サンタクロース(シンタロー・キンタロー・グンマ)
ふんふんふ~ん♪ふんふんふ~ん♪ふんふんふ~んふふ~ん♪
満面の笑顔で鼻歌を口ずさみ、スキップしながら総帥室へ向かう。
グンマは朝からご機嫌だった。
「シンちゃ~ん、ちょっと良い~?」
「返事を聞く前にずかずかと入って来てるじゃねぇか。」
「えへへ~。ごめ~ん」
セリフとはうらはらに、少しも悪びれない様子のグンマだが、
シンタローにとってもグンマにとっても、それは普段の風景。
「見て見て~!すごいでしょう!!みんなのぶんを用意したんだよ~!」
そう言って両手に持っている特大ファンシー靴下の数々をシンタローに見せる。
「この靴下にね~サンタさんからお菓子をい~~~っぱい入れてもらうんだ!」
「サンタは良い子にしかプレゼントはくれね~んだぜ。」
「うん!ぼく良い子だよ!」そう答えるグンマに「あっそ」と気のない相槌。
「僕、シンちゃんは「お前はまだサンタを信じてるのか」って言うと思ったよ。
だって子供の時はシンちゃん僕にそう言ってたよね?」
「ああ、ガキの頃はそう思ってたんだけどよ、サンタは本当にいるんだぜ。
なんてったって俺が本物に会ったんだからよ。信じないわけにはいかないだろ?」
「ええ!?本当!?いつ!?どこで会ったの!?僕も会いたい!!」
「どこって、それはパプ・・・」シンタローは言いかけた言葉を飲み込んだ。
気まずい沈黙が訪れる。その沈黙を最初に破ったのはシンタローだった。
「サンタサンタって騒ぐ前に、コタローの誕生日を忘れるわけにはいかねー。」
「うん、そうだよね。」そこでとめておけば良かったとグンマは後悔した。
でも、何かを・・・誰かのことを思い出しているシンタローを見ると
どうしても言葉を続けずにはいられなかった。
「・・・でも誕生日はコタローちゃんだけじゃないんだよね?」と。
再び訪れる沈黙。そして今度その沈黙を破ったのはグンマだった。
「あ、そ~だ!僕もう研究室に戻らないと!じゃあね~シンちゃん。」
来た時と同様にシンタローの答えを聞く前に総帥室を後にする。
研究室に戻ってくるとキンタローがいた。
俯き加減のグンマを見ると眉間に軽くシワを寄せ心配顔で近付いてきた。
「どうした?シンタローに何か言われたのか?」
「違うよ、キンちゃん。シンちゃんは悪くないんだよ。
それに何か言われたんじゃなくて、シンちゃんは何も言わないんだ。」
黙ってグンマの話を聞くキンタローが視線で続きを即す。
「シンちゃんはね、パプワ島の話をしようとしないんだ。
シンちゃんの中でいろいろ思うこともあるからなんだろうけど・・・
それだけじゃないんだ。僕のせいだよ。僕が悪いんだ。」
少しの沈黙のあと、グンマは話を続けた。
「パプワ島の話を聞くと、あの島でいきいきしていたシンちゃんを思い出すんだ。
それを思い出すと、またシンちゃんがどこか遠くへ行ってしまう気がして怖くなる。
今度は二度と戻ってこなくなるんじゃないかと凄く不安になってしまうんだ。
・・・だから、パプワ島の話は嫌い。
パプワ島の話を笑顔で聞きたい。シンちゃんが望むなら、シンちゃんが幸せなら
どこに行くと言っても笑顔で送り出したい。心からそう思う。
でも・・・。シンちゃんが望まなくても、もしも不幸になったとしても
「総帥」という立場に縛られていてほしい。もうどこにも行かないでほしい。
ずっと僕達のそばにいてほしい。心からそう願う僕もいる。
シンちゃんは僕がパプワ島の話をされるのが嫌だと知っているんだ。
だから僕の前であの島の話をしないようにしてる。気遣ってくれてるんだね。
僕はそれを知っているのに・・・笑顔にはなれないんだ。
・・・本当は、そんな自分が一番嫌い。」
「俺とシンタローのことも嫌いか?」
そこまで黙って聞いていたキンタローが突然口を開いた。
グンマは一瞬とまどってしまったものの慌てて答えた。
「そんなことないよ!!大好きだよ!!」
「俺もシンタローもグンマのことが大好きだ。
だからグンマもグンマが大好きな俺とシンタローが
大好きだと思っているグンマを大好きになってほしい。」
「キンちゃん・・・・。ありがとう。キンちゃんにも気遣ってもらっちゃったね。
僕、なんだか急に元気が出てきちゃった!!キンちゃん、本当にありがとう!!」
「俺は今グンマの役に立ったのか?」
「もちろんだよ!!キンちゃんのおかげで元気が沸いてきたんだよ!!」
「そうか。俺はグンマやシンタローの力になれているのかとずっと考えていた。
力になれていないのではと考えると苦しくなる。これが不安というやつなのか。」
眉間のシワをより深く刻みながら考え込むキンタロー。
グンマから見てキンタローは強く、落ち着いて余裕があるように見える。
そんなキンタローでも不安なことがあり、それと闘っている。
そしてシンタローを支え、自分を思い遣ってくれている。
もしかしたらシンタローだって、今何か不安なことがあるかもしれない。
それでも立ち止まらずに進み続けている。
自分だけが置いてけぼりにされているようで焦る気持ちにかられて
周りを見る余裕もない自分のことをグンマは悔いていた。
「本当は僕もわかってはいるんだ。このままじゃ駄目だってこと。
もっとシンちゃんやキンちゃんに頼ってもらえるようになりたい。
シンちゃんに甘えてばかりいないで、僕も強くなる!
