|メニュー| |更新記録| |文もどき| |雑記| |リンク|
|単発| |女体化| |リキシンお題| |シン受けお題| |キンシンお題|
--------------------------------------------------------------------------------
何処の家庭でもあるなんでもない夕食の風景。だがコタローにとってはそれが当たり前のことではなかった。
総帥に就任した今では不規則な生活になることが多い。
だから従兄弟達と協力してコタローが独りでご飯を摂る事が無い様に努めている。
今日はシンタローが早く仕事を収めることが出来たので、シンタローが夕食を作った。
「おねーちゃん、本当に料理上手だよねー」
コタローはカレーをほお張りながらそれを作った兄、ならぬ姉に言う。
「そうか?」
シンタローは別に普通かなと思いながら応じる。自分で料理を作るとその味が当たり前になってしまい、一般的に旨いか不味いかというのが分からなくなる。さらにはたぶん、あの父親と書いて変態と読むマジックは料理が上手だったのだろう、
その味と比べるとどうしても何かが物足りなく感じる。
「うん」
弟がおいしいと破顔しているのだ。きっとおいしいのだろう。マジックと比較して勝手にムッとしていたシンタローだったが、コタローの笑顔を見て気分が浮上する。
「コタローに喜んでもらえておねーちゃんは嬉しいぞ。……でも料理なんて殆どしたことなかったんだよなぁ。
キッカケはパプワ島だっなー」
流れ着いた当初は理不尽な扱いに怒鳴ってばかりだったが今となっては、懐かしい。
まだ思い出にはしたくなかったが、徐々にそうなりつつある。
「パプワ君は厳しいからね」
カレーに視線を落とし、コタローも懐かしむように友を思い浮かべる。
彼らは元気だろうか?と頭の端にチラッとそんな考えが浮かんだが、そんな心配せずとも元気に決まっているだろう。
今日もパプワはチャッピーとおなじみの扇子を両手にシットロ節を踊り、リキッドに家事を命じ、
リキッドもすっかり板についた主夫ぶりを発揮しつつ、料理の感想を求め腕を上げる努力をしているのだろう。
コタローは今になって思う。
パプワ君のあの厳しさはきっと甘えだったんだ。
チャッピーと島の大勢の友達とずっと暮らしていたと話してくれた。
そしてシンタロー達と出会い、今はリキッドと暮らしている。彼らと会うまではパプワがあの島を守るべき存在だった。
友達はいても家族はいなかった。リキッドは友達というより家族なんだろう。だからこそ我侭も言える。
自ら甘えるまでも無く、過剰に甘やかしてくれる姉をチラっと見ると、文字通り蕩ける様な笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
そんなに幸せそうな表情でじっと見られ、気恥ずかしくなって再び俯く。
遠い昔の記憶ではカッコいいお兄ちゃんだった。その強さは今も変わらぬ、いやそれ以上になったがお姉ちゃんになった。
お姉ちゃんといえども綺麗でカッコいい女性だ。コタローが出会う団員は男ばかり。
というか、ガンマ団内に女性がいるとは聞いたことが無い。だからますますどう対応したらいいのか分からなくて照れる。
ただ、どう言えば姉が喜んでくれるかはコタローは知っている。
「これかもずっと僕の傍にいてね?」
上目遣いに、少し伺うように小さな声で言う。
ピタッとシンタローの動きが止まる。
「…コタロー、もう一度言ってくれ」
黒い瞳が異様な輝きを放っていた。
「え?えっと、僕の傍にいてね?」
コタローの想像では優しい笑みを浮かべながらあったりまえだろ、と言うはずだった。
それが突然真顔になり問い詰められるように厳しい口調だ。必然的に少し戸惑いながらになってしまった。
『ぶっ。』
