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* n o v e l *





PAPUWA~IFシリーズ①彼がキス魔だったら・マジック&シンタローver~






【Caution!】

この話は御法度要素が含まれております。
そういうのが苦手な方や、「こンの御法度野郎があぁぁぁぁッッ!!!」とUMA子化してしまうという方は全力回避の方向でお願い致します。

「バッチ来ーい」な方はそのまま画面をスクロールしてお読み下さい。


















































窓際に立ち、夜景を眼下に見下ろしてグラスを傾けているシンタローを、マジックはソファでくつろぎながら飽きもせずに眺めていた。

こうして二人で酒を飲み交わすのは、随分久しぶりだ。
先程まではこのマジックの部屋にキンタローとグンマの二人もいて、四人で和やかな時を過ごしていたのだが……途中でグンマが酔いつぶれてしまい、キンタローもうとうとと船をこぎ始めたので、一度解散となった。
しかしまだ飲み足りなさそうな顔をしていたシンタローに気付き、マジックは「シンちゃんはもう少しココでパパと一緒にいようね」と誘いをかけた。
嫌そうに顔をしかめたシンタローだったがマジックが秘蔵のワインを取り出して見せると、渋々という態度を装いながらも部屋に残ってくれた。
それから特に会話を交わすでもなく(マジックは頻繁に話しかけたが、シンタローは「ああ」か「いや」しか答えなかった。もしくはシカト)、ただ静かに杯を重ね続ける。
そんな時間も悪くない、どころか最高に幸せだったが、マジックとしてはもっとシンタローの体温を近くで感じたい。


「シンちゃん、そんなところに立っていては寒いだろう?パパの隣においで」

「……」


呼びかけると、暫し間が空いてからシンタローがこちらへと歩み寄ってきた。
その素直な様子に少し驚かされて、マジックは軽く目をみはる。
珍しいな、と思うが、嬉しくて口元が緩んだ。

「どうしたの、今夜はやけに素直だね」
「……」
「さ、おいでシンタロー」

シンタローはまだ酒の入ったグラスを手に持ったまま、マジックの隣に腰を下ろした。
赤ワインの甘い香りがほのかに漂う。
今日はいつもと雰囲気が違う、もしかしたら少しくらいは触ったりしても怒られないかな?と僅かな期待とイタズラ心がわき起こり、マジックはシンタローの髪に手を伸ばした。
普段は少しでも触ると眉間にしわを寄せて容赦なく眼魔砲を撃つシンタローだが、頭を撫でられるのも髪を梳かれるのも、本当は嫌いではないのだとマジックは知っている。
これでもかと言わんばかりに、与えられる当人がうんざりするほどの愛情を与えまくって育てたのだ、何だかんだ言ってもシンタローは甘えん坊なところがあるし、甘え上手でもある。
スキンシップ過多な父親の下で育てられた分、シンタロー本人も実はそうしたコミュニケーションの取り方を好む傾向がある。
本人は自覚していないのだろうが、彼がコタローへ向ける行き過ぎた愛情表現や過保護なところは、実はマジックの影響が大きい。

艶やかな髪に指を絡ませ、緩く梳いてやるとシンタローはちらりとマジックへ視線を向けた。
だが不快を示す眉間のしわは無く、嫌がる様子も無い。
調子に乗って子ども相手にするように頭を撫でてやると、シンタローは心地良さそうに目を細めた。
マジックの掌に軽く頭を押し付けて、無言で「もっと撫でろ」と要求する。
それは日向ぼっこをしていた猫が、不意に飼い主に撫でられて「もっとして」と甘えている時のような仕草だった。







「しッ、シンちゃん……ッ!!」
普段は絶対に見られないその姿に、マジックは思わずブッと鼻血をふいてしまう。
慌てて撫でる手を止めてハンカチを取り出し、鮮血をふき取っていると――シンタローがムッとした顔をしてこちらを見ている。

「あ、ゴメンねシンちゃん!もう大丈夫だよ、何とか鼻血止まったからね」
「……」

ニッコリと笑顔を向けるが、シンタローの機嫌は直りそうにない。
ケッ、とそっぽを向いてしまったので、マジックは慌ててシンタローの肩を抱き寄せた。
が、その拍子にシンタローの持っていたグラスが揺れてワインがマジックの手を濡らした。

