【ヤキモチ】
人ってーのは、いつもされている事を急に止められると気になるものだ。
なんで今こんな事を考えているのかと言えば隣にいる男が。
今日は。
2月14日だってーのにオレに何も言ってこないからで。
いつもなら毎年この時期になるとご自慢のお手製チョコレートケーキを用意して
オレに無理やり食わそうとするくせに。
もう夜の11時だってーのに何も言ってこない。
それどころか、椅子に寄りかかってぼうっと天井を眺めている。
此処はリビングで、オレと、グンマと、親父がいて
とっくに部屋に戻っても良い時間なんだが何となく、戻る気も起きなくて
オレは既に読み終えていた本にもう一度最初から目を通していた。
いつもおこぼれを貰っている、と言うかオレが貰ったチョコケーキのほとんどを食っているグンマが
痺れを切らして、‘バレンタインのデザートは?’とマジックに尋ねた。
あぁ、と気のない返事だ。用意するのを忘れた。とも言った。
グンマの驚いた声がリビング中に響き渡り、オレは言うと。
拍子抜けと言うか。別に食いたいとも思っていなかったが。
あぁ、あっそう。と心の中で呟いた。
グンマがしつこく何で何で~?と涙目になって訴えている。
オレも、理由ぐらいは聞いてやろうじゃねぇか。と耳を傾けていた。
「そんなにチョコレートが食べたかったら、後ろにあるの食べて良いよ。」
例のくっだらない活動でついたファンからの贈り物らしい、
確実に一人では食べきれない量のどっさりと山積みになっているチョコレートを
指差して、マジックは言った。そしてため息をうつ。明らかに様子がおかしかった。
グンマは嬉しそうにチョコの山へ。
箱を一つ、二つ物色してまた元の場所に戻る。
「何でそんなに元気ないの?何かあったの~?おとー様」
グンマはいきなり核心をついた質問を親父にぶつけた。
オマエじゃあるまいし、そんなにアッサリ吐くわけねーだろ。この男が。
と言おうとしたら、親父はあぁ、あのさぁ。どう思う?と返事をした。
「いつもはさ。この時期になるとね。ティラミスもチョコレートロマンスもくれるんだよ。
チョコレート。でもさ。
今年は何でか、ティラミスからは貰ってないんだよ。
いや。それならそれで良いんだけどさ。何で突然にそんな事するのかな。
そーゆーのってさぁ・・・なんか、ねぇ?嫌じゃない?」
その答えに、グンマは‘え~とぉ・・・’と言葉を濁し、オレは言葉を失った。
この男。何を言っとるんだ?
「おとー様は・・・欲しかったんだ?その、ティラミスから。」
「いや、欲しかったって言うかね?いつもされている事を急に止められるとなんか、ねぇ?
ちょっと・・・。あぁ、いいや、ごめん。何言ってるんだろうね。忘れて。」
‘ふーん・・・’と。グンマはもそもそとチョコを食う。
オレはと言えばこの目の前の男を殴ってやりたい気持ちでいっぱいだった。
何だ。そりゃ。
欲しかったのか。部下からのチョコが。
それで?いつもはくれるのに?今年はくれなかったから?それが気になって
オレへのチョコレートケーキが作れなかったって?へぇ~~~・・・ふーん・・・・あぁ、そう。
こんな事をこのオレがいる前で話すこの男の神経がまず信じられないっつーかなんっつーか。
どーゆーつもりでそーゆー事言ってるんだ?
それがいつもオレを好きだ好きだとほざいてる男の口にする事かよ。
大体オマエがそんなんだからオレはオマエのこと今いち信用できないって言うか解かっとんのかこの親父。
「へっえ~~・・・それはそれは・・・部下からチョコレート貰えなくて悲しかったんだオマエ?」
マジックは顔をはっとして、
「そう―――・・・なの、か・・・?」
ぶっつん、とオレの中の何かが 切れた。
それを素早く察知したらしいグンマは早々と部屋から脱出した。
オレの無言の圧力に、親父は‘な、なんで怒ってるの?’と焦り始める。
なんで怒ってるの?だと?