皆が安心して笑顔でいられるように、僕は強くなるよ!!」
「俺も負けてはいられないな。」
「僕だって負けないよ~!それに・・・
良い子じゃないとサンタさんからプレゼントをもらえないもんね。」
「サンタ?サンタとは伝説上の老人であるサンタクロースのことか?」
「そうだよ!でも伝説上じゃなくて本当にいるんだよ!!
だってシンちゃんは本物に会ったことがあるって、さっき言ってたもん!」
「なっ・・なんだと!?事実上の人物ならば俺も聞きたいことがある。
プレゼントを選ぶ経緯や資金、良い子悪い子の判別方法や
赤い鼻のトナカイやソリをどのような原理で飛行させているのか
煙突のない家への進入経路・・・・・」
「じゃあさ~!!今度僕と一緒にシンちゃんに詳しく聞きに行こうよ!」
1人でブツブツと言い続けるキンタローの言葉を遮る形となったが
キンタローもさほど気にせずに「そうだな」と嬉しそうに微笑んだ。
キンちゃんがいてくれるから僕は前を向ける。
シンちゃんがいてくれるから僕は強くなれる。
この時、グンマは自分のことが好きになれた気がした。
ふんふんふ~ん♪ふんふんふ~ん♪ふんふんふ~んふふ~ん♪
満面の笑顔で鼻歌を口ずさみ、スキップしながら総帥室へ向かう。
グンマは朝からご機嫌だった。
「シンちゃ~ん、ちょっと良い~?」
「返事を聞く前にずかずかと入って来てるじゃねぇか。」
「えへへ~。ごめ~ん」
セリフとはうらはらに、少しも悪びれない様子のグンマだが、
シンタローにとってもグンマにとっても、それは普段の風景。
「見て見て~!すごいでしょう!!みんなのぶんを用意したんだよ~!」
そう言って両手に持っている特大ファンシー靴下の数々をシンタローに見せる。
「この靴下にね~サンタさんからお菓子をい~~~っぱい入れてもらうんだ!」
「サンタは良い子にしかプレゼントはくれね~んだぜ。」
「うん!ぼく良い子だよ!」そう答えるグンマに「あっそ」と気のない相槌。
「僕、シンちゃんは「お前はまだサンタを信じてるのか」って言うと思ったよ。
だって子供の時はシンちゃん僕にそう言ってたよね?」
「ああ、ガキの頃はそう思ってたんだけどよ、サンタは本当にいるんだぜ。
なんてったって俺が本物に会ったんだからよ。信じないわけにはいかないだろ?」
「ええ!?本当!?いつ!?どこで会ったの!?僕も会いたい!!」
「どこって、それはパプ・・・」シンタローは言いかけた言葉を飲み込んだ。
気まずい沈黙が訪れる。その沈黙を最初に破ったのはシンタローだった。
「サンタサンタって騒ぐ前に、コタローの誕生日を忘れるわけにはいかねー。」
「うん、そうだよね。」そこでとめておけば良かったとグンマは後悔した。
でも、何かを・・・誰かのことを思い出しているシンタローを見ると
どうしても言葉を続けずにはいられなかった。
「・・・でも誕生日はコタローちゃんだけじゃないんだよね?」と。
再び訪れる沈黙。そして今度その沈黙を破ったのはグンマだった。
「あ、そ~だ!僕もう研究室に戻らないと!じゃあね~シンちゃん。」
来た時と同様にシンタローの答えを聞く前に総帥室を後にする。
研究室に戻ってくるとキンタローがいた。
俯き加減のグンマを見ると眉間に軽くシワを寄せ心配顔で近付いてきた。
「どうした?シンタローに何か言われたのか?」
「違うよ、キンちゃん。シンちゃんは悪くないんだよ。
それに何か言われたんじゃなくて、シンちゃんは何も言わないんだ。」
黙ってグンマの話を聞くキンタローが視線で続きを即す。
「シンちゃんはね、パプワ島の話をしようとしないんだ。
シンちゃんの中でいろいろ思うこともあるからなんだろうけど・・・
それだけじゃないんだ。僕のせいだよ。僕が悪いんだ。」
少しの沈黙のあと、グンマは話を続けた。
「パプワ島の話を聞くと、あの島でいきいきしていたシンちゃんを思い出すんだ。
それを思い出すと、またシンちゃんがどこか遠くへ行ってしまう気がして怖くなる。
