scene1:
本日の気温は、40度である。
「何で、こんなにクソ暑ぃんだヨ!」
シンタローは、士官学校に生徒達の訓練の様子をお忍びで見に行く予定であった。しかし、突然緊急に総帥の判断を要する書類が舞い込み、思ったよりも時間がかかったので予定していたよりも遅くなってしまった。
総帥室から士官学校までは建物内を通って行くことができるが、真ん中の広場というか公園(かなり広い)を突っ切っていった方が近道なので、シンタローは現在暑い中公園内を歩いているわけである。普段人が多いはずの公園であるが、炎天下のせいか公園内に人影はなかった。
「あちィ。やっぱ、間違えたかも…」
最近、あまり外へ出る機会が無く、建物の中で過ごすことの多かったシンタローにとってこの暑さはかなりキツイものであった。赤い総帥服はいくら夏用といってもTシャツやその他夏用の普段着に比べると涼しいと言えるものではなく、特に赤い生地は温度が上昇しやすいのでさらに暑かった。
やっと士官学校が見え、「もうすぐだ」と少しホッとした瞬間、急にシンタローの視界がブレた。
(えッ?何だコレ??)
そう思った瞬間、シンタローの目の前は暗くなり、シンタローは意識を失いその場に崩れ落ちた。
scene2:
その少し前、アラシヤマは特別ゲスト(?)として士官学校の体育館で生徒達の演習の指導を行っていた。
(何でわてが、貴重な休みやのにこんなガキ共の面倒をみなあかんのやろか。わて、子どもは嫌いどす。あぁー。こんなことしてるよりも、シンタローはんに会いとうおますなぁ・・・。シンタローはーん!!)
―――心の中で何を考えていようと、外見上は一応きちんと指導していたアラシヤマであったが、何気なく外を見て何かに気づいたようであり、急に持っていたチョーク(実技後、可動式の黒板に理論を書いて説明していた)を近くに居た指導教官に押し付け、
「わて、急な任務を思い出したんですわ。ここで失礼しますえ?」
と、有無を言わさぬ迫力で言ったので、上官命令に逆らえない体質の教官は思わず頷いてしまった。
教官が、座って成り行きを見守っていた生徒達に、
「あー、アラシヤマ上官は、急な任務が入られたようで・・・」
と言いつつ、アラシヤマが居た方を振り向くと、そこには誰も居なかった。
生徒達は、小声で、
「スゲーな、あのダッシュ。さすが幹部だぜ」
「人間離れしてるよなぁ・・・。あれぐらいじゃないと幹部になれないのかな?俺、将来が不安になってきたかも・・・」
等々、囁きあっていたが、
「静かに!それでは、今から授業の続きを再開する!!」
という教官の一喝に一同は静まり、何事も無かったかのように再び授業が始まった。
scene3:
「あっ!やっぱりシンタローはんどしたか!!来てみてよかったどす~」
アラシヤマがダッシュで公園の方まで来てみると、そこにはシンタローが倒れていた。
「シンタローはん?シンタロー??シンちゃん???」
(うーん、これは完全に気を失ってますな。いつもやったら“即、眼魔砲!!”な呼び方しても、起きまへんし・・・)
アラシヤマは、シンタローの鼻と口の上に手をかざした。
(息はしとりますな。シンタローはんに持病がないことは、ガンマ団内にいるときは欠かさずシンタローはんウォッチングをしているわてが一番よく知ってますし・・・。まぁ、この暑さやさかい熱中症といったところですやろ)
そう結論付けたアラシヤマは、シンタローを抱えあげ、とりあえず木陰に移動させた。
「えーっと、熱中症やったら水をかけなあきまへんな。バケツ、バケツ」と、アラシヤマは水を汲んでこられるものを探し辺りを見回したが、この広場はガンマ団の職員によってきちんと管理されているため、その辺に用具類が置きっぱなしにされているはずはなかった。
「うーん。秘書課か医務室に知らせたほうがええですやろか?でも、今日携帯持ってきてまへんし、公衆電話まで遠うおすからなぁ。シンタローはん、もうちょっと辛抱しておくんなはれ」
そう言って、アラシヤマは近くで電話を借りようと、立ち上がろうとした。
その際、シンタローの髪の毛が汗で首筋に張り付いているのがふと目に入り、それが暑そうであったので髪が肌に触れないよう掻き分けてやった。アラシヤマはついでにどれだけ熱があるのか知りたくなり、シンタローの頬に手を当てた。
「かなり熱うおますなぁ・・・。大丈夫やろか」
すると、アラシヤマの手が冷たくて気持ちよかったのか、シンタローは無意識にアラシヤマの手を掴みそのまま抱え込んで丸まってしまった。
「・・・かっ、かわいおす~~vvv」
その、猫のようなシンタローの仕草に、アラシヤマは鼻血が出そうであったが、どうにかこうにか持ちこたえた。
その後、彼はしばし何かを考えていたようであったが、
「確か、熱中症ではめったなことでは死にまへんですやろ・・・。それに、ここから医務室に行くよりも、わての部屋の方が近うおますしな。シンタローはーん!あと少しですさかい、もうちょっとの辛抱どすえ~vv」
そう言って、アラシヤマはシンタローを抱え上げ、自分の部屋の方角に向かった。
えーっと、一応、続きがあるのですが。15禁ぐらい(全然へタレですが・・・)かなぁと私的には思うので、少し隔離 させていただきます(汗)。バッチコイ☆なお方は、まだ裏がないので、こちらからどうぞ~。→
PR