焼きたてクッキーおひとつどうぞ♪
宇宙船を作るー!と張り切っているジャン。それに手伝わされているのはグンマとキンタローだ。
高松は色々な事を想像して止めにかかったが、グンマは
「面白そーv」
とヤル気満々。少々今までの研究にマンネリを感じていたところだったのだ。
キンタローは別に乗り気ではなかったのだが、それは何に対してもであって、グンマがしつこく
「キンちゃんもやろー。ねー、やろーよーぉ」
と誘うのでまあいいかと。
同い年とは言え、どうもキンタローにはグンマが手のかかる弟のような存在に感じていたので、
心配な兄弟心もあって同意したのだが。
「あれ・・・、これ何の研究レポートだろう?知ってる?キンちゃん」
「俺よりお前の方がこの施設に居るのは長いだろう」
呆れたような視線を送られるとグッと詰まってしまう。
ちなみに二人が居るのは昔高松が使っていた第三研究所。
ジャンやキンタローまで科学の道に進むという事で研究室の増築が決定された。
それでまだ科学者としては未熟ながら期待あるジャン、キンタローにも研究室が一室ずつ支給され、
三人が宇宙船“ノア”を作ると決定した時、新たにこの第三研究室も与えられた。
ちなみにグンマは既に科学研究には浸かっていたのでちゃんと元から研究室(第六研究室)がある。
「あれ・・・」
「どうした?」
「こんなレポートあったっけ?」
グンマは一番小さいディスクの上に置き去りにされている埃臭い紙の束を見つけた。
ホチキスで止められたとても古いのだろう、かなり保存状態の悪い六ページ分のレポートである。
ここはジャン、キンタローそしてグンマしか使っていない筈。少なくとも自分のレポートではない。
キンタローに問うと知らないと首を左右に振る。とりあえずぱらぱらと中身を捲ってみる。
どうやら何かの薬の作り方らしい。となると、“ノア”作りに夢中のジャンのでもなさそうだ。
興味深げに読みにくいレポート内容を読んでいたグンマだったが、
満足したようにレポートを胸に抱えてキンタローに向き直った。
「よし、これ作ってみようv」
「即決だな。大丈夫か?」
「まっかせて!一度新薬って作ってみたかったし!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
聞いたのはそういう意味ではなく、ちゃんと薬を作れるのかという事だったのだが。
しかし(グンマに対しては)あまり深く追求しない性質なので、まあいいかとその場は流した・・・・・・・・・・・・のが全ての始まりだった・・・・・・。
「どうしたんだ、グンマ。ちっとも“ノア”作りに参加してくれてないけど」
ジャンが不思議そうに問う。白衣姿が意外と様になっている。
キンタローも白衣姿で、カルテらしきものに目を向けたまま答える。
「ああ、何でも『新薬を作る練習するんだー♪』とか言って自分の研究室に篭りっきりだ」
「ふー・・・ん・・・(何か、今のグンマの物真似・・・めちゃくちゃ似てて怖い;)」
「で、何を作っているんだグンマは」
「うっわ!!サービス!」
そこには見目麗しきグンマ&キンタローの叔父が、まるでずっと居たように佇んでいた。
「何でここに・・・」
「ちょっとジャンに用があったんだ。で、グンマは何を作っているのだ、キンタロー」
「知らん」
即答。
「そうか」
「ってオイ!何あっさり納得してんだよ!何か危ない薬でも作ってたらどうすんだよ!?」
「大丈夫だろう。多分な」
マイペースな親友にガックリと肩を落す。付き合いは長いが未だに分からないところだらけな男である。
「そんな事よりジャンに用とは何だ」
“そんな事”と片付けてもいいのかキンタロー。
そう気にするのはジャンだけで、相も変わらず美貌の叔父様は顔色一つ変えず用件を切り出す。
「ジャンに今朝言い忘れた事があってな」
「何?」
「昨晩うっかりお前の背中にキスマークを付けてしまってな。だから人前で服を脱がない方が良いと思」
「うわあああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!
こ、子どもの前でその話すんなよぉ――――――――/////////////////!!!!」
ムッとして子どもではないと主張するキンタローは何故かサービスの爆弾発言を全く気にしていなかった。
どうやらこの二人仲はガンマ団では公認らしい。
ちなみにいつもは美貌の叔父様は薄着を好むジャンが嫌がる為、キスマークはつけないで上げているらしい。
(テクニシャンだねv)
一方、こちらは第115研究室ではやっぱり白衣を纏ったグンマが先程のレポートを元に、
『クッキー』を焼いていた。
「出~来たv『若返りの薬入りクッキー!』。かなり時間掛かっちゃったケド」
若返り薬入りクッキーは、それはもう見た目も美味しそうに焼きあがっていた。
グンマは満足そうに天使な笑顔で恐ろしい事を呟く。
「え~~と、誰に試食してもらおうかなー?」
やっぱり高松の教え子である。立派に師匠?と同じく、何のためらいもなく人様を実験台にしようとしている。
可愛く(若返りの薬入り)クッキーをラッピングしながら誰が適任か思案していた。
「滅多な事では死ななそうな人と言えば・・・」
う~~~~~んと唸っていたのは極僅かな時間。ポンッと手を叩き、にぱっvと邪気のない笑顔で微笑む。
「シンちゃんにあげようv」
・・・今回の生贄もやっぱりシンタローだった。
ここは総帥室。日がな一日、新総帥のシンタローはここでデスクワークを行なう。
まだ総帥職務に慣れなく、今も今とて書類処理にスッタモンダ中である。
しかしまだ戦闘の感は失ってはいない。間違いなく遠くからだがこちらに向かってくる足音が耳に響いてくるのをキャッチした。こういうパターンなら息子ラブvのマジックだが、この気配はマジックに似ていて全く違うもの。
ドタドタドタ・・・
子供のように廊下を走ってきた青年は確かに総帥室に向かっていた。
バッタ~~~~~~~~~~~~~~ン!!!!!!!!!!!!
