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【愚者】

シンタローは

あの子は
私に、理想を抱いてる部分があると思うんだ。

具体的に何て言えば良いのか。

難しいな。

シンタローにとって、私は。
生まれた時から「総帥」で。
きっと私なら何でもできるって
小さい頃からそう思っていて
多分今でも、私だったら‘親父だったらできるはずなのにオレは’とか
そんな事を考えたりする事もあるんじゃないかと思う。

だから、私はあの子の前では何でもできるスーパーマンでいたかった。

でも本当は全然、何もできなくて

壊したり失くしたりするばっかりで

私は本当に何も持ってない男なんだよ。と秘書の膝に頭を置きながら
そう呟いた。

これ以上ない位もう、あの子は私の醜い面を知っていて
それを知っても、尚、私の背中を追おうとする。
だからどんどん私は付け上がって、もっと最低になろうとする。
でもシンタローは、私を追うのをやめないんだ。

それが嬉しいんだ。私は。

だから、もっと、もっとって、これでもかって、ますます自分を穢して
あの子の気持ちを確認しようとする。

私が進むと、あの子も後ろにいて、一緒に歩いてやらないくせに
ちゃんとついて来ているか、目をやっていないと不安で、
あの子が、逆へ行こうとすると、必死で追いかけてしまうんだ。

熱いものがこみ上げて来て、口から声が毀れそうになり
咄嗟に抑えた。

シンタロー、ごめん。

シンタロー

大好きなんだ。

愛してる。

嘘だらけの私の世界で、これだけは真実で

好きで、好きで、たまらない。

触りたい。抱きしめたい。好きなんだよ。大好きなんだ。
でも、ちゃんと、どうしたら良いのか全然解からないんだ。

シンタローをどうしたいのか、
シンタローにどうして欲しいのか、
自分でもちっとも解からないんだよ。
ただ、お前が、私から離れて行こうとすると不安で死んでしまいたくなる。
それなのにこんな弱音すらお前の前で吐けなくて、
でも、自分の中だけに押し込めておける程強くもなくて
こんな、別の誰かに甘えて、吐き出して、
もう、私は、ぐちゃぐちゃだ。

ティラミスの手が頬に触れる。冷たくて心地よい。



そんなに



そんなに壊れそうになる程、



彼が好きですか、と尋ねられて



Yes,と答えた。
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