「うざーっ!近寄るな!アーパー親父ィ!!」
「ヒドッ!シンちゃん酷いよッッ!!」
プンスカと、腹を立てて歩くシンタローの後ろでいい歳こいたオッサンが涙と鼻血を垂らしながら地面にはいつくばっている。
そんな、訳の解らない生命体のような父親に無視を決め込み、シンタローは、ズンズン廊下を歩いて行ってしまった。
「ぶっ!」
余程腹が立っていたのだろう。
下を見ながら歩いていたせいで、誰かにぶつかってしまった。
悪いと思い顔を上げると、そこには自分が崇拝して止まないアノ人。
「おじさんっっ!」
わああ!と、満面の笑みで、崇拝する、叔父のサービスを見上げる。
ナイスミドルで、しかも男にしておくには勿体ない位美し過ぎる美貌のおじ様。
柔らかな物腰でクスリと笑い、シンタローの黒い髪を撫でる。
「総帥になってもお前はお転婆だな。」
「ちぇーっ!それより叔父さん、いつ帰って来たの?」
子供扱いをされて少しふて腐れたが、大好きな叔父が居る方が嬉しくて、そんな事はどうでもよくなる。
叔父さん、叔父さん、と、サービスの腕を掴んで
「とっても楽しそうね、シンちゃん。」
「おわ!ビビッた!!」
かなり後方で地面に泣きながら突っ伏していたマジックがいつの間にか自分の真後ろに。
しかも、奴は気配を感じさせないように近づく。
「ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?」
「すっげーデジャヴなんだが。」
耳元で囁かれて、少しビクリと震える。
マジックの息が耳に掛かり、シンタローはおもいっきり顔をしかめた。
「シンちゃん、パパちょっと傷ついたんだけど…。」
「一生傷ついてろ。」
そう言い放ち、シンタローはサービスの腕を掴んだ。
アアッ!シンちゃん!何でパパにはそんな事してくれないのにーッッ!!等と涙ながらに訴えるマジックを尻目に、さっさとサービスを連れて歩いて行ってしまう。
しかも、腕を組んだまま。
「早く叔父さん、行こう!コイツの側に居たら美貌の叔父様が汚れる!」
「あ、シンタロー。」
ぐいぐい引っ張って、サービスを自分の部屋の方向へと急がせる。
サービスは仕方ないなと言うように、素直にシンタローの後を着いて行った。
所変わってシンタローの自室。
サービスを自分のテーブルに着かせて、自分はかいがいしく紅茶の用意をする。
「叔父さん、今、ローズヒップティーと、オレンジペコしかないんだけど、どっちがいい?」
シンタローの部屋には専用のキッチンがある。
これは、料理が好きなシンタローが何時でも好きな時に腕をふるえる為である。
「シンタローはオレンジペコが好きだったね。俺もそれを貰おうかな。」
女王様のようにシンタローを見ると、シンタローはビシッ!と敬礼をして、直ぐさま紅茶作りに取り掛かった。
終始ニコニコしながら紅茶を入れる。
サービスが自分の好きな紅茶の種類を覚えていてくれたことが本当に嬉しくて。
満面の笑みでサービスに紅茶を渡す。
「ハイ、叔父さん!」
「ありがとう。」
サービスは出されたカップをこれでもかというくらい優雅に持ち、紅茶の匂いを嗜んだ後、ゆっくりカップに口を付けた。
コク、と喉が上下する。
それを見届けた後、シンタローも一口紅茶を飲んだ。「おいしい?」
「ああ。」
バックに薔薇が見える。
余りの眩しさに、シンタローは手を前にかざした。
カッコイイ!カッコイイよ!この人とあのアーパー親父が兄弟とか、ホント間違ってる!
シンタローは、サービスの頭の後ろにご来光が見えたとか、見えなかったとか。
「なんかお菓子持ってくる…。」
余りの眩しさに、ヨロヨロと立ち上がりながら目を押さえる。
「あ、叔父さん、クッキーでい…」
「シンタロー、俺の事好きかい?」
最後の一言に被せるように聞かれ、シンタローは一瞬止まった。
好きに決まってる。
サービスよりカッコイイ男をシンタローは知らない。と、思う。多分。
「え?何で?好きダヨ。決まってんじゃん。」
変な事を聞くなと、シンタローは笑った。
でも、サービスは真顔のまま、シンタローを見据える。
「マジックよりも?」
「?当たり前じゃん。」
様子が可笑しいなと思いつつも、シンタローは何時も通りのテンションでそう答える。
サービスは、もう一度シンタローの入れた紅茶を飲んでから、肘をテーブルに着け、指を組み、顔を乗っけた。
そのポーズはマジックがよくやるポーズで、やっぱり兄弟なんだなと思わせる少ない癖の一つ。
「質問を変えよう。」
ス、と、人差し指をシンタローの鼻に着くんじゃないかという位、近くで指す。
シンタローは訳が解らず、まだ、のほほんとしている。
「マジックと俺、どっちを愛している?」
シンタローの体がビクリと揺れた。
どっちを愛しているかなんて、そんな事は決まっている。
サービスの言う“好き”の意味はそうゆう事だったんだと、今更ながらに気がついた。
「……。」
恥ずかしさと気まずさが混ざり、シンタローが答えられないでいると、サービスがおもむろに立ち上がり、グイッ、とシンタローの顎を掴み、こちらに向かせる。
じっ、と青い瞳で見つめられ、バツが悪いのに、反らす事ができない。
この目はシンタローがよく知っている目によく似ていて。
「答えられないのは…どちらでもいいって事かな?」
サービスの白くて長い指がシンタローの顎から喉を撫でた。
「ッッ…!」
息を殺したような声がして、困惑した顔で、シンタローはサービスを見る。
見るには見たが、サービスは無表情で何も読めない。
どうしよう、と、悩んでいると、サービスの麗しい唇がシンタローに急・接・近!