今度は二度と戻ってこなくなるんじゃないかと凄く不安になってしまうんだ。
・・・だから、パプワ島の話は嫌い。
パプワ島の話を笑顔で聞きたい。シンちゃんが望むなら、シンちゃんが幸せなら
どこに行くと言っても笑顔で送り出したい。心からそう思う。
でも・・・。シンちゃんが望まなくても、もしも不幸になったとしても
「総帥」という立場に縛られていてほしい。もうどこにも行かないでほしい。
ずっと僕達のそばにいてほしい。心からそう願う僕もいる。
シンちゃんは僕がパプワ島の話をされるのが嫌だと知っているんだ。
だから僕の前であの島の話をしないようにしてる。気遣ってくれてるんだね。
僕はそれを知っているのに・・・笑顔にはなれないんだ。
・・・本当は、そんな自分が一番嫌い。」
「俺とシンタローのことも嫌いか?」
そこまで黙って聞いていたキンタローが突然口を開いた。
グンマは一瞬とまどってしまったものの慌てて答えた。
「そんなことないよ!!大好きだよ!!」
「俺もシンタローもグンマのことが大好きだ。
だからグンマもグンマが大好きな俺とシンタローが
大好きだと思っているグンマを大好きになってほしい。」
「キンちゃん・・・・。ありがとう。キンちゃんにも気遣ってもらっちゃったね。
僕、なんだか急に元気が出てきちゃった!!キンちゃん、本当にありがとう!!」
「俺は今グンマの役に立ったのか?」
「もちろんだよ!!キンちゃんのおかげで元気が沸いてきたんだよ!!」
「そうか。俺はグンマやシンタローの力になれているのかとずっと考えていた。
力になれていないのではと考えると苦しくなる。これが不安というやつなのか。」
眉間のシワをより深く刻みながら考え込むキンタロー。
グンマから見てキンタローは強く、落ち着いて余裕があるように見える。
そんなキンタローでも不安なことがあり、それと闘っている。
そしてシンタローを支え、自分を思い遣ってくれている。
もしかしたらシンタローだって、今何か不安なことがあるかもしれない。
それでも立ち止まらずに進み続けている。
自分だけが置いてけぼりにされているようで焦る気持ちにかられて
周りを見る余裕もない自分のことをグンマは悔いていた。
「本当は僕もわかってはいるんだ。このままじゃ駄目だってこと。
もっとシンちゃんやキンちゃんに頼ってもらえるようになりたい。
シンちゃんに甘えてばかりいないで、僕も強くなる!
皆が安心して笑顔でいられるように、僕は強くなるよ!!」
「俺も負けてはいられないな。」
「僕だって負けないよ~!それに・・・
良い子じゃないとサンタさんからプレゼントをもらえないもんね。」
「サンタ?サンタとは伝説上の老人であるサンタクロースのことか?」
「そうだよ!でも伝説上じゃなくて本当にいるんだよ!!
だってシンちゃんは本物に会ったことがあるって、さっき言ってたもん!」
「なっ・・なんだと!?事実上の人物ならば俺も聞きたいことがある。
プレゼントを選ぶ経緯や資金、良い子悪い子の判別方法や
赤い鼻のトナカイやソリをどのような原理で飛行させているのか
煙突のない家への進入経路・・・・・」
「じゃあさ~!!今度僕と一緒にシンちゃんに詳しく聞きに行こうよ!」
1人でブツブツと言い続けるキンタローの言葉を遮る形となったが
キンタローもさほど気にせずに「そうだな」と嬉しそうに微笑んだ。
キンちゃんがいてくれるから僕は前を向ける。
シンちゃんがいてくれるから僕は強くなれる。
この時、グンマは自分のことが好きになれた気がした。
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ハロウィーン(シンタロー・パプワ・リキッド・トシゾー・ウマ子)
「シンタローさん!!お菓子をくれないとイタズラしますよ!」
リキッドは朝から張り切っていた。
シンタローの手作りお菓子を食べられるかもしれない!
