朝、太陽から音が出ているんじゃないかと思われる位の快晴。
サンサンと降り注ぐ日の光は流石南国といったところか。
そして、今日もパプワハウスは賑やかなのである。
「めーしめし!」
「わーうわう!」
パプワとチャッピーが箸を両手にトンテンカンと椀を叩く。
「こーらこらこら!お行儀悪いからやめなさい!」
黒い長い髪を一つに束ね、熱く煮えた味噌汁の鍋をぐるぐる掻き回していたシンタローがオタマを持ってパプワとチャッピーをたしなめる。
「チャッピー、今日はご飯どの位にするんだ?」
隣ではエプロンを見にまとったリキッドがしゃもじ片手にチャッピーに聞いている。
「わおーん!わんわん!」
「普通でいいらしいぞ。」
「わんわん!」
チャッピーの言葉はパプワにしか解らないので、パプワの解釈通りリキッドはチャッピーのお椀にご飯を持った。
白い飯から温かい湯気がほんのりうかぶ。
勿論パプワには大盛っていうかタワー盛り。
朝のパプワハウスは忙しい。
何たって大飯食らいがいるのだから。
作る量も数もハンパじゃない。
数についてはパプワハウスの主であるパプワいわく
「おかずの数は朝、昼、晩合わせて最低15品!」
という亭主関白宣言の名の元に。
「ほーら、出来たぞー。オイコラヤンキー!そんなにぎゅうぎゅう米を詰め込むんじゃねーヨ!うま味がくっついてせっかくの飯がまずくなるダローがッッ!」
「スイマセン、お姑さん…。」
シンタローに足で膝を蹴られ、目線を下にして諦めたように謝る。
きっと一生この人に頭上がらないんだろうな、とか考えたりして。
今日の朝食は、ご飯、味噌汁、焼き魚、海苔、キュウリと茄子の漬物、卵焼き。
デザートはブルーベリージャム入りのヨーグルトである。
「ホラ、できたぞ!ちゃんといただきますしてから喰うんだゾ!」
ででん!とちゃぶ台に和食を置かれて、パプワとチャッピーは、ワーイ!とバンザイをしてから手を合わせてきちんといただきますといってから箸を動かす。
作り終わったシンタローは腰を下ろし、早食いのパプワのご飯や味噌汁のお代わりを継ぎ足す。
一方のリキッドはお茶を入れていた。
そんな戦場のような和やかのような雰囲気のパプワハウスにノックの音。
「誰だろ。はーい!」
リキッドはお茶を接ぐのを止め、パタパタと玄関へ小走りで向かう。
ドアを開ければ見慣れたメンツ。
「トシさん!」
「よぉ、リキッド。」
片手を上げて加えタバコをして現れたのはお隣りさんのトシゾーこと土方トシゾー。
「どうしたんですか?」
「いや、な、裟婆斗の森近くにスゲェいっぱいココナッツがなっててよぉ。一緒に取りに行かねぇかな、と思ってよ。」
回りくでぇ奴。
シンタローは心の中でそう思った。
おそらくはリキッドをデートに誘いたいんだろう。
直球勝負で当たって砕けるより、リキッドの主婦根性をくすぐるやり方にしたんだろう。
目にみえているが、この馬鹿ヤンキーは鈍くさそうだからきっと理解していない。
おそらく頭ン中じゃ“やったー!今日の昼はココナッツのデザートができる!”としか考えてねーンだろーナ。
「本当ですか!?でも、そんなに沢山取れるんじゃ…あ!シンタローさん!シンタローさんも一緒に来て下さいよ!」
「「は?」」
余りの鈍くささにシンタローとトシゾーは口を揃える。
バッカ!オメーと一緒に居たいからあの褌侍はわざわざココナッツの報告をしに来たんじゃねーか!
俺が行ったら元も子もねーだろーが!
そう言おうとしたシンタローだが、まてよ、と、思い留まる。
散々今までガンマ団の邪魔をしてきた心戦組。
しかもこの俺様にいつもいつも特に喧嘩をふっかけてくるコイツ。
シンタローは作戦という名の妄想を開始した。
リキッドは多少なりとも自分に好意を持っている。
それはこのパプワハウスで共に生活をしていて知っていた。
そんでもってアイツはリキッドにめちゃめちゃ好意を抱いている。
ともなれば。
俺がリキッドにちょっかいを出す→リキッド照れる→ストーカー侍気に入らない→リキッドに話し掛ける→相手にされない→落ち込む
いい…!
