「シンちゃーん!!一緒にビデオ見よ~~vv」
突然、俺の部屋の扉がバンッと開き、グンマが部屋に入ってきた。
「今日はシンちゃんお休みでしょ?僕、近所のT○UT○YAが昨日サービスデーだったからビデオ借りてきたんだよvv」
そう言って、グンマは少し厚みのある青い袋をヒラヒラと振った。
「ビデオか・・・(まぁ、暇だからいいか)。で、何見るんだヨ?」
「これこれッ♪僕、この監督の作品大好きなんだ~♪」
「へェ、俺、これは見たことないな。別の作品は見たことあるけど」
「えっ?そうなの!?じゃぁ、ちょうど良かった♪これは、何回見てもいい映画なんだよ~」
「ふーん」
そういって、俺は、グンマと一緒に約2時間ほど、そのビデオを見た。
感想はというと・・・、ストーリーにも引き込まれたし、アクションもなかなか良かったと思う。
ただ、なんとなく、主人公が殺し屋で、不器用な割りに殺しの技術だけは秀でているところや、「植物しか友達がいない男」などという点が、あの変態(どすえ)を思い出させた。主人公役の男は、渋くてカッコイイ俳優だとは思うのだが。
「ねぇねぇ、シンちゃん、どうだった??」
「うーん。よかったと思うけど、俺、もうこれ見ないと思うわ」
「えっ、どうして~!?また一緒に見ようよ~~」
「すまん。今度からキンタローと一緒に見てくれ」
「変なシンちゃん」
俺も自分でも変かと思ったが、どうもその映画を見ていると現在遠征中でここにはいない“どすえ”のことを思い出し、最悪のことなど色々と考えてしまい、結局あまり映画に集中できなかった。
できれば“どすえ”がいない時にヤツを思い出させるものは、何であろうと、もう見たくはない。
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