貰えなかったら・・・シンタローさんにイタズラができる!!
シンタローさんにイタズラと言えば、あんなことやこんなことも!
ウヒヒヒヒ~。そんな自分勝手な妄想のために。
「ほほう・・・俺にイタズラを仕掛けるつもりとは・・・
その度胸だけは褒めてやらんでもない。」
手作りお菓子をあげる気持ちは最初から微塵もないシンタロー。
「そんなお前のために1つだけ大切なことを教えてやる。
なにごとにも先手必勝だということを!!」
「え゛!?」なんとなく嫌な予感が走るリキッド。
すると、突然ねっとりした視線がパプワハウスの窓から感じられた。
「リキッドはん、わてにはシンタローはんと言う王子様がいるんどす。
そやから、あんさんの気持ちには応えられまへん。
どうしてもと言うんやったら・・・友達やったらよろしおすえ~。」
「ちょっと待った~~!!」
某番組(←古すぎてわからないかな?)でよく使われていたセリフを
叫びながら勢いよくドアを開けてトシゾーが入ってきた。
「リキッド!俺はお前の気持ちにシッカリと応えるぞ!!
これからもお前を24時間体制で見守るから安心しろ!!」
「・・・え~と・・・お二人とも何のことでしょうか・・・?」
不安げに訪ねるリキッド。
「おまえら人の家でうるさいぞ!!騒ぐなら外で騒げ。」
パプワの一声でリキッドはとりあえず外に出ることにした。
ドアから外に出ようとした瞬間に「あ、そうそう」と
思い出したようにパプワが言葉を続けた。
「前にも言ったが、おまえは僕の好みじゃないぞ!」と。
振り返ったリキッドの目に、ニンマリと笑うシンタローが映る。
「・・・ま・・まさかシンタローさん・・・・
さっき言ってた先手必勝って・・・・・・」
「ようやく気付いたか。鈍いヤツだな~。今日俺が会ったやつ全員に
『リキッドがお前を愛してると言ってた』と言ってやったんだ。」
「シ・・・シンタローさん!!ひ・・ひどいッス!!
それに俺が愛してるのはシンタ「リッちゃ~~~ん!!」
「ほら!ちょうどヒロインも現れたことだし!
とっとと外に出て好きなだけ騒いで来い。」
そういってリキッドはシンタローにポイっと外に放り出された。
「たぁ~すぅ~~けぇ~~~てぇ~~~~~!!」
リキッドの渾身のSOSの言葉も虚しく、
その日パプワハウスの外では大騒ぎがずいぶん続いていたという。
「シンタローさん!!お菓子をくれないとイタズラしますよ!」
リキッドは朝から張り切っていた。
シンタローの手作りお菓子を食べられるかもしれない!
貰えなかったら・・・シンタローさんにイタズラができる!!
シンタローさんにイタズラと言えば、あんなことやこんなことも!
ウヒヒヒヒ~。そんな自分勝手な妄想のために。
「ほほう・・・俺にイタズラを仕掛けるつもりとは・・・
その度胸だけは褒めてやらんでもない。」
手作りお菓子をあげる気持ちは最初から微塵もないシンタロー。
「そんなお前のために1つだけ大切なことを教えてやる。
なにごとにも先手必勝だということを!!」
「え゛!?」なんとなく嫌な予感が走るリキッド。
すると、突然ねっとりした視線がパプワハウスの窓から感じられた。
「リキッドはん、わてにはシンタローはんと言う王子様がいるんどす。
そやから、あんさんの気持ちには応えられまへん。
どうしてもと言うんやったら・・・友達やったらよろしおすえ~。」
「ちょっと待った~~!!」
某番組(←古すぎてわからないかな?)でよく使われていたセリフを
叫びながら勢いよくドアを開けてトシゾーが入ってきた。
「リキッド!俺はお前の気持ちにシッカリと応えるぞ!!