グッと握りこぶしをして目を輝かせる。
シンタローの心理描写で、ざっぱーん!と波が険しい岩山に押し寄せ飛沫が舞った。
「まー、そうだナ。沢山採って来て島の皆におすそ分けでもすっか!」
ポン!と膝を叩いてリキッドとトシゾーの方を見る。
「げ」
明らかに癒そうな顔をするトシゾーにシンタローは軽くご満悦だ。
この鬼の副局長にあてこすりをするのが今のシンタローのひそかな楽しみでもある。
ひそかではないか。実に堂々としているから。
「じゃあ朝ご飯食べたらすぐに行きます!」
そう言ってにこやかに笑うリキッドにトシゾーは顔を赤らめた。
所詮は惚れた弱みというところか。
そもそもシンタローを誘ったのは大好きなリキッド。
リキッドに嫌われたくない為、ガンマ団総帥のシンタローと肩を並べて行かなくてはならない。
それでも我慢。
武士に色恋沙汰は邪魔等と言っていたあの頃の彼とはまるで別人だ。
「チャッピー散歩に行こう。」
いつのまにか食べ終わっていたパプワがチャッピーを連れて散歩に出掛けようとしている。
「パプワ!ちゃんとごちそうさまをしろ!後、遅くならねぇうちに帰って来るんだぞ!!」
「子供扱いするな!」
喧嘩ごしの口調ではあるがパプワは笑っていて、親友とも呼べるこの二人の隙間はもうない程に縮こまっていて。
何だか少し妬けると、リキッドは思う。
それは赤の番人としてでもあり、シンタローを想う一人の男としても。
お互いに妬けるのだ。
「リキッド行こうぜ。」
トシゾーがポンと軽く背中を叩く。
「ハイッ!」
笑顔で振り向いてからシンタローを見ると、朝飯を食べていたので、はたと気付く。
俺まだ食べてない!
「あ!シンタローさん!俺も食べますッッ!」
「さっさと食え!ココナッツ沢山取るには体力が要るんだぞ!!」
「はいッッ!」
二人でパプワとチャッピーの残飯処理のような朝食を食べる。
残飯処理といっても、おかずもご飯もちゃんと自分達の分はあるのだが、それに手を付けるパプワも居る訳で、パプワよりもおかずが数品欠落している程度。
味噌汁を喉に流し込み、朝食を平らげる。
そして、デザートのヨーグルトはパプワが友達を連れてくる事があるので余分に作ってある。
「トシさんもどうですか?ヨーグルト。嫌いじゃなかったら一緒に食べませんか?」
「リキッド…!」
誘って貰った事が嬉しくて、トシゾーはほのかに瞳を潤ませる。
やはりリキッドはいい子だな、なんて改めて思ったりして。
三人で仲良く(一部抜かす)ヨーグルトをつつきあったのち、さあ、いざココナッツ採りにレッツらゴー!
「ここだ。」
「「うわぁ~…。」」
トシゾーに案内された場所。
そこには所狭しとヤシが生い茂り、トロピカルなココナッツがたわわに実っていた。
が。
シンタローとリキッドは呆然と下から上へ視線を移す。
確かに多い。これだけあれば島の連中にココナッツゼリーでも作って皆に食べさせる事ができるだろう。
しかし。
流石、というのだろうか。
裟婆斗の森が近いだけの事はあり、カラスがギャーギャーと鳴きながら飛び回っている。
しかし、いつまでも唖然としてはいられない。
二人の主婦根性は今、めらめらと燃え上がるのだ。
「おし!採るゾ!」
「はいっ!」
籠を担いで一気に走り出す。
その時、激しい地鳴りが。
バリバリバリバリ!
足元にひびがつき、自分の場所に来るまでに三人は咄嗟に後ろに跳びはねる。
「げ。」
「なんだ、ありゃ。」
地割れをした方向をみやると、女王カカオならぬ女王ヤシが自分達を威嚇している。
ゴクリ、生唾を飲む三人。
女王ヤシはブンブンと枝を手のように操りココナッツを投げ付ける。
三人共バラバラに避けた。
なんとしても今日のおやつはココナッツと決めている二人の主婦はかなり真剣そのもの。
しかし。
ただ単にリキッドと出歩きたいとだけ思っていたトシゾーだけはそこまで燃え上がってはいなかった。
だから、なのかもしれない。
油断していたわけではないのだが、女王ヤシの攻撃がトシゾーの腹にぶち当たる。
「ぐっ!」
「トシさんッッ!!」
「褌ッッ!!」
ガクンと膝をつきそうになった時、シンタローがトシゾーを支える。
ぐっと体重がシンタローの背中にのしかかる。
