高松は信用するべからず。
改めて、自分への教訓を胸に刻む。
だけど既に後の祭り、取り返しはつかない。
「シンちゃ」
1人、捕獲。
「シンタ」
2人、捕獲。
「おや、ずいぶんかわいく」
3人、捕獲。
仕事の用件で訪れたグンマ、キンタロー、それに俺が呼び出した高松。
今日はもう、この3人以外と会うわけにはいかない。
「他言無用だぞ、おまえら」
俺を一目見てぴしりと固まった状態のグンマとキンタローに言う。
無理もない、今、俺は外見が著しく変化しているのだ。
平たく言えば、性別がまるきり変わってしまった。
小ぶり(これは救いかもしれない)だが確かに膨らみのある胸。
くびれたウエスト、腰回りから尻にかけての厚い肉。
筋肉の見当たらない細い腕に、それでもある程度のボリュームをもった脚。
どうやら身長も縮んだようだ。
失ったものは男の大事なモノと、あとはプライドか・・。
「それもこれも全部テメーのせいだ高松!マッド科学者!ヤブ医者!!」
「失礼な。あなたがドリンク剤を注文してきたから、新薬を試すことにしたんですよ」
「なんの言い訳にもなっとらんわっ」
そんなわけで、俺のこんな姿を他のやつらに見せるわけにはいかないので。
「とにかく!早く解毒剤を作れ!!」
と、高松を追い出して。
「グンマ、見たことは忘れろ。でも高松がちゃんとまともな薬作るか監視しててくれ」
と、グンマを追い出して。
「悪いけど後のこと頼むな」
と、キンタローも追い出そうと、して、ドアを開けたところで、4人目の目撃者が出てしまった。
しかも、実は1番見られたくなかった、やつ。
「・・・シンタローはん・・・・?」
総帥に提出するためだろう、厚い書類を手に、総帥室のドアの前にちょうどやって来たアラシヤマだ。
ノックをする形に振り上げられた手が、そのまま宙で止まっている。
まさしく、最低最悪の日。
キンタローのやつ、いつの間に立ち去ったんだ。
アラシヤマに抱きすくめられてキスを繰り返されながら、追い出そうとしていたのを棚に上げて、恨み言も言いたくなる。
本来なら俺より背の低いアラシヤマは、今や腰を屈めて俺に身長を合わせていた。
一言で表すなら『気に食わない』。
力を加減されて抱かれるのも、顎が持ち上げられるのも気に食わない。
「・・そない怒った顔、せんでも」
言いながら、手早くベルトごとスーツのパンツが落とされた。
同時に、余った襟刳りから侵入した手のひらが、胸を掴む。
「あ」
「え?」
うわ、息が弾む。
「意外にも手のひらにすっぽりと」
「それ以上言うな」
そして鼻血を拭け。
「・・っあ、や、」
アラシヤマは片手で胸をまさぐりながら、もう片手を太股の間に滑り込ませてきた。
布越しに、未知の場所を指先が触れる。
抗議の声は柔らかく塞がれて、舌が絡み合う音が、部屋に響く。
長い口付けの最中もずっと睨み付けていたというのに、アラシヤマは止まらなかった。
それどころか、熱っぽい視線で俺を犯す、から。
まともに抵抗もできないままに、俺はソファに倒されていた。
普段の半分ほどの力でアラシヤマの身体を押し返してみたって、それはまるで形式的な愛撫のようだ。
大きなシャツの前ボタンはすべて外され、口唇から首、乳房、腹へと舌は伝い下りる。
それこそ意外にもアラシヤマはキスがうまい、というか、たぶん舌使いがうまい。
トランクスの上から女としてのそれを撫で続けるアラシヤマの指は、すっかり濡れていて、粘り気のある水音を立てていた。
「やめ・・っ」
男であろうが女であろうが変わらないらしい、弱い脇腹をやわく噛まれて、たまらずびくりと背を反らす。
と、その拍子に合わせて、アラシヤマの指が直接の刺激を開始した。
用済のトランクスは、軽い音とともに床に落とされてしまった。
女の俺は異物もすんなりと受け入れる。
アラシヤマの骨張った指がずぶずぶと中に沈んでいく様子は、まったくもって奇妙。
それでも内壁を擦られれば、身体は震えて、さらにアラシヤマの指を濡らす。
「ア、ラシ、ヤマ」
腕を伸ばして、裸の肩を引き寄せて。
近寄ってきた口唇は、なんとか避けた。
