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gda
-Obstinate☆Love-



「くそ・・・っ!!あっ!まただ・・・あぁ~・・・・・・・・・止めだ止め!!」
耳障りなエラーを知らせる機械音に、シンタローは目の前の液晶のモニターを睨みつけると、持っていた書類と資料を机の上に投げ出し、その上にドカリと両足を投げ出した。
イライラと髪を掻きあげながら、頭の後ろで手を組み合わせて、壁にかけてある時計を見れば針は零時を指している。
どうにも仕事が進まない、出来たと思えばくだらない凡ミスをティラミスに指摘され・・・それが済んだと思えば、くだらない連中が騒ぎを起こす。
そして、今もシステムのエラー音が響く始末・・・。
やらなきゃいけないことは、山ずみなのに、一向に進まない。今日終わる予定の半分も終わってない。
どうにも気が散漫で・・・集中できない。
そんな自分が腹立たしくてしょうがないのに、そんなイライラを増幅させるかのような、親父の行動。
「なんだって言うんだ・・・」
腹から沸きたつような苛立ちに、投げ出した片方を上に振り上げると机に向かって、垂直に振り落とした。
にぶい音が静まり返った室内に響く。それと同時に正面のドアが開くと見知った人物が、やや呆れた表情で入ってきた。
「いい加減、物に当たるな。貴様のおかげでここ最近、備品代が跳ね上がってる。いくつ買い換えれば気が済むんだ」
しようがないやつだと、肩をすくめて溜息なんぞつく姿の雰囲気や仕草は・・・まさに瓜二つ。

嫌でも親父が思い出されて、それを忘却するかのようにシンタローは左右に顔を振った。
「うっせ・・・。ほっとけ」
ふんっと一つ鼻をならすと、頭の後ろで組んでいた手を離し、右肘を机の上に置いて頬杖をついくと、キンタローから顔を背けた。
その様子に苦笑すると、持っていた書類でシンタローの頭を軽く小突く。
「ここ2週間・・・随分、イライラしてるみたいじゃないか?」
そんなことねぇよ。とぶすっと言い放ち、頭の上に置かれた書類をキンタローからひったくると、ジロリと一瞥して再び頬杖をついた。
「原因は・・・あの子がマジック伯父貴のお付きになったからか?」
乱暴に書類をひったくられて、やれやれとため息をつくと、キンタローは手持ちぶさになった手をそのまま、自身の白衣のポケットに差し入れた。
「っ・・・・・・、くだらねぇ。そんな事が原因だと思ってるなら、お前の頭も大したことねぇな」
いきなり核心をつかれて、シンタローは言葉を詰まらせる。
どうにか内心の動揺を押し殺し、頬杖はそのままに無理矢理、不適に笑みを浮かべて言葉を続けるキンタローを睨みつけるも。
そんな喧嘩口調のシンタローに慣れっこなのか、それが核心を得ての強がりと思ったのか、別段気にすることもないようだ。

「そんなに気に入らないのか?確かに、伯父貴は気に入っているようだがな・・・。どこへ行くのも連れまわしてる。その証拠に通常、秘書は2人つけるのを彼1人だけっていうぐらいだからな」
相当な、お気に入りだな・・・。とキンタローは言葉を付け足すと、シンタローの机の書類に埋もれて、端が見え隠れする団員名簿に目を光らせた。
「ただ、ティラミスたちが急がしいからの臨時にすぎねぇよ。別にお付なら、行動をともにしてもおかしな事じゃない」
シンタローはキンタローが持ってきた書類に視線を向けたまま、不機嫌さを隠そうともせずに、口をひらいた。、
そんなシンタローを見やり、「そうだな」と多少口元を緩めながらシンタローに気づかれないように、名簿の端を掴むと上の書類たちが崩れないように、慎重に引っ張った。

書類に埋もれた不自然な写真入りの名簿を片手に持つと、キンタローは興味深気にそれを見つめながら・・・。
頬杖をついた指の爪をカシカシと噛み、イライラを紛らわそうそしている目の前の男をチラリと見やって、思わず苦笑を禁じえなかった。