「リキッド!ここはテメーに任せる!ココナッツ死んでも取ってこい!」
「ええッ!?俺一人でっスか!?」
「ったりめーだ!絶対パプワ達に食わせるんだからナ!!」
そう言い走り去るシンタローを見送ってからリキッドは溜息をついた。
めの前にビュッ!と勢い良くココナッツが飛んでくる。
それを眺めてから、リキッドは戦闘体制に入った。
パリパリと電気がリキッドの体を覆うように流出する。
「元特戦隊の力見せてやるぜ。」
ひとしきり走った後で、危険なナマモノが居ないか確認した所でシンタローはトシゾーを降ろす。
腹を掴み苦しそうにしてはいるが、シンタローに睨みを効かせる事は忘れない。
「礼は言わねぇからな…。」
「ああ?別に欲しかねぇよ。」
そう言って、トシゾーの上着を掴み勢いよく広げる。
トシゾーが制止の言葉を言う前に。
腹を見遣れば少し鬱血していて、ココナッツの堅さからいって骨に異常がないか調べるが、流石鍛えてあるだけはあり別状はなかった。
ほぅ、とシンタローは安堵の溜息を漏らす。
そんなシンタローを見て、トシゾーの胸は高鳴った。
キュンキュンと胸が悲鳴を上げる。
そういえば、とトシゾーは思う。
シンタローの事を嫌いな理由は、勿論天敵ガンマ団の総帥だからという理由もあるが、ただ単にリキッドと必要以上に仲がいいから、というのが今のトシゾーの大半を閉めている。
ようはトシゾー自信にシンタローが何か危害を加えられたわけではない。
自分が露骨にシンタローを嫌うからシンタローだって露骨に自分を嫌う。
他人は自分の鏡だ、という言葉をふと思い出した。
この胸の高鳴りはリキッドに思ったそれと同じもの…いや、それ以上で。
この感情にトシゾーは焦りを感じていた。
山南の事馬鹿にできねぇぜ。
気付いてしまえばもうどうにもならない。
リキッドには思わなかった体への関係も持ちたいと、そこまで思ってしまう。
幸か不幸かシンタローはまだこの自分の気持ちに気付いてはいないだろう。
いきなりの人の心代わりなんて心が読めない限り解らないもの。
「オイ、ブラコン総帥。」
「あんだよ、褌侍。」
「俺の帯紐ん所に瓢箪があるだろ。そん中は酒が入ってる。それを口に含んで腹に吐いてくれ。…消毒だ。」
シンタローはそう言われてトシゾーの帯紐を手探りで確認する。
酒を吹き掛けるのが消毒になると言う事はシンタローも知っていた。
士官学校時代、手元に消毒がない時は代用出来るものは代用しろ、と教わった代用出来る物の一つに酒があったのだ。
「あった!」
止めてあった栓を口で開ければ、キュポン!と小気味よい音がする。
チャプリと中の酒が揺らめいた。
その酒を思いきり口の中に含んだのだが。
ブッ!
明後日の方向へ吹き出してしまった。
「どうした!」
「ゲホ、ゲホッ…」
口に手の甲を宛がい噎せるシンタロー。
実はシンタロー、こう見えても酒が余り強くない。
トシゾーが持っていた酒はアルコール度数が相当ありそうな日本酒。
焼け付くような口内の痺れに思わず吹き出したのだった。
「わ、悪ィ…」
しかし酒が弱いと思われたくないシンタローはなんでもない風を装ってトシゾーの腹に酒をかける。
ブゥッ!と水飛沫が舞い、それに伴うアルコールのむわんとした匂い。
クラクラと頭が回る。
何度かかけたシンタローだったが、既に酔っ払い状態。
瞳はウルウル潤んでいるし、顔も真っ赤に染まっている。
辛うじて保っているであろう意識も飛びそうだ。
そんなシンタローを見て、またもや胸がキュンと高鳴る。
気付いたらシンタローを押し倒していた。
シンタローは目をパチクリさせてトシゾーを見遣るのだが、トシゾーは何の前触れもなくシンタローの唇にキスを落とす。
酔った頭では到底理解できない行動にシンタローは驚きを隠せない?
なんだったのか聞こうとしたのだが、口の中を犯す舌に、鼻にかかる甘ったるい声を出すだけ。
「ン、ンンッッ…んむ、」
舌を吸われれば、ゾクン!と肌が粟立つ。
ヒクヒクとわななく体。
ぼぅ、とした頭の中見えたのは余裕のなさそうなトシゾー。
何でコイツが目の前に?確かコイツが怪我したから俺が治療してやって。
そんで、そんで、
………そんで?
