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oks
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わざわざ自室に帰るのが面倒で、最近総帥に就任したばかりのシンタローは総帥室から扉続きの仮眠室で休んでいた。
壁にはまだ着慣れていないであろう赤いスーツがかかっている。
仮眠室といっても水廻りまで完備されており普通の部屋と何ら遜色はない。
人の気配を感じ、シンタローは目が醒めた。
いくらガンマ団内とはいえ、殺気混じりの気配を撒き散らす存在がいればたとえどんなに深く眠っていようとも
体が勝手に反応する。体を起こしかけ、その姿を目の端に確認したが相手故に反応が遅れた。
殺気の持ち主にはそのわずかな迷いの時間があれば十分だった。
ベッドまであと数歩だった距離は瞬時になくなり、シンタローは起き上がりかけていた体を突かれ、そのまま倒れる。
間髪つかず、馬乗りにされガッと物凄い力で両腕を押さえつけられる。
この時ほど女にさせられた事を悔しく思ったことは無い。男ならばこうまで簡単には押さえ込まれない。
腕が自由にならないならば足で反撃したいが、両足の間に体を割り込まれ上手く蹴り上げる事が出来ない。
ならばせめてもの反抗と、相手を睨みつける。
が、相手はその青がいっそう冴えたような感情の篭らぬ視線をよこすだけだった。
にらみ合いでは一向に埒が明かないので、仕方なく口を開く。
「で、何がしたいわけ? キンタロー」
「……こんな状況でよくそんな台詞がいえるな」
妙に感心したような声色だ。
「そらまー、俺男だし?体は女だけどさ」
「ふん、男が男に組み敷かれたら屈辱を感じると思うがな」
「そりゃそうだろ」
組み敷かれている当人はまるで人事のようにあっさりと同意した。
だがその余裕には理由があった。純粋な腕力では敵わないが、技が残っている。
恥を晒すようでイヤだったんだがと呟くと右手に意識を集中させる。
ぼうっと青白い光が宿る。それ以前より格段に大きくなっていた。
「ま、この体勢でも打てるからな」
同時に爆音が轟く。手の先、頭上のベッド枠と更にその向こうの壁が崩れさっていた。
総帥室との壁を破りその先にあったはずの重厚な机が跡形もなくなり壁にはぽっかりと大きな穴が開いていた。
夜空が覘いていた。他の施設より一段と高くそびえている為にここ以外に被害はでない。
「威力、スゲーだろ?これでもかなり加減してるんだ。……直ぐに誰かが来るぜ?」
シンタローは後で側近二人に怒鳴られるだろうと頭の端思いながら逃げるなら今のうち、と相も変らず
組み敷かれたまま余裕の口調だ。
「読み違えたな」
すっと目を細める。
適温に保たれていた室内は外からの風が吹き込み肌寒い。スウェットにシャツという薄着に寝起きならば尚のこと。
捕まれた腕は熱いが。
「え?」
「俺がこのまま引き下がるとでも?」
「……。お前が俺の手を離した瞬間、俺はお前に打ち込む」
「お前にそれが出来るのか?」
キンタローはそうできない事を知っているかのような口調だ。シンタローはぐっと言葉に詰まる。
「お前は俺には手出し出来ない」
今度はそう言い放ち、たたみ込んだ。
圧し掛かっている相手を睨み付けていたが、ふっと顔を背ける。
シンタローもまたその言葉を否定しない。自身もよく分かっているからだ。
だがキンタローは言葉でシンタローの動くを封じたが、いつまでたってもその姿勢のまま動こうとはしない。
シンタローは不審に思い正面に向きなおす。
その目はシンタローを見ているようで見ていない。瞳の奥には苦悩が窺えた。
かつてシンタローが、自分を見るたびに嫌でも見慣れたそれが。