その名簿には、話の話題にあがっている。新しく元総帥のお付になった団員がしっかりと写っていて
・・・こんな名簿まで取り寄せて、随分と気にしてるじゃないか。それも分厚い名簿の中から、わざわざこの青年が載っている一枚だけとは・・・・・・
素直に気になるといえばいいものを、全く素直じゃないな。
ま、こいつらしい・・・・・・か。

このシンタローの険悪な状態は、団の環境に良くない。
いつものマジックに対するイライラならば、ただのじゃれあいの延長線だと流せる。が、今回は一味違うようだ。
ただでせさえ多忙な中、総帥がこんな調子では周りに伝染する。
それに、マジックがお付をつけてから、シンタローの様子がおかしくなったのは周知の事。
総帥が公私混同では、下の者に示しがつかない。
彼はこの団を統べる総帥なのだから、自覚してもらわねば・・・。
いや・・・自覚はあるのだろうが、自分でもどうしようもない。っといったトコロか・・・。
これでは、周りもシンタローが気がかりで仕事にならない。
早く機嫌を直してもらわないことには、業務にも差し障りがある。
だからといって、何をどう出来るものでもないいが、このまま見過ごす事も出来ない。
あまりのシンタローの荒れように、キンタローは打開策をみつけるべく記憶をたぐりよせた。

シンタローの機嫌が悪くなり始めたのは、2週間前。ちょうど遠征から帰って来た日の翌日だ。
戻ってきた日に、伯父が嬉しそうにシンタローにまとわりついていたのが、記憶に新しい。となるとその夜にひと悶着あったか。
確か・・・新しくマジック付きになった彼が来たのも・・・・・・2週間前。喧嘩してからすぐか。
となると、彼が配属された原因はシンタローの線が濃い。
そして、シンタローがここまで荒れ始めたのが、1週間前。時期を同じくして伯父は、新しいお付の彼と2人で本の宣伝を兼ねた講演にでている。
そして、未だ戻って来ない。

となると・・・機嫌の悪さの全貌が見えてきた。

元総帥がどういう意図で、こういう行動にでたのかは分かりかねるが・・・原因は目の前の男にあるに違いない。
そして、この状態は伯父の思惑通りと・・・いった所だろうか?

仕方が無い、ここは人肌脱ぐか。
いつから自分はこんなに人が良くなったのか。
自分の人の良さに疑問を持ちつつも、このままにしては、団の為にならない。
困ったもんだ。とため息を一つくと口を開いた。否・・・口ぶりとは裏腹に、目を微かに輝かせながら口を開く。
楽しんでいるとしか思えない。

「そういや、最近・・・マジック・・・伯父の姿を見ないが、どこへ行ったんだ?」
白々しいとは思いつつ、名簿に目を通しながらシンタローに尋ねると、その名前にピクっと微かに身体が反応を示すだけで答えがない。
「あ~・・・確か、本の出版記念の宣伝とサイン会を兼ねての、出張だったか。いつから行ってるんだ?坊やも連れていってるのだろう」
「・・・・・・・・・1週間前からだ・・・」
ボソッとそれだけ応えると・・・動揺を押しとどめようと、ますます眉間に皺をよせているのが分かる。
「二人でか・・・ほぉ・・・二人でね・・・一週間なら、あの方のことだ・・・・・・・・・」
キンタローが全てをいい終わる前に、シンタローがすごい勢いでそれを遮った。