スルリと剣ダコのついたゴツゴツとした指がシンタローのシャツを託し上げる。
少しだけ日に焼けていない肌が見えた。
胸の突起物をざらつく舌で舐めてやれば、女のような声を出す。
酔いのせいか羞恥心が殆どないらしく、素直な反応にトシゾーは気を良くした。
形のいい胸、無駄のない筋肉。
腹筋を舌でつつ、と舐めて下半身へ移動する。
「いて…ッッ」
シンタローが眉を潜めた。
何故ならトシゾーがズボンの上から男性自信を掴んだから。
シンタローのソコは服の上からでも解る位熱くて太くなっていて、天を仰ぐようにそそり立っていた。
「辛いか?」
そう聞けば、シンタローはコクコクと頷く。
なのでソレを開放するべくトシゾーは丁寧に下半身を脱がせていく。
ベルト代わりの紐、ズボン、そしてパンツ。
パンツを下ろせば可愛いピンクの精器が精一杯天に向かって立ち上がっていた。
それを掴んで上下に擦り上げる。
同じ男同士、どうすればキモチイイか、とか、感じる、だとかは解っている。
「あ、あ、あ、あ…」
涙を流しながら快感の渦に飲み込まれていく。
自然とシンタローは自分の指をトシゾーの腕に絡ませる。
止めて欲しい訳ではなく、縋るものがないから。
「――ッッ!」
トシゾーの手の動きが早くなり、シンタローは呆気なく己の精を吐き出した。
びくり、びくり、と鼓動するかのような精器と、飛び散った精子。
息を張り詰め欲望をソコから吐き出す。
「ッは、は…ッ」
肩で息をして、ぼやけた目でトシゾーを見る。
泣いていた為、頬には涙の後。
それを舐めとると、まだ呼吸の荒い唇にキスを落とす。
「悪ぃな…」
「へ?」
いきなり謝られてシンタローは素っ頓狂な声をあげた。
「ああああっ!!」
しかし、直ぐに謝られた意味を知る。
ゴツゴツしたトシゾーの指がシンタローの蕾に侵入してきたのだ。
酒と、イッた余韻で多少緩くなっているのだが、やはり慣らさないときつい。
ソコは男を受け入れるようには作られていないのだ。異物を吐き出すようにトシゾーの指を拒絶するシンタローの蕾。
ぬめりとした精子を指で掬い取り、ゆるゆると中へ入れてゆけば、次第にシンタローの腰も上に上がる。
「や、やだ、やめ…」
ゆらゆらと腰を揺らすのだった。
苦しいのか、熱い吐息と共に言葉を発する。
途切れ途切れの言葉がまるで哀願するように聞こえて、トシゾーの中心を熱くさせた。
俺はさっきまで恋敵だと思っていた奴を抱いている。
リキッドの事は好きだ。
それは今も変わらない。
ただ、リキッドに対する思いとシンタローに対する思いが少し違っただけ。
それは恋と愛の違いのようなニュアンスで。
微妙の違いのような完全に違うというようなそんな狭間の思い。
「あ、は、はぅ…」
焦点の定まらない瞳でうろうろと辺りを見回すシンタロー。
汗で額に張り付いた黒い髪を上に上げてやる。
もう良い頃だろうと、トシゾーは思った。
それに、自分自信これ以上理性を留めておけるほど我慢強い方ではない。
しゅるり。
布の擦れる音と共にトシゾーの袴が落ちた。
褌の紐を緩ませ全裸になる。
鍛えられた男の体がそこにあって。
一瞬息を潜めてから思い切り中を…貫いた。
「ひああああッッ!!」
ビクン!と体を海老そりに曲げる。
黒い髪がそれに伴いアーチを描いた。
ズブズブと中に侵入していくトシゾー自信を、熱い体の中でシンタローも感じ取る。
目の前がチカチカして、ゾクゾクと鳥肌が立った。
最奥まで到達すると、シンタローは快感の涙をポロポロ零した。
透明な水滴がシンタローの瞳から溢れては流れる。
トシゾーはシンタローの腰を掴み小刻みにシンタローの腰を揺らす。
「あ、あぅ…」
揺らしながらふと左肩にシンタローの指が捕まるのを見た。
無意識の行動なのだろうが、その行為がトシゾーの心をぽんわり春色にさせる。
「畜生…」
言葉とは裏腹にトシゾーの口角は斜め上に持ち上げられる。
シンタローの腰をがっちり掴むと、緩やかな動きから激しいものへと移し替えた。
「――ひッッ!」
閉じかかっていた瞳がカッ!と見開かれる。
いきなりの激しい行為にシンタローの体がついていかないようで。
中をグチグチと掻き回されているのをシンタローはただひたすらに堪えた。
トシゾーの汗がキラキラと生まれてはぱたりと落ちる。
その繰り返し。
「も、や、や…やめ…」
トシゾーの首に自分の腕を回し耳元で熱い吐息と共に掠れ切った声で哀願する。
そんなカワイイ事をされてはトシゾーが止まるはずがない。
ラストスパートと言わんばかりに激しく腰を揺らした。
「―――――ぁ!」
声にならない甲高い声を上げてシンタローは達した。
ビュクビュクととめどなくシンタロー自信からは精子が飛び出しシンタローの腹を汚す。
それとほぼ同時期にトシゾーもシンタローの中へ注入したのであった。
「あ…ふ…」
中で感じるトシゾーの熱い液体。
ドキドキと心臓が破裂してしまいそう。
けだるい体とまどろみを二人で噛み締め、ややあってシンタローが口を開いた。
「……この事はアイツにゃ黙っててやるヨ。」
「アイツ…?」
誰の事かと言いかけて、それがリキッドなんだとピンときた。
「別に黙ってなくてもいいぜ。」
よっ、と掛け声をかけてから服を着だすトシゾーに、シンタローは目を丸くした。
アイツあんなにリキッドリキッドって煩かったのにどォいう風のふきまわしだぁ?