オマエって奴はオマエって奴はオマエって奴は・・・
そんな事もわかんねーのかよ!
オレが、オマエを、嫌いだとして。
じゃあ何で毎年食ってやってんのかって、考えたりしないのかよオマエは。
じゃあ何で文句言いながら、何だかんだ言って、オマエと、
オレがしたくなくてオマエがしたい事してると思ってるんだ。
そーゆーのも思いつかない程オマエはその、貰えなかったチョコで頭がいっぱいだったのかよ!!!
一気に捲くし立てた。
「シンちゃん・・・ひょっとして欲しかったの・・・?」
欲しいわけあるか!と威勢良く怒鳴った。
ぐいっと抱き寄せられて目いっぱい抵抗する。吹っ飛ばしてやろうかと思った。
だけど両腕を、物凄い力で握られて抗議しようと顔を上げたら思いの外、近かった。
そんなにパパのチョコが欲しかったのか・・・とうっとり言われる。
だから。
誰もンな事言ってねーだろーよ。
ただ、用意しないならしないで別に?特に食べたかったワケじゃないから構わないのに
その用意しなかった理由が気に入らないっつー話だろ!
思いっきり睨み付けて叫んだ。
「 素敵だね 」
「 つまり妬いてるんだ 」
目を閉じる事もできず口を、塞がれて、それに反論する事もできなかった。
―――このバカは。
ぶはっと、深いキスの息をする合間に口を離して‘何でオレが妬かなくちゃならない’と
怒鳴った。
「じゃあ、何で怒ってるの」
パパが、他の事で頭をいっぱいにして
それでオマエにチョコを用意しなかったのが、ムカつくんでしょう?
だからそんな顔してるんでしょ?妬いてるじゃないか。
ぶるぶると怒りで体が震えるのが解かった。
何で、コイツって、こんなに腹が立つ事ばっか言うんだ??
オレを苛つかせる天才じゃないのか!
「ホントに腹立つ男だなッツ!!」
力いっぱい罵声を浴びせる。
ホントに可愛い子だな、と笑われた。―――あぁ、もう、マジでムカつくったら。
人ってーのは、いつもされている事を急に止められると気になるものだ。
なんで今こんな事を考えているのかと言えば隣にいる男が。
今日は。
2月14日だってーのにオレに何も言ってこないからで。
いつもなら毎年この時期になるとご自慢のお手製チョコレートケーキを用意して
オレに無理やり食わそうとするくせに。
もう夜の11時だってーのに何も言ってこない。
それどころか、椅子に寄りかかってぼうっと天井を眺めている。
此処はリビングで、オレと、グンマと、親父がいて
とっくに部屋に戻っても良い時間なんだが何となく、戻る気も起きなくて
オレは既に読み終えていた本にもう一度最初から目を通していた。
いつもおこぼれを貰っている、と言うかオレが貰ったチョコケーキのほとんどを食っているグンマが
痺れを切らして、‘バレンタインのデザートは?’とマジックに尋ねた。
あぁ、と気のない返事だ。用意するのを忘れた。とも言った。
グンマの驚いた声がリビング中に響き渡り、オレは言うと。
拍子抜けと言うか。別に食いたいとも思っていなかったが。
あぁ、あっそう。と心の中で呟いた。
グンマがしつこく何で何で~?と涙目になって訴えている。
オレも、理由ぐらいは聞いてやろうじゃねぇか。と耳を傾けていた。
「そんなにチョコレートが食べたかったら、後ろにあるの食べて良いよ。」
例のくっだらない活動でついたファンからの贈り物らしい、
確実に一人では食べきれない量のどっさりと山積みになっているチョコレートを
指差して、マジックは言った。そしてため息をうつ。明らかに様子がおかしかった。
グンマは嬉しそうにチョコの山へ。
箱を一つ、二つ物色してまた元の場所に戻る。
「何でそんなに元気ないの?何かあったの~?おとー様」
グンマはいきなり核心をついた質問を親父にぶつけた。
オマエじゃあるまいし、そんなにアッサリ吐くわけねーだろ。この男が。
と言おうとしたら、親父はあぁ、あのさぁ。どう思う?と返事をした。
「いつもはさ。この時期になるとね。ティラミスもチョコレートロマンスもくれるんだよ。
チョコレート。でもさ。
今年は何でか、ティラミスからは貰ってないんだよ。
いや。それならそれで良いんだけどさ。何で突然にそんな事するのかな。
そーゆーのってさぁ・・・なんか、ねぇ?嫌じゃない?」
その答えに、グンマは‘え~とぉ・・・’と言葉を濁し、オレは言葉を失った。
この男。何を言っとるんだ?