「抜け、・・指」
「は、ー・・なんで」
「あ!ちょ、動かすな・・ッ」
「気持ちいいでっしゃろ?」
「いいから、もう、ヤバ・・」
「イきます?」
「違・・っ」
要領を得ない会話にいらいらして、齧りつくようにしてアラシヤマの耳に言葉を注ぐ。
恥じらいとか、そんなものじゃない。
実際アラシヤマの言うことも当たっていて、 本当に切羽詰まっていたのだ。
アラシヤマはすぐにきょとんとした顔で俺を見つめ、伝えられた言葉を反復した。
「破れてまう、って」
「処女膜」
俺はこの気に入りのソファを血で汚す気はない。
ついでに言えば男に生まれたのだから、今さら処女を捨てる気もなかった。
渾身の力で上に乗っかっている身体を突き放すと、意外なことにアラシヤマはあっさり退いて。
「アラシヤマ?」
「・・・萎えましたわ。ってシンタローはん、わてと散々ヤってきて処女もなにも」
「女としては初めてだろーが。やだぞ、男も女もおまえに捧げんのは」
本当はまだ身体の奥が疼いて仕方がない、けれど、俺は起き上がって散らばった服を拾った。
いや、正確には、拾おうとした。
トランクスを掴む前に、俺はふわりと持ち上げられたのだ。
肩に担がれるなんて恥ずかしい体勢に驚きすぎて、怒る間もなく、俺を軽々と持ち上げたアラシヤマはベッドルームに向かって歩き出す。
(もしや場所を変えて最後まで?)
幸いにもガンマ砲を放つ直前に、アラシヤマは口を開いた。
俺を、ベッドに丁寧に降ろしながら。
「どうせ今日は仕事にならへんし、今のあんさんは団員の目の毒ですわ。プライベートルームでゆっくりしてはるのが懸命どす」
アラシヤマの言う通りだ。
明日には高松の解毒剤も完成するはずだし、そうすれば俺は男に戻れる。
よし、そうと決まれば。
久々にゆっくり休ませてもらおうと、俺はいそいそとベッドに潜り込んだ。
傍らに立つアラシヤマの微笑みにも気付かずに。
「・・・男に戻ったら、焦らされたぶん覚えておくんなはれ・・」
改めて、自分への教訓を胸に刻む。
だけど既に後の祭り、取り返しはつかない。
「シンちゃ」
1人、捕獲。
「シンタ」
2人、捕獲。
「おや、ずいぶんかわいく」
3人、捕獲。
仕事の用件で訪れたグンマ、キンタロー、それに俺が呼び出した高松。
今日はもう、この3人以外と会うわけにはいかない。
「他言無用だぞ、おまえら」
俺を一目見てぴしりと固まった状態のグンマとキンタローに言う。
無理もない、今、俺は外見が著しく変化しているのだ。
平たく言えば、性別がまるきり変わってしまった。
小ぶり(これは救いかもしれない)だが確かに膨らみのある胸。
くびれたウエスト、腰回りから尻にかけての厚い肉。
筋肉の見当たらない細い腕に、それでもある程度のボリュームをもった脚。
どうやら身長も縮んだようだ。
失ったものは男の大事なモノと、あとはプライドか・・。
「それもこれも全部テメーのせいだ高松!マッド科学者!ヤブ医者!!」
「失礼な。あなたがドリンク剤を注文してきたから、新薬を試すことにしたんですよ」
「なんの言い訳にもなっとらんわっ」
そんなわけで、俺のこんな姿を他のやつらに見せるわけにはいかないので。
「とにかく!早く解毒剤を作れ!!」
と、高松を追い出して。
「グンマ、見たことは忘れろ。でも高松がちゃんとまともな薬作るか監視しててくれ」
と、グンマを追い出して。
「悪いけど後のこと頼むな」
と、キンタローも追い出そうと、して、ドアを開けたところで、4人目の目撃者が出てしまった。
しかも、実は1番見られたくなかった、やつ。
「・・・シンタローはん・・・・?」
総帥に提出するためだろう、厚い書類を手に、総帥室のドアの前にちょうどやって来たアラシヤマだ。
ノックをする形に振り上げられた手が、そのまま宙で止まっている。
まさしく、最低最悪の日。
キンタローのやつ、いつの間に立ち去ったんだ。
アラシヤマに抱きすくめられてキスを繰り返されながら、追い出そうとしていたのを棚に上げて、恨み言も言いたくなる。
本来なら俺より背の低いアラシヤマは、今や腰を屈めて俺に身長を合わせていた。