呆然とトシゾーを見つめていると、トシゾーはいくらか顔を赤くしながらシンタローを見た。
「チッ!だから責任取るって言ってんだ!」
「はぁぁああ?!」
素っ頓狂なシンタローの疑問の声が辺り一面に響き渡る。
これから恋に発展するのかしないのか。
それは当の本人達しか知らない。
終わり。
サンサンと降り注ぐ日の光は流石南国といったところか。
そして、今日もパプワハウスは賑やかなのである。
「めーしめし!」
「わーうわう!」
パプワとチャッピーが箸を両手にトンテンカンと椀を叩く。
「こーらこらこら!お行儀悪いからやめなさい!」
黒い長い髪を一つに束ね、熱く煮えた味噌汁の鍋をぐるぐる掻き回していたシンタローがオタマを持ってパプワとチャッピーをたしなめる。
「チャッピー、今日はご飯どの位にするんだ?」
隣ではエプロンを見にまとったリキッドがしゃもじ片手にチャッピーに聞いている。
「わおーん!わんわん!」
「普通でいいらしいぞ。」
「わんわん!」
チャッピーの言葉はパプワにしか解らないので、パプワの解釈通りリキッドはチャッピーのお椀にご飯を持った。
白い飯から温かい湯気がほんのりうかぶ。
勿論パプワには大盛っていうかタワー盛り。
朝のパプワハウスは忙しい。
何たって大飯食らいがいるのだから。
作る量も数もハンパじゃない。
数についてはパプワハウスの主であるパプワいわく
「おかずの数は朝、昼、晩合わせて最低15品!」
という亭主関白宣言の名の元に。
「ほーら、出来たぞー。オイコラヤンキー!そんなにぎゅうぎゅう米を詰め込むんじゃねーヨ!うま味がくっついてせっかくの飯がまずくなるダローがッッ!」
「スイマセン、お姑さん…。」
シンタローに足で膝を蹴られ、目線を下にして諦めたように謝る。
きっと一生この人に頭上がらないんだろうな、とか考えたりして。
今日の朝食は、ご飯、味噌汁、焼き魚、海苔、キュウリと茄子の漬物、卵焼き。
デザートはブルーベリージャム入りのヨーグルトである。
「ホラ、できたぞ!ちゃんといただきますしてから喰うんだゾ!」
ででん!とちゃぶ台に和食を置かれて、パプワとチャッピーは、ワーイ!とバンザイをしてから手を合わせてきちんといただきますといってから箸を動かす。
作り終わったシンタローは腰を下ろし、早食いのパプワのご飯や味噌汁のお代わりを継ぎ足す。
一方のリキッドはお茶を入れていた。
そんな戦場のような和やかのような雰囲気のパプワハウスにノックの音。
「誰だろ。はーい!」
リキッドはお茶を接ぐのを止め、パタパタと玄関へ小走りで向かう。
ドアを開ければ見慣れたメンツ。
「トシさん!」
「よぉ、リキッド。」
片手を上げて加えタバコをして現れたのはお隣りさんのトシゾーこと土方トシゾー。
「どうしたんですか?」
「いや、な、裟婆斗の森近くにスゲェいっぱいココナッツがなっててよぉ。一緒に取りに行かねぇかな、と思ってよ。」
回りくでぇ奴。
シンタローは心の中でそう思った。
おそらくはリキッドをデートに誘いたいんだろう。
直球勝負で当たって砕けるより、リキッドの主婦根性をくすぐるやり方にしたんだろう。
目にみえているが、この馬鹿ヤンキーは鈍くさそうだからきっと理解していない。
おそらく頭ン中じゃ“やったー!今日の昼はココナッツのデザートができる!”としか考えてねーンだろーナ。
「本当ですか!?でも、そんなに沢山取れるんじゃ…あ!シンタローさん!シンタローさんも一緒に来て下さいよ!」
「「は?」」
余りの鈍くささにシンタローとトシゾーは口を揃える。
バッカ!オメーと一緒に居たいからあの褌侍はわざわざココナッツの報告をしに来たんじゃねーか!
俺が行ったら元も子もねーだろーが!
そう言おうとしたシンタローだが、まてよ、と、思い留まる。
散々今までガンマ団の邪魔をしてきた心戦組。
しかもこの俺様にいつもいつも特に喧嘩をふっかけてくるコイツ。
シンタローは作戦という名の妄想を開始した。
リキッドは多少なりとも自分に好意を持っている。
それはこのパプワハウスで共に生活をしていて知っていた。
そんでもってアイツはリキッドにめちゃめちゃ好意を抱いている。
ともなれば。
俺がリキッドにちょっかいを出す→リキッド照れる→ストーカー侍気に入らない→リキッドに話し掛ける→相手にされない→落ち込む
いい…!
