その日シンタローは憂鬱であった。
理由は簡単。
今日、激しく彼を愛する男、マジックが訳の解らないサイン会から帰ってくるのだ。
シンタローは別にマジックを苦手な所はあるが嫌いな訳ではない。
昔、コタローの事、一族の事、生き方の事で激しく対立してきたが、今は全て和解し、男らしく水に流した。
過去はどうあがいてもリセットはできない。
だからといってうじうじぐちぐち言っても埒があかないだろう。
だったら綺麗さっぱり水に流すべきだ、というのがシンタローの考えだった。
では何故憂鬱なのか。
その理由もまた簡単である。
これは昔からの儀式のように行われてきた肌と肌との触れ合い。
いわゆる情事。ぶっちゃけセックス。
幼い頃はただの過剰なスキンシップであったが、ある年齢を過ぎた頃から父親は自分を息子という枠組みだけでなく恋愛対象として見るようになった。
まだ知識がなかったことを思うと、多分10歳かそこらだったのだろう。
父親は自分に一般の勉強、経営学、社会学、精神学等いたる学問を学ばせたが、保険体育のいわゆる性の学びは一切学ばせる事はしなかった。
そして、親子でセックスをするのを当たり前の事だと教えてこられては誰でも暗示にかかるだろう。
それは不自然な事なんだと知ったのは士官学校に入って一年位経った後か。
コタローが幽閉された時には知っていた。
知ってからも含めてマジックが遠征から帰って来ると必ずシンタローを求める。
殺した後の興奮からなのか恐怖からなのか解らないが、会えない期間に比例して激しく抱くのだ。
今はもうドロドロの関係は終わり、バカップルとまではいかないが落ち着いてきている。
実はシンタローは抱かれるのが嫌いな訳じゃない。
暗示にかかっているのかどうか、それはハッキリとは解らないが、シンタロー自身マジックを“男”として見ている。
そして、セックスをマジック以外の人間とはしたいとは思わない。
そして。ここからが本題。
マジックの憂鬱ならぬシンタローの憂鬱の答え。
じゃあ何がシンタローは嫌なのか。
実は情事中のマジックなのである。
とにかく五月蝿い。
喘ぎ声ではなく、シンタローにとって死ぬ程恥ずかしい事を引っ切りなしにベラベラ喋りまくるのだ。
何処がいいの、と聞くのは当たり前で。
言わせたがったり、果ては自分で動いてみて、なんて言い出す事もある。
再度言う。
シンタローはマジックに抱かれる事が嫌いではない。
ただ五月蝿いのが嫌なのだ。
邪険にする、とかそうゆう嫌ではなく、何と言うか、まあ、ぶっちゃけ恥ずかしいのである。
あの低音の甘い声で耳元に囁かれるだけで恥ずかしくなるのに、卑猥な言葉を口に出されたらそれは結構なダメージとなるだろう。
何とか逃れる術はないか、と考えるが、あったらとうの昔からやっている。
何をしたって駄目だったではないか。
マジックの方が一枚も二枚も上手なのだ。
「は~ぁ……」
重たい溜息をついて外を見上げれば青空が広がっていて。
自分の心とは対象的な天気にシンタローはまたテンションが下がる。
シンタローが願う事は、マジックが疲れきって帰り、何事もなく終わる事。
さもなければ非常に淡泊なセックスである事。
普通に考えて疲れきって帰って来てもシンタローを抱かなかった事などないし、淡泊なセックスに至っては一度としてない。
それでも願わずにはいられないのだ。
憂鬱な気分ではあったが、テキパキと手を動かし目も動かす。
仕事に私事は禁物。
例え乗り気じゃなくてもやらなければならない。
それが総帥。それが俺。
「これが次の資料だ。」
バサッと無情にも置かれた書類。
やってもやっても終わらない。
「来週のサミットで使われるやつだ。一応目を通しておけ。グラフ化したものはコンピュータにも入れてある。」
「ああ。サンキューな。あーあ。この紙が全部札束だったらいいのにナ。」
パラパラと書類を指で撫でながらそう言うと、キンタローは訳が解らないという風にシンタローを見た。
彼はこの世界に現れて二年しか立っていない。
頭脳面ではずば抜けて優秀なのだが、冗談が通じないのである。
「あ~…、悪ィ。何でもねぇ。」
「そうか。」
とりあえず可哀相だから謝ってはおく。
そして仕事をまたし始めるのだった。
深夜0時。
外はもう真っ暗で。
総帥室とちらほらと何部屋か明かりが点いているだけとなった。
それでも星が余りよく見えないのは大気汚染の関係とガンマ団本部の馬鹿高い建物から鼠の侵入がないかチェックするライトが煌々と目下を照らしているからだろう。
よっぽどの事がない限りガンマ団へ侵入する馬鹿はそうはいない。
が、ごく稀に居る事もある。
あのライトが透明から赤に変わって警報が鳴ったら、侵入者もしくは脱走者が出た事となる。