先ほどの音で駆けつけてきたのだろう、扉をドンドンと叩き
「シンタロー様、どうなさいました?」
シンタローを確認する。
「なんでもない!ちょっと壁をぶち破っただけだ。他のやつ等にも伝えておけ!」
団員は「はい」と応じるとそのまま扉を開け中を確認するまでもなくおとなしく引き返していく
シンタローがガンマ団の建物の一部を破壊するのは良くあることだ。
大概その原因は息子から娘になって溺愛の度合いが更に増したマジックだ。
さすがにこの状態を見られたらただ事じゃないと騒ぎになるところだったのでマジックもたまには役に立つと
シンタローにとっては非常に不本意なことだが少しだけ感謝した。
だが本当は、青の一族はシンタローが認識している以上に、団員からは日常が非日常と囁かれており
またマジックが引退し、その弟であるサービス・ハーレムが各地を放浪している現在ではシンタローが№1だ。
頭が一番強いのだから護衛する意味はあまりない、と思われいているので団員は形式的に来たと言うのが事実である。
知る由は無いが、彼の感謝は全くの無駄であった。
シンタローはマジックの奇行を思い出し緩んだ意識を引き締め、キンタローに問いかける。
「これが、本当にお前のしたいことなのか?」
先ほどとは違い、挑戦的な態度が消えていた。そのシンタローの意図が分からず、聞き返す。
「何?」
「…お前が心からコレを望んでいるなら俺はもう抵抗しない」
キンタローが揺れる。
「……俺にもわからないんだ…俺自身のことなのに…」
キンタローはそのまま苦しげに言葉を吐き出す。
シンタローの掴んでいる手首をその心の混乱を表すかのように更に力を入れる。
痛みのため微かに眉を寄せるが、そのまま何も言わず見下ろす相手をじっと見つめる。
「お前の所為でも、誰の所為でもないのは分かっている。分かってはいるんだ。
 でもそれでは俺の24年間は?あってあたりまえだったその失われた時間はどうなるんだ?」
「キンタロー…」
「俺はどういたらいいんだ?」
ギリギリと痛いほどの力で押さえつけていた力がふっと抜けそのまますがりつくようにシンタローを見つめる。
シンタローもその答えは持たない。たが、目を逸らすことなく、その青を見つめ続ける。

どのぐらい時間がたっただろうか。
キンタローは急に力を抜きシンタローの上にそのままどさっと圧し掛かった。
不意のことでシンタローは思わずぐっとうめき声をもらしたが、キンタローは何も反応せずシンタローの頭の真横、
肩口に顔を押し付けており表情は伺うことが出来ない。
何の遠慮も無く体の上に乗っかられてはかなり苦しい。これ以上何をするわけでもなく、キンタローは動かない。
自由になる頭を横に動かすが、金色の髪が見えるだけでその表情までは伺えない。
このまま圧死させる気じゃないだろうかと、シンタローが苦しい息の中思い始めたら突然背中にぐっと腕が回り
そのまま体勢がくるっと反転した。
「あ?」
今度は先ほどとは真逆になる。が、シンタローが優位になったわけではない。
両腕ごと腕を回したままであり以前自由には動けない。様子を伺おうと顔を上げようとしたら
頭をぐっと押さえつけられた。それでもキンタローの片腕で両腕を封じされていて
体格差をいやと言うほど見せ付けられ腹が立つ。反抗しないと言っていた手前もある。
暴れればこの体勢ならば抜け出すことも出来るだろうがそれではキンタローから逃げるようでそれもまた気に食わない。
無駄な意地からシンタローは大人しくそのままの体勢でいた。
目線を横に向けても相手の金髪から覗く耳が見えるのみ。
シンタローにはこキンタローが何を考えているのかさっぱり分からなくてつらつらと考える。
――こいつは俺のことが憎くて殺しに来たんじゃないのか?
   なのに何なんだよ、この状況は。憎いのなら眼魔砲をぶっぱなすなり、殴るなりすりゃいいんだよ。
   そうしたら俺だって全力で相手をするのみ。全力とまではいかないか。いやでも全力を出さなければ
   侮っているようで失礼だ。こいつだって力は十分にある。俺だって殴られてもいいし、場合によっては――
そこでいったん思考を切り、もう一度キンタロー伺う。規則正しい呼吸が密着した体から伝わってくる。
「寝てるよ、この馬鹿……。なんなんだよ、一体」
ため息混じりに独りごちる。

壁からは相変わらず冷たい風が吹き込んできているが、寒いのか暖かいのかシンタローには分からなかった。



H17.9.19
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