そんな擬音が聞えるような勢いでシンタローの鼻から赤いものが飛び出す。
整った鼻梁からは不釣合いなあれだ。
「お、おねーちゃん!」
食事を中断しテーブルの上に置いてあるティッシュを勢いよく数枚引っつかみ慌ててシンタローの元に向う。
「それ、治らないねぇ」
シンタローの不治の病。
いつ見てもその凄まじい血の勢いに慣れる事が出来ない。
よくあれだけ血を流して失血死しないものだと思うほど、尋常な量ではない。
一度コタローがシンタローを膝枕して、出血が止まるのを待ったことがあった。が、血の勢いは増すばかりで止まることが
無いという恐怖に近い体験をして以来、この時は不必要にシンタローに接触しない事にしていた。
だから最初座っているシンタローのティッシュをあてると後は彼女に任せる。ティッシュの箱も忘れずにそっと姉の傍に寄せる。
確実にあれ一箱は使い切るだろう。
シンタローの血が止まるまでは食事を再開する気にはなれない。だからそのままじっと見守る。
沈黙が落ちるがそれは重苦しいものではなく、近しいもの同士の、言葉がなくとも気持ちが穏やかでいられるものだった。
コタローは食卓に頬杖をつきながらシンタローの様子を見守りながら、これが家族の雰囲気なんだろうな、と思った。
そんなゆったりとした沈黙が続いていたが、やや上を向きながらシンタローが、
「これは治らなくてもいいんだぞ。大好きって証だからな。この好きって気持ちが胸に収まりきらなくなったら鼻血が出るんだ俺は。
だからコタローが好きでたまらないから毎日出血するんだ」
コタローには理解出来ないことをどこか誇らしげに言い始めた。
「でも僕は治して欲しいかも」
「………………………。」
朗らかに、ブラコンを発揮していたシンタローが急に黙り込む。コタローがしまったと思った時にはもう遅かった。
「……コタローはこんなおにい、じゃなかった、お姉ちゃん嫌いか?嫌いなのか?鼻血はダメか?
鼻血なんて出すお姉ちゃん嫌いってもう口もきいてくれないのか?……年頃になった娘が親父を唾棄の如く嫌うあれか?
もう俺もそうなのか……?」
先ほどまでの明るさは何処へやら、コタローの一言であっという間に海溝へと沈む。
「そ、そんなことないよっ、その……ただ」
ここで下手なことを言おうものなら腹でも切りそうな勢いだ。コタローは慎重に言葉を選ぶ。
「そのっ、おねーちゃんが毎回そんなに出血していたら心配だよ。その内失血しすぎて倒れちゃうんじゃないかって……
おねーちゃんがもし倒れちゃったら僕悲しいし、それに今のままだと普通に甘えることも出来なくなっちゃうよ?」
単に手を繋ぐというその行為すら危険を伴うのだ。
この異常なまでのブラコンを発揮する姉をコタローは嫌ってはいない。寧ろそれだけ好き、とう言うことを毎日のように
嫌でも確認できて以前のような事には絶対にならないととても安心するが、それでも鼻血だけは治して欲しかった。
もっと普通に姉弟がするように手を繋いで散歩や抱擁もしてもらいたい。
『甘える』という何でもない、だがシンタローにしてみたら最重要事項にビンっと反応した。
「それは困るぞ!ひっじょーに困る!」
コタローに向き直り、真顔で歳の離れた弟に訴える。
「ね?困るでしょ?僕ももっと普通におねーちゃんに接したいし」
シンタローの真剣な表情に、これを機会に治してもらおうと更に押す。
「決めた。俺は決めた!」
並々ならぬ闘志を瞳に宿し、宣言した。
「鼻血を出さないぞっ!」
「ほんと、おねーちゃんっ?」
期待に満ちた目で姉を見つめる。
その純粋な瞳はシンタローにはまぶし過ぎだ。ぶぼっと鈍い音と共に再び例のアレが飛び出る。
その内おねーちゃんの事を殺してしまうんじゃないだろうか、一緒に住まない方が、とコタローはどくどくと血を流し続ける姉を介抱しながら幼い弟は葛藤を続けた。