おおお叔父さんッッ!!
あわあわと慌てふためくシンタロー。
「駄目ッッ!!」
グイ、と、サービスを突っぱねたのであった。
しかし、シンタロー自身、自分が何故、彼を突っぱねたのかは解らない。
頭より体が先に動いてしまったのだ。
でも、脳裏に一瞬過ぎった男が一人。
マジックである。
ハッキリ言ってシンタローはマジックに惚れている。
端から見ると、そうは見えないが、それは本心。
普段は恥ずかしさのせいで上手く本心を表していないだけ。
何となく気まずい気がして下を向く。
「コラ!!サービス!!」
バッターン!!と、物凄い音がして、シンタローの自室が開いた。
そこに現れたのは金髪碧眼のナイスミドル優勝者、マジック。
シンタローは無意識のうちに安堵の溜息をもらした。
「今、お前、私の可愛いシンタローにキスをしようとしただろう!!」
シンタローを抱き寄せて、私のものだと主張する。
ああ、親父!言ってる事はちょーっとムカつくけど、今はアンタがいて良かった!!
そんな失礼な事を思っていると、サービスは優雅に髪をファサッ、と掻き分ける。
「兄さん。僕はシンタローにキスをしようとなんてしてないよ。ただ、ジャンに似てると思って瞳を覗いただけさ。」
なーんだ。
シンタローが納得しかかっていると、
「そんな見え見えの嘘が私に通じると思ったか、サービス!!」
より一層力を込めてシンタローを抱きしめる。
凄く苦しいが、苦しいと言えない変なプライドがシンタローにはあった。
「でも、親父。叔父さん違うって言ってるし。」
マジックの胸の辺りからシンタローが声を出す。
苦しさを悟られないように。
ハッキリ言って、何でどーでもいい事で我慢するのか理解に苦しむ。
「シンちゃん!もー!この子ったらッッ!!今のサービス見てよ!!絶対シンちゃんを強姦する気だったんだよッッ!!」
「話しを飛躍させすぎだっつーの!!」
ゴホン!と、マジックが咳をする。
「さ、シンちゃん。今日からどっか泊まりに行こうか。」
何処か、キラキラした目でシンタローを見る。
シンタローは冷や汗をかいていた。
「ごまかしたな、兄さん。」
「と、言うか、兄さんだってシンタローが自分の事をどう思ってるか知りたくないのかい?」
とりあえず律儀にツッコミはしてからサービスがマジックに話を振る。
そう提案されて、マジックは少し考えたように睫毛を伏せた。
サービスとて、一族の人間であり、マジックと兄弟だ。
この兄が一番興味のあること位心得ている。
そして、何に対して不安を持っているのかも。
マジックはシンタローに対してだけ自身がない。
だからウザイ程シンタローを構い、愛の言葉を呟き、束縛する。
それは自身のなさの現れ。
シンタローが生まれるまで、サービスはそんな兄を見た事がなかったし、マジック自身、力も権力も持ち合わした身だった為、欲しければ力ずくだった。
でも、シンタローにそれは通用しない。
初めて味わう渇望感なのだろう。
「そうだね。…ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?どっちと寝たい?」
チュドーン!!
サービスとシンタローがダブル眼魔砲をぶちかました。
「何をするんだ!シンちゃんなら許すけど、サービス!お前に撃たれたくない!!」
「兄さん、話が飛びすぎなのでは?」
「叔父さん!疑問に思っただけで眼魔砲を撃ったの?むしろ、つっこむ所そこなの?ああ!!ツッコミ所満載でよく解らん!!」
頭を抱えているシンタローと、鼻血を垂れ流すマジックと、そんなマジックを見下すサービスとがそこに確かに存在した。
「仕方ないだろう。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理だ!」
力説するマジック。
同性愛者が自然の摂理とか使わないで欲しいが、そのツッコミは今は止めておこう。
マジックは自分で自分を抱きしめていた。
何処からともなくキラキラと光り輝いて、彼は妖精なんじゃないかと思わせる。
勿論、思わせるだけなのだが。
「親父キモい。マイナス10点。」
「え!?もう査定始まってるの!?」
おもいっきり、これでもかっていう位、シンタローはしかめっつらをして、又一人頭を抱えて悩み始めた。
ソリャ、愛してんのは親父だヨ。
ちらっと見ると、マジックがウインクをしやがった。ザワッ!と鳥肌が立つ。
ハリキリムカツク。
でも、サービス叔父さんに嫌われたくないし。
今度はサービスに目をやると、グラビアアイドルも真っ青な位、セクシーかつ、色っぽいポーズを取られた。
叔父さんが俺を誘惑するーッッ!!