勢いよく総帥室の扉が開かれ、やけに上機嫌なボーイソプラノが響いた。
驚く事もなくシンタローは声の主に視線を向ける。
「シンちゃん♪」
「グンマ、どうした?」
「あのねvクッキー作ったから食べて欲しいんだ♪もうすぐおやつの時間でしょ?」
「・・・もう【おやつの時間】を設ける歳でもないんだが・・・それに俺あんまり甘いものは・・・」
28にもなってなって【おやつの時間】を設けているのはお前だけだ。とシンタローは思った。
「大丈夫♪甘さ控えめだし。いっぱい作っちゃったから食べてねv」
そうまで言われて断れるはずもない。まあ、控えめなら甘いものも好きだし丁度小腹も空いてきたところだ。
「んじゃイタダキマス」
「どうぞv」
一口含む。あの『若返り』入りのクッキーを・・・。
どうなるかなー♪とワクワクしながら目の前の男を楽しそうに観察するグンマの瞳には、全く邪気はなかった。
しかしやってる事は邪悪そのものである。
「結構美味いな」
素直な感想だ。何だかんだ言いながら次々と口に運んでいく。それを聞いてグンマは嬉しそうに返答した。
「でしょ~v隠し味に若返りの薬入れたしv」
「ふ~~~ん・・・若返りの薬入りの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って・・・・・・・何だって・・・?
若返りの薬・・・?」
「うんvシンちゃんに実験台になってもらおうと思ってvv」
「・・・・・・・・・・・――――!!??」
ガタンッ!!
いきなり立ち上がったシンタローは真っ青な顔で洗面所へ走っていった。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダジャ――――――――――
その後聞こえた水音。
「どうしんだろ。吐いちゃった?」
「グ~~~~~ン~~~~~マ~~~~~~~」
ごしごしと力なくタオルで口元を拭うシンタローの声色はかなり低い。要するに怒ってまぁ~~すという雰囲気が漂っていた。
ぐいっ
「わぁ!」
「俺の歳を減らしてどないっすーんじゃ~~~~~~~~!!」
グンマの胸倉を掴んでガクガクと揺さぶり尋問する。頭にはデカデカと怒りマークが浮かんでいた。
流石のグンマも引き気味で答える。揺さぶられながら。
答えようにも上手く喋れなく、途切れ途切れに何とか返答する。
「実、け・・・んだ・・・に、シンちゃ・・・がいっ、かなぁ・・・ぁって思っ・・・だけ・・・よぉ~」
「何が『いいかな~』だ!従兄を弟実験台に使おうとか思ってんじゃねーよ!!」
「く・・・苦しいよぉ・・・」
そろそろ離してあげないとグンマの顔がどんどん青くなっていきます。しかしとりあえず若返り薬入りクッキーは吐き出したといえ(吐いたんかい)、そんな薬盛られてたシンタローは気にせず怒りまくる。
「第一なぁ!――――――――――う!?」
「わっ!」
ドスン!
「~~~・・・・・・痛い~~~~~!」
シンタローは突然苦しそな声を出し、グンマから手を離した。
当の本人は揺さぶり+ちょっと首絞めから解放されたがそのまま重力にしたがって後方に身体が崩れ、
強く尻餅をつく。
身体が疼き、熱くなる。身体が変化していくのが分かる。
「うぐっ!!」
ボンッ
「うわぁ!!」
「シンちゃん!?」
煙が立ち、シンタローを乳白色の煙が包む。
―――若返り!!??今若返ったらどうなるんだ!?
未だ苦しい意識の中、嫌な事ばかりが頭を過ぎる。次第にシンタローを包み込んでいた煙が晴れていく。
「けほっけほっ」
シンタローのものだろうが、やけに高い声(咳)。次第に明確に現れるシンタローの姿にグンマは目を丸くした。
一瞬分からなかったがどうやら実験は、
「あ、失敗しちゃったみたい」
あっけらかんとした感想。しかしその手にはノートと思しきものが。それに研究結果を書いている。
流石高松の背を見て育っただけあって同じ事をしている。あくまでマイペースなグンちゃん。
「こぉおおおらぁぁ!!!呑気に研究結果書いてんじゃねー!!――――――――・・・ん?何か俺の声・・・」
「若返りのは失敗しちゃったケド」
はい、と手渡された手鏡で己の姿を繁々と見つめる。少なくとも若返ってはいないが、これは―――――。
「何だよこりゃ~~~~~!!!???」
己の変わり果てた?姿を見て絶叫するシンタローは見事におチビちゃんになってしまって―――はいない。
よく通る声はボーイソプラノではなくアルト。余裕のできた総帥服の上からでは分かり難いが、顔がやや特有の丸みを帯びている。そして決定的に今までと違うのは、見事なまでの胸の膨らみ・・・・・・だった。
「うわあぁぁああああああぁああっ!!!!!!!!!」
「シンちゃん、女の人になっちゃったみたい」
「誰の所為でこうなったと思ってるんだよ!!」
その前にシンタローに使用したのは『若返りの薬』ではなかったか・・・。
と、いう訳でマジックに相談するのは色んな意味で怖いので信頼を置けるサービスに相談した。
グンマに元に戻る薬を作らせようとしたが、
「解毒剤?まだ作ってないよ?これからv」
一発頭のてっぺんをグーで殴った。・・・ってか毒だったんかい。
サービスの部屋には部屋の主以外には、当たり前のようにいるジャン、被害者シンタロー、タンコブが出来て
ピーピー泣いている容疑者(笑)・グンマ、呆れたような瞳で泣いている従兄弟を見やるキンタロー、
そして科学のことなら(本人曰く)おまかせな高松の計六名。
「そう言えば昔もこんな事があったな」
「え?」
