
「シンタローはん?シンタロー??シンちゃん???」
(うーん、これは完全に気を失ってますな。いつもやったら“即、眼魔砲!!”な呼び方しても、起きまへんし・・・)
アラシヤマは、シンタローの鼻と口の上に手をかざした。
(息はしとりますな。シンタローはんに持病がないことは、ガンマ団内にいるときは欠かさずシンタローはんウォッチングをしているわてが一番よく知ってますし・・・。まぁ、この暑さやさかい熱中症といったところですやろ)
そう結論付けたアラシヤマは、シンタローを抱えあげ、とりあえず木陰に移動させた。
「えーっと、熱中症やったら水をかけなあきまへんな。バケツ、バケツ」と、アラシヤマは水を汲んでこられるものを探し辺りを見回したが、この広場はガンマ団の職員によってきちんと管理されているため、その辺に用具類が置きっぱなしにされているはずはなかった。
「うーん。秘書課か医務室に知らせたほうがええですやろか?でも、今日携帯持ってきてまへんし、公衆電話まで遠うおすからなぁ。シンタローはん、もうちょっと辛抱しておくんなはれ」
そう言って、アラシヤマは近くで電話を借りようと、立ち上がろうとした。
その際、シンタローの髪の毛が汗で首筋に張り付いているのがふと目に入り、それが暑そうであったので髪が肌に触れないよう掻き分けてやった。アラシヤマはついでにどれだけ熱があるのか知りたくなり、シンタローの頬に手を当てた。
「かなり熱うおますなぁ・・・。大丈夫やろか」
すると、アラシヤマの手が冷たくて気持ちよかったのか、シンタローは無意識にアラシヤマの手を掴みそのまま抱え込んで丸まってしまった。
「・・・かっ、かわいおす~~vvv」
その、猫のようなシンタローの仕草に、アラシヤマは鼻血が出そうであったが、どうにかこうにか持ちこたえた。
その後、彼はしばし何かを考えていたようであったが、
「確か、熱中症ではめったなことでは死にまへんですやろ・・・。それに、ここから医務室に行くよりも、わての部屋の方が近うおますしな。シンタローはーん!あと少しですさかい、もうちょっとの辛抱どすえ~vv」
そう言って、アラシヤマはシンタローを抱え上げ、自分の部屋の方角に向かった。
えーっと、一応、続きがあるのですが。15禁ぐらい(全然へタレですが・・・)かなぁと私的には思うので、少し隔離 させていただきます(汗)。バッチコイ☆なお方は、まだ裏がないので、こちらからどうぞ~。→