キリリク3100小説『マジック×シンタロー甘甘』
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今までまとめていた髪を下ろし、総帥の赤いブレザーに袖を通す。
そんないでたちで、俺は親父の―――ガンマ団総帥の部屋の前にいた。
もっとも……親父が総帥であるのも今日までのこと。
明日からは、俺がその椅子に着くことになる。
緊張はしていない。そういったらまず嘘になる。
今まで世界制覇を目論んでいたガンマ団の意趣を180度かえるわけだし。
…………何より、俺が秘石眼でない。というのは事実だし。
すぐ下の奴らは、方言ばりばりの色物集団は大丈夫だと思うが、
さらにその下の奴らから反抗者が出るのは明らかだ。
もっとも、俺が本当の親父の子供ではなく、秘石から作られた存在だということを知っているのは、ごく一部の奴らだけなのが救いでもある。
あの事件ですべてが解決したとはいえ、事情を知らない奴らから見れば、グンマが『なぜか』親父の息子になってて、
代わりにいきなり現れた青年がルーザー叔父さんの息子を名乗っているのだから、混乱が起きるのは間違いない。
少しは収まったと思うが、まぁ……それは明日考えればいいだけのこと。
とりあえずは……
目の前の扉を眺めつつ、これから俺の身に起きるであろうことを想像し、
ちょっと憂鬱になってみたり。
壁に掛けられた時計を見て、今度はこの部屋の扉に目を向ける。
そんなことを何度繰り返したろう。
そろそろ準備は終わる頃だと思うのだが……
まさかサイズが合わなかったか?
いや、あれは私が計って、私がデザインした物だ。
そこんじょそこらのデザイナーならともかく、このガンマ団総帥が間違えるはずがあろうか(反語)?
それともデザインが気に入らなかったか?
似合ってると思うんだけどなぁ……
さては赤が気に入らなかったのか?……グンちゃんにも不評だったらしいし。
デザインはもちろん、サイズまで測っておきながら、私は息子が晴れ着を着たところを見たことがなかった。
理由はもちろん、明日の就任式までお楽しみはとっておきたかったからv
しかし今朝、明日になったらシンちゃんが仕事に追われて、ゆっくり話す機会なんかないんじゃないか?ということに気づき
急遽、総帥服を着て、私の部屋に来るように言ったのだ。
嫌がるかとは思ったが、意外とすんなり承知してくれた。……ちょっと期待しちゃったりして。
ああ、それにしても遅いいぃぃぃっ!!!
こーなったらこっちから出向いて……
ここでうろうろしていてもしょーがない! とっとと腹決めて入るか!!
ガチャッ ばんっ
……『ばんっ』?
「や……やぁシンちゃん。遅かったね。」
額を軽く押さえつつ、親父が言う。
「親父……なにンなトコにつったってんだ?」
「いや、お約束的バッドタイミングってやつだよ」
「よくわかる説明どうも……」
「それより…………」
「な……なんだよ」
じっと見つめられ、ちょっとひるむ。
くるか!? お約束的パターンっ!!
だが、予想に反して、いきなり勢いをつけて抱きつかれることもなく、親父は俺を部屋の中に誘導して扉を閉めた。
「いや、ちょっと嬉しくてねぇ……」
しみじみと、遠くを見つつ続ける。
「5歳の時にはおしっこをもらしてたり、怖い話を聞くとトイレに行けなくなっ たりしてたシンちゃんがまさかここまで立派になるとは……。
とーさん嬉しいやらちょっと寂しいやら複雑だぞ。」
「そ、そうか」
いつもならそれこそ「んな昔の話すなぁぁぁああっっ!!」と叫びつつ眼魔砲をぶっ放しているところだが、
ここでそんなことしたら明日に影響が出る。、
ひょっとしたら、あまりにも親父が感慨深げに言うのだから、やる気が失せたのかもしれない。
「……シンタロー」
そんなことを考えていると、ふと名前を呼ばれ、肩を抱きしめられた。
ま、まぁこんな日くらいはおとなしくしてやるか。
あごというか首を親父の肩に乗せ体重をすこし親父にかけると、親父の手が俺の髪に触れてきた。
そのまま撫でるように髪を梳かれる。
その手が気持ちよかったから、体に伝わる相手の体温が暖かかったから、つい俺は目を閉じて、その感覚を味わっていた。
左手でシンちゃんの頭を撫で、肩においといた右手を腰に移動する。
が、シンちゃんからの抗議の声は無し。
それどころか、気持ちよさそーに目を細めている。
えーと……これは、ひょっとして……
期待してもいいってコトかッ!?
「シンちゃん?」
名前を呼ぶと、不意をつかれたように顔をこちらに向ける。
…………可愛いかも
とっさに私は髪を撫でていた手をシンちゃんの後頭部に回し頭を固定。
こっちが何を考えているのか気づかれる前に、そのまま口づける。
「……んっ」
うめき声が上がり体を強張らせるが、とりあえず、暴力で訴えてくる様子はない。
とりあえず、下唇を軽くなめて顔をはなす。
「……ったく、いきなり何すんだよ……」
「いやぁシンちゃんがあまりにも可愛かったから、ついねえ……」
「だからってフツー実の息子―――じゃねぇけど、
実の息子として育てたヤツにキスなんかするか?」
「何言ってるんだシンちゃん。シンちゃんは間違いなく私の実の息子だよv」
「だったらなおさら……」
「それともシンちゃんは今までそーーんなこと思ってたのかい?」
「イヤ別にそんなこと……」
「だったら問題無しだなv」
言ってシンちゃんを抱き込む。
「あ?」
「さぁシンちゃん私と早速げふぅッ!!」
数分後
俺は、方言ばりばり色物集団の元へ行った。
「おいお前ら」
「なんどすか? ガンマ団新総帥v」
「明日の用意は全部出来とるぞ」
「まだなんかあるだべか?」
「だったら急ぐっちゃ」
「日程変更だ。1週間ほどのばす」
『ええぇえっ――――――――!!』
「現総帥が『謎の大ケガ』を負って、式典に出られそうにないんだ」
「総帥が……?」
「何があったんじゃ?」
「……みなはん、野暮なことは聞いたらあきまへん」
『?』
「シンタローはん、たぶん総帥は……」
「ああ?」
「腰が痛くて療」
ゐりっ
「とにかく、一週間ほど延ばすよーに。質問は受けつけん。」
『は~い』
壁にめり込んでる京都弁男を見ると、多少力が強すぎたかと思うが、
ま、さっき眼魔砲撃ったせいで、体中だるいし、力だってある程度セーブされただろ。
野郎どもの返事を聞いてきびすを返すと、後ろから声が聞こえた。
「馬鹿じゃなぁアラシヤマ」
「だっちゃ。」
「フツー腰が痛くなるならシンタローの方だべな」
…………
「て・め・え・らぁぁっっっ!!」
――――結局
新総帥就任式は、前総帥を含む最高幹部の数名が謎の大ケガを負ったため1週間延期された。
『謎の大ケガ』の理由は、けがを負った本人たちしか知らない。
俺は3日ほどたったら忘れたからな。
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というわけでキリリク3100小説『マジック×シンタロー甘甘』をお送りしました。
甘かねぇッ!!
……と言うつっこみは無しです。
そもそもどこまでが甘甘になるんだッ!!?
ギャグにもなりきってないし……ましてやほのぼのでもシリアスでもないし……
ひ~ん(泣)
とりあえず、最後の方でオチを付けるのは、あたしの習性ということで。
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