あの時の事は思い出したくないと言う高松を無視してサービスが話すには、
シンタローが六歳の頃誤って高松特製『歳増やしの薬』を飲んでしまい、
その解毒剤を作らせ飲んだが副作用なのか女体化した事があると言うのだ。(『薬でドキドキ!!』参照)
ちなみにグンマもシンタローも忘れていて記憶に留めてはいないらしい。
グンマの見つけた『若返りの薬』レポートは、
その時失敗して出来た『女体化の薬』が書き記されているものであった。
「ドクターの所為かぁ!!!!!!!」
「うわっ!落ち着いて下さいシンタローちゃん!」
「ちゃんて何だ!ちゃんって!」
「・・・とりあえず落ち着け、シンタロー」
ぐいっ
「うわっ!」
いきなりキンタローの腕の中に抱きこまれた。
「なっ・・・」
「落ち着いたか?」
「!!??何すんだよ突然!」
離れようと身を思いっきり捩るが筋力が著しく低下した為ビクともしない。
「と、とにかく離せ/////!!」
「離した途端暴れるだろ」
「暴れんから離してくれ//////!!」
気のせいか名残惜しげに手を離すキンタロー。
何故だか妙にドキドキしている鼓動を沈めようと努めるシンタロー。
―――女の身体だとなんかな・・・意識しちまうってゆーか・・・。って!俺にはソッチの趣味はねーけど・・・。
色んな意味で深ぁ~~~い溜息が出てしまう。
「よーするに俺が女体化したのは今回が初めてって事じゃないって事かよ・・・」
ガックリと項垂れるシンタロー。
どうしようか相談に来たのに嫌な過去を掘り起こされてしまい、余計落ち込んだ。
しかし不幸は不幸なヤツのところにやってくるというもので、一難去らずにまた難はやってくる・・・・・・。
バンッ!
ノックもせずに入室してくるサービスの双子の兄。
「サービスあのよぉ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う・・・?」
最初こそ最愛の弟に向けられた視線だが、
語尾ら辺は真っ赤なブレザーを余裕そうに着込んだ女性に向けられた。
がしっ
「へ?」
小脇に抱えられたシンタローが間抜けな声を出す。
「この姉ちゃん頂いてくぜ!」
「「「「待て」」」」
全員(―シンタロー)の声が見事にハモる。
いきなり抱えられたシンタローは状況把握が出来なかったので反応が遅れた。
「勝手に持っていくんじゃない。ハーレム」
「んだよ。サービスにはジャンがいるだろ」
正直ハーレムとジャンの仲がいいのはかなり気に喰わないが、幾ら言っても無駄。
近頃は内心穏やかとは言い難いが諦めている。サービスが顔色一つ変えずに双子の兄に注意する。
「彼女は・・・・・・・信じられないかもしれないが・・・・・・・・シンタローなんだよ」
「ほー、どおりでそっくりだな」
じぃ~~~~~~~~~~・・・
暫し目踏みでもするかのように女体化シンタローを凝視する。
「まあいいか、とりあえず貰ってくぜ」
「ふっざけんな!降ろせ離せ―――!!」
ジタバタ暴れるが、先程キンタローに抱き込まれたと同じ、ビクともしない。
「いかんなァ、女性がそんな言葉使いしたらぁ」
「うっせー!」
「兄貴がお前のこ~んな姿見たらどう思うかねぇ~~~」
「う゛っ!!」
ピタリ途端石化。
「だから一時かくまってやろってんじゃねーか。俺ってば親切v」
「嘘付け!」
「お前、いつまでもそんなブカブカな服着てる訳にもいかねーだろ。服用意してやるから黙って来い!」
確かに自分を嫌っている(と、シンタローは思っている)ハーレムが自分を襲う訳ないかと思案する。
言葉に嘘はなさそうだし。
確かにこの総帥服のみならず他の普段着でもぶかぶかであろう。当たり前だが女物の服など持っていないし。
何故に自分に対して親切心を起こしたのか知れないがマジックに見つかるよりはマシだろう。
見つかったなら最後、とんでもない服を着せられそうだ。まさか犬猿の仲の二人なのに、シンタローがハーレムの部屋に居るとは考えないだろうし。貸しを作るのは嫌だが、結局シンタローの身柄はハーレムへと渡された。
サービスとハーレムの部屋はそう離れていないのでマジックや重幹部には見つからずに済んだ。
さっき総帥室からサービスのいる部屋まではかなりの距離だったので、
今となってはよく見つからなかったものだと冷や冷やする。
ハーレムの部屋はサービスの部屋より少々成金趣味っぽい部屋だったが、
それでもマジックの私室よりは数段落ち着いている。
―――そう言えばハーレムの部屋って初めて入ったよなぁ・・・。
仲があまり良くなかった所為だろう。サービスの部屋には小さな頃から出入りしていたが。
きょろきょろと物珍しそうに室内に目をやっていた所為だろう。イキナリ投げ寄こされた服に気付かなかった。
ばさっ
「うわっっぷ!」
「それ着ろ」
ぶっきらぼうな口調で投げ寄こされた服を顔から剥がす。
「悪いな」
「いいからさっさと脱衣所で着替えて来い」
頷いて脱衣所の方へ早足でかけて行った。
その背中を見たハーレムの笑みは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かなり邪悪に満ち溢れていた。
―――甘いな。ぱっと見分からねえがその服は・・・。
やっぱりハーレムはハーレムだったと言う事か。
数分後。
「何だ・・・・・この服・・・・・・」
脱衣所から着替えて出てきたシンタローの顔は恨めしげに叔父を見据えていた。
握り拳がわなわな震えていて今にも殴りかからんとでもしそうである。
「女性総帥服」
「こんなに露出度高いのかよ!!」