グッと握りこぶしをして目を輝かせる。
シンタローの心理描写で、ざっぱーん!と波が険しい岩山に押し寄せ飛沫が舞った。
「まー、そうだナ。沢山採って来て島の皆におすそ分けでもすっか!」
ポン!と膝を叩いてリキッドとトシゾーの方を見る。
「げ」
明らかに癒そうな顔をするトシゾーにシンタローは軽くご満悦だ。
この鬼の副局長にあてこすりをするのが今のシンタローのひそかな楽しみでもある。
ひそかではないか。実に堂々としているから。
「じゃあ朝ご飯食べたらすぐに行きます!」
そう言ってにこやかに笑うリキッドにトシゾーは顔を赤らめた。
所詮は惚れた弱みというところか。
そもそもシンタローを誘ったのは大好きなリキッド。
リキッドに嫌われたくない為、ガンマ団総帥のシンタローと肩を並べて行かなくてはならない。
それでも我慢。
武士に色恋沙汰は邪魔等と言っていたあの頃の彼とはまるで別人だ。
「チャッピー散歩に行こう。」
いつのまにか食べ終わっていたパプワがチャッピーを連れて散歩に出掛けようとしている。
「パプワ!ちゃんとごちそうさまをしろ!後、遅くならねぇうちに帰って来るんだぞ!!」
「子供扱いするな!」
喧嘩ごしの口調ではあるがパプワは笑っていて、親友とも呼べるこの二人の隙間はもうない程に縮こまっていて。
何だか少し妬けると、リキッドは思う。
それは赤の番人としてでもあり、シンタローを想う一人の男としても。
お互いに妬けるのだ。
「リキッド行こうぜ。」
トシゾーがポンと軽く背中を叩く。
「ハイッ!」
笑顔で振り向いてからシンタローを見ると、朝飯を食べていたので、はたと気付く。
俺まだ食べてない!
「あ!シンタローさん!俺も食べますッッ!」
「さっさと食え!ココナッツ沢山取るには体力が要るんだぞ!!」
「はいッッ!」
二人でパプワとチャッピーの残飯処理のような朝食を食べる。
残飯処理といっても、おかずもご飯もちゃんと自分達の分はあるのだが、それに手を付けるパプワも居る訳で、パプワよりもおかずが数品欠落している程度。
味噌汁を喉に流し込み、朝食を平らげる。
そして、デザートのヨーグルトはパプワが友達を連れてくる事があるので余分に作ってある。
「トシさんもどうですか?ヨーグルト。嫌いじゃなかったら一緒に食べませんか?」
「リキッド…!」
誘って貰った事が嬉しくて、トシゾーはほのかに瞳を潤ませる。
やはりリキッドはいい子だな、なんて改めて思ったりして。
三人で仲良く(一部抜かす)ヨーグルトをつつきあったのち、さあ、いざココナッツ採りにレッツらゴー!
「ここだ。」
「「うわぁ~…。」」
トシゾーに案内された場所。
そこには所狭しとヤシが生い茂り、トロピカルなココナッツがたわわに実っていた。
が。
シンタローとリキッドは呆然と下から上へ視線を移す。
確かに多い。これだけあれば島の連中にココナッツゼリーでも作って皆に食べさせる事ができるだろう。
しかし。
流石、というのだろうか。
裟婆斗の森が近いだけの事はあり、カラスがギャーギャーと鳴きながら飛び回っている。
しかし、いつまでも唖然としてはいられない。
二人の主婦根性は今、めらめらと燃え上がるのだ。
「おし!採るゾ!」
「はいっ!」
籠を担いで一気に走り出す。
その時、激しい地鳴りが。
バリバリバリバリ!
足元にひびがつき、自分の場所に来るまでに三人は咄嗟に後ろに跳びはねる。
「げ。」
「なんだ、ありゃ。」
地割れをした方向をみやると、女王カカオならぬ女王ヤシが自分達を威嚇している。
ゴクリ、生唾を飲む三人。
女王ヤシはブンブンと枝を手のように操りココナッツを投げ付ける。
三人共バラバラに避けた。
なんとしても今日のおやつはココナッツと決めている二人の主婦はかなり真剣そのもの。
しかし。
ただ単にリキッドと出歩きたいとだけ思っていたトシゾーだけはそこまで燃え上がってはいなかった。
だから、なのかもしれない。
油断していたわけではないのだが、女王ヤシの攻撃がトシゾーの腹にぶち当たる。
「ぐっ!」
「トシさんッッ!!」
「褌ッッ!!」
ガクンと膝をつきそうになった時、シンタローがトシゾーを支える。
ぐっと体重がシンタローの背中にのしかかる。
