キンタロー「…………拍手、すまないな」
アラシヤマ「…………おおきに、どす」
キンタロー「………以下、お礼SSだそうだ」
アラシヤマ「………かまんかったら、読んどくれやす」
キンタロー「…………」
アラシヤマ「…………」
キンタロー&アラシヤマ「………(ナンでこの組合せでお礼なん(どす?)だ?)」(冷汗)」
風邪予防には、パパが効く?
「おっかえり~、シンちゃんvv」
「………おぅ」
士官学校を終え、粉雪の舞う中、帰宅してみると。
数週間ぶりに、父親が遠征地から帰宅していて。
………ちっ。
どっか寄り道してから、帰ればよかったゼ。
自分の姿を、認めた瞬間。
思いっきり眉間にシワを寄せた、不機嫌な表情の息子だが。
「お疲れ~、寒かっただろう? 早く入って入ってvv」
殆ど、夫の帰りを待っていた、新婚な妻のごとく。
マジックはその体を抱きしめんばかりに、家の中に引きずり込むと。
強引にコートを剥ぎ取り、スリッパを出す。
「言われなくても、入るっつーのっ! だぁぁっ、うっとおしいっ、まとわりつくんじゃねぇッッ!!」
「あ、そうそう♪ 甘酒あるんだケド、飲まない?」
―――さすがに、乳幼児からの、付き合いではある。
『うざってぇんだよ、てめぇはッッ!!!』と。
今日一日の、士官学校での疲れと。
父親より与えられる、ストレスの相乗効果に。
思わず暴れ出しそうだった、シンタローは。
その、ピンにポイントを突いてきた、誘惑に。
「………飲む」
思わず―――こっくり、と。素直に頷くと、リビングに向かう。
そこに鎮座していたのは、真冬の風物詩。
ほかほかと、見た目にも温かそうな”コタツ”に、潜り込むと。
冷え切った体を。じんわりと、心地良い温もりが包んでいく。
―――あー、やっぱ。コタツは、日本人のココロだよなァ………。
オレってやっぱ、根っからの日本人なんだよナ、と。
うっとり浸っている、シンタローの前に。
トン、と。
ほかほか湯気の立つ、甘酒の入った湯のみが置かれた。
「ハイ。お待たせ、シンちゃん」
「おぅ、サンキュ………!?」
冬はヤッパ、コレだよなァ♪ と。
手元に引き寄せようとして………しかして。
スイッと、その湯飲みは。
シンタローの手から、遠ざけられる。
「………テメ、何のつもりだョ」
「ところで、シンちゃん。帰ってきて、ちゃんとうがい手洗いした?」
「あぁ!? してねぇョ、それがどーした」
―――ガキじゃねーんだゾ、オレはっっ!! と。
せっかくのイイ気分に、水を差され。
ナニやら『お預け!』とか連想させる手付きで。
彼から湯飲みを遠ざけている、マジックに。
シンタローは、不機嫌な眼差しを向け………ソレを奪い取ろうとするが。
「ダメだぞぉ、シンちゃんvv うがい手洗いは、風邪予防のキホンだよ。ハイ、甘酒の前に、ガラガラしてきなさいvv」
~~~~ナメとんのかッ、このアホ親父ッッ!!!
にこにこ、にーっこり。
完全に『ワガママ息子を諭すパパ』な顔で、湯飲みを高く持ち上げられ。
「だ――――ッッ!! 風邪引くようなヤワな鍛え方、してねぇっつーのッッ!!」
盛大に、カチンときたシンタローは。
ムキになって伸び上がり、マジックの手からソレを奪おうとする(まだ成長期途中の、この時点では。マジックとの身長差は、結構あった)。
「風邪は、ウィルスなんだから。鍛えてるとか関係ナイんだヨ? ウィルスが強力だったり、大量に………」
「いーからっ、寄越せってッッ!!」
―――いい加減にしねーと、眼魔砲カマすぞ、テメェッッ!?
一向に、言うことをきこうとせず。
覚えたての、必殺技の構えまで見せる―――そのムキになっている様子は、鼻血ものに愛らしいのだが―――愛しい、ワガママ息子に。
どうしたものか、と。
高い位置で、甘酒の湯のみを掲げたまま、思案したマジックは。
「………ふぅ。しょうが無いねぇ」
―――まったく。幾つになっても、ワガママなんだから、と。
呟くと。
シンタローに、くるりと背を向け。
素早く一口、中味を口に含んで。
「あぁっ、オレの甘酒………!!??」
盗られた、と勘違いし。
盛大に抗議の声を上げかけた、シンタローの唇に………己の唇を、合わせた。
薄く開いた、シンタローの唇の隙間からは。
優しい甘さの液体が、ゆっくり流し込まれてきて。
「さて、どうする? シ………」
唇を、離した後も。
まだ、ボーゼンと固まっている、息子に。
ニッコリ微笑む、マジックの問い掛けの半ばで。
「……………………ぅッッッ!!!!!!!!!!!」
一気に、我に返ったらしい、シンタローは。
そのまま口元を押さえ、くぐもった悲鳴と共に。
猛然と、流し台へとダッシュを掛けて。
―――うぇぇぇぇっっ!!
ガラガラ、ゴロゴロッッ!! ペッペッペッ!! ガラガラゴロゴロッッ!!
………それはそれは、盛大な。
ジャーッという水流音と、うがいの音が、家中に響き渡った。
「シンちゃん………うがいしてくれるのは、嬉しいケド」
―――ソコまでやられると、パパ、ビミョーに傷付くナ。
自ら思いついたとは言え、思った以上に派手な息子のリアクションに。
マジックは、情けなさそうな顔で、呟く。
それは。
シンタロー、17歳の冬の出来事。
”ファーストキスを、父親に奪われる”という。
後々までのトラウマとなった、衝撃の事件であった。
<終>
○●○コメント○●○ というわけで、マジシンわっしょい!!! で。(←は???)
ウチでは、生臭い関係になったのは(←その表現、止めいっちゅーの!!!)基本的に卒業後、というわけでー(笑)
日々調教中♪ デスネvv
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