「ありえねぇ!?」
やや声を荒げるシンタローを気にするでもなく淡々と言葉を続ける。
「何がだ?オレは何も言ってないぞ。 なんだ2人ナニかしているんじゃないかと、不安なのか?そうだな・・・2人で一週間か、手は出してるな・・・今頃、ヤってるに―――」
「ねぇよ!!」
シンタローが遮るように言葉をつなげても、それを「何故だと」逆に理由を問われると、確固たる理由は出るわけでもなく。
「ばっ・・・あいつは、・・・・・・」
『いつも俺にべったりの親父が、他に手なんかだすかよ。』とは自分の口からいう事など、うぬぼれている様で言えるはずも無く、うやむやに言葉を濁した。
が、そんなシンタローにキンタローから追い討ちをかけるように、「あいつは?」っと鸚鵡返しに尋ねられると、口をつぐんでしまう。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・いつも自分にべったりだから、団員に手をつけるなんてお手軽なことはしない。・・・か」
どこか小ばかにしたような口ぶりが、癇に障る。が、キンタローの言葉はその通りで、言葉が無い。
「・・・・・・・・・・・・・・・ッ」
(そりゃ、一般的にはもてるだろうよ。あくまで一般的にな。確かに顔は・・・悪くない。一般的にな!! スタイルだって悪くねぇ・・・金だってあるし、知名度だって良くも悪くもある・・・。どんなに頭がイカレテたって、猫かぶって笑ってりゃあ騙されるさ!!なんせナイスミドルNO,1なんてふざけたタイトル持ってるぐらいだ・・・普通ならコロっといくだろうよ。それでも、あの親父が・・・いい歳して息子の等身大ぬいぐるみを持ち歩く奴が・・・鼻血ばかり垂らしてヘラヘラしてるやつを誰が相手にするっていうんだッ。)
バカバカしいっと笑い飛ばせばいい。普段ならできたことだ、関係ないと一笑できた。が、今は笑い飛ばすことができない・・・・・・
まるで、小骨が喉に刺さっているように、気になって暗く影を落とす理由があるからだ。

(あんなこと、いつものことじゃねぇかよ・・・・・・・・・それを――――)

ムキになっている自分がバカバカしくて、振り回され続けている自分に嫌気ださす。それに、したり顔で話す目の前の男にも。
八つ当たりだと重々わかっているが・・・どうにも抑制がきかない。
シンタローは苛立ちをぶつけるかのように、キンタローに向かって声をあらげた。
「あんな奴、関係ねぇよッ!! だいたい、さっきから何が言いたい」
伏せていた目を上げると、きついまなざしでキンタローを睨みあげる。
「まあ、そう睨むな。こんなもんなまで引っ張り出して相当気にしてるようだから、お前の気持ちを代弁してやってるだけだ」
シンタローの目の前に、手に持っていた名簿をちらつかせる。と、カっとしたように顔を真っ赤にしたシンタローが、キンタローの手元からそれを奪い取った。
そのまま、ぐしゃぐしゃに丸めるとゴミ箱に突っ込む。
「気になんてなってない。あいつが、どうしようが俺には一切関係のないこだ」
気持ちを落ち着けるように、一つ深く呼吸するとキンタローが持ってきた書類に乱暴にサインを済ませて、それをキンタローに突きつけた。
「用件がそれなら、お前と話すことは何にも無い。悪いが俺も暇じゃない、これを持ってとっとと戻れ」
「全く、素直じゃないやつだな。少しは・・・あの坊やの素直さを見習った方がいいんじゃないか」
ふっと苦笑すると、これ以上の八つ当たりは勘弁しろとばかりに、受け取った書類の束を脇に抱えてシンタローに背を向けるとドアに向かう。
キンタローは背中を向けていて、見ることが出来なかったが、その言葉に過剰なほど反応し、苦虫を潰した様なシンタローの顔があった。

「見習ったほうがいい・・・か・・・。全く行動だけじゃなくて、似たようなこといいやがる」
ドアが閉まる音と同時ぐらいに、小さく呟くようにシンタローの口から零れた。


******************


常日頃の睡眠不足と慢性的な疲労からくる重い体を引きづりながら、自室に戻ってきた頃には午前1時をゆうに過ぎていた。
終わらないから、自然と帰りは遅くなる。遅くはなるが、そんなに集中力が持つはずもなく・・・効率が悪い。
ましてや、別のことに気をとられてるから、集中しようにもなかなか思うようにいかず・・・。胸のムカムカも溜まる一報だ。