「リキッド!ここはテメーに任せる!ココナッツ死んでも取ってこい!」
「ええッ!?俺一人でっスか!?」
「ったりめーだ!絶対パプワ達に食わせるんだからナ!!」
そう言い走り去るシンタローを見送ってからリキッドは溜息をついた。
めの前にビュッ!と勢い良くココナッツが飛んでくる。
それを眺めてから、リキッドは戦闘体制に入った。
パリパリと電気がリキッドの体を覆うように流出する。
「元特戦隊の力見せてやるぜ。」
ひとしきり走った後で、危険なナマモノが居ないか確認した所でシンタローはトシゾーを降ろす。
腹を掴み苦しそうにしてはいるが、シンタローに睨みを効かせる事は忘れない。
「礼は言わねぇからな…。」
「ああ?別に欲しかねぇよ。」
そう言って、トシゾーの上着を掴み勢いよく広げる。
トシゾーが制止の言葉を言う前に。
腹を見遣れば少し鬱血していて、ココナッツの堅さからいって骨に異常がないか調べるが、流石鍛えてあるだけはあり別状はなかった。
ほぅ、とシンタローは安堵の溜息を漏らす。
そんなシンタローを見て、トシゾーの胸は高鳴った。
キュンキュンと胸が悲鳴を上げる。
そういえば、とトシゾーは思う。
シンタローの事を嫌いな理由は、勿論天敵ガンマ団の総帥だからという理由もあるが、ただ単にリキッドと必要以上に仲がいいから、というのが今のトシゾーの大半を閉めている。
ようはトシゾー自信にシンタローが何か危害を加えられたわけではない。
自分が露骨にシンタローを嫌うからシンタローだって露骨に自分を嫌う。
他人は自分の鏡だ、という言葉をふと思い出した。
この胸の高鳴りはリキッドに思ったそれと同じもの…いや、それ以上で。
この感情にトシゾーは焦りを感じていた。
山南の事馬鹿にできねぇぜ。
気付いてしまえばもうどうにもならない。
リキッドには思わなかった体への関係も持ちたいと、そこまで思ってしまう。
幸か不幸かシンタローはまだこの自分の気持ちに気付いてはいないだろう。
いきなりの人の心代わりなんて心が読めない限り解らないもの。
「オイ、ブラコン総帥。」
「あんだよ、褌侍。」
「俺の帯紐ん所に瓢箪があるだろ。そん中は酒が入ってる。それを口に含んで腹に吐いてくれ。…消毒だ。」
シンタローはそう言われてトシゾーの帯紐を手探りで確認する。
酒を吹き掛けるのが消毒になると言う事はシンタローも知っていた。
士官学校時代、手元に消毒がない時は代用出来るものは代用しろ、と教わった代用出来る物の一つに酒があったのだ。
「あった!」
止めてあった栓を口で開ければ、キュポン!と小気味よい音がする。
チャプリと中の酒が揺らめいた。
その酒を思いきり口の中に含んだのだが。
ブッ!
明後日の方向へ吹き出してしまった。
「どうした!」
「ゲホ、ゲホッ…」
口に手の甲を宛がい噎せるシンタロー。
実はシンタロー、こう見えても酒が余り強くない。
トシゾーが持っていた酒はアルコール度数が相当ありそうな日本酒。
焼け付くような口内の痺れに思わず吹き出したのだった。
「わ、悪ィ…」
しかし酒が弱いと思われたくないシンタローはなんでもない風を装ってトシゾーの腹に酒をかける。
ブゥッ!と水飛沫が舞い、それに伴うアルコールのむわんとした匂い。
クラクラと頭が回る。
何度かかけたシンタローだったが、既に酔っ払い状態。
瞳はウルウル潤んでいるし、顔も真っ赤に染まっている。
辛うじて保っているであろう意識も飛びそうだ。
そんなシンタローを見て、またもや胸がキュンと高鳴る。
気付いたらシンタローを押し倒していた。
シンタローは目をパチクリさせてトシゾーを見遣るのだが、トシゾーは何の前触れもなくシンタローの唇にキスを落とす。
酔った頭では到底理解できない行動にシンタローは驚きを隠せない?
なんだったのか聞こうとしたのだが、口の中を犯す舌に、鼻にかかる甘ったるい声を出すだけ。
「ン、ンンッッ…んむ、」
舌を吸われれば、ゾクン!と肌が粟立つ。
ヒクヒクとわななく体。
ぼぅ、とした頭の中見えたのは余裕のなさそうなトシゾー。
何でコイツが目の前に?確かコイツが怪我したから俺が治療してやって。
そんで、そんで、
………そんで?