びしっ!と自分の胸を指差す。ベージュを基本色としたハーレム曰く“女性総帥服”はスリットがかなり深く
襟元からは胸が大きく開いている、露出度がおもいっきり高い服であった。
「ジャージ系でいい!」
身体は女になろうとも心は男なのだ、まさに気分は女装。そんな趣味はシンタローには更々ない。
「折角俺様が用意してやったんだぞ!!!それを礼はともかく出てくる言葉が文句かよ」
「~~~~~~~~~~~・・・・!!??・・・そう言えば何で女になった俺の体型が分かったんだよ」
「グンマと女になったテメエがコソコソサービスの部屋に向かっているを見たんだよ。
一目見りゃぁ大体分かるぜ」
「!!??」
ドサッ・・・
そう言うが早いか、ハーレムはシンタローをベッドへと押し倒した。
二人分の体重を受けてスプリンクラーが鳴る。
実はもう少し言えば、
グンマが見つけた『若返りの薬』の作り方が記されていたレポートを第三研究室に置いたのはこの男。
シンタローが六歳の頃、
青年化したり女体化したりした事はその頃マジックやサービスから聞いていて知っていた。
当時は特に興味のある話題でもなかったが、今回偶然高松に用があって訪れた研究室で見つけた当時の
レポートを発見し、これをグンマやキンタロー、ジャンなどがよく出入りする第三研究室にでも置いておけば、
そのうちの誰かが興味を持って作るかもしれない。
そしたら毒見として選ばれるのはまずシンタロー。
本当にグンマが作っている事を知り、どうなる事かと見ていたが、
見事『若返りの薬』は女体化の効果をシンタローに発揮。
サービスの所へコソコソの身を寄せようとしているシンタロー(+たんこぶつくって泣きべそかいてるグンマ)を
見、まるでサービスに用があるかの如く何食わぬ顔をし、女体化してしまったシンタロー目的でサービスの
部屋へ。そして自分の部屋へ誘導する。つまり確信犯だったのである。
当初の予想通り、女性になったシンタローはハーレム好みのイイ女だった。
脂肪など元々付かず、引き締まった筋肉は薄れ丸みを帯びながらもほっそりした肢体、すらっと伸びた手足、女性特有の色気に満ち、そして男の時には無かった柔らかい豊満な胸。
それをハーレムが突然鷲掴みした。
途端漏れる声。
「うぁ・・・っ」
「ふぅむ・・・・・・。感度はなかなか・・・」
「やめろっ」
抵抗するがやはりハーレムにはノーダメージだ。暴れれば暴れるほど男の加虐心を高めるだけ。
ニヤニヤとした笑いを濃くし、唇を耳の裏に寄せて囁く。
「こんな状況になってやめられると思うか?折角女になったんだ。覚悟決めな」
「出来るか!―――ふぅ、んっ」
どんなに吼えても妖しい指使いに息が荒くなり、それ以上言葉を紡げなくなる。
―――嘘だろおおぉぉおおおっっ!!!???サービス叔父さん!グンマ!キンタロー!ジャン!
誰でもいいから誰か!!ヘルプ・ミー!!!!!!!!!!!!
このままではハーレムに犯される!心の中でシンタローは大泣きして助けを求めた。
その切なる願いが聞き届けられたのであろうか。
どっか~~~~~~~~~~~~~~~~~~~んっっっ
「そこまでだよ、ハーレム」
「兄貴ぃ!!??」
「親父!!??」
眼魔砲ぶっ放し、ヤレヤレとした口調で男女が濃厚に絡み合っているベッドに歩み寄ってくるマジック。
「サービスから連絡が入ってね。まさかと思って来てみれば・・・、サービスの言った通り、グラマーな美人さんvになったシンちゃんを攫おうとしている実の弟の姿が目の前に、か・・・」
軽い口調に笑顔だが、目と声色は怒ってまぁ~~~~すと言う事をしっかりと伝えていた。
「覚悟はいいね?ハーレムv」
「オイ!兄貴!!何だその構えは!やめんかー!」
「大丈夫vシンちゃんには当たらないようにするからvv」
「全然大丈夫じゃねぇえええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
獅子舞の必死の咆哮虚しく、ハーレムは慢心の力が込められた眼魔砲をプレゼントされた。
ちなみにシンタローはと言えば、無傷で済んでめでたしめでたしv
「ちっともめでたくねぇええぇぇええっっっ!!!!!!」
「シンちゃぁ~~~んvv今夜は寝かせないぞv」
マジックに見事拉致られたとかなんとか。
END♪
★あとがき★
ひさか様より頂きましたWシンちゃんの女体化イラストの返礼小説です♪とは言え、また妖のツボを突きまくりのイラストを7枚も頂いてしましまいましたが(笑)大感謝でございますぅ!!ひそか様(*^0^*)/一時裏行きになりそうになりましたよ(またか)。攻キャラは特に指定なしだったので、総受にしましたvええと、CPとしてはハレシンとマジシン。それから実はキンシンもちこっと・・・。これは賛否激しそうですが。普通キングンが多いですから。でも好きなんですよ~vこのCPもvv
あ、サビジャンが入ったのは妖の趣味です(笑)
(2003・5・3)
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くのいちDebut マンスリーマンション 中途採用 SEO対策
宇宙船を作るー!と張り切っているジャン。それに手伝わされているのはグンマとキンタローだ。
高松は色々な事を想像して止めにかかったが、グンマは
「面白そーv」
とヤル気満々。少々今までの研究にマンネリを感じていたところだったのだ。
キンタローは別に乗り気ではなかったのだが、それは何に対してもであって、グンマがしつこく
「キンちゃんもやろー。ねー、やろーよーぉ」
