忍者ブログ
* admin *
[1152]  [1151]  [1150]  [1149]  [1148]  [1147]  [1146]  [1145]  [1144]  [1143]  [1142
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【まなざし】

愛されたいといつも願っているのに憎まれたいと望んでいるのも事実だ。

人間は、否、私って人間は
幸せだった事よりも苦しかった事の方が、より深く覚えていて
そう言った記憶は、一人になって目を瞑ると
まるで昨日の事のように脳裏に甦るんだ。

まず、初めに父のこと。

そして、すぐ下の弟の事。

ルーザーの事を思い出す度、自分も、死にたい。と思うようになる。
後を追いたくなるんだ。
でも、できるはずもがなくて今、こうして此処にいる。

そうしてそれから黒髪の彼を思い出して、
無性にシンタローに会いたくなるんだ。

あの南の島での事があって、もう一度彼に出会うまで、私は
彼の影をシンタローに求めているのではないかと思っていた。

けれど、そんな事は全くなくて

ただ、シンタローが好きだった。

シンタローと顔を合わせると抱きしめたくなる。と同時に
突き放したくなる。

まるで子供みたいな男だ。私は。

笑顔を見たいと思いながら、泣く顔も見たいなんて。
どうかしてる・・・

でも、お前が私の事で滅茶苦茶になって、可哀想になってる様子を見れたら
最高だと 私は思う。ぞくぞくするよ。

ソファに横たわっているところに上から毛布をかけられる。

その、腕を掴んだ。

シンタローだった。

「こんな所で寝るな」

「風邪なんか引いたら、迷惑なんだよ」

「もう良い年なんだから」

決まりの悪そうな、恥ずかしいような、そんな顔をして言うから
困った。

あぁ、

押し倒したい。

がむしゃらに抱いてしまいたくなる。

どうして、お前は、そんなに可愛い事をしちゃうんだよ。
相手が私だって、ちゃんと解かってるの。

私はね。シンタロー。
お前の事しか考えてないような、そんな酷い男なんだよ。

本当は、もっと、ちゃんと自分がしなきゃいけない事解かってるのに
でも一番に来るのはお前のことなんだよ。
頭では解かっているのにお前の事を真っ先に考えて、お前のために、動いちゃうんだ。

やめろって、
何度そう言われても私は、お前に触れたくて
そればかりを求めている。

だけど。

拒絶ばかりするくせに、何をされるか解かっているのに
それでもこんな風に私に近付くお前は、何を考えてるの。

馬鹿なんじゃないの。

それとも、こんな私が好きなの。

本当に可哀想で、そして、たまらなく愛しいと思う。

逃げる腰を両手で引き寄せて、何度目になるか解からない告白をした。
PR
BACK HOME NEXT
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
as
(06/27)
p
(02/26)
pp
(02/26)
mm
(02/26)
s2
(02/26)
ブログ内検索
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: ふらいんぐ All Rights Reserved