ブーッッ!!と鼻血が直線に出た。
どうしよう、どうしよう、と悩んではみたものの、答えなんかは見つかるはずもなく。
一人、ガシガシと頭をかく。
「シンちゃん、もういいよ。悩んでくれただけで私は嬉しい。」
は、と、見上げると、マジックが笑顔でそう言った。
何だよ、何なんだよ。その諦めた言い方。俺が選ばないって解ってるんだよって顔。違うよ父さん。俺はやっぱりアンタのこと好きだし愛してるんだよ。
「やっぱり…ゴメン、叔父さん。俺、父さんの方が…」
好き。
その一言は言えなかったが、二人には十分通じただろう。
マジックが驚いた顔をしている事からもその事が伺える。
「いいんだ、シンタロー。お前の部屋に俺の好きなアールグレーが無くて、兄さんの好きなローズヒップティーのストックがあった時から解ってた。」
サービスは、特に傷ついた風でもなくそう言い、シンタローの頭を撫でた。
「ごゆっくり、兄さん、シンタロー。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理…なんでしょう?」
サービスはにこやかにシンタローの部屋を出た。
バタン!と、扉が閉まってから、気がついたかのようにシンタローの叫び声が児玉する。
久しぶりにジャンに会いたくなったな。
サービスは胸ポケットからケータイを出して登録されてあるジャンのケータイへと電話をかけたのだった。
「ストーップ!!親父、ストーップ!!待てまてマテ!」
いやー!と、否定を全面に出して抵抗するシンタローだったが、自分よりガタイもよく、しかも秘石眼を持つマジックに勝てるはずもなく、あっさり確保された。
「シンちゃん。パパ言ったよね?シンちゃんに言ったよね?どっちと寝たい?って、パパ聞いたよね?シンちゃんはパパを選んでくれたんだよね?ってことは、イコールパパと寝たいっていうことだよね?」
はあはあと息荒くシンタローを確保し、抱きしめて、ねちっこく聞いてくる。
シンタローの後ろ髪を持ち上げて、うなじにキスをした。
「わーったわーった!寝てやるヨ!だから、ホラ、ベッドいこーぜ、ベッド。」
ホラ、ホラ、と、急かすようにマジックをベッドまで引っ張る。
へっへっへー。寝るっつーのは、二人で横になる事だけでも寝るっつーしナ。横になった瞬間転がって逃げれば約束は破ってねぇ事になる!!
グッ!と、心の中でシンタローはガッツポーズをして、自分の完璧な作戦に酔いしれた。
「ハッハッハッ!シンちゃん積極的だなー。まさかとは思うけど、寝るっていうのは、一緒に横になってオシマイじゃないよ?セッ●スするって事だよ?お前も子供じゃないんだから、それくらい勿論解ってるよね?」
ギックーン!!
図星を指されて、シンタローは肩を震わせた。
腐っても自分の父親。
28年間一緒に居たのは伊達じゃない。
「ハハ、も、もちろん!」
渇いた笑いをする。
心の中でシンタローは、チキショー!!と、叫んだ。ノロノロと、さっきの勢いとは裏腹にベッドへ行く勢いが弱まる。
それに勿論気付いていたマジックは、ひょいっ、とシンタローをお姫様抱っこし、スタスタとベッドまで連れて行き、スプリングの聞いた広いベッドに落とした。
「ブッ!」
お尻から落ちる形になったシンタローは、ギシギシというスプリングに身を任せる形になる。
まだ揺れが納まらないうちに、マジックがシンタローの体を押さえ付けた。
「そうだよね。あれだけ悩んで私を選んでくれたんだもんね。」
そう言って、耳元に唇を近づける。
温かい感じが耳からじわりと伝わった。
「ありがとう。シンタロー。嬉しかったよ。」
ズルイ。と、シンタローは思った。
そんなこと言われたら逃げられなくなるじゃないか。
マジックとこのまま情事をしてもいいやって気持ちになるじゃないか。
いや、もう既にそんな気持ちになってしまっている。
シンタローは静かに瞳を閉じて、マジックの背中に両手を回した。
それをOKの合図と理解したのだろう。
マジックも静かに了解のサインのキスをシンタローの唇に落とした。
チュク、チュク、と、舌をまさぐりあい、飲み込めなかった唾液がシンタローの唇の端から伝う。
「ン、ン、ぅ」
鼻にかかった声でマジックに答える。
マジックは、シンタローの頭を固定しながら何度も何度も角度を変えてシンタローの唇を味わう。
「ぷはっ!」
やっと息が吸えて、シンタローは、ホッとした。
「あ、あんだよっ…!ン、ふぅっ!!」
ニコニコしながら自分を見るマジックに、シンタローは悪態をつく。
それでもマジックはニコニコして。
「シンちゃんかわいー!」
なんて言ってやがる。
この、余裕ぶっこいてるマジックをギャフンと言わせたくて、シンタローは、マジックの局部を触った。
そこは既に立ち上がっているようで。
ズボンの上からでも熱く、固かった。
「親父だって、もう、こんなじゃねーか。」
「もう、シンちゃんたら。せっかちなんだから。」
困ったように笑うマジックに、シンタローはフフンと笑って見せた。
何だかちょっと勝った気がして嬉しい。
「そうゆう勝ち誇った顔も、全部大好きだよ。」
プチプチと、ボタンを外し、ズボンを脱がせる。
衣一式纏わぬ姿にされ、シンタローは上気した頬を一層赤くした。
「俺ばっかズリィ。親父も…」
脱いで。と、続けて、マジックの服を脱がせて行く。脱がせたマジックは、とても50代とは思えない程、がっしりと程よく筋肉が着いていて、思わず見惚れる。