「おとー様は・・・欲しかったんだ?その、ティラミスから。」
「いや、欲しかったって言うかね?いつもされている事を急に止められるとなんか、ねぇ?
ちょっと・・・。あぁ、いいや、ごめん。何言ってるんだろうね。忘れて。」
‘ふーん・・・’と。グンマはもそもそとチョコを食う。
オレはと言えばこの目の前の男を殴ってやりたい気持ちでいっぱいだった。
何だ。そりゃ。
欲しかったのか。部下からのチョコが。
それで?いつもはくれるのに?今年はくれなかったから?それが気になって
オレへのチョコレートケーキが作れなかったって?へぇ~~~・・・ふーん・・・・あぁ、そう。
こんな事をこのオレがいる前で話すこの男の神経がまず信じられないっつーかなんっつーか。
どーゆーつもりでそーゆー事言ってるんだ?
それがいつもオレを好きだ好きだとほざいてる男の口にする事かよ。
大体オマエがそんなんだからオレはオマエのこと今いち信用できないって言うか解かっとんのかこの親父。
「へっえ~~・・・それはそれは・・・部下からチョコレート貰えなくて悲しかったんだオマエ?」
マジックは顔をはっとして、
「そう―――・・・なの、か・・・?」
ぶっつん、とオレの中の何かが 切れた。
それを素早く察知したらしいグンマは早々と部屋から脱出した。
オレの無言の圧力に、親父は‘な、なんで怒ってるの?’と焦り始める。
なんで怒ってるの?だと?
オマエって奴はオマエって奴はオマエって奴は・・・
そんな事もわかんねーのかよ!
オレが、オマエを、嫌いだとして。
じゃあ何で毎年食ってやってんのかって、考えたりしないのかよオマエは。
じゃあ何で文句言いながら、何だかんだ言って、オマエと、
オレがしたくなくてオマエがしたい事してると思ってるんだ。
そーゆーのも思いつかない程オマエはその、貰えなかったチョコで頭がいっぱいだったのかよ!!!
一気に捲くし立てた。
「シンちゃん・・・ひょっとして欲しかったの・・・?」
欲しいわけあるか!と威勢良く怒鳴った。
ぐいっと抱き寄せられて目いっぱい抵抗する。吹っ飛ばしてやろうかと思った。
だけど両腕を、物凄い力で握られて抗議しようと顔を上げたら思いの外、近かった。
そんなにパパのチョコが欲しかったのか・・・とうっとり言われる。
だから。
誰もンな事言ってねーだろーよ。
ただ、用意しないならしないで別に?特に食べたかったワケじゃないから構わないのに
その用意しなかった理由が気に入らないっつー話だろ!
思いっきり睨み付けて叫んだ。
「 素敵だね 」
「 つまり妬いてるんだ 」
目を閉じる事もできず口を、塞がれて、それに反論する事もできなかった。
―――このバカは。
ぶはっと、深いキスの息をする合間に口を離して‘何でオレが妬かなくちゃならない’と
怒鳴った。
「じゃあ、何で怒ってるの」
パパが、他の事で頭をいっぱいにして
それでオマエにチョコを用意しなかったのが、ムカつくんでしょう?
だからそんな顔してるんでしょ?妬いてるじゃないか。
ぶるぶると怒りで体が震えるのが解かった。
何で、コイツって、こんなに腹が立つ事ばっか言うんだ??
オレを苛つかせる天才じゃないのか!
「ホントに腹立つ男だなッツ!!」
力いっぱい罵声を浴びせる。
ホントに可愛い子だな、と笑われた。―――あぁ、もう、マジでムカつくったら。
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