『全く、素直じゃないやつだな。少しは素直さを見習った方がいいんじゃないか』

上着も脱がずにソファーにぐったりと身体を預けながら、瞳をつぶると・・・眼の奥からズンっと重い感覚とともにキンタローの言葉が頭に浮かぶ。
「素直って・・・なんだよ。関係ねぇよ・・・・・・あんなやつ」
根が生えたように、頭から離れないその言葉。・・・確かにキンタローの言うとおり、1週間前から重苦しいものが離れない。
今となっては喧嘩の原因など忘れてしまうほどに・・・それほどに、くだらない内容だった。
俺にとって日常茶飯事な他愛無いのないことで・・・ただ、その時に親父の少し自嘲的に笑った顔が、印象的だった。

そして、目を閉じると・・・2週間前、遠征から帰ってきたその日のことが巡ってくる。
2週間前の夜遅くに・・・今頃の時間に帰ってきた。
俺は疲れていた。久々にゆっくりと自室のベットで眠りたいと思うほどに疲れていた。
それなのに、あのバカ親父ときたら、こっちの事など考えずに、ちゃんと食事はとっていたかとか、風呂に入れとか・・・俺にべったりで全く気の休まる瞬間がない。
それでも、心配してくれてるんだろう・・・っと100歩譲って「俺も大人になったなぁ」などと思うぐらいはできたが、それにしてもしつこく・・・一緒に風呂に入ろうとしたりして
おまけに、いいマッサージがあるからと、口実を作って圧し掛かってきたものだから、頭にきて、
『そんなに、やりたきゃその辺の奴らとやってろ!!』
と声を荒げた俺の言葉に、マジックはやや目を見開くと、急に真顔になって『パパがやりたいだけの男だと、思ってるのかい』とかなんとか言ってたっけ。
今思うと、親父のあの意外そうな顔からして・・・俺のことを本当に心配してくれたのかもな。
なんて想いがよぎらないでもないが・・・。
あの時の俺にはそんな余裕は微塵もなくて、その言葉に『事実じゃねぇか・・・溜まってんなら適当に処理しろよ』っと言い放つと、寂しそうに顔をゆがめて・・・
『じゃあ、パパが団員の子に手を出しても・・・シンちゃんはいいって言うんだね』とやや低いトーンで返ってきた。あの時の寂しげに笑った顔は記憶に濃く残っている。
一瞬、なんと言葉を返していいか分からず目を泳がせたが、その頃には親父のやりとりよりも、どうにかして1分でも早く横になりたいという思いが強く・・・
その後は売り言葉に買い言葉、『勝手にしろよ。まぁ、親父みたいなのを相手にしてくれる奴がいたらの話だけどな』っと鼻で笑って、親父を部屋から追い出した。
しばらく、扉の前に親父の気配がしたが、俺はいつの間にか引きずられるように眠りに落ちていた。

問題は次の日からで・・・さっそく親父が、当てつけるように新しい自分のお側付をつれてきやがった。

そいつは、今年仕官学校を卒業したとかいう奴で・・・背は170センチも無いぐらいの小柄で、黒髪とクルっとしたやや大きな黒い瞳が印象的だった。
・・・なぜか初めて会う気がしなくて・・・どこかで会ったことがあるんじゃないかという思いに間違いはなく・・・。
それも、当然といえば当然。
俺の幼い頃の面影を残しているからだ。丁度・・・親父に対して反発が強まる前の、士官学校に入学したての頃に近い。
もちろんそっくりっという訳ではないが、パーツパーツが似ているような感じがする。俺がそう思うのだから、親父もそう感じてるはず。
まさにあてつけには、ピッタリの相手。
どうせそれを見た、俺の反応をみて楽しもうって腹だろう。
図としては、こうだ。
きっと二人の様子に、俺がキレて親父のところに乗り込む。→丸め込んで、親父はうまい事、コトに及ぶ。→作戦成功☆
そんな親父の浅はかな考えなんて、手にとるように分かる。
誰がそんな手に乗るかよっ!!どうせ俺が折れなければ、思い通りに事が運ばず焦れた親父が、俺のところに乗り込んでくるはずだ。
そうなるに決まってる。
そんな確信があった・・・ただ計算外だったのはそいつの性格。これが普通のやつなら何の感情も沸かないが・・・。
俺と似たような顔をして、
『マジック様』・『マジック様』っとうっとりした顔で親父にくっついては、媚を売るときているから、全くもって手に負えない。
どうやら強烈な!!心底、親父のファンらしい・・・似た顔にそんな事をされた日には、まるで俺がそれをしているような気になって、気持ちが乱されて仕方が無い。
親父は親父で・・・大変お気に入りらしく、ニヤけた顔で笑いかけながら「可愛い、可愛い」を連発して、到底部下に対する態度の度を越した行動を繰り返していた。
そんなことが1週間続いても、そんなお遊び・・・すぐに飽きるだろうっとタカをくくっていたから、親父のニヤケ面を小ばかにしたように眺めていたし、そいつの言動も大して気にならなかった。
たとえ、それを、毎日、毎日、狙ったように俺の目の前でやりやがってもだ。
が、
1週間前・・・ちょうと公演旅行の前日・・・

