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+++家族パニック+++





「ここのところ、根を詰めているな。そろそろ少し休憩してはどうだ?」

「ああ、それじゃ最近みかん貰ったから食べようぜ。」


いつものごとく執務中の総帥室で、総帥と補佐官とのたわいない会話から
それは始まった。


「…このみかん随分すっぱいな。」

シンタローが団員から貰ったのだというみかんを頬張りながらキンタローは呟く。

「そうか?俺はこれくらいが丁度いいが。」

そのみかんをうれしそうに食べるシンタロー。

それをいぶかしげな顔で見つめるキンタロー。


「…うっ!」

「どうした?」

突然喉を詰まらせたシンタローにキンタローが声をかける。


「わりぃ、ちょっ…トイレ行ってく…」

最後まで言いきらないうちにシンタローは走り出した。







しばらくしてシンタローは戻ってきた。
心なしか顔色が青白かった。

「どうした?」

「あー…。なんか急に気持ち悪くなってな。吐いてきちまった。」

心もとない足取りで執務室の自らの椅子に座りながらシンタローは答える。

「……………」

そんなシンタローを凝視するキンタロー。

「なんだよ?変なもんでも見る顔して。吐いたら楽んなったからもう大丈夫だ。」

そんなキンタローに笑ってそう言うシンタロー。

「………すめ。」

「あ?何だって?」

「今日はもういい。お前は戻って休んでいろ。」

真剣なまなざしでシンタローにそう言うキンタロー。

「いや、だから吐いて楽になったから大丈夫だって。」

「いいから休んでいろ…!」

断ろうとするシンタローの肩を叩き、キンタローは危機迫る表情でそう言った。

「そ、…そうか?じゃあ悪りぃけど戻るぞ?」

そんなキンタローに気圧されてシンタローはうなずく。







シンタローが大人しく自分の部屋に戻ったのを見送ると、
キンタローはその足で特選部隊へと連絡を取った。



「ハーレム叔父貴。下手な言い訳はしなくていい。最近シンタローに手を出したのはいつだ?」

『…わざわざ遠征先に連絡よこしたと思ったら間髪入れずにそういう話題かよ。
まぁ、おれは好きだがな、そう言う話は』

人の悪い笑顔を見せながらそう答えるハーレム。

「茶化すな。大切なことだ。…どうやらシンタローが妊娠しているようなんだ。」

キンタローのその言葉に、ハーレムは目を見開く。

『おいおい、マジかよ。それで俺のとこに連絡入れたのかよ。』

「ああ、そうだ。」

いまいましげにキンタローは答える。

『…最後にヤッたのは今回の遠征前だから三ヶ月前くらいか…?』

「…兆候が出るには十分な期間だな。」

呟くようにそう言ったハーレムに、眉間に皺を寄せながら答えるキンタロー。

『いや、ちょっと待ってくれ。俺はナマじゃしてねぇぞ?』

「スキンか?それでも一割程度危険性はある。」

『あー…そりゃあなぁ…。』

「随分と渋るな。だが心配しなくてもいい。別に叔父貴に責任を取らせようというわけ
じゃない。」

『どういう意味だ?…まさかお前、シンタローに堕ろさせるつもりなのか?』

「まさか。シンタローはあの性格だ。あれだけ嫌がっていた事態だが
いざそうなってしまえばアイツは絶対産むだろう。」

『じゃあどういう…』

「貴方の認知は必要無い。産まれてくる子供の父親には俺がなる。」

ハーレムを見据え、キンタローはきっぱりと言いきる。

「叔父貴の勝手でこれ以上シンタローを傷つけないでくれ。」

『……お前こそ、何を勝手に言ってやがる』

そんなキンタローにハーレムは言う。

『ガキじゃあるまいし、何の覚悟もなしにアイツに手ぇ出したわけじゃねえ。』

『本当にアイツが俺のガキ身篭ったってんなら最後まで責任は取る。』

今度は逆に、キンタローをしっかりと見据えてハーレムは言う。

キンタローは密かにショックを受けていた。
女性体になってしまったシンタローにハーレムが手を出していたのは知っていた。
それはハーレムが面白半分にやっていたのだろうと思っていたのだ。
だが、それは違った。