結局マジックは帰って来なかった。
安堵と不安が同時にシンタローの心に生まれる。
しかし、不安は直ぐに掻き消される事となる。
バラバラバラとヘリコプターのエンジン音が頭上から聞こえ、段々近づいてくる。
サーチライトが一瞬だけそのヘリを捕らえガンマ団のマークを確認すると、直ぐに定位置を照らす事に専念した。
軍用機でないそれは正しくマジックの乗っていったヘリで。
シンタローは深い溜息をついて椅子から立ち上がる。
そして、トントンと書類を整え引き出しに入れると明かりを消して総帥室から出た。
どうせ仕事をこのまましていたってアイツはお構いなしにやってきて、ここで事をおっぱじめる可能性がある。
それだけは潔癖なシンタローは嫌だった。
前にも何度かそういった目にあったが、次の日の朝、ここに来ると思い出してしまうし、バレてやしないかと不安になる。
総帥室のドアをロックしてシンタローは最上階の自室に向かうのであった。
自分の部屋に着くと、ピンクの親父が部屋の前に立って。
シンタローが近づくと気付いたらしく満面の笑顔で片手を上げ、ブンブン振った。
「シ~ンちゃ~ん!」
「はーいはいはい。」
呆れたようにマジックの呼びかけに答える。
マジックの服装や、時間的に行って、屋上のヘリポートから直行してきたのだろう。
「ハイ。お土産。」
そういって渡された小さな箱。
とりあえず部屋にマジックを招き入れてからその箱を開けてみる。
「………。」
「ソレ、すっごくカワイイでしょ!是非シンちゃんに履いて欲しくて思わず買っちゃった☆」
入っていたのはパンツ。
しかも、トランクスや、ボクサーパンツなんかじゃない。
黒いスケスケのレースパンツ。
多分女もの。
ヨーロッパ系のものだからアジア系のシンタローにもはけるものだろう。
「何。死にたいのアンタ。」
「やだー!シンちゃんったら!それ履いてパパを出血死させる気?でもパパ死なないように頑張る!」
「人の話を聞け。会話をしろ。」
パンツを握りしめながら怒りにわななくのだが、あっけらかんとした父に笑顔で交わされた。
深い溜息をついてマジックから視線を反らしたその時。
ぐらりと視界が回り、ベッドに押し倒された。
バフン!と音を立てて倒れ込むシンタローの足を掴んでさっさとズボンを下ろす。
「わー!わー!わー!や、やめろッツ!!」
足をばたつかせようとするが、現役を退いたとはいえ最強の人間である事に代わりはない。
「ちょっと履いてみよーか、シンちゃん!」
笑顔でそう言い放つと、シンタローのベルトをさっさと取り、ズボンと一緒にパンツも脱がせる。
そして、買ってきたパンツを履かせるのだ。
「いやー!ピッタリだね!パパの採寸に間違えはないみたい。ま、当然だけどねー!」
「~~~ッツ!!」
恥ずかしさと、惨めさでシンタローは顔を真っ赤にしてマジックを睨みつける。
何を考えているのだ、この馬鹿は。
女もののパンツなんか履かせて。
身をよじるがびくともしない。
する、と、マジックの指先がシンタローの中心部分を撫でる。
ビクリとシンタローの体が強張った。
「ふふ。ココちょっと出っ張ってるネ。女の子の下着着て興奮しちゃったのかな?」
「あ、あほか!ンな訳ねぇだろーがッツ!!」
ガアッ!と怒るのだが、マジックは口の端を軽く上げて笑っている。
ムカつくと思うのだが、絶妙なマジックの指捌きに、シンタローも感じる。
イヤ、それだけではない。
慣れない総帥業務をいつも激務でこなしている為疲れているのもその要因なんだろう。
「ちょ、テメ!いい加減にしろヨ!」
「良い加減にしろ、なんてシンちゃんてばだいたーん!」
ふふ、と笑うが目は笑っていない。
しかし、その父の言葉にシンタローは少し殺意を覚えた。
「あれ?シンちゃん。なんだかパンツが湿ってきたねぇ?」
目を細めてシンタローの中心を見てからシンタローの顔を見る。
カァッと顔が熱くなるのを感じた。
マジックと顔を合わせたくなくて、ふい、と横を向く。
事実パンツの中の自身がキツイと訴えているのも当の本人が一番よく知っている。
「ココだけ色が変わってきたよ……。それに何か持ち上がってきてる。シンちゃん、何が持ち上がってきてるのかな?お前の体の何処がパパに顔を見せたがっているのかな?」
くるくると円を描くように先端を撫でると、シンタローが小さいうめき声を上げる。
その我慢する姿がまた愛おしい。
それと同時にマジックのサディストな部分も刺激する。
快感を必死に消そうと試みるのだが、そんなこと出来る訳もなく。
シーツを噛んだ。
「ココ、何処なの?シンちゃん。パパに教えて。気持ちよくってだらし無く泣いてるのは何処?」
ついに下着から顔を出したシンタロー自身を直に指の腹でぐりぐりと押す。
親指がシンタローの愛液で濡れた。