これからもお前を24時間体制で見守るから安心しろ!!」
「・・・え~と・・・お二人とも何のことでしょうか・・・?」
不安げに訪ねるリキッド。
「おまえら人の家でうるさいぞ!!騒ぐなら外で騒げ。」
パプワの一声でリキッドはとりあえず外に出ることにした。
ドアから外に出ようとした瞬間に「あ、そうそう」と
思い出したようにパプワが言葉を続けた。
「前にも言ったが、おまえは僕の好みじゃないぞ!」と。
振り返ったリキッドの目に、ニンマリと笑うシンタローが映る。
「・・・ま・・まさかシンタローさん・・・・
さっき言ってた先手必勝って・・・・・・」
「ようやく気付いたか。鈍いヤツだな~。今日俺が会ったやつ全員に
『リキッドがお前を愛してると言ってた』と言ってやったんだ。」
「シ・・・シンタローさん!!ひ・・ひどいッス!!
それに俺が愛してるのはシンタ「リッちゃ~~~ん!!」
「ほら!ちょうどヒロインも現れたことだし!
とっとと外に出て好きなだけ騒いで来い。」
そういってリキッドはシンタローにポイっと外に放り出された。
「たぁ~すぅ~~けぇ~~~てぇ~~~~~!!」
リキッドの渾身のSOSの言葉も虚しく、
その日パプワハウスの外では大騒ぎがずいぶん続いていたという。
ハロウィーン(パプワ島の方々)
その日は島中から、たくさんのお客さんがやって来ていた。
「やっほ~!パプワく~ん!遊びに来たよ~。」
「リキッドくん!お菓子をくれなきゃ10円キズつけちゃうよ~」
「いらっしゃい、エグチくんとナカムラくん。はい、お菓子だよ。」
「わ~い!ありがと~!」「ありがと~。」
微笑ましく眺めているリキッドは肩をちょんちょんとつつかれたので
振り返るやいなや大絶叫した。そこには溶けかけたイトウくんがいた。
イトウくんに驚き後ずさったリキッドに後から黒タイツを頭に被された。
もうすでに声にならない悲鳴を上げているリキッド。
「どう~お~?私の捨て身のイタズラは?さっき海に入ってきたの。」
「私は脱ぎたての黒タイツをプレゼントしてみたの~。喜んでくれた?」
「はっはっは。イタズラがすぎるぞ。イトウくん、タンノくん。」
「やだ~。今のはほんの可愛いイタズラよ~。パプワくん。」
「私のはイタズラじゃないわよ。プレゼントしてあげたんだから~。」
「二人ともリキッドは固まってるから僕がお菓子をあげるぞ!」
「わ~ありがとう!パプワくん。」「ありがとう~。嬉しいわ~。」
そうこうしているうちに時間が過ぎ、お客の足も途絶えた頃、
やっと復活したリキッドは夕食の準備にとりかかろうとした。
するとパプワとチャッピーのために作っておいたお菓子が
少しだけ残されていたことに気付いた。
「パプワ・・・チャッピー・・・もしかして不味かったのか?」
「そんなことはないぞ!なっ、チャッピー?」「わう!」
「はっ!?さては俺のために残してくれたんだな!!
ありがとう!!ではさっそくいっただっきま~~す!!」
んばばば~~~!!ドゴン!!わう!ガブリ!!ドピュ~~~!!
「あの、パプワさん?どうして俺は蹴られたうえに噛まれたの?」
「あれは僕とチャッピーのお菓子だぞ!人の物に手を出すなんて
とんだ家政婦だな!!全く油断もできないぞ。」「わう!」
リキッドは流血したまま意識が遠くなりそうな頭で考えた。
パプワが今まで自分のために作られたお菓子を残すことはなかった。
・・・と、いうことは・・・あのお菓子は・・・きっと・・・。
「シンタロー、お前は大人だけどイタズラっ子だからな!