ハーレムは確かに遊び半分だったのだろうが、それは本気の遊びだったのだ。

思えば、ちゃんと避妊具を使用していたのも、シンタローを思ってのことだったのだろう。

『ショックな顔してんな。…てーか、お前はどうなんだよ?心当たりは?』

「…それは絶対にない。俺はシンタローと寝たことは無い。」

うつむきながらそう言ったキンタローに、ハーレムは驚く。

『おいおい、マジかよ。……その立場を保ちたいってのはわかるけどな、
それじゃアイツにゃ絶対伝わんねぇぞー。アイツそういう方面は鈍感だから。』

他のことにかけては器用なキンタローの、
意外に不器用な面に驚きながらハーレムはそう言った。

『ああ、しかしそうは言ってもアイツは一人で産むって言いそうだなぁ。』

苦笑いしながらハーレムは言う。

『って、それよりも問題は兄貴に何て説明すっかだな…。俺、殺されかねないな…。
…ん?』

「…あ。」

マジックの名前が出た途端二人は向かい合って静止する。

『………キンタロー、マジック兄貴には確認入れたか?』

「いや、まず先にハーレム叔父貴に連絡入れたからまだだ。」


『馬鹿野郎!!!!まず先に怪しいのはあの親父だろう!!!!!』

「仕方ないだろう!突然のことで俺だって気が動転していたんだ!!!!!」

『いいから、兄貴んとこ確認して来い!!』


そう言われキンタローは急いでマジックの元へ連絡を入れた。









『やぁ、キンちゃん。こんな時間に私に連絡を入れるとは珍しいね。
仕事ははかどっているかい?』

いつもの派手なピンクのスーツ姿でマジックは通信に出た。

「マジック伯父貴、今はそれどころではない。最近いつシンタローに手を出した?」

『あはは、シンちゃんが聞いたら激怒しそうな内容だね。一番最近は昨晩だね。』

キンタローの質問にあっさりとマジックは答える。
それに呆れながらもキンタローは続けて聞く。

「そうか。では二、三ヶ月前には?」

『ああ、一週間に五回挑んで三回はなし崩しにことに及んでいるよ。』

ケロリとそう答えるマジック。

「…ちなみに避妊具は使っているか?」

顔に青筋を立てながらもキンタローは聞く。

『うーん…。シンちゃんはどうしても付けろと言うんだけどね。
三回に一回は付けないよ。まぁ、ほとんどシンちゃんが意識飛ばしちゃってる頃にね。』

ころころと笑いながらそう言うマジック。

こいつが犯人で間違い無い!!!!と、キンタローは心の中で絶叫した。

「伯父貴、落ち着いて聞いてくれ。どうも、シンタローが妊娠しているようなんだ…。」

『何だって!!』

キンタローの言葉に、驚き叫ぶマジック。

そんなヤり方してて何を驚いている。と、キンタローは思ったが次のマジックの言葉に
もっと驚かされた。

『そうか。やっとおめでたなんだねぇ。随分かかったなぁ。』

マジックは嬉しそうにそう言ったのだ。

「な…っ。伯父貴、まさか確信犯なのか?」

『え?当然じゃないか。そうじゃなきゃこんな抱き方はしないよ?』

やはりきっぱりとそう言うマジック。

マジックの代からの団員の中の一部で、彼の支持率が異常に低い
理由を垣間見たキンタローだった。

『ああ、こうしちゃいられない。だったら今すぐシンちゃんを抱きしめてあげなくちゃね!』

そう言うや否や、マジックは一方的に通信を切った。
行き先は恐らく、いや、絶対にシンタローの私室だ。
キンタローも急いでシンタローの私室のほうへ向かった。







「シーンちゃーん!よくやったね。おめでとう!」

ノックも何もせずにそう叫びながら部屋に乱入したマジックは一目散に
自室で結局のところ書類での仕事をしていたシンタローへ飛びついた。

が、それを身を翻し避けるシンタロー。

「…いきなり乱入してきて何なんだよ。」

呆れながら倒れ伏しているマジックへそう言い捨てるシンタロー。

「もー、照れなくても良いんだって。キンちゃんから聞いたよ?シンちゃん、
パパの子を身ごもったんだって?」

顔面着地を致して鼻血を噴いているにもかかわらず、マジックは嬉しそうに
シンタローを見上げながらそう言った。

「はぁ!?何の冗談だそれは。」

驚きながらそう返すシンタロー。

「冗談じゃないよ。キンちゃんが言ってたんだ。シンちゃんが『妊娠してるようだ』って。」

きょとんとしながらそう言うマジック。

それを聞き、先ほどのキンタローの態度を思い出し、
シンタローは盛大にため息をつきながら頭を抱えた。

「…アイツはほんと変に偏った知識がある上に思い込みが激しいな。」

シンタローがそう呟いたのと同時に、キンタローがその場にやってくる。

「シンタロー、それにマジック伯父貴、入るぞ。」

「おー、おー、この騒ぎの元凶が来てくださったな。」

声をかけ入ってきたキンタローに、シンタローは嫌味たっぷりにそう言った。

いきなりわけのわからない嫌味を言われてきょとんとしているキンタローだった。










「だから、俺が妊娠する確立は、1パーセント位の確立で、まずあり得ないんだって。」

シンタローが妊娠したと勘違いしたキンタローに、そう言ってやるシンタロー。

「だがお前、あんなにすっぱいみかんをおいしそうに食べていたし、
そのあとつわりだって…。」

「あのなー。俺はもともとみかんは甘いのよりほどほどなのが好きなの。
で、吐いたのだってその前の日徹夜で仕事してて空きっ腹にいきなり
消化に悪いみかん入れたのが悪かったんだろーよ。」