そんなことは構わず、ぐりぐりとピンク色の先端をいじってみる。
「体の名前言えないのかな?そんなお勉強してなかったもんね。でも、知ってるでしょ?28にもなって知らない訳ないよね。」
シンタローの愛液でぬるついた指先でシンタロー自身を刺激しながら言う。
「くぅ……ッ」
唾液で濡れた唇から苦しそうなうめき声を出す。
だが、出した所でマジックの愛撫が止まる訳もなく。
親指と人差し指で円を作り、立ち上がったシンタロー自身をくぐらせて上下にグラインドさせる。
ひくひくと震えるシンタロー自身を見て、心底楽しそうな笑みを浮かべながら。
「ホラ、段々後ろのお口も淋しくなってきたんじゃないのかな。お前は前だけじゃ満足できないからね。そう私が仕込んだ。」
マジックの言った事は当たっている。
もう正常な男子とは違い、女みたいに刺激してもらわないと開放された、という気にはなれなくなっていて。
それは小さい頃からマジックに教えてもらっていたから。
前だけじゃ足りない。
例え開放したとしても後ろはきっと疼いてしまうであろうし、脳から溶けたような快感はもらえないだろう。
「欲しかったら、今パパが触ってるの何処だか言ってご覧。」
円を外し、親指を先端に当て、グリグリしながら上下に動かす。
「あ、あ、あ、し、知るか…アホ……ッツ!」
涙目になりながらもまだ反抗する。
「フーン……」
薄い唇が弧を描いたかと思うと、耳元に近づいてきた。
マジックの息遣いがはっきりと聞こえる。
一番凶悪なパターンがきた、とシンタローは目を強くつぶった。
「じゃあ、今から体の仕組みのお勉強をしようか。」
悪魔の囁きがシンタローの耳から脳髄へ染み渡ったのであった。
「ハイ、シンちゃん。今からパパとお勉強だよ。」
暴れないように、と、ベルトで腕をベッドに括り付けた後、マジックは笑顔でそう言い放った。
「ふざけンナ!解きやがれッツ!!」
睨みを効かすが、マジックにとってシンタローはどんな顔をしても可愛いので怖くない。
「ハーイ。まずはココ。首筋。」
チュウッと強く首筋を吸い上げれば、シンタローはビクンと体を震わせた。
唇を離すと、くっきりと映る赤い跡。
「や、やめろ……」
抵抗もできなくて、小さな声で反論するが、まるで聞こえないというようにマジックは知らんぷり。
「次は…ピンって尖ってる胸、かな。でね、ココは乳輪。」
そう言って乳輪をくるりと指で円を描く。
「―――ッツ!」
シンタローが息を止めた。
ビクリと震える上半身は、寒さに震えた時のものとは異質を放っていて。
マジックはますます嬉しくなる。
「でね、シンちゃんお待ち兼ねのツンツンして自己主張しているココは……」
グリ、と、乳首を親指の腹で押し潰す。
「やあ!ッツ!!」
思わず大声を上げてしまい、シンタローは慌てて口を閉ざした。
は、恥ずかしい……!
なんて声を出してしまったのだろうと歯を食いしばりながら苦悩する。
「気持ちよかったの?じゃあ、ちゃんと覚えておいて。ココはね、乳首だよ。シンちゃんココ指でいっぱいいじめられるの好きだもんね。」
好きじゃねぇ、と悪態をつこうとしたその瞬間。
両方の乳首をマジックの人差し指で上下に弾かれる。
「や、あ、あ、あ!あぅ!あ!」
無意識に腰を淫らに揺らしながらマジックが与える快感に身を任せてしまう。
弾いたかと思えば摘んだり、舌で舐めたりかじったりして、マジックはシンタローの淫らな反応を楽しんだ。
「男の子なのに乳首が気持ちいいんだねぇ、お前は。これだけでイッてしまいそうでパパ、ハラハラしちゃったよ。」
ハラハラなんてしていない。
むしろ楽しんでいたくせに。
嘘ばかりつきやがる。
乳首から唇を離すと、今度は腹筋から脇腹にかけてを緩やかな曲線を描きながら指先で撫でる。
その度にシンタローは感じやすい体を怨む。
しかし、怨んだ所でシンタローの体はマジックの指先にいいように操られ、ビク、ビクと小刻みに震えるのだった。
「そして、ココは……」
先程散々いじくりまわしたシンタローの中止部分を優しく撫でる。
それは愛おしいものを愛を持って撫でるように。
「ン、ふ……ッツ!」
思わずビクリと体を奮わせ、我慢できない声が漏れた。
「ペニスだよ、シンちゃん。男の子の大事な所。シンちゃんはオシッコする時と、こうやってパパに抱かれて精子を出す時にしか使わないけどね。」
まぁ、もっとも他の人間に入れる為や、抱かれる為なんて絶対使わせないけどね。
シンタローに聞こえる程度の小声でそう呟き、意地悪そうに笑う。
悔しそうに睨むシンタローの瞳が心地よくてドキドキする。
「最後はココ。シンちゃんの一番恥ずかしい所。」
前を触っていた手が、シンタローの蕾を布越しに触れた。