一言で表すなら『気に食わない』。
力を加減されて抱かれるのも、顎が持ち上げられるのも気に食わない。
「・・そない怒った顔、せんでも」
言いながら、手早くベルトごとスーツのパンツが落とされた。
同時に、余った襟刳りから侵入した手のひらが、胸を掴む。
「あ」
「え?」
うわ、息が弾む。
「意外にも手のひらにすっぽりと」
「それ以上言うな」
そして鼻血を拭け。
「・・っあ、や、」
アラシヤマは片手で胸をまさぐりながら、もう片手を太股の間に滑り込ませてきた。
布越しに、未知の場所を指先が触れる。
抗議の声は柔らかく塞がれて、舌が絡み合う音が、部屋に響く。
長い口付けの最中もずっと睨み付けていたというのに、アラシヤマは止まらなかった。
それどころか、熱っぽい視線で俺を犯す、から。
まともに抵抗もできないままに、俺はソファに倒されていた。
普段の半分ほどの力でアラシヤマの身体を押し返してみたって、それはまるで形式的な愛撫のようだ。
大きなシャツの前ボタンはすべて外され、口唇から首、乳房、腹へと舌は伝い下りる。
それこそ意外にもアラシヤマはキスがうまい、というか、たぶん舌使いがうまい。
トランクスの上から女としてのそれを撫で続けるアラシヤマの指は、すっかり濡れていて、粘り気のある水音を立てていた。
「やめ・・っ」
男であろうが女であろうが変わらないらしい、弱い脇腹をやわく噛まれて、たまらずびくりと背を反らす。
と、その拍子に合わせて、アラシヤマの指が直接の刺激を開始した。
用済のトランクスは、軽い音とともに床に落とされてしまった。
女の俺は異物もすんなりと受け入れる。
アラシヤマの骨張った指がずぶずぶと中に沈んでいく様子は、まったくもって奇妙。
それでも内壁を擦られれば、身体は震えて、さらにアラシヤマの指を濡らす。
「ア、ラシ、ヤマ」
腕を伸ばして、裸の肩を引き寄せて。
近寄ってきた口唇は、なんとか避けた。
「抜け、・・指」
「は、ー・・なんで」
「あ!ちょ、動かすな・・ッ」
「気持ちいいでっしゃろ?」
「いいから、もう、ヤバ・・」
「イきます?」
「違・・っ」
要領を得ない会話にいらいらして、齧りつくようにしてアラシヤマの耳に言葉を注ぐ。
恥じらいとか、そんなものじゃない。
実際アラシヤマの言うことも当たっていて、 本当に切羽詰まっていたのだ。
アラシヤマはすぐにきょとんとした顔で俺を見つめ、伝えられた言葉を反復した。
「破れてまう、って」
「処女膜」
俺はこの気に入りのソファを血で汚す気はない。
ついでに言えば男に生まれたのだから、今さら処女を捨てる気もなかった。
渾身の力で上に乗っかっている身体を突き放すと、意外なことにアラシヤマはあっさり退いて。
「アラシヤマ?」
「・・・萎えましたわ。ってシンタローはん、わてと散々ヤってきて処女もなにも」
「女としては初めてだろーが。やだぞ、男も女もおまえに捧げんのは」
本当はまだ身体の奥が疼いて仕方がない、けれど、俺は起き上がって散らばった服を拾った。
いや、正確には、拾おうとした。
トランクスを掴む前に、俺はふわりと持ち上げられたのだ。
肩に担がれるなんて恥ずかしい体勢に驚きすぎて、怒る間もなく、俺を軽々と持ち上げたアラシヤマはベッドルームに向かって歩き出す。
(もしや場所を変えて最後まで?)
幸いにもガンマ砲を放つ直前に、アラシヤマは口を開いた。
俺を、ベッドに丁寧に降ろしながら。
「どうせ今日は仕事にならへんし、今のあんさんは団員の目の毒ですわ。プライベートルームでゆっくりしてはるのが懸命どす」
アラシヤマの言う通りだ。
明日には高松の解毒剤も完成するはずだし、そうすれば俺は男に戻れる。
よし、そうと決まれば。
久々にゆっくり休ませてもらおうと、俺はいそいそとベッドに潜り込んだ。
傍らに立つアラシヤマの微笑みにも気付かずに。
「・・・男に戻ったら、焦らされたぶん覚えておくんなはれ・・」
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