あっけなくそう言い捨てるシンタロー。

「でもまぁ、可能性はゼロじゃねぇわけだけど、それだってもうちょいしたら
月のモンが来っから結果はすぐわかる。」

この女性体になってはや半年。
いやなことにあれだけ抵抗があった月経にもすっかり慣れてしまった
シンタローはそう続けた。

「そうか、そうだったのか。」

シンタローのその言葉に安心するキンタロー。

だが、その横でマジックは不服そうな顔をしている。

「シンちゃん。なんで、出来ちゃう可能性が1パーセントしかないの?」

そんなマジックにしかめっつらをしながらシンタローは言う。

「あぁン?アンタがどんだけ言っても付けねーからピル飲んでんだよ。」

「薬飲んでるの!?」

マジックは驚きながらそう言った。

「…誰のせいだと思ってやがる、このアーパー親父!!それすら嫌だと
ぬかしやがるんならテメェとは金輪際何があっても寝ない!!!
そもそもなんでそんなに子作りにこだわンだよ、アンタは!?」

憤慨しながらシンタローは叫ぶ。

「私はお前との愛の結晶を望んでいるだけだよ?」

「…今以上にややこしい家族関係を構成してどーすんだよ。」

呆れながらそう言うシンタロー。

「それにほら、突発的なことでシンちゃんが女性体でいられるのは
いつまでかわからないでしょ?だったらこのチャンスを逃す手はないなーと思って。」

「俺は早急に元に戻りてぇんだよ。いいから、もうこの話は終わり!!!
わかったら執務室に戻ってもいいな?キンタロー。」

いい加減かなり不毛なやり取りをしていることに気づいたシンタローはキンタローにそう言う。

「ああ。だがせっかくだからお前は今日はもう休め。」

シンタローの言葉にそう返すキンタロー。

「あのなぁ、総帥がそう簡単に…」

「そう言って、何だかんだでお前体調少し崩しているだろう?今日はもう休め。」

言い返そうとするシンタローにそう言い捨てるキンタロー。

「うん。頑張るのはいいけど、休むのも大切なことだよ?シンちゃん。」

後押しする形でマジックも口添えする。

「あー…。もうわかったよ。」

結局シンタローが根負けする形となった。

それを満足そうに見て、部屋を出ようとするキンタロー。
しかし、マジックは逆にシンタローの傍へ行く。

「…おい。なんだよ。」

自分の傍に寄ってきたマジックに不服そうに聞くシンタロー。

「え?シンちゃんもう今日はお休みでしょ?だったら1パーセントの確立にかけて
パパ今日も頑張っちゃおうかと思って…」

『眼魔砲!!!!!』

図々しくもそう言ってきたマジックに、シンタローとキンタロー二人の
眼魔砲が炸裂する。

流石のマジックもそれにはボロボロになる。

「…シンタロー。伯父貴は俺が送っていくから安心して休め。」

ボロ雑巾のようになっているマジックを引きずりながらキンタローが言う。

「ああ、悪いな。キンタロー。」

それに礼をいうシンタロー。



その日はマジックの夜這いもなく、久しぶりの安眠を手にすることが出来たシンタローだった。








おわり。

 


 

女体化モノで一回はやってみたかった妊娠ネタでした(笑)
この駄文書くために、避妊具についてかなり本気で調べてしまいました(爆)
<2月9日追記>
一度、WEB拍手にて、『青の一族の子供を孕んだ女性は短命なのでは…』
というご指摘を受け、この駄文は一時降ろしていたのですが、
この駄文を好きだと言ってくださる方、残念だと仰ってくださった方が
いらっしゃったので、もう一度アップしました。
私としても結構、楽しんで書いた作品だったので、間違いがあるのを承知の上で
もう一度掲載させていただきます。
いっそ、女化モノだということで、その辺りのことも目をつぶっていただけると幸いです(滝汗)

また、WEB拍手にて、上記のご指摘していただけた方も、本当にありがとうございました。
パプワの二次創作をするにあたって、とても参考になりました。
折角のご指摘を覆すようなことをして申し訳ありません。

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