「やっぱりパクパクしてるね、かわいい。」
うっとりと見つめ、指で股の部分の布を左にずらす。
ひくひくうごめく蕾を軽く指先で刺激した後、少しづつ埋めていく。
「ンンンンッツ!!」
唇を噛み締めて、痛みと快感に耐える。
ズズ、と、肉の中を割り込まれ、マジックの指が埋め込まれていくのをシンタローは後ろで感じた。
奥まで入った指をくるくると円を描くように掻き交ぜられる。
「あ、あ、や、ヤダ!あ、アッ、や、やめ……!!」
体に甘い電流が走り、涙が滲み出る。
目を見開きマジックにしがみつく。
「あ…あぅ……」
スンスンと鼻を啜り、マジックの肩に顔を埋めた。
「もう、準備万端だね。前からだらしなぐ垂れた精子で、お前のアナルはいつでもパパを受け入れようとしてる。」
そう言いながらも指を出し入れしたり、くるくる掻き回したりして、シンタローの反応を楽しむ。
シンタローといえば、恥ずかしさと苛立ちで、弱い光を点しながらマジックをひたすら睨んでいた。
それがシンタローに残された唯一の反抗だったから。
劣情に全てを飲み込まれないシンタローにマジックは舌なめずりをする。
簡単に落ちないから攻略のしがいがある、といった所か。
そんなシンタローが劣情に落ちた瞬間がマジックは最も好きだったが、そこに行くまでの行程もまた、最も好きなのであった。
シンタローとのセックスは大好きだ。
体だけじゃなく、心も一つになれるから。
全力の愛に押し潰されず、全力で返してくれる。
この子は私の全てだ。
「そろそろ私のペニスも、お前の中に入りたがってる。」
「や……」
「ね、お願い、シンタロー。お前と一つになりたいんだ。」
意地悪ばかりして、都合のいいことばっか。
でも、全部引っくるめてマジックなんだよナ。
「お願い……ね?」
耳元でささやかれて、くらっときた。
マジックの匂いが充満してる。
凄く切羽詰まった声だったから。
そんなに求めてくれるなら。
「うん……」
コクリと頭を下に振ると、マジックの優しい笑みがシンタローの目下に滑り落ちた。
「ありがとう。」
そう言われた瞬間貫かれた。
「―――ッツ!!」
声にならない叫び声を上げて、海老剃りにしなる背中。
しかも、ピンポイントでシンタローのいいところを狙ってくる。
「ッハ、シンタロー、お前の感じる所はね、前立腺っていうんだよ。」
「ぜんりつ、せん」
たどたどしくそれを言うと、マジックは微笑んだ。
「そうだよ、シンタロー。男にしかない性感態さ。」
グイ、と奥まで入れると、シンタローが目を見開いた。
目の前がしてチカチカ星が見える。
「あああ……!」
ぎゅ、とマジックに足でしがみつくと、優しく頭を撫でられた。
そして、さっきまでの乱暴が嘘だったみたいにゆっくり動き出す。
意地悪しないで確実にシンタローを絶頂にまで高ぶらせていく。
シンタローの目に宿していた小さな光は消えて、代わりに劣情を含んだ甘ったるい、瞳でトロンとする。
落ちた。
マジックがそれに気付かない訳がなく、少しだけ唇の端を上げる。
シンタローの自由な足がマジックの腰に絡まり、もっと、と催促するように締め付ける。
「かわいいよ、シンちゃん。お前の中はとっても気持ちがいい。熱くて、締め付けて、パパのをくわえて離さない。」
「ふ、ひ、ぁあぁ、とうさんッツ!」
生理的な涙がぽろぽろ流れてシンタローの睫毛を濡らし、頬に伝う。
ぬぷぬぷと耳を犯す水音。
羞恥を忘れ理性の糸も切れ、シンタローは快感だけを追う。
気持ち良くて堪らないこの行為はきっと、心と心が一つになれるからだとシンタローは頭の隅で考える。
マジックもそう思ってくれたらいいな、なんて思う。
「あ、とうさ……も、もぉ……あ、あ、」
びくびくと太腿の内側に電流が走る。
「いいよ。一緒にイこうね。」
そう言って激しく突き上げる。
シンタローの体が、寒さに震える子猫みたいにフルフルと震えた。
「あ!あ!ダ、ダメ!あ、あ、ああああ―――ッツ!!」
「―――ッツ!」
びゅく、びゅく、とだらし無くシンタローは精子を吐き出し、マジックの腹と己の腹を汚す。
それとほぼ同時にマジックの精子がシンタローの中に注入された。
荒い息遣いだけが部屋を支配する。
マジックがシンタローの額にキスをすると安心したのかそのまま気を失った。
「ふふ、シンちゃんたら、下着すごい事になってるのに無防備なんだから。」
汚れた女性用のパンツは前はシンタロー、後ろはマジックで汚されていて。
いそいそとシンタローの足をM字に立たせると、携帯を開き、パシャ、とその淫らさを収める。
かなり上機嫌なマジックだが、数時間後それがバレてシンタローに携帯ごと破壊され、尚且つ口を一週間聞いて貰えなくなる事をまだ彼は知らない。
終わり
理由は簡単。