あの晩―――――――――――

俺が自室で、寝そべっても全く問題無しっというぐらい、ゆったりとした大きさのソファーに寛いで、酒をチビリチビリ口に運びながら書類に目を通していると、突然ノックも無しにドアが開き親父が入って来た。
「シ~ンちゃん。 パパに言うことな~い?」
親父が部屋に入って来たのは、喧嘩した以来だったから、とうとう痺れを切らしたのかと、内心の笑みを隠して冷たく親父を見やった。
そんな俺に親父は、ソファーの肘掛に背をもたれかからせ、足を伸ばしている俺の脚を床に下ろすと、空いたスペースに座り、俺の顔を覗き込む。
「なにか用?」
俺が冷たくいうと、「ふ~ん。反省の色無しなんだ」っと小ばかにしたように俺を見て、「パパ明日から、公演や握手会で1週間ぐらい空けちゃうんだけどなぁ」っと言葉を続けた。
「だから? 悪いけどすっごい、邪魔」
親父の顔を一瞥してすぐに書類に顔を戻しながら、床についた足を元の位置に戻そうと、座っている親父の腿の辺りを足で押し出そうとして、突然足首の辺りを掴まれた。
「謝るなら、今ってこと。意地っ張りなシンちゃんに、チャンスをあげる」
そう言って、掴んだ足を親父の方向へ引っ張られて、肘掛から背が滑り落ち・・・頭がかろうじて肘掛に乗った状態になった。
突然の親父の行動にぎょっとしている俺に、「本当、パパってシンちゃんには甘ちゃんだよね~。そう思わない?」
ソファーの背に手を置いて、唇が触れるほど顔を近づけると、「ごめん。って言ったら、許してあげる。 そうしたら・・・ね」
そうしたら、あの似た顔の奴とは、公演旅行にはいかない。と言いたいのだろう、そんな事を思いながらあまりにも近すぎる距離に、思わずゴクリと唾を飲むと唇を噛み締めた。

確かに、似た顔で素直に・・・バカがつくほど素直に、親父のことが『大好き~』っという隠しもしない態度を見て、腹が立たないかと言ったら嘘になる。

面白くなくて、心がザワザワする・・・お側付から移動させてくれたら、どんなにいいかと・・・
思わなかったっと言ったら嘘になる。が、俺は別に悪いことを言ったとは思っていない。もしろ、そう思われる親父の言動に責任がある。
そう思うと謝る気も起きないし、まるでまんまと作戦にひっかかったようで、納得いかない。
そんな気持ちが顔に出ていたのだろう、親父の蒼い瞳が意地悪く光ると同時に、身体を起こした。