あれだけ前線で戦ってきたのに、傷一つないその体は、彼がどれくらい強いのかという証明のようだ。
「シンちゃん、今日は積極的だね。」
ぺろりとシンタローの胸の突起物を舐める。
「ひゃぁあぁん!」
油断していたシンタローは、いきなりの愛撫に思いきり声を出してしまった。
「シンちゃん、もっとお前の可愛い声を私に聞かせて。」
乳首をくにくにといじりながら、シンタローの中心部をもいじり倒す。
堪らず声を上げるシンタローに、マジックは喜びにうちひしがれた。
自分の指で、舌で、愛するシンタローが感じてくれている。
それだけでマジックは心地良い。
パクリとシンタローの局部をくわえると、シンタローから抗議の声を浴びせられた。
「ば、ばか!んなトコ汚ねぇって!!」
身をよじり、マジックの唇から逃れようとしたが、ガッチリ腰を押さえ付けられ逃げられない。
「シンちゃんに汚い所なんてあるわけないデショ。」
ジュプジュプと、マジックの唾液と、シンタローの精子が混じり合い、淫らな音が奏でられる。
「ん…っ…あ…はぁっ!」
熱い吐息がシンタローの唇から否応なしに出て、熱くほてらせた体を震わせた。
「アン!いっいっちゃ…あぅ?」
イきそうになったシンタローだったが、マジックにいきなり根元を押さえ付けられた。
イきたいのにイけない。
もどかしくて。恥ずかしい事だと、淫らな事だと知りつつも、腰をゆらゆら揺らす。
「なんでぇ…と…さんン!ぃ、イきたい…よぉ…。」
終いには生理的な涙がぽろぽろ零れて、頬にいく筋もの跡を残した。
「待って、シンちゃん。イく時は一緒に、ネ?」
「そんなAV男優みたいなの、ヤだよぉ…!」
「…シンちゃん…以外と余裕だネ。」
マジックは、根元を押さえ付けたまま、シンタローの片足を抱え、入口付近に自分の猛った雄をグニュグニュと、円を描くようになすりつける。
そして、先端から奥まで一気に貫いた。
「ッヒああぁあ!!」
喉が壊れるんじゃないかという位の叫び声。
目を見開き涙を流す。
「シンちゃん大丈夫?」
シンタローを気遣う言葉を投げかけるくせに、腰の動きは納まらない。
シンタローは、イヤイヤをするように頭を振った。
結合部分から、白い液体が流れ出す。
余談だが、マジックの我慢汁が凄い訳ではない!
先端から奥まで激しいピストン運動のせいなのだ!
「や、も…っ…とぉさん…!…し…死んじゃう…よぉ…!」
グズグズと、鼻を啜り、涙と唾液でぐちゃぐちゃになったシンタローは、マジックの胸に顔を埋める。
「…ッ!シンちゃん、凄く可愛いよ…。もっと声聞かせて…?顔も見せてごらん。…私の愛しい息子…。」
「…ゃ!」
グイと、シンタローを引き離すと、掴むもののなくなったシンタローは、マジックに両手を広げる。
何だか可哀相になってきて、やっぱり抱きしめてあげる。
シンタローには甘いなと、自分で自分を笑いながら。
でも、そんな自分もマジックは、気に入っていた。
ラストスパートに入り、シンタローの足を上に上げる為、シンタローの根元から指を外す。
シンタローの足はガクガク奮え、シーツをにぎりしめ快感だけを必死に追っていた。
「…と…さん…も…だ、ダメッッ!!」
ビュルビュルと、シンタローの雄から白い液体が飛び散り、シンタローの腹、胸、顔に至るまでを汚す。
マジックも数回腰を打ち付けた後、シンタローの中に精子をぶちまけた。
「サイッテー!!」
「だぁって!シンちゃんがパパを選んでくれたから嬉しかったんだもーん。」
「もーんじゃねーよ!可愛くねーんだよ!!」
腰が砕けて立てなくなったシンタローは、不本意ながらもマジックと隣に寝ている。
怒り顔のシンタローとは裏腹に、マジックは幸せ顔。
チッ!
舌打ちはせど、寝返りさえ打てないこの腰を怨む。が、そんな体にしたのはこの目の前にいるマジックだと気付き、腰を怨む必要はないと思った。
「パパねー。本当に自信がなかったんだ。お前がサービスを選ぶんじゃないかって思ってた。」
そんなわけねーだろ。俺の1番は、昔から父さんだけだ。肉体関係を持った今でも変わらない。
でも、このアーパー親父は、すーぐ調子に乗るから絶ッッ対そんな事言ってやんねーけどな。
「眠くなってきた。」
「ちょっと頑張り過ぎちゃったもんね…お休みシンタロー。」
優しい声と共に、シンタローは、目をつぶった。
お腹を規則正しくポンポンと叩いてくれるのが気持ち良くて、より一層眠気が舞い降りる。
「選んでくれて、ありがとう。」
薄れゆく意識の中、マジックがもう一度同じ言葉を呟いた。
バーカ。何度だって選ぶよ。やっぱり俺はアンタが好きだ。
心の中でマジックが聞いたら鼻血の海になりそうな言葉を呟き意識を離す。
しばらくすると、本当に寝入ってしまったらしく、規則正しい寝息が聞こえてくる。
しばらくして。
「シンちゃん寝ちゃった?」
しかし、熟睡しているらしく返事は来ない。
マジックはイソイソと自分のポケットの上着から、超小型カメラを掴む。
そして、シンタローの寝顔を録り始めた。
「エッチしてる時のシンちゃんも可愛いけど、寝てるシンちゃんも可愛いなぁ…。」
いつベストショットが撮れるかわからないので、何時も持ち歩いてるかいがあったと、アップで録り始める。
さっきの情事もバッチリデッキに納めたし…。
ふふ、シンタロー愛してるよ。宇宙の果てまでフォーリンラブ☆
マジックがキモい呪文を唱えた辺りから、シンタローの安らかな寝息は消えて、シンタローのうめき声がきこえたのだった。
おわり
「ヒドッ!シンちゃん酷いよッッ!!」