僕達がわざわざお前のためにお菓子を残してやったんだぞ。
今からお前の変わりに食べてやるから、イタズラするなよ!」
リキッドには聞こえないほどの小さな声の呟きに「わう」と
パプワを気遣うような声で傍らにいたチャッピーが鳴いた。
その日は島中から、たくさんのお客さんがやって来ていた。
「やっほ~!パプワく~ん!遊びに来たよ~。」
「リキッドくん!お菓子をくれなきゃ10円キズつけちゃうよ~」
「いらっしゃい、エグチくんとナカムラくん。はい、お菓子だよ。」
「わ~い!ありがと~!」「ありがと~。」
微笑ましく眺めているリキッドは肩をちょんちょんとつつかれたので
振り返るやいなや大絶叫した。そこには溶けかけたイトウくんがいた。
イトウくんに驚き後ずさったリキッドに後から黒タイツを頭に被された。
もうすでに声にならない悲鳴を上げているリキッド。
「どう~お~?私の捨て身のイタズラは?さっき海に入ってきたの。」
「私は脱ぎたての黒タイツをプレゼントしてみたの~。喜んでくれた?」
「はっはっは。イタズラがすぎるぞ。イトウくん、タンノくん。」
「やだ~。今のはほんの可愛いイタズラよ~。パプワくん。」
「私のはイタズラじゃないわよ。プレゼントしてあげたんだから~。」
「二人ともリキッドは固まってるから僕がお菓子をあげるぞ!」
「わ~ありがとう!パプワくん。」「ありがとう~。嬉しいわ~。」
そうこうしているうちに時間が過ぎ、お客の足も途絶えた頃、
やっと復活したリキッドは夕食の準備にとりかかろうとした。
するとパプワとチャッピーのために作っておいたお菓子が
少しだけ残されていたことに気付いた。
「パプワ・・・チャッピー・・・もしかして不味かったのか?」
「そんなことはないぞ!なっ、チャッピー?」「わう!」
「はっ!?さては俺のために残してくれたんだな!!
ありがとう!!ではさっそくいっただっきま~~す!!」
んばばば~~~!!ドゴン!!わう!ガブリ!!ドピュ~~~!!
「あの、パプワさん?どうして俺は蹴られたうえに噛まれたの?」
「あれは僕とチャッピーのお菓子だぞ!人の物に手を出すなんて
とんだ家政婦だな!!全く油断もできないぞ。」「わう!」
リキッドは流血したまま意識が遠くなりそうな頭で考えた。
パプワが今まで自分のために作られたお菓子を残すことはなかった。
・・・と、いうことは・・・あのお菓子は・・・きっと・・・。
「シンタロー、お前は大人だけどイタズラっ子だからな!
僕達がわざわざお前のためにお菓子を残してやったんだぞ。
今からお前の変わりに食べてやるから、イタズラするなよ!」
リキッドには聞こえないほどの小さな声の呟きに「わう」と
パプワを気遣うような声で傍らにいたチャッピーが鳴いた。
ハロウィーン(ガンマ団の方々)
シンタローは朝からお菓子作りに忙しかった。
未だ眠り続けるコタローの部屋に手作りのお菓子を
抱えきれないほど持ち込んだ後、その寝顔を眺める。
「コタロー早く目を覚まして思いっきりイタズラしてくれよ。
イタズラは子供のうちにたくさんやっておくものだぞ。」
眠ったままのコタローに語りかける。早く目覚めることを願って。
名残惜しさを振り切り、コタローの部屋をでたシンタローは
総帥室へ向かうと、そこにはすでにキンタローがいた。
「シンタロー、お菓子をよこさないとイタズラするぞ!
いいか、今すぐにお菓子をよこさないと・・・」
「わかった!わかったから2度言わんでいい!!
ほれ!もってけドロボー!!」
そう言ってキンタロー用に用意したお菓子を投げ渡すと
眉間にしわを寄せたキンタローが口を開いた。
「俺はお菓子を貰い受けたのであって、奪ったわけではない!
したがってドロボーなどではないっ!!」
「わかった・・わかったから・・言葉のあやだろ?」
「言葉のあや?あやとは・・・」ガショーンガショーン
まだまだキンタローの話が続くと思われたが、遠くからなにやら
怪しげな音が近づいてきたために話がそこで途切れた。
そしてその音は総帥室の前で止まり、ドアが開いた。
「シンちゃ~ん!!お菓子をくれなきゃイタズラするよぉ~!」
「私はお菓子を頂いてもイタズラしますよ。」
やってきたのは変な乗り物に乗ったグンマとドクター高松だった。
「おめぇ~らは普段からイタズラと言えないレベルの
イタズラをしてるじゃね~かっ!!!」
そう言いながらもきちんとお菓子を手渡す律儀なシンタロー
今度は何処からともなくどんよりとまとわり付く視線が・・・
「シ・・シンタローはん・・わてにお菓子を・・・」
「テメェ~は存在自体がイタズラなんだよっ!!!」
お菓子ではなく眼魔砲を素早くお見舞いする。
その騒ぎの中、聞き覚えのある美声が聞こえてきた。
「シンタロー、お菓子をくれないかい?」
「サービス叔父さん!!叔父さんには最高級の材料で作った
特別なお菓子を用意しておきましたっ!!」
嬉々として渡すシンタローの顔が横にいる人物をみて曇った。
「チンも一緒かよ。一応テメェ~にも用意してやったぜ。ほら。」
今度はそれを受け取ったジャンの顔が曇った。
「このクッキー、どうしてこんなにコゲッコゲなんだ・・・?」
「いちいちウッセ~な~。ココア味だと思えばいいだろ?
