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「私はね、シンタローが好きなんだよ」

細められた目は、愛しいものをこれ以上無いというほどに慈しむ光を称えていた。


Father, I love you too.


「こぉのクソ親父!」

いつもならばこの後に盛大な爆発音が続くのだが、なぜか今日はその音が聞こえてこなかった。
不思議そうに首を傾げるマジックは、怒りを露にしている息子の頬にそっと触れてみる。
案の定、すぐに払われてしまったが。

「シンちゃん?そんなにカリカリしてると肌荒れるよ?」

普段ならば。
そう、普段ならば。
ここで又爆発音が響くはずなのだ。
それなのに今日は全然響かない。
マジックは困ってしまった。
かつては自分も着ていた真紅の総帥服を受け継いだ息子が珍しく怒りを抑えて、というよりもほぼ無視状態で唇を尖らせているだけなのだ。

「シーンちゃん」
「五月蝿い。俺は忙しいんだ、どっか行け。」
「パパ、泣くよ?」
「ここじゃないどこかで泣け」

一息吐いて書類を手に取ったシンタローの目にマジックはもう映らなかった。
わざとらしくハンカチを噛み締めて涙を流そうが無視だ。

「シンちゃんが冷たい…パパ、泣いてやるから!」
「もう、どっか行け」

そんな冷たい言葉と共に今日初めて響いた爆発音。
眼魔砲が躊躇なくマジックに向けて放たれた。
眼魔砲によって放り出される形になったマジックだが、彼は今日初めて向けられた息子の歪んだ愛情表現に満足気だったらしい。
マジックの姿が完全になくなってから、シンタローは眉を顰めてから書類を放り投げた。

「バッカじゃねーの、クソ親父」

あの男が挨拶代わりに好きだと言うのを止めない限り、好きだなんて、絶対に言ってやらない。
僅かにシンタローの口の端が持ち上げられた。

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