「おっと……零してしまったね」

マジックはゴメンね、ともう一度謝り、シンタローの手から空になったグラスを取り上げテーブルの上に置く。
シンタローまで濡らしてしまってはマズイ、と肩に回していた腕を外し、何かふく物は……と周囲に目を向けた瞬間。
濡れた指先に、何か柔らかいものが触れた。


「――っ?」

「……」

「……シンタロー?」

マジックの腕を取り、その濡れた手に舌を這わせているシンタローがいた。
ゆっくりと指先から滴るワインを唇に受け取り、舌を伸ばして雫を舐め取る。
その度に微かな音が部屋に響き、視覚と聴覚を刺激する。そして清められている手から伝わる艶かしい感覚に、マジックは目をみはった。
鼓動が速くなり、指先が微かに震えた。

シンタローはほのかに頬を朱に染め、目を伏せてこくりと喉をならし、赤い雫を嚥下する。
最後に指先を含んでちゅっと軽く吸うと、シンタローは漸く口を離した。

「……甘い」
「シンタロー……」

シンタローは低くかすれた声で呟き、マジックの顔を見る。
マジックの熱を帯びた青い目を暫くじっと見つめ。
シンタローは不意に微笑んだ。


――――いつもだったら「シンちゃんが笑ってくれた!!」と大喜びするマジックだが……何故かイヤ~な予感がした。


その笑顔は、男が「大丈夫。優しくするよ。だから力抜いててね」と彼女に向かって語りかけている時の宥めるような表情だ。
しかも微妙にこちらへとにじり寄ってくるシンタローに、激烈に嫌な予感が加速した。

「しッ、シンちゃん?ちょっと待って!」
「あ~……?だいじょーぶ、だいじょーぶ。痛くしねーから」
「やっぱりそっち!?ていうか、酔ってるでしょシンちゃん!」
「酔ってねーよ」

いいや酔ってる!確信してマジックは頭を抱えた。
シンタローはそんなマジックを不思議そうに眺めていたが、まぁいっか、という結論に達したようだ。
甘えるようにマジックの肩へ額をすり付け、「なァ~、イイだろ?」と許可を求めている。まさしく猫撫で声。
それはまた鼻血をふきそうになるほど可愛らしい姿だったが、どうもマジックが思い描いていたような展開とは違う。

だが状況としては美味し過ぎる。利用しない手は無い。
どうやって自分主導に持っていこうかな~とマジックは考えを巡らしたが、なかなか答えが返ってこない事に焦れたのか、シンタローは強引にマジックを押し倒した。

「あ。こらこら、シンちゃん。ムリヤリはいけないよ」
「だってガマンできねーもん」

拗ねたような言い方に、マジックはグッと拳を握った。
萌え過ぎて血管が切れそうだ。

それなりに大きさのあるソファだが、長身のマジックとシンタローが横になるには少し狭い。
足がはみ出してしまったが、シンタローは特に気にしないようだ。
マジックの上に馬乗りになり、口の端を楽しそうに引き上げて長い髪をかき上げる仕草は、妙に色気が溢れている。
これは誰にも見せたくないな……とシンタローに見惚れてしまいながらマジックは思った。



「なに考えてンの?」
「……お前の事だよ、シンタロー」
「マジで?嬉しいな」

シンタローはまたニッと笑いかけ、マジックの額にキスを落とした。
その様子にマジックは少しだけ違和感を感じたが、シンタローの方からキスをしてくれるなんて何年ぶりだろう!と思うとついついどうでもよくなってしまった。
子どもの頃は「パパだいすき!」って言いながらいっぱいキスしてくれたのになぁ~と思いながらシンタローの背中に腕を回して更に身体を密着させ、こちらからも彼の頬にキスを返してやる。

「積極的だな」

シンタローはくすぐったそうにしながらそう笑った。
その言葉に「……おや?」とまた違和感を覚えたが、襟元を緩められて鎖骨の辺りにキスされると、そちらの方へ意識がいってしまう。
どうやらシンタローは噛み癖があるらしい、と新たな発見をして心が弾む。
心の中の「シンちゃん観察ノート」に新しく書き込んでおく。
頬をほんのり赤くして、一生懸命こちらをソノ気にさせようとする様子がマジックには堪らなく可愛く見えた。