お前の好きな塩をふんだんに使ってやったからありがたく思えよ!」
メソメソ泣き崩れたジャンを踏み付けてピンクスーツが現れた。
「シンちゃーーん!!シンちゃんをくれなきゃ
パパ、シンちゃんにイタズラしちゃうよ~~~~~!!!」
「うせろぉぉぉぉ~~!!」ちゅど~ん
「うぉ~い!イタズラの限りを尽くしてから来てやったぜぇ~!!
とっとと酒と金よこせ~!!」
「テメェ~らはもう来るな!!」ぜはぁ~ぜはぁ~・・・・
マジックとハーレム登場に疲労の色を隠せないシンタロー。
周りのドタバタに無視を決め込んで机の上の溜まった書類を片付け始める。
だが、ふと手をとめ机の上にある渡せなかったお菓子の袋に視線を合わす。
「お菓子はやれないけどイタズラするなよ。パプワ、チャッピー」
そっと呟いたシンタローの声は誰にも聞こえることはなかった。
・・・・あの~俺は?
涙目で訴えるリキッドがいたとか、いないとか。
シンタローは朝からお菓子作りに忙しかった。
未だ眠り続けるコタローの部屋に手作りのお菓子を
抱えきれないほど持ち込んだ後、その寝顔を眺める。
「コタロー早く目を覚まして思いっきりイタズラしてくれよ。
イタズラは子供のうちにたくさんやっておくものだぞ。」
眠ったままのコタローに語りかける。早く目覚めることを願って。
名残惜しさを振り切り、コタローの部屋をでたシンタローは
総帥室へ向かうと、そこにはすでにキンタローがいた。
「シンタロー、お菓子をよこさないとイタズラするぞ!
いいか、今すぐにお菓子をよこさないと・・・」
「わかった!わかったから2度言わんでいい!!
ほれ!もってけドロボー!!」
そう言ってキンタロー用に用意したお菓子を投げ渡すと
眉間にしわを寄せたキンタローが口を開いた。
「俺はお菓子を貰い受けたのであって、奪ったわけではない!
したがってドロボーなどではないっ!!」
「わかった・・わかったから・・言葉のあやだろ?」
「言葉のあや?あやとは・・・」ガショーンガショーン
まだまだキンタローの話が続くと思われたが、遠くからなにやら
怪しげな音が近づいてきたために話がそこで途切れた。
そしてその音は総帥室の前で止まり、ドアが開いた。
「シンちゃ~ん!!お菓子をくれなきゃイタズラするよぉ~!」
「私はお菓子を頂いてもイタズラしますよ。」
やってきたのは変な乗り物に乗ったグンマとドクター高松だった。
「おめぇ~らは普段からイタズラと言えないレベルの
イタズラをしてるじゃね~かっ!!!」
そう言いながらもきちんとお菓子を手渡す律儀なシンタロー
今度は何処からともなくどんよりとまとわり付く視線が・・・
「シ・・シンタローはん・・わてにお菓子を・・・」
「テメェ~は存在自体がイタズラなんだよっ!!!」
お菓子ではなく眼魔砲を素早くお見舞いする。
その騒ぎの中、聞き覚えのある美声が聞こえてきた。
「シンタロー、お菓子をくれないかい?」
「サービス叔父さん!!叔父さんには最高級の材料で作った
特別なお菓子を用意しておきましたっ!!」
嬉々として渡すシンタローの顔が横にいる人物をみて曇った。
「チンも一緒かよ。一応テメェ~にも用意してやったぜ。ほら。」
今度はそれを受け取ったジャンの顔が曇った。
「このクッキー、どうしてこんなにコゲッコゲなんだ・・・?」
「いちいちウッセ~な~。ココア味だと思えばいいだろ?
お前の好きな塩をふんだんに使ってやったからありがたく思えよ!」
メソメソ泣き崩れたジャンを踏み付けてピンクスーツが現れた。
「シンちゃーーん!!シンちゃんをくれなきゃ
パパ、シンちゃんにイタズラしちゃうよ~~~~~!!!」
「うせろぉぉぉぉ~~!!」ちゅど~ん
「うぉ~い!イタズラの限りを尽くしてから来てやったぜぇ~!!