プンスカと、腹を立てて歩くシンタローの後ろでいい歳こいたオッサンが涙と鼻血を垂らしながら地面にはいつくばっている。
そんな、訳の解らない生命体のような父親に無視を決め込み、シンタローは、ズンズン廊下を歩いて行ってしまった。
「ぶっ!」
余程腹が立っていたのだろう。
下を見ながら歩いていたせいで、誰かにぶつかってしまった。
悪いと思い顔を上げると、そこには自分が崇拝して止まないアノ人。
「おじさんっっ!」
わああ!と、満面の笑みで、崇拝する、叔父のサービスを見上げる。
ナイスミドルで、しかも男にしておくには勿体ない位美し過ぎる美貌のおじ様。
柔らかな物腰でクスリと笑い、シンタローの黒い髪を撫でる。
「総帥になってもお前はお転婆だな。」
「ちぇーっ!それより叔父さん、いつ帰って来たの?」
子供扱いをされて少しふて腐れたが、大好きな叔父が居る方が嬉しくて、そんな事はどうでもよくなる。
叔父さん、叔父さん、と、サービスの腕を掴んで
「とっても楽しそうね、シンちゃん。」
「おわ!ビビッた!!」
かなり後方で地面に泣きながら突っ伏していたマジックがいつの間にか自分の真後ろに。
しかも、奴は気配を感じさせないように近づく。
「ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?」
「すっげーデジャヴなんだが。」
耳元で囁かれて、少しビクリと震える。
マジックの息が耳に掛かり、シンタローはおもいっきり顔をしかめた。
「シンちゃん、パパちょっと傷ついたんだけど…。」
「一生傷ついてろ。」
そう言い放ち、シンタローはサービスの腕を掴んだ。
アアッ!シンちゃん!何でパパにはそんな事してくれないのにーッッ!!等と涙ながらに訴えるマジックを尻目に、さっさとサービスを連れて歩いて行ってしまう。
しかも、腕を組んだまま。
「早く叔父さん、行こう!コイツの側に居たら美貌の叔父様が汚れる!」
「あ、シンタロー。」
ぐいぐい引っ張って、サービスを自分の部屋の方向へと急がせる。
サービスは仕方ないなと言うように、素直にシンタローの後を着いて行った。
所変わってシンタローの自室。
サービスを自分のテーブルに着かせて、自分はかいがいしく紅茶の用意をする。
「叔父さん、今、ローズヒップティーと、オレンジペコしかないんだけど、どっちがいい?」
シンタローの部屋には専用のキッチンがある。
これは、料理が好きなシンタローが何時でも好きな時に腕をふるえる為である。
「シンタローはオレンジペコが好きだったね。俺もそれを貰おうかな。」
女王様のようにシンタローを見ると、シンタローはビシッ!と敬礼をして、直ぐさま紅茶作りに取り掛かった。
終始ニコニコしながら紅茶を入れる。
サービスが自分の好きな紅茶の種類を覚えていてくれたことが本当に嬉しくて。
満面の笑みでサービスに紅茶を渡す。
「ハイ、叔父さん!」
「ありがとう。」
サービスは出されたカップをこれでもかというくらい優雅に持ち、紅茶の匂いを嗜んだ後、ゆっくりカップに口を付けた。
コク、と喉が上下する。
それを見届けた後、シンタローも一口紅茶を飲んだ。「おいしい?」
「ああ。」
バックに薔薇が見える。
余りの眩しさに、シンタローは手を前にかざした。
カッコイイ!カッコイイよ!この人とあのアーパー親父が兄弟とか、ホント間違ってる!
シンタローは、サービスの頭の後ろにご来光が見えたとか、見えなかったとか。
「なんかお菓子持ってくる…。」
余りの眩しさに、ヨロヨロと立ち上がりながら目を押さえる。
「あ、叔父さん、クッキーでい…」
「シンタロー、俺の事好きかい?」
最後の一言に被せるように聞かれ、シンタローは一瞬止まった。
好きに決まってる。
サービスよりカッコイイ男をシンタローは知らない。と、思う。多分。
「え?何で?好きダヨ。決まってんじゃん。」
変な事を聞くなと、シンタローは笑った。
でも、サービスは真顔のまま、シンタローを見据える。
「マジックよりも?」
「?当たり前じゃん。」
様子が可笑しいなと思いつつも、シンタローは何時も通りのテンションでそう答える。
サービスは、もう一度シンタローの入れた紅茶を飲んでから、肘をテーブルに着け、指を組み、顔を乗っけた。
そのポーズはマジックがよくやるポーズで、やっぱり兄弟なんだなと思わせる少ない癖の一つ。
「質問を変えよう。」
ス、と、人差し指をシンタローの鼻に着くんじゃないかという位、近くで指す。
シンタローは訳が解らず、まだ、のほほんとしている。
「マジックと俺、どっちを愛している?」
シンタローの体がビクリと揺れた。
どっちを愛しているかなんて、そんな事は決まっている。
サービスの言う“好き”の意味はそうゆう事だったんだと、今更ながらに気がついた。
「……。」
恥ずかしさと気まずさが混ざり、シンタローが答えられないでいると、サービスがおもむろに立ち上がり、グイッ、とシンタローの顎を掴み、こちらに向かせる。
じっ、と青い瞳で見つめられ、バツが悪いのに、反らす事ができない。
この目はシンタローがよく知っている目によく似ていて。
「答えられないのは…どちらでもいいって事かな?」
サービスの白くて長い指がシンタローの顎から喉を撫でた。
「ッッ…!」
息を殺したような声がして、困惑した顔で、シンタローはサービスを見る。
見るには見たが、サービスは無表情で何も読めない。
どうしよう、と、悩んでいると、サービスの麗しい唇がシンタローに急・接・近!