今日、激しく彼を愛する男、マジックが訳の解らないサイン会から帰ってくるのだ。
シンタローは別にマジックを苦手な所はあるが嫌いな訳ではない。
昔、コタローの事、一族の事、生き方の事で激しく対立してきたが、今は全て和解し、男らしく水に流した。
過去はどうあがいてもリセットはできない。
だからといってうじうじぐちぐち言っても埒があかないだろう。
だったら綺麗さっぱり水に流すべきだ、というのがシンタローの考えだった。
では何故憂鬱なのか。
その理由もまた簡単である。
これは昔からの儀式のように行われてきた肌と肌との触れ合い。
いわゆる情事。ぶっちゃけセックス。
幼い頃はただの過剰なスキンシップであったが、ある年齢を過ぎた頃から父親は自分を息子という枠組みだけでなく恋愛対象として見るようになった。
まだ知識がなかったことを思うと、多分10歳かそこらだったのだろう。
父親は自分に一般の勉強、経営学、社会学、精神学等いたる学問を学ばせたが、保険体育のいわゆる性の学びは一切学ばせる事はしなかった。
そして、親子でセックスをするのを当たり前の事だと教えてこられては誰でも暗示にかかるだろう。
それは不自然な事なんだと知ったのは士官学校に入って一年位経った後か。
コタローが幽閉された時には知っていた。
知ってからも含めてマジックが遠征から帰って来ると必ずシンタローを求める。
殺した後の興奮からなのか恐怖からなのか解らないが、会えない期間に比例して激しく抱くのだ。
今はもうドロドロの関係は終わり、バカップルとまではいかないが落ち着いてきている。
実はシンタローは抱かれるのが嫌いな訳じゃない。
暗示にかかっているのかどうか、それはハッキリとは解らないが、シンタロー自身マジックを“男”として見ている。
そして、セックスをマジック以外の人間とはしたいとは思わない。
そして。ここからが本題。
マジックの憂鬱ならぬシンタローの憂鬱の答え。
じゃあ何がシンタローは嫌なのか。
実は情事中のマジックなのである。
とにかく五月蝿い。
喘ぎ声ではなく、シンタローにとって死ぬ程恥ずかしい事を引っ切りなしにベラベラ喋りまくるのだ。
何処がいいの、と聞くのは当たり前で。
言わせたがったり、果ては自分で動いてみて、なんて言い出す事もある。
再度言う。
シンタローはマジックに抱かれる事が嫌いではない。
ただ五月蝿いのが嫌なのだ。
邪険にする、とかそうゆう嫌ではなく、何と言うか、まあ、ぶっちゃけ恥ずかしいのである。
あの低音の甘い声で耳元に囁かれるだけで恥ずかしくなるのに、卑猥な言葉を口に出されたらそれは結構なダメージとなるだろう。
何とか逃れる術はないか、と考えるが、あったらとうの昔からやっている。
何をしたって駄目だったではないか。
マジックの方が一枚も二枚も上手なのだ。
「は~ぁ……」
重たい溜息をついて外を見上げれば青空が広がっていて。
自分の心とは対象的な天気にシンタローはまたテンションが下がる。
シンタローが願う事は、マジックが疲れきって帰り、何事もなく終わる事。
さもなければ非常に淡泊なセックスである事。
普通に考えて疲れきって帰って来てもシンタローを抱かなかった事などないし、淡泊なセックスに至っては一度としてない。
それでも願わずにはいられないのだ。
憂鬱な気分ではあったが、テキパキと手を動かし目も動かす。
仕事に私事は禁物。
例え乗り気じゃなくてもやらなければならない。
それが総帥。それが俺。
「これが次の資料だ。」
バサッと無情にも置かれた書類。
やってもやっても終わらない。
「来週のサミットで使われるやつだ。一応目を通しておけ。グラフ化したものはコンピュータにも入れてある。」
「ああ。サンキューな。あーあ。この紙が全部札束だったらいいのにナ。」
パラパラと書類を指で撫でながらそう言うと、キンタローは訳が解らないという風にシンタローを見た。
彼はこの世界に現れて二年しか立っていない。
頭脳面ではずば抜けて優秀なのだが、冗談が通じないのである。
「あ~…、悪ィ。何でもねぇ。」
「そうか。」
とりあえず可哀相だから謝ってはおく。
そして仕事をまたし始めるのだった。
深夜0時。
外はもう真っ暗で。
総帥室とちらほらと何部屋か明かりが点いているだけとなった。
それでも星が余りよく見えないのは大気汚染の関係とガンマ団本部の馬鹿高い建物から鼠の侵入がないかチェックするライトが煌々と目下を照らしているからだろう。
よっぽどの事がない限りガンマ団へ侵入する馬鹿はそうはいない。
が、ごく稀に居る事もある。
あのライトが透明から赤に変わって警報が鳴ったら、侵入者もしくは脱走者が出た事となる。
結局マジックは帰って来なかった。
安堵と不安が同時にシンタローの心に生まれる。