H18.6.22
|単発| |女体化| |リキシンお題| |シン受けお題| |キンシンお題|
--------------------------------------------------------------------------------
何処の家庭でもあるなんでもない夕食の風景。だがコタローにとってはそれが当たり前のことではなかった。
総帥に就任した今では不規則な生活になることが多い。
だから従兄弟達と協力してコタローが独りでご飯を摂る事が無い様に努めている。
今日はシンタローが早く仕事を収めることが出来たので、シンタローが夕食を作った。
「おねーちゃん、本当に料理上手だよねー」
コタローはカレーをほお張りながらそれを作った兄、ならぬ姉に言う。
「そうか?」
シンタローは別に普通かなと思いながら応じる。自分で料理を作るとその味が当たり前になってしまい、一般的に旨いか不味いかというのが分からなくなる。さらにはたぶん、あの父親と書いて変態と読むマジックは料理が上手だったのだろう、
その味と比べるとどうしても何かが物足りなく感じる。
「うん」
弟がおいしいと破顔しているのだ。きっとおいしいのだろう。マジックと比較して勝手にムッとしていたシンタローだったが、コタローの笑顔を見て気分が浮上する。
「コタローに喜んでもらえておねーちゃんは嬉しいぞ。……でも料理なんて殆どしたことなかったんだよなぁ。
キッカケはパプワ島だっなー」
流れ着いた当初は理不尽な扱いに怒鳴ってばかりだったが今となっては、懐かしい。
まだ思い出にはしたくなかったが、徐々にそうなりつつある。
「パプワ君は厳しいからね」
カレーに視線を落とし、コタローも懐かしむように友を思い浮かべる。
彼らは元気だろうか?と頭の端にチラッとそんな考えが浮かんだが、そんな心配せずとも元気に決まっているだろう。
今日もパプワはチャッピーとおなじみの扇子を両手にシットロ節を踊り、リキッドに家事を命じ、
リキッドもすっかり板についた主夫ぶりを発揮しつつ、料理の感想を求め腕を上げる努力をしているのだろう。
コタローは今になって思う。
パプワ君のあの厳しさはきっと甘えだったんだ。
チャッピーと島の大勢の友達とずっと暮らしていたと話してくれた。
そしてシンタロー達と出会い、今はリキッドと暮らしている。彼らと会うまではパプワがあの島を守るべき存在だった。
友達はいても家族はいなかった。リキッドは友達というより家族なんだろう。だからこそ我侭も言える。
自ら甘えるまでも無く、過剰に甘やかしてくれる姉をチラっと見ると、文字通り蕩ける様な笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
そんなに幸せそうな表情でじっと見られ、気恥ずかしくなって再び俯く。
遠い昔の記憶ではカッコいいお兄ちゃんだった。その強さは今も変わらぬ、いやそれ以上になったがお姉ちゃんになった。
お姉ちゃんといえども綺麗でカッコいい女性だ。コタローが出会う団員は男ばかり。
というか、ガンマ団内に女性がいるとは聞いたことが無い。だからますますどう対応したらいいのか分からなくて照れる。
ただ、どう言えば姉が喜んでくれるかはコタローは知っている。
「これかもずっと僕の傍にいてね?」
上目遣いに、少し伺うように小さな声で言う。
ピタッとシンタローの動きが止まる。
「…コタロー、もう一度言ってくれ」
黒い瞳が異様な輝きを放っていた。
「え?えっと、僕の傍にいてね?」
コタローの想像では優しい笑みを浮かべながらあったりまえだろ、と言うはずだった。
それが突然真顔になり問い詰められるように厳しい口調だ。必然的に少し戸惑いながらになってしまった。
『ぶっ。』