と誘うのでまあいいかと。
同い年とは言え、どうもキンタローにはグンマが手のかかる弟のような存在に感じていたので、
心配な兄弟心もあって同意したのだが。
「あれ・・・、これ何の研究レポートだろう?知ってる?キンちゃん」
「俺よりお前の方がこの施設に居るのは長いだろう」
呆れたような視線を送られるとグッと詰まってしまう。
ちなみに二人が居るのは昔高松が使っていた第三研究所。
ジャンやキンタローまで科学の道に進むという事で研究室の増築が決定された。
それでまだ科学者としては未熟ながら期待あるジャン、キンタローにも研究室が一室ずつ支給され、
三人が宇宙船“ノア”を作ると決定した時、新たにこの第三研究室も与えられた。
ちなみにグンマは既に科学研究には浸かっていたのでちゃんと元から研究室(第六研究室)がある。
「あれ・・・」
「どうした?」
「こんなレポートあったっけ?」
グンマは一番小さいディスクの上に置き去りにされている埃臭い紙の束を見つけた。
ホチキスで止められたとても古いのだろう、かなり保存状態の悪い六ページ分のレポートである。
ここはジャン、キンタローそしてグンマしか使っていない筈。少なくとも自分のレポートではない。
キンタローに問うと知らないと首を左右に振る。とりあえずぱらぱらと中身を捲ってみる。
どうやら何かの薬の作り方らしい。となると、“ノア”作りに夢中のジャンのでもなさそうだ。
興味深げに読みにくいレポート内容を読んでいたグンマだったが、
満足したようにレポートを胸に抱えてキンタローに向き直った。
「よし、これ作ってみようv」
「即決だな。大丈夫か?」
「まっかせて!一度新薬って作ってみたかったし!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
聞いたのはそういう意味ではなく、ちゃんと薬を作れるのかという事だったのだが。
しかし(グンマに対しては)あまり深く追求しない性質なので、まあいいかとその場は流した・・・・・・・・・・・・のが全ての始まりだった・・・・・・。
「どうしたんだ、グンマ。ちっとも“ノア”作りに参加してくれてないけど」
ジャンが不思議そうに問う。白衣姿が意外と様になっている。
キンタローも白衣姿で、カルテらしきものに目を向けたまま答える。
「ああ、何でも『新薬を作る練習するんだー♪』とか言って自分の研究室に篭りっきりだ」
「ふー・・・ん・・・(何か、今のグンマの物真似・・・めちゃくちゃ似てて怖い;)」
「で、何を作っているんだグンマは」
「うっわ!!サービス!」
そこには見目麗しきグンマ&キンタローの叔父が、まるでずっと居たように佇んでいた。
「何でここに・・・」
「ちょっとジャンに用があったんだ。で、グンマは何を作っているのだ、キンタロー」
「知らん」
即答。
「そうか」
「ってオイ!何あっさり納得してんだよ!何か危ない薬でも作ってたらどうすんだよ!?」
「大丈夫だろう。多分な」
マイペースな親友にガックリと肩を落す。付き合いは長いが未だに分からないところだらけな男である。
「そんな事よりジャンに用とは何だ」
“そんな事”と片付けてもいいのかキンタロー。
そう気にするのはジャンだけで、相も変わらず美貌の叔父様は顔色一つ変えず用件を切り出す。
「ジャンに今朝言い忘れた事があってな」
「何?」
「昨晩うっかりお前の背中にキスマークを付けてしまってな。だから人前で服を脱がない方が良いと思」
「うわあああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!
こ、子どもの前でその話すんなよぉ――――――――/////////////////!!!!」
ムッとして子どもではないと主張するキンタローは何故かサービスの爆弾発言を全く気にしていなかった。
どうやらこの二人仲はガンマ団では公認らしい。
ちなみにいつもは美貌の叔父様は薄着を好むジャンが嫌がる為、キスマークはつけないで上げているらしい。
(テクニシャンだねv)
一方、こちらは第115研究室ではやっぱり白衣を纏ったグンマが先程のレポートを元に、
『クッキー』を焼いていた。
「出~来たv『若返りの薬入りクッキー!』。かなり時間掛かっちゃったケド」
若返り薬入りクッキーは、それはもう見た目も美味しそうに焼きあがっていた。
グンマは満足そうに天使な笑顔で恐ろしい事を呟く。
「え~~と、誰に試食してもらおうかなー?」
やっぱり高松の教え子である。立派に師匠?と同じく、何のためらいもなく人様を実験台にしようとしている。
可愛く(若返りの薬入り)クッキーをラッピングしながら誰が適任か思案していた。
「滅多な事では死ななそうな人と言えば・・・」
う~~~~~んと唸っていたのは極僅かな時間。ポンッと手を叩き、にぱっvと邪気のない笑顔で微笑む。
「シンちゃんにあげようv」
・・・今回の生贄もやっぱりシンタローだった。
ここは総帥室。日がな一日、新総帥のシンタローはここでデスクワークを行なう。
まだ総帥職務に慣れなく、今も今とて書類処理にスッタモンダ中である。
しかしまだ戦闘の感は失ってはいない。間違いなく遠くからだがこちらに向かってくる足音が耳に響いてくるのをキャッチした。こういうパターンなら息子ラブvのマジックだが、この気配はマジックに似ていて全く違うもの。
ドタドタドタ・・・
子供のように廊下を走ってきた青年は確かに総帥室に向かっていた。
バッタ~~~~~~~~~~~~~~ン!!!!!!!!!!!!