しかし、不安は直ぐに掻き消される事となる。
バラバラバラとヘリコプターのエンジン音が頭上から聞こえ、段々近づいてくる。
サーチライトが一瞬だけそのヘリを捕らえガンマ団のマークを確認すると、直ぐに定位置を照らす事に専念した。
軍用機でないそれは正しくマジックの乗っていったヘリで。
シンタローは深い溜息をついて椅子から立ち上がる。
そして、トントンと書類を整え引き出しに入れると明かりを消して総帥室から出た。
どうせ仕事をこのまましていたってアイツはお構いなしにやってきて、ここで事をおっぱじめる可能性がある。
それだけは潔癖なシンタローは嫌だった。
前にも何度かそういった目にあったが、次の日の朝、ここに来ると思い出してしまうし、バレてやしないかと不安になる。
総帥室のドアをロックしてシンタローは最上階の自室に向かうのであった。
自分の部屋に着くと、ピンクの親父が部屋の前に立って。
シンタローが近づくと気付いたらしく満面の笑顔で片手を上げ、ブンブン振った。
「シ~ンちゃ~ん!」
「はーいはいはい。」
呆れたようにマジックの呼びかけに答える。
マジックの服装や、時間的に行って、屋上のヘリポートから直行してきたのだろう。
「ハイ。お土産。」
そういって渡された小さな箱。
とりあえず部屋にマジックを招き入れてからその箱を開けてみる。
「………。」
「ソレ、すっごくカワイイでしょ!是非シンちゃんに履いて欲しくて思わず買っちゃった☆」
入っていたのはパンツ。
しかも、トランクスや、ボクサーパンツなんかじゃない。
黒いスケスケのレースパンツ。
多分女もの。
ヨーロッパ系のものだからアジア系のシンタローにもはけるものだろう。
「何。死にたいのアンタ。」
「やだー!シンちゃんったら!それ履いてパパを出血死させる気?でもパパ死なないように頑張る!」
「人の話を聞け。会話をしろ。」
パンツを握りしめながら怒りにわななくのだが、あっけらかんとした父に笑顔で交わされた。
深い溜息をついてマジックから視線を反らしたその時。
ぐらりと視界が回り、ベッドに押し倒された。
バフン!と音を立てて倒れ込むシンタローの足を掴んでさっさとズボンを下ろす。
「わー!わー!わー!や、やめろッツ!!」
足をばたつかせようとするが、現役を退いたとはいえ最強の人間である事に代わりはない。
「ちょっと履いてみよーか、シンちゃん!」
笑顔でそう言い放つと、シンタローのベルトをさっさと取り、ズボンと一緒にパンツも脱がせる。
そして、買ってきたパンツを履かせるのだ。
「いやー!ピッタリだね!パパの採寸に間違えはないみたい。ま、当然だけどねー!」
「~~~ッツ!!」
恥ずかしさと、惨めさでシンタローは顔を真っ赤にしてマジックを睨みつける。
何を考えているのだ、この馬鹿は。
女もののパンツなんか履かせて。
身をよじるがびくともしない。
する、と、マジックの指先がシンタローの中心部分を撫でる。
ビクリとシンタローの体が強張った。
「ふふ。ココちょっと出っ張ってるネ。女の子の下着着て興奮しちゃったのかな?」
「あ、あほか!ンな訳ねぇだろーがッツ!!」
ガアッ!と怒るのだが、マジックは口の端を軽く上げて笑っている。
ムカつくと思うのだが、絶妙なマジックの指捌きに、シンタローも感じる。
イヤ、それだけではない。
慣れない総帥業務をいつも激務でこなしている為疲れているのもその要因なんだろう。
「ちょ、テメ!いい加減にしろヨ!」
「良い加減にしろ、なんてシンちゃんてばだいたーん!」
ふふ、と笑うが目は笑っていない。
しかし、その父の言葉にシンタローは少し殺意を覚えた。
「あれ?シンちゃん。なんだかパンツが湿ってきたねぇ?」
目を細めてシンタローの中心を見てからシンタローの顔を見る。
カァッと顔が熱くなるのを感じた。
マジックと顔を合わせたくなくて、ふい、と横を向く。
事実パンツの中の自身がキツイと訴えているのも当の本人が一番よく知っている。
「ココだけ色が変わってきたよ……。それに何か持ち上がってきてる。シンちゃん、何が持ち上がってきてるのかな?お前の体の何処がパパに顔を見せたがっているのかな?」
くるくると円を描くように先端を撫でると、シンタローが小さいうめき声を上げる。
その我慢する姿がまた愛おしい。
それと同時にマジックのサディストな部分も刺激する。
快感を必死に消そうと試みるのだが、そんなこと出来る訳もなく。
シーツを噛んだ。
「ココ、何処なの?シンちゃん。パパに教えて。気持ちよくってだらし無く泣いてるのは何処?」
ついに下着から顔を出したシンタロー自身を直に指の腹でぐりぐりと押す。
親指がシンタローの愛液で濡れた。
そんなことは構わず、ぐりぐりとピンク色の先端をいじってみる。