とっとと酒と金よこせ~!!」
「テメェ~らはもう来るな!!」ぜはぁ~ぜはぁ~・・・・
マジックとハーレム登場に疲労の色を隠せないシンタロー。
周りのドタバタに無視を決め込んで机の上の溜まった書類を片付け始める。
だが、ふと手をとめ机の上にある渡せなかったお菓子の袋に視線を合わす。
「お菓子はやれないけどイタズラするなよ。パプワ、チャッピー」
そっと呟いたシンタローの声は誰にも聞こえることはなかった。
・・・・あの~俺は?
涙目で訴えるリキッドがいたとか、いないとか。
配役(シンタロー・アラシヤマ・リキッド・ウマ子)
「ああ・・・シンタローはん・・・今日もステキどすえ。」
アラシヤマは今日もこっそりシンタローを眺めている。
普通にストーキングして、普通に眺めて、普通に根暗。
ただ1つ違っていたのは、シンタローが声をかけてきたことです。
「なあ、トットリの下駄、本当はお前のなんだろ?」
「違いますえ。あの下駄はもともとトットリはんのどす。」
「あの褌侍の褌、お前の仲間だろ?助けなくていいのか?」
「いくらわてかて、褌と友達になるほど落ちぶれてまへんえ!」
「そうそう、マーカーから針を取り戻しておいたぜ。
普段から頭に仕込んであるんだろ?」
「なっ何物騒な話をしてますのん!?」
(シンタローはん、いったい何が言いたいのどすやろ?
でも、こうやって声をかけてもらえるだけで幸せどすぅ~♪)
有頂天になってたために隙ができてしまったのか
手にもっていたトウジ君をシンタローに奪われた。
「かっ返しておくれやす~!!」
慌てるアラシヤマに、あっさりトウジ君を返してきたシンタロー。
・・・が、よく見るとなにやらオプションがついている。
トウジ君の顔一面に目玉の絵がついていて、頭の上に乗せられた。
(なんとなく何が言いたいのかが、わかってしまったどす。)
「リッちゃ~~~ん!!」「ぎょえ~~~来るなぁぁぁぁ!!」
ドスドスドス・バタタタタタ
「お、ちょうどねずみ男とゆめこちゃんが来たぞ。よかったな。」
「シンタローはん!あのファンシーヤンキーは
『あのネズミ』が好きなだけで、ねずみ男とは違いますえっ!!
おまけに、あれはゆめこちゃんと言うよりぬりかべどすぅっ!!」
もじもじ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それに、
わてのゆめこちゃんはシンタローはんどすえ?」キュルルゥ~ン
「毛針」プスプスプススススススス
嗚呼!毛針と言う名の師匠の針がわてにぎょうさん刺さってます~
心友と言う名の愛が痛いどす~ガックリ
「ああ・・・シンタローはん・・・今日もステキどすえ。」
アラシヤマは今日もこっそりシンタローを眺めている。
普通にストーキングして、普通に眺めて、普通に根暗。
ただ1つ違っていたのは、シンタローが声をかけてきたことです。
「なあ、トットリの下駄、本当はお前のなんだろ?」
「違いますえ。あの下駄はもともとトットリはんのどす。」
「あの褌侍の褌、お前の仲間だろ?助けなくていいのか?」
「いくらわてかて、褌と友達になるほど落ちぶれてまへんえ!」
「そうそう、マーカーから針を取り戻しておいたぜ。
普段から頭に仕込んであるんだろ?」
「なっ何物騒な話をしてますのん!?」
(シンタローはん、いったい何が言いたいのどすやろ?
でも、こうやって声をかけてもらえるだけで幸せどすぅ~♪)
有頂天になってたために隙ができてしまったのか
手にもっていたトウジ君をシンタローに奪われた。
「かっ返しておくれやす~!!」
慌てるアラシヤマに、あっさりトウジ君を返してきたシンタロー。
・・・が、よく見るとなにやらオプションがついている。
トウジ君の顔一面に目玉の絵がついていて、頭の上に乗せられた。
(なんとなく何が言いたいのかが、わかってしまったどす。)
「リッちゃ~~~ん!!」「ぎょえ~~~来るなぁぁぁぁ!!」
ドスドスドス・バタタタタタ
「お、ちょうどねずみ男とゆめこちゃんが来たぞ。よかったな。」
「シンタローはん!あのファンシーヤンキーは
『あのネズミ』が好きなだけで、ねずみ男とは違いますえっ!!
おまけに、あれはゆめこちゃんと言うよりぬりかべどすぅっ!!」
もじもじ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それに、
わてのゆめこちゃんはシンタローはんどすえ?」キュルルゥ~ン
「毛針」プスプスプススススススス
嗚呼!毛針と言う名の師匠の針がわてにぎょうさん刺さってます~
心友と言う名の愛が痛いどす~ガックリ