ある日の、アラシヤマの部屋でのことである。
シンタローは、本棚前の床に座って本を読んでいた。
「シンタローはーん。本なんて、どうでもええですやろ?わてをかまっておくれやす~」
そう言って、アラシヤマは胡坐を掻いて座っているシンタローの背後から、圧し掛かった。
「ウゼぇ。眼魔砲!」
シンタローは、手に持った本から目を離さないまま、片手で後ろに向けて眼魔砲を撃った。
眼魔砲をくらったアラシヤマはある程度ダメージを受けたらしく、しばらくは静かにしていたが、数分経つと立ち直ったようであり、ブツブツ言い始めた。
「なんで、いきなり眼魔砲ですのん?わてら、ラブラブ(死語)な恋人同士ですやろ!?しかも、ここはわての部屋どすえ?ちょっとはいい雰囲気になってもいいはずどす!!」
それに対しシンタローは、
「オマエと恋人同士になった覚えはねェヨ。そんなことより、今いいとこなんだから邪魔すんな」
「えッ?恋人同士やないんどすかぁ!?あの時、あんなにかわええ声だしはって、わてに縋りついてきましたのに・・・。あれをオカズに、ご飯3杯は軽くいけますな!!」
アラシヤマが何かを思い出し鼻血を垂らしつつ妄想に浸っていると、読んでいた本を置き不意に後ろを向いたシンタローは、般若の形相をしていた。
「さっきから、いちいちウルセーんだヨ!眼魔砲ッツ!!」
今度は、先ほどよりも威力が増した眼魔砲であり、アラシヤマはかなりのダメージを受けた。
静かになったアラシヤマを放って置き、シンタローは再び本を読み始めた。
「シ、シンタローはーん・・・。非道うおす~」
なんとか復活したらしいアラシヤマは、ズリズリと床を這ってくると、シンタローの背中に自分の背中を預け膝を抱えて座った。今度は、シンタローも何も言わなかった。
そのまま時間が経ち、シンタローが本を読み終わって立ち上がろうとすると、アラシヤマが
「もうちょっと、そのままで聞いておくんなはれ」
と言うので、シンタローも膝を抱えて座りなおした。
「言うの忘れとりましたけど、シンタローはん。わて、あんさんのこと愛しています。だから、あんなことしたんどす」
「――――ッツ」
シンタローは、真っ赤になった。
「あんさんの方は、どうなんどすか?わて、聞いたことがおまへんえ?」
シンタローはしばらく、どう言うべきか迷っていたようであったが、
「・・・少なくとも、そんなには嫌いじゃねぇヨ」
そう言って、膝に顔を伏せた。
「それって、ちょっとは好きってことどすか?」
アラシヤマがそう聞くと、かなり間が空いた末、後ろでコクリと頷く気配がした。
(か、可愛おす~!!)
「シ、シンタローはーん!!」
アラシヤマが思わず立ち上がりシンタローを抱きしめようとすると、シンタローは素早く立ち上がってそれをかわし、ドアのほうに向かった。
「じゃぁナ。また、本読ませろヨ」
振り返らないままそう言うと、シンタローは部屋から出て行った。
(素直じゃおまへんなぁ・・・。まっ、そんな所がシンタローはんの可愛いとこなんどすけどvv)
アラシヤマは、とても幸せであった。
お2人に何があったんでしょうか・・・(無責任)。まぁ、たまには薬味アラさんも報われるということで☆
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