「体の名前言えないのかな?そんなお勉強してなかったもんね。でも、知ってるでしょ?28にもなって知らない訳ないよね。」
シンタローの愛液でぬるついた指先でシンタロー自身を刺激しながら言う。
「くぅ……ッ」
唾液で濡れた唇から苦しそうなうめき声を出す。
だが、出した所でマジックの愛撫が止まる訳もなく。
親指と人差し指で円を作り、立ち上がったシンタロー自身をくぐらせて上下にグラインドさせる。
ひくひくと震えるシンタロー自身を見て、心底楽しそうな笑みを浮かべながら。
「ホラ、段々後ろのお口も淋しくなってきたんじゃないのかな。お前は前だけじゃ満足できないからね。そう私が仕込んだ。」
マジックの言った事は当たっている。
もう正常な男子とは違い、女みたいに刺激してもらわないと開放された、という気にはなれなくなっていて。
それは小さい頃からマジックに教えてもらっていたから。
前だけじゃ足りない。
例え開放したとしても後ろはきっと疼いてしまうであろうし、脳から溶けたような快感はもらえないだろう。
「欲しかったら、今パパが触ってるの何処だか言ってご覧。」
円を外し、親指を先端に当て、グリグリしながら上下に動かす。
「あ、あ、あ、し、知るか…アホ……ッツ!」
涙目になりながらもまだ反抗する。
「フーン……」
薄い唇が弧を描いたかと思うと、耳元に近づいてきた。
マジックの息遣いがはっきりと聞こえる。
一番凶悪なパターンがきた、とシンタローは目を強くつぶった。
「じゃあ、今から体の仕組みのお勉強をしようか。」
悪魔の囁きがシンタローの耳から脳髄へ染み渡ったのであった。
「ハイ、シンちゃん。今からパパとお勉強だよ。」
暴れないように、と、ベルトで腕をベッドに括り付けた後、マジックは笑顔でそう言い放った。
「ふざけンナ!解きやがれッツ!!」
睨みを効かすが、マジックにとってシンタローはどんな顔をしても可愛いので怖くない。
「ハーイ。まずはココ。首筋。」
チュウッと強く首筋を吸い上げれば、シンタローはビクンと体を震わせた。
唇を離すと、くっきりと映る赤い跡。
「や、やめろ……」
抵抗もできなくて、小さな声で反論するが、まるで聞こえないというようにマジックは知らんぷり。
「次は…ピンって尖ってる胸、かな。でね、ココは乳輪。」
そう言って乳輪をくるりと指で円を描く。
「―――ッツ!」
シンタローが息を止めた。
ビクリと震える上半身は、寒さに震えた時のものとは異質を放っていて。
マジックはますます嬉しくなる。
「でね、シンちゃんお待ち兼ねのツンツンして自己主張しているココは……」
グリ、と、乳首を親指の腹で押し潰す。
「やあ!ッツ!!」
思わず大声を上げてしまい、シンタローは慌てて口を閉ざした。
は、恥ずかしい……!
なんて声を出してしまったのだろうと歯を食いしばりながら苦悩する。
「気持ちよかったの?じゃあ、ちゃんと覚えておいて。ココはね、乳首だよ。シンちゃんココ指でいっぱいいじめられるの好きだもんね。」
好きじゃねぇ、と悪態をつこうとしたその瞬間。
両方の乳首をマジックの人差し指で上下に弾かれる。
「や、あ、あ、あ!あぅ!あ!」
無意識に腰を淫らに揺らしながらマジックが与える快感に身を任せてしまう。
弾いたかと思えば摘んだり、舌で舐めたりかじったりして、マジックはシンタローの淫らな反応を楽しんだ。
「男の子なのに乳首が気持ちいいんだねぇ、お前は。これだけでイッてしまいそうでパパ、ハラハラしちゃったよ。」
ハラハラなんてしていない。
むしろ楽しんでいたくせに。
嘘ばかりつきやがる。
乳首から唇を離すと、今度は腹筋から脇腹にかけてを緩やかな曲線を描きながら指先で撫でる。
その度にシンタローは感じやすい体を怨む。
しかし、怨んだ所でシンタローの体はマジックの指先にいいように操られ、ビク、ビクと小刻みに震えるのだった。
「そして、ココは……」
先程散々いじくりまわしたシンタローの中止部分を優しく撫でる。
それは愛おしいものを愛を持って撫でるように。
「ン、ふ……ッツ!」
思わずビクリと体を奮わせ、我慢できない声が漏れた。
「ペニスだよ、シンちゃん。男の子の大事な所。シンちゃんはオシッコする時と、こうやってパパに抱かれて精子を出す時にしか使わないけどね。」
まぁ、もっとも他の人間に入れる為や、抱かれる為なんて絶対使わせないけどね。
シンタローに聞こえる程度の小声でそう呟き、意地悪そうに笑う。
悔しそうに睨むシンタローの瞳が心地よくてドキドキする。
「最後はココ。シンちゃんの一番恥ずかしい所。」
前を触っていた手が、シンタローの蕾を布越しに触れた。
「やっぱりパクパクしてるね、かわいい。」
うっとりと見つめ、指で股の部分の布を左にずらす。