「全く、素直じゃない。うちの子みたいに素直なっだたら可愛いのにね~。男の子にも可愛げは必要だよ。シンちゃんも見習って欲しいもんだね」
誰に呟くわけでも無く、それでも独り言にしては大きな声でそう溢して、チラリと俺の顔を見ると立ち上がった。
どうみても、俺に投げられたその言葉にチクリと胸痛んだ。
知らずに眉を顰めて、無言で立ち上がった親父の背を見つめると、ドアの方向へ歩を進めながら、親父が言葉を続ける。
「シンちゃんがいつまでも、そういう態度にでるなら、パパにも考えがあるよ。 幸いに明日から二人っきりで旅行だしね~」
「何がだよ」
そのいかにも楽しみでしょうがない。っと浮かれた声に、わざとやってると頭の隅ではわかっていても、ソファーの背に手をついてやや身体を起こしながら、思わずイライラとした言葉が口をついだ。
そんな俺の声に、おやっと歩を止めて、顔だけを俺のほうへ向けると、ワザとらしく片眉をあげる。
「ん?独り言だよ。 シンちゃんはパパのこと気にならないんだろう」
「・・・・・・手、出すのかよ?」
ピリピリと神経を逆撫でされるような、親父のゆっくりとした口調に、自分でも驚くほど低い、搾り出すような声がでた。声が震えているようで、掴んだソファーの生地に爪を立てる。
「おかしな事をいう子だね~、やりたきゃ適当にやれって言ったのはシンちゃんじゃないか。忘れたの? 幸い、据え膳状態だもの・・・。シンちゃんが謝らないなら、パパも行動を改めるつもりはないよ」
「あてつけかよ!!」
ほら、謝るなら今のうちだよ。っとニヤニヤと口元を緩める親父が腹立たしい。「恥ずかしくないのかよ」っと言葉を投げつければ、
「なんとでも」
と顔を戻して、ヒラヒラと手だけを振りながら、扉に向かって歩きだした。
そんな親父の背に、なんと言葉を続けていいか分からず、無言で唇を噛み締めて睨みつけていると、扉に向かって歩いていたはずの親父が急に踵を返して、ソファーで固まっている俺の所まで戻り、着ていた上着を脱いだ。
「なんだよ」
ぶすっと不機嫌を隠そうとしない俺の声が気にならないのか、そのまま、来ていた薄い桃色のジャケットを、俺の膝にかける。
「いくら、空調が設定されているからと言っても、薄着では風邪をひくよ」
それだけ言うと、俺に背を向けて再び歩き出した。
膝にかけられたジャケットを眺めていると、無償に腹立たしくて、それを膝の上からひったくるようにして掴むと、掴んだを手を振り上げた。
「勝手なことするな」
そのまま振り上げた手を振り下ろして投げたが、それは目的物に届くはずも無く・・・俺の足元からややいったところに、パサリと音も無く落ちた。

しばらくすると、扉が閉まった音がして・・・俺は、残されたジャケットを、ただ眺めていた。


――――――――・・・・・・。


「俺が何したって言うんだよ・・・寄ってたかって素直じゃない。とか言いやがって」
俺だって、昔は超素直なガキだっつーの。キンタローのせいで、思い出さなくてもいい事、思い出しちまった。

シンタローは軽く頭を左右に振ると、着ていたジャケットをソファーに放り出して、持ってきたビールのプルタブを開けて一気に煽った。
冷たい炭酸が喉を通る感覚に、少し気が落ち着いてきた。
それでも、今まで極力考えないようにしていた事が思い出されると、どうしても・・・次に浮かぶ事は、
・・・・・・今頃何をしてるのかということ。

「関係ねぇ~よ」
どうせ、帰ってきたら一番に俺の所に来るに決まってる。・・・決まってる。
そう小さく呟いて缶の残りを飲み干して、グシャリと握りつぶすと、新しい缶に手をつけた。
冷えたビールに口をつけながら、ソファーの背に片手を伸ばすと、自分のジャケットとは違う質感の生地が指先を掠める。
なんだ?っジャケットは肘掛に投げた筈と、指先の方向に顔を向けると、そこにはいつかの親父の薄い桃色のジャケットが置いてあった。
・・・なんとなくそれを胸元へ手繰り寄せる。

片手に持ったビールの缶の水滴がしっとりと指を濡らし、指を伝ってソファーに染みを作った。
手繰り寄せたスーツからは、親父の残り香がシンタローの鼻腔をくすぐり・・・1週間ぶりのその香りにジーンと鼻の奥が痛くなる。
それと同時に、胸の鼓動が急に跳ね上がり、カーっと体温が上昇しはじめた。