勢いよく総帥室の扉が開かれ、やけに上機嫌なボーイソプラノが響いた。
驚く事もなくシンタローは声の主に視線を向ける。
「シンちゃん♪」
「グンマ、どうした?」
「あのねvクッキー作ったから食べて欲しいんだ♪もうすぐおやつの時間でしょ?」
「・・・もう【おやつの時間】を設ける歳でもないんだが・・・それに俺あんまり甘いものは・・・」
28にもなってなって【おやつの時間】を設けているのはお前だけだ。とシンタローは思った。
「大丈夫♪甘さ控えめだし。いっぱい作っちゃったから食べてねv」
そうまで言われて断れるはずもない。まあ、控えめなら甘いものも好きだし丁度小腹も空いてきたところだ。
「んじゃイタダキマス」
「どうぞv」
一口含む。あの『若返り』入りのクッキーを・・・。
どうなるかなー♪とワクワクしながら目の前の男を楽しそうに観察するグンマの瞳には、全く邪気はなかった。
しかしやってる事は邪悪そのものである。
「結構美味いな」
素直な感想だ。何だかんだ言いながら次々と口に運んでいく。それを聞いてグンマは嬉しそうに返答した。
「でしょ~v隠し味に若返りの薬入れたしv」
「ふ~~~ん・・・若返りの薬入りの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って・・・・・・・何だって・・・?
若返りの薬・・・?」
「うんvシンちゃんに実験台になってもらおうと思ってvv」
「・・・・・・・・・・・――――!!??」
ガタンッ!!
いきなり立ち上がったシンタローは真っ青な顔で洗面所へ走っていった。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダジャ――――――――――
その後聞こえた水音。
「どうしんだろ。吐いちゃった?」
「グ~~~~~ン~~~~~マ~~~~~~~」
ごしごしと力なくタオルで口元を拭うシンタローの声色はかなり低い。要するに怒ってまぁ~~すという雰囲気が漂っていた。
ぐいっ
「わぁ!」
「俺の歳を減らしてどないっすーんじゃ~~~~~~~~!!」
グンマの胸倉を掴んでガクガクと揺さぶり尋問する。頭にはデカデカと怒りマークが浮かんでいた。
流石のグンマも引き気味で答える。揺さぶられながら。
答えようにも上手く喋れなく、途切れ途切れに何とか返答する。
「実、け・・・んだ・・・に、シンちゃ・・・がいっ、かなぁ・・・ぁって思っ・・・だけ・・・よぉ~」
「何が『いいかな~』だ!従兄を弟実験台に使おうとか思ってんじゃねーよ!!」
「く・・・苦しいよぉ・・・」
そろそろ離してあげないとグンマの顔がどんどん青くなっていきます。しかしとりあえず若返り薬入りクッキーは吐き出したといえ(吐いたんかい)、そんな薬盛られてたシンタローは気にせず怒りまくる。
「第一なぁ!――――――――――う!?」
「わっ!」
ドスン!
「~~~・・・・・・痛い~~~~~!」
シンタローは突然苦しそな声を出し、グンマから手を離した。
当の本人は揺さぶり+ちょっと首絞めから解放されたがそのまま重力にしたがって後方に身体が崩れ、
強く尻餅をつく。
身体が疼き、熱くなる。身体が変化していくのが分かる。
「うぐっ!!」
ボンッ
「うわぁ!!」
「シンちゃん!?」
煙が立ち、シンタローを乳白色の煙が包む。
―――若返り!!??今若返ったらどうなるんだ!?
未だ苦しい意識の中、嫌な事ばかりが頭を過ぎる。次第にシンタローを包み込んでいた煙が晴れていく。
「けほっけほっ」
シンタローのものだろうが、やけに高い声(咳)。次第に明確に現れるシンタローの姿にグンマは目を丸くした。
一瞬分からなかったがどうやら実験は、
「あ、失敗しちゃったみたい」
あっけらかんとした感想。しかしその手にはノートと思しきものが。それに研究結果を書いている。
流石高松の背を見て育っただけあって同じ事をしている。あくまでマイペースなグンちゃん。
「こぉおおおらぁぁ!!!呑気に研究結果書いてんじゃねー!!――――――――・・・ん?何か俺の声・・・」
「若返りのは失敗しちゃったケド」
はい、と手渡された手鏡で己の姿を繁々と見つめる。少なくとも若返ってはいないが、これは―――――。
「何だよこりゃ~~~~~!!!???」
己の変わり果てた?姿を見て絶叫するシンタローは見事におチビちゃんになってしまって―――はいない。
よく通る声はボーイソプラノではなくアルト。余裕のできた総帥服の上からでは分かり難いが、顔がやや特有の丸みを帯びている。そして決定的に今までと違うのは、見事なまでの胸の膨らみ・・・・・・だった。
「うわあぁぁああああああぁああっ!!!!!!!!!」
「シンちゃん、女の人になっちゃったみたい」
「誰の所為でこうなったと思ってるんだよ!!」
その前にシンタローに使用したのは『若返りの薬』ではなかったか・・・。
と、いう訳でマジックに相談するのは色んな意味で怖いので信頼を置けるサービスに相談した。
グンマに元に戻る薬を作らせようとしたが、
「解毒剤?まだ作ってないよ?これからv」
一発頭のてっぺんをグーで殴った。・・・ってか毒だったんかい。
サービスの部屋には部屋の主以外には、当たり前のようにいるジャン、被害者シンタロー、タンコブが出来て
ピーピー泣いている容疑者(笑)・グンマ、呆れたような瞳で泣いている従兄弟を見やるキンタロー、