ひくひくうごめく蕾を軽く指先で刺激した後、少しづつ埋めていく。
「ンンンンッツ!!」
唇を噛み締めて、痛みと快感に耐える。
ズズ、と、肉の中を割り込まれ、マジックの指が埋め込まれていくのをシンタローは後ろで感じた。
奥まで入った指をくるくると円を描くように掻き交ぜられる。
「あ、あ、や、ヤダ!あ、アッ、や、やめ……!!」
体に甘い電流が走り、涙が滲み出る。
目を見開きマジックにしがみつく。
「あ…あぅ……」
スンスンと鼻を啜り、マジックの肩に顔を埋めた。
「もう、準備万端だね。前からだらしなぐ垂れた精子で、お前のアナルはいつでもパパを受け入れようとしてる。」
そう言いながらも指を出し入れしたり、くるくる掻き回したりして、シンタローの反応を楽しむ。
シンタローといえば、恥ずかしさと苛立ちで、弱い光を点しながらマジックをひたすら睨んでいた。
それがシンタローに残された唯一の反抗だったから。
劣情に全てを飲み込まれないシンタローにマジックは舌なめずりをする。
簡単に落ちないから攻略のしがいがある、といった所か。
そんなシンタローが劣情に落ちた瞬間がマジックは最も好きだったが、そこに行くまでの行程もまた、最も好きなのであった。
シンタローとのセックスは大好きだ。
体だけじゃなく、心も一つになれるから。
全力の愛に押し潰されず、全力で返してくれる。
この子は私の全てだ。
「そろそろ私のペニスも、お前の中に入りたがってる。」
「や……」
「ね、お願い、シンタロー。お前と一つになりたいんだ。」
意地悪ばかりして、都合のいいことばっか。
でも、全部引っくるめてマジックなんだよナ。
「お願い……ね?」
耳元でささやかれて、くらっときた。
マジックの匂いが充満してる。
凄く切羽詰まった声だったから。
そんなに求めてくれるなら。
「うん……」
コクリと頭を下に振ると、マジックの優しい笑みがシンタローの目下に滑り落ちた。
「ありがとう。」
そう言われた瞬間貫かれた。
「―――ッツ!!」
声にならない叫び声を上げて、海老剃りにしなる背中。
しかも、ピンポイントでシンタローのいいところを狙ってくる。
「ッハ、シンタロー、お前の感じる所はね、前立腺っていうんだよ。」
「ぜんりつ、せん」
たどたどしくそれを言うと、マジックは微笑んだ。
「そうだよ、シンタロー。男にしかない性感態さ。」
グイ、と奥まで入れると、シンタローが目を見開いた。
目の前がしてチカチカ星が見える。
「あああ……!」
ぎゅ、とマジックに足でしがみつくと、優しく頭を撫でられた。
そして、さっきまでの乱暴が嘘だったみたいにゆっくり動き出す。
意地悪しないで確実にシンタローを絶頂にまで高ぶらせていく。
シンタローの目に宿していた小さな光は消えて、代わりに劣情を含んだ甘ったるい、瞳でトロンとする。
落ちた。
マジックがそれに気付かない訳がなく、少しだけ唇の端を上げる。
シンタローの自由な足がマジックの腰に絡まり、もっと、と催促するように締め付ける。
「かわいいよ、シンちゃん。お前の中はとっても気持ちがいい。熱くて、締め付けて、パパのをくわえて離さない。」
「ふ、ひ、ぁあぁ、とうさんッツ!」
生理的な涙がぽろぽろ流れてシンタローの睫毛を濡らし、頬に伝う。
ぬぷぬぷと耳を犯す水音。
羞恥を忘れ理性の糸も切れ、シンタローは快感だけを追う。
気持ち良くて堪らないこの行為はきっと、心と心が一つになれるからだとシンタローは頭の隅で考える。
マジックもそう思ってくれたらいいな、なんて思う。
「あ、とうさ……も、もぉ……あ、あ、」
びくびくと太腿の内側に電流が走る。
「いいよ。一緒にイこうね。」
そう言って激しく突き上げる。
シンタローの体が、寒さに震える子猫みたいにフルフルと震えた。
「あ!あ!ダ、ダメ!あ、あ、ああああ―――ッツ!!」
「―――ッツ!」
びゅく、びゅく、とだらし無くシンタローは精子を吐き出し、マジックの腹と己の腹を汚す。
それとほぼ同時にマジックの精子がシンタローの中に注入された。
荒い息遣いだけが部屋を支配する。
マジックがシンタローの額にキスをすると安心したのかそのまま気を失った。
「ふふ、シンちゃんたら、下着すごい事になってるのに無防備なんだから。」
汚れた女性用のパンツは前はシンタロー、後ろはマジックで汚されていて。
いそいそとシンタローの足をM字に立たせると、携帯を開き、パシャ、とその淫らさを収める。
かなり上機嫌なマジックだが、数時間後それがバレてシンタローに携帯ごと破壊され、尚且つ口を一週間聞いて貰えなくなる事をまだ彼は知らない。
終わり
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