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士官学校時代から、シンタローの周りは男ばかりで。
それは変な意味ではなく、友達、クラスメート、教師、血縁者、どれをとっても女性とかかわりあいがない。
隔離された空間の中にシンタローは居た。
シンタローは顔は良い。
自分で自画自賛しちゃうだけはある。
漆黒の長い髪に、オニキスの瞳、すらっと延びた手足、そして体には無駄な贅肉は付いていないしなやかな体。
そんなシンタローだってお年頃、なのである。
同室のアラシヤマ、士官学校で右隣の部屋のミヤギとトットリ、そして左隣のコージがシンタロー達の部屋に集まってする話しといえば…。
そう、怖い話しなんかではなく猥談。
「トットリィ、おめ、まだドーテーなのかぁ?」
「なっ!ミヤギくぅん!そげな事大声で言わんでほしいだっちゃ!!」
恥ずかしいっちゃ!と、ミヤギの口元を押さえるが、ミヤギはただ単に質問しただけなのだからごまかせばいいのに。
そんな事したら“僕はドーテーです”と言ってるようなものなのだが、幸か不幸かその事に気付いていない。
「そーゆーミヤギはどうなんじゃ。」
この中では1番年上のコージが素朴な疑問を投げかける。
「あ、そっか。ミヤギくんもドーテーだっちゃね。」
口を押さえていたトットリがミヤギの代わりににこやかに答えた。
その言葉を言った瞬間、ミヤギの周りが絶対零度に。
ギギギと錆び付いた人形のようにミヤギを見ると鬼の形相とはまさにこの事、なミヤギがトットリを睨み付けている。
あわあわとしながらミヤギの口に当てていた手を離す。
「余計な事は言わなくていいべ、トットリィ~」
「ゴ、ゴメンだっちゃミヤギくぅん!」
この二人の小競り合いにももう慣れているその他3名は、気にせず話を続ける。
しかし、シンタローは、どうもこのテの話は苦手だった。
と、いうより、シンタローもドーテーなのだ。
深く言うと、処女ではない。
もっと言っちゃうと、シンタローは実の父であり、上司でもあるマジックと肉体関係を持っていた。
だからこのテの話になるといやがおうでも思い出さねばならなくなる。
父と自分の情事の事を。
「悪い事したかのぉ。」
「何時もの事なんだから気にする必要ねぇんじゃねぇか?」
心配するコージにそう話し掛けて、この話をここでおしまいにしようとする。
が。
「シンタローさんはどうなんだっちゃか?」

助け船を求めてトットリがシンタローに話を振った事により、話を反らす事不可能。
「あ?」
いきなり振られて目を丸くする。
「おー、気になるべ。どーなんだべか?シンタローさん。」
ミヤギも気になったらしくシンタローに向き直る。
トットリは話を反らす事が出来て胸を撫で下ろした。
「お、俺は最後話すヨ!コージ!オメーはどーなんだ!?」
「ん?わしか?」
シンタローは慌ててコージに話を振る。
振られたコージは特に気にした様子もなくあっけらかんと。
「ドーテーじゃ。わしゃ、学生の頃は野球一筋だったからのう。」
それを聞いて胸を撫で下ろす。
この分じゃ、ドーテーでも馬鹿にはされないだろう。
だってここにはドーテーしかいないのだから。
「なんや、じゃあ経験者はわてとシンタローはんだけなんどすな。」

居たんか!!

存在感というか、気配がないというか、そんなアラシヤマにその他四人の思いが重なる。
しかも、その発言により、シンタローは後戻りが出来なくなった。

アラシヤマめぇ~!余計な事言いやがってッッ!!

心の中でギリギリ歯を軋ませるが、表面では冷静な感じ。
「ま、まぁな!お前らだらしねーゾ!」
アハハーと笑ってみる。
「シンタローさんはともかくよぉ、オメいつしたんだべか?」
しかも、ミヤギにこう言われてしまってはもう逃げ場がない。
ともかくって、やっぱりもう経験者だと思われてたんだなと思うと嬉しいやら悲しいやら。
「こないだの実地の時どす。任務で何度か抱いた事がありますのや。シンタローはんかてそうどっしゃろ?」

任務!?任務でそんなことしてんのかヨ!!知らねーぞ俺は!!俺に回ってくる任務は全部健全だッッ!!

この間約一秒。

シンタローが何も言わないのをじーっと他が見ている。
心配の気持ち半分、どうだったか知りたい好奇の眼差しで。
視線が痛い。
「シンタローさん、初めての時どうだったっちゃか?」

ちきしょー!!

もう逃げられない。
喉がカラカラ渇く。
元々元来シンタローは嘘が苦手なのだ。
そこで気がつく。

親父のやってること言えばいいんじゃん!!
俺ってばアッタマいー!!

そう思えば善は急げ。もといベラベラ喋れる。
何たって子供の頃からの行為なのだ。
自分を女に置き換えて喋ればいい。

「初めての時ィ?モォ大分前過ぎてあんま覚えてねぇんだけどよォ。」
開口一番の台詞で、ドーテー組から「おぉー」と歓声が上がる。
出だしはいい感じ。
後は経験者のアラシヤマにばれない事を祈りつつ話を始める。
「最近でいっか?」
「最近!!」
「最近にしたんだっちゃか!?」
「流石シンタローさんだべな!!」
「ほぉ、あんさんいつの間に。」
皆身を乗り出してシンタローの話を聴き入る体制になる。
なんだかちょっと気分がいい。
「まーな。あん時は風呂でしたナ。」
「「「「風呂!!」」」」
四人の声がはもる。
そして、シンタローは父マジックが自分にした行為を思い出す。
確か無理矢理バスルームに入ってきて、嫌がる自分を押さえ付け、尚且つ浴槽の中でつっこまれた。
中にお湯が入って来て何とも言えない、快感と不快感がごっちゃになったような感覚。
とりあえず、男らしくない所は省いて話そうと、シンタローは気合いを入れる。
「まぁ、二人で風呂に入ってよぉ、シャワー出しっぱなしで後ろから。んで、ココ嘗めて貰ってから浴槽でもう一回。」
ココの所で自分の息子を指す。
ほぉ、と、感嘆の溜息を漏らされて、シンタローは昨晩の情事を必死に思い出す。
しかし、途中で何度か気絶してしまっている所があるので、余り深く突っ込まないで欲しいというのが正直な気持ち。
「そんで?その女子はどーだっただべか?」
「あぁん?そんなの、何度もイッてヨがってたぜ。」

