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 アラシヤマは、闇美術品売買組織に「金が必要な野心のある若手考古学者」という設定で組織への潜入に成功し、盗品や盗掘品の売買の証拠を集めていた。
組織に潜入する際、現役を引退しているがアンダーグラウンドでは顔が利く(実はガンマ団と繋がりのある)教授の紹介があったため、すぐに信用はされた。
あらかた情報は集まり、そろそろ任務も終盤に近づいてきたかに思えたが、どうやら決定的な証拠が収められたマイクロチップは組織のボスが肌身離さず持ち歩いているらしいことが分かった。しかし、ボスにはいつもたくさんのSPがついている。
アラシヤマは、ノートパソコンの前で悩んでいた。
 (うーん。面倒どすな。以前のガンマ団やったらボスを暗殺しとけば話は簡単なんどすけど、今のガンマ団ではそうはいきまへんからな。もし、殺してもうたらシンタローはんにえらい怒られるし・・・。前はしばらく口聞いてもらえまへんどしたからな)
 「やっぱり、早う終わらせるためには、作戦を立て直さないけまへんやろか・・・。ちょうど、なんやパーティーにも招待されましたしな」
 そう言ってアラシヤマが考えた作戦は、

 ①会場のホテルに火をつけ、パーティー客が動揺している隙を狙ってマイクロチップを  奪う。
 ②ガンマ団に女性の応援を要請し、その女性が色仕掛け(・・・)でボスの注意を惹きつけて  いる間にアラシヤマがマイクロチップを奪う。
 
 (わては①の方がええんどすけど、やっぱり被害が最小で効率がええのは②ですやろか・・・。でも、わて、人見知りが激しいさかい、②はできれば避けたいどすなぁ。そもそも、わてはあまり(?)女性の扱いが得意やありまへんし、初対面の女性にえらい嫌われてしもうたら、しばらく立ち直れへんでっしゃろな・・・。ガンマ団に作戦を報告せなあきまへんけど、作戦①だけ出して、実は効率のええ②があったことがバレたら、シンタローはんにえらい怒られますやろか。それに、「②を思いつかんかったんか」って後からトットリはんらに馬鹿にされたら悔しゅうおますし。あっ、そうや!とりあえず、両方出しとけば、ガンマ団は女性団員がおりまへんから、自然と②は却下されますやろ!素人の女性を巻き込むことは禁止どすしな。なんやそう思たら、わて、気が楽になってきましたわ~♪)
 アラシヤマはその後報告書を書き上げ、ガンマ団に宛ててメールを送信した。






 ガンマ団から任務内容に関する返事が届き、それを読んだアラシヤマは驚愕した。
 「えっ!?ウソでっしゃろ~~~??な、なっ、なんで、②が採用されとるんどすかぁ?しかも、その女性がわての婚約者いう設定で明日ここに来るんやて??わて、どないしよう・・・。急に台風でも来んですやろか・・・」
 アラシヤマは気分が落ち込み、しばらく何も手につかなかった。

 翌日、アラシヤマの願いに反してお天気は快晴であった。
昨日あの後、少し立ち直ったアラシヤマは電話でガンマ団本部に連絡し、作戦変更してもらうように抗議したが、それは却下された。
 (あぁー。気が重いどす・・・)
 アラシヤマは、マンションの下に降り、今日車で来るという女性を待っていた。
 「おっ、学者先生やないか。おはようさん。兄ちゃん何しとるんや?」
 管理人室の窓から、管理人が顔を出した。
 「おはようさんどす。わて、婚約者を待っとるんどす」
 「へぇー。兄ちゃん婚約者がおったんか。兄ちゃん男前やし、婚約者も別嬪さんやろな」
 「へぇ。今日、車でこっちに来るみたいなんどす(いや、わて、婚約者どころかその人の顔も知らんへんのやけど・・・)」
 「おっ、なんや駐車場の方で車の音がするで。あれとちゃうか?いってみよか?わしも、兄ちゃんの婚約者見てみたいわ」
 「はぁ・・・」
 そう言って、2人が歩き出したとき、門の方から1人の背の高い女性が姿を現した。
 「シ、シンタローは―――――ん!!」
 アラシヤマは、突然ダッシュし、ものすごい勢いでその人物に飛びついた。
 ――――と、その人物にとってそれは不意打ちに近かったらしく、アラシヤマはその人物を押し倒す格好となった。
(アレ?シンタローはんのはずやけど、なんや柔らかいしえらい小さいどすな。何で??それにどうしてシンタローはんがここにおるんやろか??)
とりあえず、アラシヤマはシンタローをギュッと抱きしめたまま、地面に座りなおした。
「・・・(怒)」
アラシヤマが、何がなんだかわけが分からずにボーッとしていると、急に突き放され、アラシヤマの脇腹に痛烈なボディブローが決まった。
「グハァッ・・・」
アラシヤマが、あまりの痛さに耐えていると、急にシンタローに頭を引き寄せられ、小声で囁かれた。
「訳は後で説明するからヨ、とりあえず、お前は黙っとけ」
アラシヤマが慌てて首を縦に振ると、シンタローはあっさりと立ち上がり、呆然と一部始終を見ていた管理人に笑顔で挨拶した。
「こんにちは」
 「あ、ああ・・・。こんにちは」
「すみません。お見苦しいところをお見せしまして」
「い、いや。ところで姉ちゃんが、あの兄ちゃんの婚約者かいな?」
「はい、(スッゲー嫌だけど)そうなんです」
「・・・あんたら、いつもあんな感じなんか?」
「何のことでしょう?(笑顔)」
「・・・・」
 やっと少し立ち直ったアラシヤマが、2人の側に近づき、
「シ、シンタローはん、そろそろ部屋の方に行きまへんか?」
「おう。鍵貸せヨ。あっ、荷物は車のトランクに入ってるから、お前が持って来いよ」
 そう言ってシンタローは部屋の鍵を受け取り、アラシヤマに車のキーを渡すと管理人にペコリと一礼し、さっさと歩き出した。
「・・・兄ちゃん。あんたの婚約者、えらい別嬪さんやけど、性格の方は強烈やなぁ・・・。でも、兄ちゃんは完全にベタボレやなぁ。なんや、結婚してからも大変そうや思うわ」
 アラシヤマがあらかじめ教えられていた車種の車に大量の荷物をとりに行くのに付き合っていた管理人は、シミジミとそう言った。
 「はぁ・・・」
あまり現状認識ができていないアラシヤマは、そう答えるしかなかった。






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