おおお叔父さんッッ!!
あわあわと慌てふためくシンタロー。
「駄目ッッ!!」
グイ、と、サービスを突っぱねたのであった。
しかし、シンタロー自身、自分が何故、彼を突っぱねたのかは解らない。
頭より体が先に動いてしまったのだ。
でも、脳裏に一瞬過ぎった男が一人。
マジックである。
ハッキリ言ってシンタローはマジックに惚れている。
端から見ると、そうは見えないが、それは本心。
普段は恥ずかしさのせいで上手く本心を表していないだけ。
何となく気まずい気がして下を向く。
「コラ!!サービス!!」
バッターン!!と、物凄い音がして、シンタローの自室が開いた。
そこに現れたのは金髪碧眼のナイスミドル優勝者、マジック。
シンタローは無意識のうちに安堵の溜息をもらした。
「今、お前、私の可愛いシンタローにキスをしようとしただろう!!」
シンタローを抱き寄せて、私のものだと主張する。
ああ、親父!言ってる事はちょーっとムカつくけど、今はアンタがいて良かった!!
そんな失礼な事を思っていると、サービスは優雅に髪をファサッ、と掻き分ける。
「兄さん。僕はシンタローにキスをしようとなんてしてないよ。ただ、ジャンに似てると思って瞳を覗いただけさ。」
なーんだ。
シンタローが納得しかかっていると、
「そんな見え見えの嘘が私に通じると思ったか、サービス!!」
より一層力を込めてシンタローを抱きしめる。
凄く苦しいが、苦しいと言えない変なプライドがシンタローにはあった。
「でも、親父。叔父さん違うって言ってるし。」
マジックの胸の辺りからシンタローが声を出す。
苦しさを悟られないように。
ハッキリ言って、何でどーでもいい事で我慢するのか理解に苦しむ。
「シンちゃん!もー!この子ったらッッ!!今のサービス見てよ!!絶対シンちゃんを強姦する気だったんだよッッ!!」
「話しを飛躍させすぎだっつーの!!」
ゴホン!と、マジックが咳をする。
「さ、シンちゃん。今日からどっか泊まりに行こうか。」
何処か、キラキラした目でシンタローを見る。
シンタローは冷や汗をかいていた。
「ごまかしたな、兄さん。」
「と、言うか、兄さんだってシンタローが自分の事をどう思ってるか知りたくないのかい?」
とりあえず律儀にツッコミはしてからサービスがマジックに話を振る。
そう提案されて、マジックは少し考えたように睫毛を伏せた。
サービスとて、一族の人間であり、マジックと兄弟だ。
この兄が一番興味のあること位心得ている。
そして、何に対して不安を持っているのかも。
マジックはシンタローに対してだけ自身がない。
だからウザイ程シンタローを構い、愛の言葉を呟き、束縛する。
それは自身のなさの現れ。
シンタローが生まれるまで、サービスはそんな兄を見た事がなかったし、マジック自身、力も権力も持ち合わした身だった為、欲しければ力ずくだった。
でも、シンタローにそれは通用しない。
初めて味わう渇望感なのだろう。
「そうだね。…ねぇ、シンちゃん。パパとサービスどっちが好き?どっちと寝たい?」
チュドーン!!
サービスとシンタローがダブル眼魔砲をぶちかました。
「何をするんだ!シンちゃんなら許すけど、サービス!お前に撃たれたくない!!」
「兄さん、話が飛びすぎなのでは?」
「叔父さん!疑問に思っただけで眼魔砲を撃ったの?むしろ、つっこむ所そこなの?ああ!!ツッコミ所満載でよく解らん!!」
頭を抱えているシンタローと、鼻血を垂れ流すマジックと、そんなマジックを見下すサービスとがそこに確かに存在した。
「仕方ないだろう。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理だ!」
力説するマジック。
同性愛者が自然の摂理とか使わないで欲しいが、そのツッコミは今は止めておこう。
マジックは自分で自分を抱きしめていた。
何処からともなくキラキラと光り輝いて、彼は妖精なんじゃないかと思わせる。
勿論、思わせるだけなのだが。
「親父キモい。マイナス10点。」
「え!?もう査定始まってるの!?」
おもいっきり、これでもかっていう位、シンタローはしかめっつらをして、又一人頭を抱えて悩み始めた。
ソリャ、愛してんのは親父だヨ。
ちらっと見ると、マジックがウインクをしやがった。ザワッ!と鳥肌が立つ。
ハリキリムカツク。
でも、サービス叔父さんに嫌われたくないし。
今度はサービスに目をやると、グラビアアイドルも真っ青な位、セクシーかつ、色っぽいポーズを取られた。
叔父さんが俺を誘惑するーッッ!!