だがマジックの胸元に服の上から手を這わせた時――シンタローはピタリと動きを止めた。


「………………」

「…………?どうしたの、シンちゃん」


マジックの問い掛けには答えず、シンタローは暫く動きを停止していたが。
再びさわさわと胸を探る。
厚い胸板がそこにあった。

シンタローは呆然とした様子で呟いた。


「胸が……ねぇ」


そのまま再度停止状態。
酔っているせいで上手く回らない頭を必死に回転させようとしているのが、見ているマジックにも分かる。
だが答えが出なかったのだろう、「んー……?」と唸って首を傾げている。

一方マジックはというと、先程までの違和感の正体に気付いて思わず苦笑した。


「パパを女の子と間違うなんて、ひどいんじゃないの?シンちゃん」

シンタローの後頭部に手を回して、ぐっと引き寄せる。
不意をつかれてバランスを崩し、倒れ掛かってきたシンタローをしっかりと抱き留め、唇を合わせた。
女と間違っていたからこそ、マジックに対して先程のような態度になっていたのだろう。
何ともマヌケな話で脱力してしまったが、イイ体験をさせてもらったといえば確かにそうだ。
シンタローの方から積極的に迫ってくる事なんて恐らくもう無いであろうし、普段とは違う顔が見られてマジックは得をした気分になった。

ついついキスにも力が入ってしまう。


「っ……ぅ、ン……」

シンタローは苦しそうに声を漏らした。
最初はまだ混乱が続いていたらしく、されるがままだったが、キスが深くなるにつれてそんな事はどうでもよくなったらしく、積極的に応えるようになった。
夢中になってキスを返してくるシンタローに、マジックは自分の熱も上昇してくるのを感じたが…………

息継ぎをする為に一旦唇を離すと、シンタローは乱れた呼吸を整えながらぼんやりとマジックを見つめ。
急にくたりと力を抜き、マジックの上で顔を伏せてしまった。


「……え、シンちゃん?」

まさか。まさかまさか。
まさかのまさか。

恐る恐る呼びかけてポンポンと背中を叩いてみたが、反応は無い。
耳元で、すーすーと安らかな寝息が聞こえてきた。

……ここまでやっておいて、酔いつぶれて寝てしまったらしい。


「ひどいなァ~シンちゃん。パパの事、ほったらかし?」

返事は無い。
マジックは天井を仰いで「はぁ~……」と深く溜息をついた。
……残念。
だが、怒りなんてちっともわいて来なくて。


「……まったく。幾つになっても手がかかる子だな、お前は」

シンタローの寝顔を見て、どこか嬉しそうに呟く。
くすくすと笑って、「おやすみ、私のシンタロー」と耳元で囁き、頬にちゅっとキスをしてやった。










翌朝。
昨夜の記憶が全く無いシンタローは、二日酔いでガンガンと痛む頭を抱えながら、自分の現状を見て真っ白になった。
いつの間にかパジャマに着替えていて(しかも自分はブルーのハート柄、マジックはピンクのハート柄、というどこからどう見てもおそろいの、趣味が悪いパジャマ)、何故かマジックと同じベッドで抱き合って眠っていて、その上マジックに腕枕なんかされちゃってた自分。

一瞬で恐慌状態に陥った。


(待て待て待て。コレってどういう状況だよ!?ああぁ、昨日の記憶が全くねぇマジかよありえねー何で俺ってばそんな無防備な事を!?つーか親父も何でわざわざ一緒に寝たり……ハッ、しかもコイツ首元ンとこにキスマーク付けてやがる!誰が付けたんだコレってもしかして俺だったりすンのかああマジかよちっくしょう奈落だ)

ぐるぐる頭の中で「サイアクの事態」が回る。

(どうしよ俺どーする俺!?これで腰まで痛かったりしたら……って何だよ腰って!?ンなとこ痛くてたまっか!!ああもうッ助けてくれよパプワぁ~~ッ!!!!)

遥か遠く、大切な友達の名まで叫んで。本格的にどうしようも無くなったのでとりあえず幸せそうなマジックの寝顔に向かって掌をかざし、

「証拠隠滅&変態撲滅!!全力眼魔砲ッッッ!!!」


ありったけの力を込めて眼魔砲を叩き込んだ。




今回ばかりは、パパが可哀想だったかもしれない。



~END~









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