恥ずかしい!

ばつが悪そうに下を向く。
そりゃそうだろう。
何たって、何度もいかされ、よがってたのは外ならぬ自分自身なのだから。
「名前はなんつーんじゃ?その、最近の子の。」
「あぁ、マ…えっと、何だったかな。忘れた。」

あ、危ねーっ!

冷や汗を隠しながらシンタローは軽い溜息を吐いた。
危うくマジックの名前を出す所だった。
しかし、皆は、流石シンタローさん、大人ーだの、いちいち名前なんて覚えないんだな、など良い方に解釈してくれて、本当馬鹿どもで助かったと改めて感謝をする。
「早ければいいってモンじゃねーよ、なぁ、アラシヤマ?」
アハハと渇いた笑いでアラシヤマに振ると、アラシヤマは何時も通りの暗い顔で「そおどすな」と呟いた。
その日はそれでお開きになり、その後一週間位たってから、シンタローはマジックに呼び出された。

「シンタロー。」
すんげぇ暗い面持ちでマジックがシンタローを待ち構えていた。
いつもは無駄にハイテンションで、薔薇をバックにしょってるようなあのマジックが、である。
少し引き気味になってどうしたのか尋ねると、目尻に涙をいっぱい貯めながらシンタローに抱き着いて来たのでぶん殴った。
「痛い!シンちゃん痛いよッッ!!」
「うるせー!変態親父!!」
頬に手を当てながら言うので、シンタローもムキになる。
「やっぱり…シンちゃんパパに飽きちゃったんだね…。」
ぽつり呟いて涙を流す。
「ハァ?何のこ「いいよ!しょうがないモン!!パパよりそのどこぞの馬の骨だか解らない阿婆擦れ女の方が好きなんでしょ!!」」
何の事だと聞く前に、自分の言葉に被せてマジックが叫ぶ。
しょうがないといいながらこの台詞。
全然しょうがないとは思っていない。
「だーかーらー」
「ごまかさなくていいよ!隊員達から聞いたよ!お前はもう童貞じゃないって!しかも名前も知らない女を取っ替え引っ替えらしいじゃないか!パパ、そんなに満足させてない!?」
「あ」
あの時の話を誰かが話したんだろうとシンタローはピーンときた。
しかも噂に尾鰭で取っ替え引っ替えときている。

どうしよう。

素直に話すのが一番なんだろうけど、

言えねぇ!!

まさかドーテーが恥ずかしく、マジックと自分の情事で、自分を女に置き換え、あまつさえマジックの立場でベラベラと自慢垂らしてたなんて知れたら!
恥ずかしいを通り越してただの馬鹿だ。
「あ、って言った!今あ、って言ったよ!!やっぱり心当たりがあるんだ!不潔!シンちゃんのやりちん!!」
「ダァーッ!!息子に欲情しとる奴に不潔と言われる覚えはないわい!!」
酷いシンちゃん!
ヨヨヨと胸元に入っていたレースのハンケチーフを歯で噛み悔しがる様は世界を手にいれようとしている世界一の殺し屋集団の総帥とは思えない。
「かくなる上は…」
ゆらりと陽炎のように立ち上がるマジック。
ふらふらしてはいるが激しいオーラが体中から滲み出ている。
「シンちゃんを殺して私も死ぬーっ!」
「何ーッ!?
つーかさっき、しょーがないって言ってたじゃねーか!!」
「さっきはさっき!今は今!!シンちゃんが他のクズ共に汚されるのを私は我慢…我慢できないんだよぉぉ!!」
「えーい!いい年した男が泣くな!!」


このヤバイ位息子狂いの男にシンタローは深い溜息をついた。
「誤解だよ、親父。俺はアンタ以外に抱かれてねーヨ。」
そう言って前髪をかきあげる。
そして、誠に不本意ながら、どうしてそうなったかのいきさつを話した。









「なぁーんだ!早く言ってくれればいいのにー!パパちょっと取り乱しちゃったじゃないか♪」
ちょっとじゃねーだろ、と心の中で突っ込んで、シンタローはげんなりとした面持ちでマジックを見た。
先程と同一人物とは思えない満面の笑みと、上機嫌な雰囲気。
鼻歌なんぞ歌いながらシンタローに又しても抱き着いてきたので今度は蹴り飛ばした。
「痛いよシンちゃん…お前の愛が痛い…。」
そして、すくっと立ち上がる。
「さて、冗談はさておき、私に心配かける悪い子にはお仕置きだ・よ・ね。」
ニーッコリ笑ってシンタローを押し倒す。
羽交い締めにされ、もう身動きが取れない。

あ゛ーーーッッ!!

なすすべもなく戴かれてしまい、この時シンタローはいつかこの家を出ていってやる!と決心したとかしないとか。
これから数年後、本当に出ていってしまうことになるのだが、それはまだマジックには思いもよらない。









終わり






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