ブーッッ!!と鼻血が直線に出た。
どうしよう、どうしよう、と悩んではみたものの、答えなんかは見つかるはずもなく。
一人、ガシガシと頭をかく。
「シンちゃん、もういいよ。悩んでくれただけで私は嬉しい。」
は、と、見上げると、マジックが笑顔でそう言った。
何だよ、何なんだよ。その諦めた言い方。俺が選ばないって解ってるんだよって顔。違うよ父さん。俺はやっぱりアンタのこと好きだし愛してるんだよ。
「やっぱり…ゴメン、叔父さん。俺、父さんの方が…」
好き。
その一言は言えなかったが、二人には十分通じただろう。
マジックが驚いた顔をしている事からもその事が伺える。
「いいんだ、シンタロー。お前の部屋に俺の好きなアールグレーが無くて、兄さんの好きなローズヒップティーのストックがあった時から解ってた。」
サービスは、特に傷ついた風でもなくそう言い、シンタローの頭を撫でた。
「ごゆっくり、兄さん、シンタロー。愛していれば体を重ねる。これは自然の摂理…なんでしょう?」
サービスはにこやかにシンタローの部屋を出た。
バタン!と、扉が閉まってから、気がついたかのようにシンタローの叫び声が児玉する。
久しぶりにジャンに会いたくなったな。
サービスは胸ポケットからケータイを出して登録されてあるジャンのケータイへと電話をかけたのだった。
「ストーップ!!親父、ストーップ!!待てまてマテ!」
いやー!と、否定を全面に出して抵抗するシンタローだったが、自分よりガタイもよく、しかも秘石眼を持つマジックに勝てるはずもなく、あっさり確保された。
「シンちゃん。パパ言ったよね?シンちゃんに言ったよね?どっちと寝たい?って、パパ聞いたよね?シンちゃんはパパを選んでくれたんだよね?ってことは、イコールパパと寝たいっていうことだよね?」
はあはあと息荒くシンタローを確保し、抱きしめて、ねちっこく聞いてくる。
シンタローの後ろ髪を持ち上げて、うなじにキスをした。
「わーったわーった!寝てやるヨ!だから、ホラ、ベッドいこーぜ、ベッド。」
ホラ、ホラ、と、急かすようにマジックをベッドまで引っ張る。
へっへっへー。寝るっつーのは、二人で横になる事だけでも寝るっつーしナ。横になった瞬間転がって逃げれば約束は破ってねぇ事になる!!
グッ!と、心の中でシンタローはガッツポーズをして、自分の完璧な作戦に酔いしれた。
「ハッハッハッ!シンちゃん積極的だなー。まさかとは思うけど、寝るっていうのは、一緒に横になってオシマイじゃないよ?セッ●スするって事だよ?お前も子供じゃないんだから、それくらい勿論解ってるよね?」
ギックーン!!
図星を指されて、シンタローは肩を震わせた。
腐っても自分の父親。
28年間一緒に居たのは伊達じゃない。
「ハハ、も、もちろん!」
渇いた笑いをする。
心の中でシンタローは、チキショー!!と、叫んだ。ノロノロと、さっきの勢いとは裏腹にベッドへ行く勢いが弱まる。
それに勿論気付いていたマジックは、ひょいっ、とシンタローをお姫様抱っこし、スタスタとベッドまで連れて行き、スプリングの聞いた広いベッドに落とした。
「ブッ!」
お尻から落ちる形になったシンタローは、ギシギシというスプリングに身を任せる形になる。
まだ揺れが納まらないうちに、マジックがシンタローの体を押さえ付けた。
「そうだよね。あれだけ悩んで私を選んでくれたんだもんね。」
そう言って、耳元に唇を近づける。
温かい感じが耳からじわりと伝わった。
「ありがとう。シンタロー。嬉しかったよ。」
ズルイ。と、シンタローは思った。
そんなこと言われたら逃げられなくなるじゃないか。
マジックとこのまま情事をしてもいいやって気持ちになるじゃないか。
いや、もう既にそんな気持ちになってしまっている。
シンタローは静かに瞳を閉じて、マジックの背中に両手を回した。
それをOKの合図と理解したのだろう。
マジックも静かに了解のサインのキスをシンタローの唇に落とした。
チュク、チュク、と、舌をまさぐりあい、飲み込めなかった唾液がシンタローの唇の端から伝う。
「ン、ン、ぅ」
鼻にかかった声でマジックに答える。
マジックは、シンタローの頭を固定しながら何度も何度も角度を変えてシンタローの唇を味わう。
「ぷはっ!」
やっと息が吸えて、シンタローは、ホッとした。
「あ、あんだよっ…!ン、ふぅっ!!」
ニコニコしながら自分を見るマジックに、シンタローは悪態をつく。
それでもマジックはニコニコして。
「シンちゃんかわいー!」
なんて言ってやがる。
この、余裕ぶっこいてるマジックをギャフンと言わせたくて、シンタローは、マジックの局部を触った。
そこは既に立ち上がっているようで。
ズボンの上からでも熱く、固かった。
「親父だって、もう、こんなじゃねーか。」
「もう、シンちゃんたら。せっかちなんだから。」
困ったように笑うマジックに、シンタローはフフンと笑って見せた。
何だかちょっと勝った気がして嬉しい。
「そうゆう勝ち誇った顔も、全部大好きだよ。」
プチプチと、ボタンを外し、ズボンを脱がせる。
衣一式纏わぬ姿にされ、シンタローは上気した頬を一層赤くした。
「俺ばっかズリィ。親父も…」
脱いで。と、続けて、マジックの服を脱がせて行く。脱がせたマジックは、とても50代とは思えない程、がっしりと程よく筋肉が着いていて、思わず見惚れる。
あれだけ前線で戦ってきたのに、傷一つないその体は、彼がどれくらい強いのかという証明のようだ。
