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 酷くイライラする。
 言いそうで言わない口元、
 触れそうで触れない指、
 ……望んでいるんじゃない。
 ただイライラするだけ。

 目を閉じて、浅い眠りにつくといつも、わずかに離れた所に気配を感じた。
 何をするでもなく、そこにいるだけのそれは、たまにため息をついたり、手を伸ばしかけて止めたり……。
「てめぇ……何がしたいんだ?」
 目を閉じたまま低く呟く。
 たぶん寝ていたと思っていたのだろう気配の主は、驚いたように身を引いたのが感じられた。
「え、あ、あのっ……」
 動揺して、けれどひたすらに何かを隠そうと必死。
 声だけでそれが読んで取れる。
 一体何度、そんな言葉を聞けばいいのだろう?
 一体どれだけ、自分をイラつかせれば気が済むんだこの馬鹿は。
「何か知らんが、毎回気になって眠れんだろうが」
「っ!! き、気付いてたんっスか?!」
 気付かないわけがない。
 伊達にガンマ団No1だったのではないのだから。
「……何だってんだよ」
 何となく、予想はつくのだけれど。自分の思い違いであって欲しい。
 確かめたくて問う。
 目を開けると、俯いた頭が視界に入った。
「……寂しいのか?」
「っ! 違いますっ!」
 そうであったなら、いくらか楽だっただろうに。
 いくらか期待した問いは跳ね返されて、顔をあげた相手の目に引き込まれそうになる。
 とても青い目。
「俺はっ……。寂しいとか、人恋しいとかっ……、そんなじゃなくて……」
 予想はしていたんだ。
「あなただからっ……」
 イライラする原因。
 それに答えられるわけでもないのに。
「俺はっ――――」
 答えられやしないのに。
 否定することも出来ないのに。
 どうしてハッキリさせてしまったのか。
 その想いは自分にとって眩しくて、圧し掛かる重さ。
「シンタローさん」
 ゆっくりと、しかし今度は戸惑うことなく手が伸びてきて、髪に触れる。
「……止せ」
 享受も拒絶も出来ないのだから、これ以上踏み込まないで欲しい。
 髪を梳いていた手が肩に移動し、抱き寄せられる。
「もう、限界です」
 耳元で、そう呟いたのが聞こえた。






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