そして科学のことなら(本人曰く)おまかせな高松の計六名。
「そう言えば昔もこんな事があったな」
「え?」
あの時の事は思い出したくないと言う高松を無視してサービスが話すには、
シンタローが六歳の頃誤って高松特製『歳増やしの薬』を飲んでしまい、
その解毒剤を作らせ飲んだが副作用なのか女体化した事があると言うのだ。(『薬でドキドキ!!』参照)
ちなみにグンマもシンタローも忘れていて記憶に留めてはいないらしい。
グンマの見つけた『若返りの薬』レポートは、
その時失敗して出来た『女体化の薬』が書き記されているものであった。
「ドクターの所為かぁ!!!!!!!」
「うわっ!落ち着いて下さいシンタローちゃん!」
「ちゃんて何だ!ちゃんって!」
「・・・とりあえず落ち着け、シンタロー」
ぐいっ
「うわっ!」
いきなりキンタローの腕の中に抱きこまれた。
「なっ・・・」
「落ち着いたか?」
「!!??何すんだよ突然!」
離れようと身を思いっきり捩るが筋力が著しく低下した為ビクともしない。
「と、とにかく離せ/////!!」
「離した途端暴れるだろ」
「暴れんから離してくれ//////!!」
気のせいか名残惜しげに手を離すキンタロー。
何故だか妙にドキドキしている鼓動を沈めようと努めるシンタロー。
―――女の身体だとなんかな・・・意識しちまうってゆーか・・・。って!俺にはソッチの趣味はねーけど・・・。
色んな意味で深ぁ~~~い溜息が出てしまう。
「よーするに俺が女体化したのは今回が初めてって事じゃないって事かよ・・・」
ガックリと項垂れるシンタロー。
どうしようか相談に来たのに嫌な過去を掘り起こされてしまい、余計落ち込んだ。
しかし不幸は不幸なヤツのところにやってくるというもので、一難去らずにまた難はやってくる・・・・・・。
バンッ!
ノックもせずに入室してくるサービスの双子の兄。
「サービスあのよぉ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う・・・?」
最初こそ最愛の弟に向けられた視線だが、
語尾ら辺は真っ赤なブレザーを余裕そうに着込んだ女性に向けられた。
がしっ
「へ?」
小脇に抱えられたシンタローが間抜けな声を出す。
「この姉ちゃん頂いてくぜ!」
「「「「待て」」」」
全員(―シンタロー)の声が見事にハモる。
いきなり抱えられたシンタローは状況把握が出来なかったので反応が遅れた。
「勝手に持っていくんじゃない。ハーレム」
「んだよ。サービスにはジャンがいるだろ」
正直ハーレムとジャンの仲がいいのはかなり気に喰わないが、幾ら言っても無駄。
近頃は内心穏やかとは言い難いが諦めている。サービスが顔色一つ変えずに双子の兄に注意する。
「彼女は・・・・・・・信じられないかもしれないが・・・・・・・・シンタローなんだよ」
「ほー、どおりでそっくりだな」
じぃ~~~~~~~~~~・・・
暫し目踏みでもするかのように女体化シンタローを凝視する。
「まあいいか、とりあえず貰ってくぜ」
「ふっざけんな!降ろせ離せ―――!!」
ジタバタ暴れるが、先程キンタローに抱き込まれたと同じ、ビクともしない。
「いかんなァ、女性がそんな言葉使いしたらぁ」
「うっせー!」
「兄貴がお前のこ~んな姿見たらどう思うかねぇ~~~」
「う゛っ!!」
ピタリ途端石化。
「だから一時かくまってやろってんじゃねーか。俺ってば親切v」
「嘘付け!」
「お前、いつまでもそんなブカブカな服着てる訳にもいかねーだろ。服用意してやるから黙って来い!」
確かに自分を嫌っている(と、シンタローは思っている)ハーレムが自分を襲う訳ないかと思案する。
言葉に嘘はなさそうだし。
確かにこの総帥服のみならず他の普段着でもぶかぶかであろう。当たり前だが女物の服など持っていないし。
何故に自分に対して親切心を起こしたのか知れないがマジックに見つかるよりはマシだろう。
見つかったなら最後、とんでもない服を着せられそうだ。まさか犬猿の仲の二人なのに、シンタローがハーレムの部屋に居るとは考えないだろうし。貸しを作るのは嫌だが、結局シンタローの身柄はハーレムへと渡された。
サービスとハーレムの部屋はそう離れていないのでマジックや重幹部には見つからずに済んだ。
さっき総帥室からサービスのいる部屋まではかなりの距離だったので、
今となってはよく見つからなかったものだと冷や冷やする。
ハーレムの部屋はサービスの部屋より少々成金趣味っぽい部屋だったが、
それでもマジックの私室よりは数段落ち着いている。
―――そう言えばハーレムの部屋って初めて入ったよなぁ・・・。
仲があまり良くなかった所為だろう。サービスの部屋には小さな頃から出入りしていたが。
きょろきょろと物珍しそうに室内に目をやっていた所為だろう。イキナリ投げ寄こされた服に気付かなかった。
ばさっ
「うわっっぷ!」
「それ着ろ」
ぶっきらぼうな口調で投げ寄こされた服を顔から剥がす。
「悪いな」
「いいからさっさと脱衣所で着替えて来い」
頷いて脱衣所の方へ早足でかけて行った。
その背中を見たハーレムの笑みは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かなり邪悪に満ち溢れていた。
―――甘いな。ぱっと見分からねえがその服は・・・。