「シンちゃん、今日は積極的だね。」
ぺろりとシンタローの胸の突起物を舐める。
「ひゃぁあぁん!」
油断していたシンタローは、いきなりの愛撫に思いきり声を出してしまった。
「シンちゃん、もっとお前の可愛い声を私に聞かせて。」
乳首をくにくにといじりながら、シンタローの中心部をもいじり倒す。
堪らず声を上げるシンタローに、マジックは喜びにうちひしがれた。
自分の指で、舌で、愛するシンタローが感じてくれている。
それだけでマジックは心地良い。
パクリとシンタローの局部をくわえると、シンタローから抗議の声を浴びせられた。
「ば、ばか!んなトコ汚ねぇって!!」
身をよじり、マジックの唇から逃れようとしたが、ガッチリ腰を押さえ付けられ逃げられない。
「シンちゃんに汚い所なんてあるわけないデショ。」
ジュプジュプと、マジックの唾液と、シンタローの精子が混じり合い、淫らな音が奏でられる。
「ん…っ…あ…はぁっ!」
熱い吐息がシンタローの唇から否応なしに出て、熱くほてらせた体を震わせた。
「アン!いっいっちゃ…あぅ?」
イきそうになったシンタローだったが、マジックにいきなり根元を押さえ付けられた。
イきたいのにイけない。
もどかしくて。恥ずかしい事だと、淫らな事だと知りつつも、腰をゆらゆら揺らす。
「なんでぇ…と…さんン!ぃ、イきたい…よぉ…。」
終いには生理的な涙がぽろぽろ零れて、頬にいく筋もの跡を残した。
「待って、シンちゃん。イく時は一緒に、ネ?」
「そんなAV男優みたいなの、ヤだよぉ…!」
「…シンちゃん…以外と余裕だネ。」
マジックは、根元を押さえ付けたまま、シンタローの片足を抱え、入口付近に自分の猛った雄をグニュグニュと、円を描くようになすりつける。
そして、先端から奥まで一気に貫いた。
「ッヒああぁあ!!」
喉が壊れるんじゃないかという位の叫び声。
目を見開き涙を流す。
「シンちゃん大丈夫?」
シンタローを気遣う言葉を投げかけるくせに、腰の動きは納まらない。
シンタローは、イヤイヤをするように頭を振った。
結合部分から、白い液体が流れ出す。
余談だが、マジックの我慢汁が凄い訳ではない!
先端から奥まで激しいピストン運動のせいなのだ!
「や、も…っ…とぉさん…!…し…死んじゃう…よぉ…!」
グズグズと、鼻を啜り、涙と唾液でぐちゃぐちゃになったシンタローは、マジックの胸に顔を埋める。
「…ッ!シンちゃん、凄く可愛いよ…。もっと声聞かせて…?顔も見せてごらん。…私の愛しい息子…。」
「…ゃ!」
グイと、シンタローを引き離すと、掴むもののなくなったシンタローは、マジックに両手を広げる。
何だか可哀相になってきて、やっぱり抱きしめてあげる。
シンタローには甘いなと、自分で自分を笑いながら。
でも、そんな自分もマジックは、気に入っていた。
ラストスパートに入り、シンタローの足を上に上げる為、シンタローの根元から指を外す。
シンタローの足はガクガク奮え、シーツをにぎりしめ快感だけを必死に追っていた。
「…と…さん…も…だ、ダメッッ!!」
ビュルビュルと、シンタローの雄から白い液体が飛び散り、シンタローの腹、胸、顔に至るまでを汚す。
マジックも数回腰を打ち付けた後、シンタローの中に精子をぶちまけた。
「サイッテー!!」
「だぁって!シンちゃんがパパを選んでくれたから嬉しかったんだもーん。」
「もーんじゃねーよ!可愛くねーんだよ!!」
腰が砕けて立てなくなったシンタローは、不本意ながらもマジックと隣に寝ている。
怒り顔のシンタローとは裏腹に、マジックは幸せ顔。
チッ!
舌打ちはせど、寝返りさえ打てないこの腰を怨む。が、そんな体にしたのはこの目の前にいるマジックだと気付き、腰を怨む必要はないと思った。
「パパねー。本当に自信がなかったんだ。お前がサービスを選ぶんじゃないかって思ってた。」
そんなわけねーだろ。俺の1番は、昔から父さんだけだ。肉体関係を持った今でも変わらない。
でも、このアーパー親父は、すーぐ調子に乗るから絶ッッ対そんな事言ってやんねーけどな。
「眠くなってきた。」
「ちょっと頑張り過ぎちゃったもんね…お休みシンタロー。」
優しい声と共に、シンタローは、目をつぶった。
お腹を規則正しくポンポンと叩いてくれるのが気持ち良くて、より一層眠気が舞い降りる。
「選んでくれて、ありがとう。」
薄れゆく意識の中、マジックがもう一度同じ言葉を呟いた。
バーカ。何度だって選ぶよ。やっぱり俺はアンタが好きだ。
心の中でマジックが聞いたら鼻血の海になりそうな言葉を呟き意識を離す。
しばらくすると、本当に寝入ってしまったらしく、規則正しい寝息が聞こえてくる。
しばらくして。
「シンちゃん寝ちゃった?」
しかし、熟睡しているらしく返事は来ない。
マジックはイソイソと自分のポケットの上着から、超小型カメラを掴む。
そして、シンタローの寝顔を録り始めた。
「エッチしてる時のシンちゃんも可愛いけど、寝てるシンちゃんも可愛いなぁ…。」
いつベストショットが撮れるかわからないので、何時も持ち歩いてるかいがあったと、アップで録り始める。
さっきの情事もバッチリデッキに納めたし…。
ふふ、シンタロー愛してるよ。宇宙の果てまでフォーリンラブ☆
マジックがキモい呪文を唱えた辺りから、シンタローの安らかな寝息は消えて、シンタローのうめき声がきこえたのだった。
おわり
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