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「シンタローさん、お客さんっすよー」
食材採りから戻ってきたリキッドが家の中にいるシンタローに呼びかける。
「ああん?俺に客?誰だ?」
家の中でくつろいでいたシンタローは客の心当たりがなく、不審な顔をする。が、
リキッドの穏やかと言っても良いくらいの口調からして、変なナマモノではないだろう。
シンタローはエグチくんかナカムラくんあたりかな、と判断し家の中に招くようリキッドに指示する。
「リキッド、入ってもらえ」
「はい、わかりました。どうぞー」
扉の横に立っているだろうものを手招きする。
「お、おじゃましますえ」
その人物は妙におどおどしながら、そろそろと入ってきた。
見たこともない少年だった。しかも美少年。
紫色のどこか中国を連想させるようなデザインの洋服を着ている。
だがシンタローはその言葉使いは聞き覚えがあった。
服装もどこかの誰かさんとよく似ていた。本人は覚えていたくもないのだが。
「『しますえ?』」
思わず眉をひそめ反復する。
「まあ、その辺に座ってください。今お茶用意しますから」
すっかり主夫が板についたリキッドが背中に背負っていた重そうな竹かごを下ろしながらその少年に
声を掛ける。少年はびっくりしたようにリキッドを見たが、こくんと頷くととことこと歩いていき
シンタローの横に少しはなれて座る。
「シンタローさんのお知り合いっすか?」
「あのなぁ。俺は昔のパプワ島の皆とは友達だけどこの島にははじめて来たんだよ。
 お前が知らないヤツなのに俺が知っていると思うか?」
「えー、でも最近は変な人たちが頻繁に来るじゃないっすか。次元移動もしてますし」
「…そう言われたらそうかもな。この間のヒロシくんの様なこともあるかもしれないな」
シンタローはコタローの面影が少しある美少年のヒロシくんを思い出し、少し顔がゆるむ。
そのちょっと微笑んだままの表情で少年に質問をする。
「で、君は誰?どこから来たのかな?」

「わ、わて。わてどすえ。シンタローはん」
顔自体はシンタローに向けているが、視線は泳いでいる。
「……アラシヤマ?」
「アラシヤマ?!」
リキッドが吃驚して大声を出す。台所でお茶の準備をしていたが、シンタローたちの元へと駆け寄る。
「アラシヤマってあのアラシヤマさんっすか?!」
「……そーなんじゃねーの?言葉遣い同じだし、服装は似ているし。面影も残ってるしなー」
「シンタローさん。何でそんなに冷静なんすか?
 おかしいじゃないっすか!いきなり子供になっちゃってるんすよ!」
「このくらいのことで取り乱していたらガンマ団総帥と一族ん中ではやっていけねーからな。
 自分で言うのもなんだが、ウチの一族は変だ。団員も変なやつばかりだ」
「……」
リキッドはどう返事をしてよいやら解らず黙り込む。
下手に『そうっすよねー』と相槌を打とうものなら一撃必殺をくらいそうだ。
「リキッド、茶。茶菓子もな」
「ああ、すんません。今持ってきます」
もう一度台所へと戻り
「シンタローさん、妙に優しくないっすか?」
ちゃぶ台の上に客用の湯飲みとお茶菓子を並べながらそう訊ねる。
「ったりめーだろうが。アラシヤマと言えどもこんなちみっこ相手に乱暴な態度とれっか!」
「……美少年だから、なだけじゃないっすか…」
コタローに再会した時やヒロシ君に会った時を思い出してぼそっと呟く。
「あ~~ん?何か言ったかな、リキッドくん?」
「い、いえ!俺、何にも言ってないっすよ!?」
「おめーも座っとけ」
「…はい」
悲しきかな、お嫁さんはお姑さんに逆らう事は出来なかった。

「アラシヤマ」
「なんどすか?」
「もう一度確認するが、本当にアラシヤマなんだな?」
「それ以外にありまっしゃろか。姿が変ったらわての事誰だかわからないなんて酷いどす、
 シンタローはんそれでも友達ですのん?」
アラシヤマは目をうるませ、シンタローを見上げる。
「……」
シンタローは何も答えず、そっと手で鼻を押さえる。ついでに顔も反対へとそむける。
アラシヤマがいつものアラシヤマだったらシンタローは容赦なく、友達じゃねーよ、と
突っ込みを入れていただろう。だが、不幸な事にアラシヤマは美青年だった。幼くなったら当然美少年だ。
シンタローは美少年にとことん弱かった。
「シンタローさん、あんた、美少年なら誰でもいいんすか?」
「うっせーよ」
「だって、アラシヤマですよ、アラシヤマ!」
「解ってるよ!俺だってヤだよ!なんでこいつ相手に、と思うけどしかたねーだろ!
見ての通り、ちみっこのおまけに美少年なんだし!」
「…やっぱり誰でもいいんじゃないっすか…」
こんなんがガンマ団総帥でいいのかとリキッドは遠い目になる。
「よっし、アラシヤマ。おまえもうそのままでいろ」
いつになく優しい態度のシンタローにアラシヤマは感激する。
「…シンタローはん、一番の友達にしてくれますか?」
「おまえがそのままならな」
とろけるような微笑を浮かべる。いつものどこか胡散臭い笑顔ではなく、本当に心からの笑みだ。
それがアラシヤマの脳天を直撃した。
「わて、このままでいますえ」
即答だった。少年に迷いは微塵も見当たらない。
「よし。んじゃ、暫くはここで寝泊りすればいい。一人じゃ不安だろ?」
「シンタローはん」
アラシヤマはぷっくりと柔らかそうな頬を赤くそめ、目を潤ませ、両手を胸の前に組み、
感極まったようにシンタローの名を呟く。
彼の人生は、今、花開いた。
そして凛々しいアニキとどこか影のある儚い美少年はみつめあう。
そこはかとなく妖しい雰囲気がパプワハウスを支配する。
そんな様子を見守っていた可愛い生き物にはめっぽう弱いが美少年には弱くない
リキッドがいい加減我慢できなくなったのか、それともその雰囲気に耐えられなくなったのか
ツッコミを入れる。
「ちっがーう!シンタローさん、まずこうなった原因を調べなきゃ駄目っすよ!
 もし他の人たちもアラシヤマみたいになっちゃったらどーするんすか?」
「え?いいんじゃね?」
美少年が増えるんなら俺は構わねーよ。
シンタローの顔には間違いなくそう書いてあった、ようにリキッドには見えた。
ああ、駄目だこのショタコンアニキ。脳が汚染されている。
リキッドは深く、深くため息をついた。
「……じゃあ、取り敢えずは今日はもうそのまま泊まってもらうとして。
 明日はちゃんと調べてくださいよ?
 それと、シンタローさんからちゃんとパプワとチャッピーに説明してくださいね?」
「ああ。解った。パプワも新しい友達が出来ていいんじゃねー?」
「シンタローさん、それ、アラシヤマさんっすよ。パプワとは歳、離れまくってます」
「いちいち細かいヤツだなー。男ならもっと大きく構えとけ」
「シンタローさんはもっと気にしてください」
「リキッドはん、お世話になりますえ」
アラシヤマは律儀に頭を下げる。
リキッドはなんとも言えない微妙な表情を浮かべ、思った。
キモい変な人でもこうして姿が子供になったら無下に出来ないのは何故だろう、と。

そして、アラシヤマをむかい入れた奇妙な生活が始まる。

H17.2.22
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