「・・・―――――ッ!!」

一気にビールを喉に流し込む。液体が喉を通らなくなると、缶を強く押し付けるような形でテーブルに投げ捨てた。
「っ・・・マジかよ・・・」
急な身体の変化についていけずに、平静を保とうと紛らわすように親父のスーツを両手で掴んだが、それは逆効果だった。
「オヤジくせぇ・・・」
微かに残る匂いに誘われるようにして、顔を埋めてしまうと匂いが強くなって、胸の鼓動がうるさいほどにがなりたてる。
そして・・・下半身からは這い上がるような速度で、よく知った淫らな衝動が重く圧し掛かってきて。
身体の異変にそろそろと、片手でズボン越しに自身に触れば・・・それはすっかり硬くなって自己主張していて・・・。
「くそっ、どうしたって言うんだよ!! これじゃ・・・まるで・・・――――」
・・・親父に欲情してるみたいじゃないか。
いくら舌を打って、悪態をついても鼻についてしまった匂いが消えることも、熱が治まることもなくて・・・、まるでその匂いに包まれているような錯覚さえ覚える。
そう、そこに親父がいるような錯覚に――――
ジャケットに顔を埋めたまま目ぶたを閉じれば、憎たらしい持ち主の顔が浮かび上がって・・・。

『シンタロー・・・・・・』

低い絶対的な命令口調の声が、頭に駆け巡る。
耳もとで囁かれているような、頭の中の声にビクリと手の内にある自身が質量を増して、窮屈だっと訴えてくる。
「ちくしょう~っ!! なんだって・・・こんなこと・・・ぁ・・・・・・ッ」
すきっ腹にアルコールを流し込んだからだ、それに最近忙しかったら・・・溜まってるだけだ!!
そうに決まってる。
いくら否定しても、一度ついてしまった欲望の火は消えそうにない。
悪態をつくシンタローの言葉でさえ、微かに震えて悩ましい。
最後に処理したのって・・・っと思い出そうとすると、あの時の親父の言葉が思い出される。
「本気なのかよ・・・親父っ」
本気で手を出すつもりなのか!?っそう思うと、押さえることのできない衝動が突き抜ける。それと供に、決して認めたくないと思っていた、胸の中のドス黒い正体を思い知らされて・・・
・・・---嫉妬。
俺はあいつに嫉妬してる。認めたくない言葉に頭がガンガンと痛み、どうにかなってしまいそうだ。

こんな事で思い知らされたくないのに、淫らな欲望の炎は消えることなく・・・。
逸る胸の高鳴りにせかさせるように、シンタローの指がもどかしい手つきながら、勝手にベルトを緩めて、チャックを乱暴に下ろした。
「・・・あっ・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・」
手を滑り込ませると、シンタローのモノはすっかりと出来上がっていて、ドクドクと脈をうちジットリと湿り気さえ帯びていた。
足を包みこんでいるズボンと下着が、ひどくうざったい。
ズボンを下着ごと脱ぎ捨てると、外気に触れてひやりとした感覚とともに、ゾクリと肌が粟立つ。

『シンちゃんのかわいい坊やが泣き出しているよ』

いつもされるような親父の指の動きを真似して、右手で親指と一指し指で輪を作って、シンタローは擦りあげる。
自分自身を・・・・・・。

「はぁ・・・・・・あ・・・・・・あ、はぁ・・・・・・ん」
部屋には自分しかいないと思うと、自然と素直な声をあげてしまう。
酷い罪悪感があるのに、手はそれを裏切って走り出す。
「ちっ・・・くしょ・・・ぁ、 はっ・・・んんっ」
ソファーにまともに座っていることができず、横向きにソファーに倒れこむと親父のジャケットが頭部の下敷きになった。
呼吸をする度に嫌でも、親父の匂いが存在を知らしめる。
こんな時でさえ、本当むかつく奴だ・・・
それなのに親父の匂いが鼻腔を掠めると、そこに親父がいるような錯覚さえ覚えて・・・シンタローの身体はますます追い詰められていく。