スルリと剣ダコのついたゴツゴツとした指がシンタローのシャツを託し上げる。
少しだけ日に焼けていない肌が見えた。
胸の突起物をざらつく舌で舐めてやれば、女のような声を出す。
酔いのせいか羞恥心が殆どないらしく、素直な反応にトシゾーは気を良くした。
形のいい胸、無駄のない筋肉。
腹筋を舌でつつ、と舐めて下半身へ移動する。
「いて…ッッ」
シンタローが眉を潜めた。
何故ならトシゾーがズボンの上から男性自信を掴んだから。
シンタローのソコは服の上からでも解る位熱くて太くなっていて、天を仰ぐようにそそり立っていた。
「辛いか?」
そう聞けば、シンタローはコクコクと頷く。
なのでソレを開放するべくトシゾーは丁寧に下半身を脱がせていく。
ベルト代わりの紐、ズボン、そしてパンツ。
パンツを下ろせば可愛いピンクの精器が精一杯天に向かって立ち上がっていた。
それを掴んで上下に擦り上げる。
同じ男同士、どうすればキモチイイか、とか、感じる、だとかは解っている。
「あ、あ、あ、あ…」
涙を流しながら快感の渦に飲み込まれていく。
自然とシンタローは自分の指をトシゾーの腕に絡ませる。
止めて欲しい訳ではなく、縋るものがないから。
「――ッッ!」
トシゾーの手の動きが早くなり、シンタローは呆気なく己の精を吐き出した。
びくり、びくり、と鼓動するかのような精器と、飛び散った精子。
息を張り詰め欲望をソコから吐き出す。
「ッは、は…ッ」
肩で息をして、ぼやけた目でトシゾーを見る。
泣いていた為、頬には涙の後。
それを舐めとると、まだ呼吸の荒い唇にキスを落とす。
「悪ぃな…」
「へ?」
いきなり謝られてシンタローは素っ頓狂な声をあげた。
「ああああっ!!」
しかし、直ぐに謝られた意味を知る。
ゴツゴツしたトシゾーの指がシンタローの蕾に侵入してきたのだ。
酒と、イッた余韻で多少緩くなっているのだが、やはり慣らさないときつい。
ソコは男を受け入れるようには作られていないのだ。異物を吐き出すようにトシゾーの指を拒絶するシンタローの蕾。
ぬめりとした精子を指で掬い取り、ゆるゆると中へ入れてゆけば、次第にシンタローの腰も上に上がる。
「や、やだ、やめ…」
ゆらゆらと腰を揺らすのだった。
苦しいのか、熱い吐息と共に言葉を発する。
途切れ途切れの言葉がまるで哀願するように聞こえて、トシゾーの中心を熱くさせた。
俺はさっきまで恋敵だと思っていた奴を抱いている。
リキッドの事は好きだ。
それは今も変わらない。
ただ、リキッドに対する思いとシンタローに対する思いが少し違っただけ。
それは恋と愛の違いのようなニュアンスで。
微妙の違いのような完全に違うというようなそんな狭間の思い。
「あ、は、はぅ…」
焦点の定まらない瞳でうろうろと辺りを見回すシンタロー。
汗で額に張り付いた黒い髪を上に上げてやる。
もう良い頃だろうと、トシゾーは思った。
それに、自分自信これ以上理性を留めておけるほど我慢強い方ではない。
しゅるり。
布の擦れる音と共にトシゾーの袴が落ちた。
褌の紐を緩ませ全裸になる。
鍛えられた男の体がそこにあって。
一瞬息を潜めてから思い切り中を…貫いた。
「ひああああッッ!!」
ビクン!と体を海老そりに曲げる。
黒い髪がそれに伴いアーチを描いた。
ズブズブと中に侵入していくトシゾー自信を、熱い体の中でシンタローも感じ取る。
目の前がチカチカして、ゾクゾクと鳥肌が立った。
最奥まで到達すると、シンタローは快感の涙をポロポロ零した。
透明な水滴がシンタローの瞳から溢れては流れる。
トシゾーはシンタローの腰を掴み小刻みにシンタローの腰を揺らす。
「あ、あぅ…」
揺らしながらふと左肩にシンタローの指が捕まるのを見た。
無意識の行動なのだろうが、その行為がトシゾーの心をぽんわり春色にさせる。
「畜生…」
言葉とは裏腹にトシゾーの口角は斜め上に持ち上げられる。
シンタローの腰をがっちり掴むと、緩やかな動きから激しいものへと移し替えた。
「――ひッッ!」
閉じかかっていた瞳がカッ!と見開かれる。
いきなりの激しい行為にシンタローの体がついていかないようで。
中をグチグチと掻き回されているのをシンタローはただひたすらに堪えた。
トシゾーの汗がキラキラと生まれてはぱたりと落ちる。
その繰り返し。
「も、や、や…やめ…」
トシゾーの首に自分の腕を回し耳元で熱い吐息と共に掠れ切った声で哀願する。
そんなカワイイ事をされてはトシゾーが止まるはずがない。
ラストスパートと言わんばかりに激しく腰を揺らした。
「―――――ぁ!」
声にならない甲高い声を上げてシンタローは達した。
ビュクビュクととめどなくシンタロー自信からは精子が飛び出しシンタローの腹を汚す。
それとほぼ同時期にトシゾーもシンタローの中へ注入したのであった。
「あ…ふ…」
中で感じるトシゾーの熱い液体。
ドキドキと心臓が破裂してしまいそう。
けだるい体とまどろみを二人で噛み締め、ややあってシンタローが口を開いた。
「……この事はアイツにゃ黙っててやるヨ。」
「アイツ…?」
誰の事かと言いかけて、それがリキッドなんだとピンときた。
「別に黙ってなくてもいいぜ。」
よっ、と掛け声をかけてから服を着だすトシゾーに、シンタローは目を丸くした。
アイツあんなにリキッドリキッドって煩かったのにどォいう風のふきまわしだぁ?
呆然とトシゾーを見つめていると、トシゾーはいくらか顔を赤くしながらシンタローを見た。
「チッ!だから責任取るって言ってんだ!」
「はぁぁああ?!」
素っ頓狂なシンタローの疑問の声が辺り一面に響き渡る。
これから恋に発展するのかしないのか。
それは当の本人達しか知らない。
終わり。
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