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「望みはなんだ」

「・・頼みたいことがある」

「おまえが俺に?」

「ああ」

「・・承諾したところで、明日には忘れてるかもしれねえな。覚えたとしても、」

「それでも頼まないよりマシだ、・・たぶんな」

「なにを企んでる」

「その時が来たら、言うさ」



直接的な刺激よりも、視覚的な刺激に興奮する。

人のもん咥えて這いつくばる姿には、普段の尊大な雰囲気も形無しで。

兄貴が知ったら、泣くな。

他人事のように同情しながらも、込み上げる笑いを押さえきれない。

久々に心から面白いと思った。

そして、もっと面白くなればいいと思った。

「おい、腰上げろ」

返事を待たずにシンタローのジーンズに手を入れ、適当に的確に指を動かす。

反応の早い身体は若さゆえか、才能か。

「ち、やりにくいな・・」

「なに、を!」

「下、脱げ。てめーだって辛いだろ」

数秒、逡巡した末の甥っこの妥協案は、ホックを外して腰元をゆるめることだった。

それでも動かしやすくなった手のひらを滑らせて、尻を探って。

中指1本を体内に侵入させて、幾度か抜き差しを繰り返す。

食いちぎられそうな、きつさ。

「・・それ、やめろ」

「あ?」

「苦手なんだよ」

驚いて、動きを止める。

プライドの高い、こいつが?

「・・やられたことあんのか?」

居心地悪そうにジャンケンで負けた、と白状する声には思わず笑った。

「・・はあん」

「なんだよ、・・指、抜きやがれ」

「おまえ、下手な奴しか相手にしたことないんだろう」

かわいそうに。

当たりをつけて、ぐるりと指を回す。

過敏に身体を震わせたシンタローは、それでも息さえ漏らさず下口唇を噛んだ。

そう、声を上げねえってのはなかなか見込みがある。

男にしろ女にしろ喘ぎすぎるやつなんざ、興醒めだからな。

焦らして焦らされて、ようやくこぼれたため息こそが極上。

「突っ込んでやろうか」

睨みつけてくる、ぎらぎら濡れた眼。

「・・冗談じゃねーよ、酔っぱらい」

上等だぜ、クソガキ。
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