考えてみれば、好きな人と同じ家で暮らしてるってのは、途方もなく幸せで、
けれどものすごく、自制を要求される。
だからつい……って、あるだろう?なぁ?
……拝啓パパ、ママ……俺は元気です。
この状態から解放されれば。
「言い訳は、一応聞いといてやろうか」
……正座した(させられた)俺を見下すこの人。
全身から殺気が漂ってます……。
「えっと、その……スンマセン……」
謝りゃいいってもんじゃないんだけど、言い訳も何も……。
だって衝動だったわけですから。
「言い訳はなし、と」
怒りのにじみ出た声で言う。
だってこう……好きな人の顔が目の前にあったら、つい、って思いません?
……思わないか。
でも後悔はしてないです。
ほんの一瞬だったんだけど。
柔らかで、あたたか……。
「何ニヤけてんだ変態が!!」
「痛いっ?!」
グーは止めて下さい! グーは!!
そんなに嫌だったんですか……。
ちょっとショックだ……。
「反省してねぇだろ、てめぇ」
そりゃ、してるかしてないで言えば、
あんまりしてませんけど……。
そこまで悪いことしたとは思ってないです。俺。
というかギリギリ譲歩した方です!
「あの……嫌、ですか?」
彼が真剣に訴えかけるような視線に弱いのを知っていて、その目で見つめる。
……多少卑怯かもしれないけど。
本当はどうなのかを聞きたい。
「……そういう目で見んなってんだ」
視線をそらした彼。
やっぱり弱いんですね。
そういうところが好きでたまらない。
だから、ついまた……。
「っ……! てめっ……!!」
勿論今度は正座じゃすまなかった。
ホント、ついなんですって。
同じ家に住んでるって、ホントに辛い。
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