そんな擬音が聞えるような勢いでシンタローの鼻から赤いものが飛び出す。
整った鼻梁からは不釣合いなあれだ。
「お、おねーちゃん!」
食事を中断しテーブルの上に置いてあるティッシュを勢いよく数枚引っつかみ慌ててシンタローの元に向う。
「それ、治らないねぇ」
シンタローの不治の病。
いつ見てもその凄まじい血の勢いに慣れる事が出来ない。
よくあれだけ血を流して失血死しないものだと思うほど、尋常な量ではない。
一度コタローがシンタローを膝枕して、出血が止まるのを待ったことがあった。が、血の勢いは増すばかりで止まることが
無いという恐怖に近い体験をして以来、この時は不必要にシンタローに接触しない事にしていた。
だから最初座っているシンタローのティッシュをあてると後は彼女に任せる。ティッシュの箱も忘れずにそっと姉の傍に寄せる。
確実にあれ一箱は使い切るだろう。
シンタローの血が止まるまでは食事を再開する気にはなれない。だからそのままじっと見守る。
沈黙が落ちるがそれは重苦しいものではなく、近しいもの同士の、言葉がなくとも気持ちが穏やかでいられるものだった。
コタローは食卓に頬杖をつきながらシンタローの様子を見守りながら、これが家族の雰囲気なんだろうな、と思った。
そんなゆったりとした沈黙が続いていたが、やや上を向きながらシンタローが、
「これは治らなくてもいいんだぞ。大好きって証だからな。この好きって気持ちが胸に収まりきらなくなったら鼻血が出るんだ俺は。
だからコタローが好きでたまらないから毎日出血するんだ」
コタローには理解出来ないことをどこか誇らしげに言い始めた。
「でも僕は治して欲しいかも」
「………………………。」
朗らかに、ブラコンを発揮していたシンタローが急に黙り込む。コタローがしまったと思った時にはもう遅かった。
「……コタローはこんなおにい、じゃなかった、お姉ちゃん嫌いか?嫌いなのか?鼻血はダメか?
鼻血なんて出すお姉ちゃん嫌いってもう口もきいてくれないのか?……年頃になった娘が親父を唾棄の如く嫌うあれか?
もう俺もそうなのか……?」
先ほどまでの明るさは何処へやら、コタローの一言であっという間に海溝へと沈む。
「そ、そんなことないよっ、その……ただ」
ここで下手なことを言おうものなら腹でも切りそうな勢いだ。コタローは慎重に言葉を選ぶ。
「そのっ、おねーちゃんが毎回そんなに出血していたら心配だよ。その内失血しすぎて倒れちゃうんじゃないかって……
おねーちゃんがもし倒れちゃったら僕悲しいし、それに今のままだと普通に甘えることも出来なくなっちゃうよ?」
単に手を繋ぐというその行為すら危険を伴うのだ。
この異常なまでのブラコンを発揮する姉をコタローは嫌ってはいない。寧ろそれだけ好き、とう言うことを毎日のように
嫌でも確認できて以前のような事には絶対にならないととても安心するが、それでも鼻血だけは治して欲しかった。
もっと普通に姉弟がするように手を繋いで散歩や抱擁もしてもらいたい。
『甘える』という何でもない、だがシンタローにしてみたら最重要事項にビンっと反応した。
「それは困るぞ!ひっじょーに困る!」
コタローに向き直り、真顔で歳の離れた弟に訴える。
「ね?困るでしょ?僕ももっと普通におねーちゃんに接したいし」
シンタローの真剣な表情に、これを機会に治してもらおうと更に押す。
「決めた。俺は決めた!」
並々ならぬ闘志を瞳に宿し、宣言した。
「鼻血を出さないぞっ!」
「ほんと、おねーちゃんっ?」
期待に満ちた目で姉を見つめる。
その純粋な瞳はシンタローにはまぶし過ぎだ。ぶぼっと鈍い音と共に再び例のアレが飛び出る。
その内おねーちゃんの事を殺してしまうんじゃないだろうか、一緒に住まない方が、とコタローはどくどくと血を流し続ける姉を介抱しながら幼い弟は葛藤を続けた。
H18.6.22
PR