やっぱりハーレムはハーレムだったと言う事か。
数分後。
「何だ・・・・・この服・・・・・・」
脱衣所から着替えて出てきたシンタローの顔は恨めしげに叔父を見据えていた。
握り拳がわなわな震えていて今にも殴りかからんとでもしそうである。
「女性総帥服」
「こんなに露出度高いのかよ!!」
びしっ!と自分の胸を指差す。ベージュを基本色としたハーレム曰く“女性総帥服”はスリットがかなり深く
襟元からは胸が大きく開いている、露出度がおもいっきり高い服であった。
「ジャージ系でいい!」
身体は女になろうとも心は男なのだ、まさに気分は女装。そんな趣味はシンタローには更々ない。
「折角俺様が用意してやったんだぞ!!!それを礼はともかく出てくる言葉が文句かよ」
「~~~~~~~~~~~・・・・!!??・・・そう言えば何で女になった俺の体型が分かったんだよ」
「グンマと女になったテメエがコソコソサービスの部屋に向かっているを見たんだよ。
一目見りゃぁ大体分かるぜ」
「!!??」
ドサッ・・・
そう言うが早いか、ハーレムはシンタローをベッドへと押し倒した。
二人分の体重を受けてスプリンクラーが鳴る。
実はもう少し言えば、
グンマが見つけた『若返りの薬』の作り方が記されていたレポートを第三研究室に置いたのはこの男。
シンタローが六歳の頃、
青年化したり女体化したりした事はその頃マジックやサービスから聞いていて知っていた。
当時は特に興味のある話題でもなかったが、今回偶然高松に用があって訪れた研究室で見つけた当時の
レポートを発見し、これをグンマやキンタロー、ジャンなどがよく出入りする第三研究室にでも置いておけば、
そのうちの誰かが興味を持って作るかもしれない。
そしたら毒見として選ばれるのはまずシンタロー。
本当にグンマが作っている事を知り、どうなる事かと見ていたが、
見事『若返りの薬』は女体化の効果をシンタローに発揮。
サービスの所へコソコソの身を寄せようとしているシンタロー(+たんこぶつくって泣きべそかいてるグンマ)を
見、まるでサービスに用があるかの如く何食わぬ顔をし、女体化してしまったシンタロー目的でサービスの
部屋へ。そして自分の部屋へ誘導する。つまり確信犯だったのである。
当初の予想通り、女性になったシンタローはハーレム好みのイイ女だった。
脂肪など元々付かず、引き締まった筋肉は薄れ丸みを帯びながらもほっそりした肢体、すらっと伸びた手足、女性特有の色気に満ち、そして男の時には無かった柔らかい豊満な胸。
それをハーレムが突然鷲掴みした。
途端漏れる声。
「うぁ・・・っ」
「ふぅむ・・・・・・。感度はなかなか・・・」
「やめろっ」
抵抗するがやはりハーレムにはノーダメージだ。暴れれば暴れるほど男の加虐心を高めるだけ。
ニヤニヤとした笑いを濃くし、唇を耳の裏に寄せて囁く。
「こんな状況になってやめられると思うか?折角女になったんだ。覚悟決めな」
「出来るか!―――ふぅ、んっ」
どんなに吼えても妖しい指使いに息が荒くなり、それ以上言葉を紡げなくなる。
―――嘘だろおおぉぉおおおっっ!!!???サービス叔父さん!グンマ!キンタロー!ジャン!
誰でもいいから誰か!!ヘルプ・ミー!!!!!!!!!!!!
このままではハーレムに犯される!心の中でシンタローは大泣きして助けを求めた。
その切なる願いが聞き届けられたのであろうか。
どっか~~~~~~~~~~~~~~~~~~~んっっっ
「そこまでだよ、ハーレム」
「兄貴ぃ!!??」
「親父!!??」
眼魔砲ぶっ放し、ヤレヤレとした口調で男女が濃厚に絡み合っているベッドに歩み寄ってくるマジック。
「サービスから連絡が入ってね。まさかと思って来てみれば・・・、サービスの言った通り、グラマーな美人さんvになったシンちゃんを攫おうとしている実の弟の姿が目の前に、か・・・」
軽い口調に笑顔だが、目と声色は怒ってまぁ~~~~すと言う事をしっかりと伝えていた。
「覚悟はいいね?ハーレムv」
「オイ!兄貴!!何だその構えは!やめんかー!」
「大丈夫vシンちゃんには当たらないようにするからvv」
「全然大丈夫じゃねぇえええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
獅子舞の必死の咆哮虚しく、ハーレムは慢心の力が込められた眼魔砲をプレゼントされた。
ちなみにシンタローはと言えば、無傷で済んでめでたしめでたしv
「ちっともめでたくねぇええぇぇええっっっ!!!!!!」
「シンちゃぁ~~~んvv今夜は寝かせないぞv」
マジックに見事拉致られたとかなんとか。
END♪
★あとがき★
ひさか様より頂きましたWシンちゃんの女体化イラストの返礼小説です♪とは言え、また妖のツボを突きまくりのイラストを7枚も頂いてしましまいましたが(笑)大感謝でございますぅ!!ひそか様(*^0^*)/一時裏行きになりそうになりましたよ(またか)。攻キャラは特に指定なしだったので、総受にしましたvええと、CPとしてはハレシンとマジシン。それから実はキンシンもちこっと・・・。これは賛否激しそうですが。普通キングンが多いですから。でも好きなんですよ~vこのCPもvv
あ、サビジャンが入ったのは妖の趣味です(笑)
(2003・5・3)
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