『ふふ・・・、ちゃんと握って擦ってほしい?』

おまけに、いるはずもない親父の声が頭の中を響きわたる。
自分の手なのに、親父の愛撫を真似ると自分じゃないような気がしてくる・・・。
足りない・・・もっとちゃんと触って欲しい。親指と一指し指の愛撫では、擦る面積が少なくて物足りない。不自然に腰が動いてしまう。
「もっと・・・っ、んぁ・・・・・・あ・・・・・・あ、はぁ・・・ん」
右手の指全体で握りこんでゆっくりと抜きあげると、すぐに粘着質な音と切なげな吐息が、室内中を満たす。
「あっ・・・、・・・おや・・・じぃ」

『シンちゃんのすごい・・・滴ってる。・・・パパの手ヌルヌルだよ』

「る・・・っせ!! ぁ・・・あぁ・・・はぁ・・・ぁ・・・・・・んぁ!!」
亀頭からの先走りの液体が、竿をつたって指を濡らす。その滑りを利用して手の全体で亀頭をもこねくり回すと、鋭い快感が背筋を走りぬけた。
空いた左手が無意識にシャツの上から乳首のあたりを彷徨い・・・一指し指の腹で押すと、それは押し返すほどに硬く立ち上がっている。

『シンちゃん、ココ好きだよね。弄るとすぐに濡れてくるもんね』

「は、あぁ・・・・・・ふ、んぅ・・・・・・」
指の腹で何度かこねくり回すと、いつもされるように爪で弾く。繊維が敏感な皮膚と擦れると、ビクリと身体が震えてしまうのに・・・もっと乱暴に弄くり回されたい。とさえ思ってしまう。
いつものように、乱暴なくらいに爪を立てられて、指と指で擦るようにクリクリと乳首を捏ねくりまわされたい。

その欲望をシンタローは、我慢することができなかった。

「っはぁ・・・・・・親父・・・ぃ」
シャツのボタンを外さずに裾から入れると、直に乳首に手を伸ばして、知らずに親父の名を呼んでいた。
親指と中指で、乳首を摘むと強いぐらいに、力をこめて捻る。鋭い痛みとともに、その刺激に自身のペニスからの液が、手を濡らしソファーに更なる染みを作った。
「ぁっ・・・んっ、ああ」
コリコリと乳首を指の腹で擦り合わせて、人差し指で先端を弾きあげると、快感がシンタローの身体を駆け抜けて、欲望は吐き出そうと一気に階段を駆け上がるのに・・・
もどかしくてじれったい。
だめだ・・・違う。どんなに親父を思い浮かべても、物足りない。もっと、
もっとして欲しい。いつものように、意地の悪いその手と唇で・・・。乳首を吸われて痛いほどに歯を立てられたい。
ペニスを扱う手を、乳首を弄ぶ指を親父に置き換えて、シンタローは自慰に耽った。

『ほら、イキたいんだろう。いいんだよ、イって』

「・・・あん・・・はぁん、・・・あ、・・・あぁっ・・・親父っ」
激しくそれを上下に抜きあげて、乳首に爪をたてると目の前が白くなって、シンタローは声を抑えることもできずに、マジックの名を呼んで、精液をソファーに撒き散らした。

「はぁ・・・はぁ・・・・・・はっ・・・・・・」
髪の毛が額にかかって汗で張り付いているのを、払うのも面倒で、シンタローは絶頂の余韻に浸りながら、そのままの姿勢で荒く呼吸を繰り返す。
静かな部屋にはシンタローの荒い呼吸が響き、マジックの残り香はシンタローの精液の匂いに変わっていた。

瞳をあけると、潰れたビールの缶が転がっている、テーブルが目にうつる。
テーブルの角には白濁とした点々が広がり・・・ぼんやりとそれを目で追うと床やソファー、握り締めていたマジックのジャケットにも精液が飛び散っていた。
それを見とめて、一気に波が引くように、シンタローの熱が冷めた。
「何やってんだろ、俺・・・・・・」
だからといって、指を動かすのさえ億劫な、脱力感はぬぐえない。シンタローは、で自身を握り締めたままの格好で、力無く呟いた。
欲望の熱の後に押し寄せてきたのは、後悔という名の羞恥心。
いくらんなでも、恥ずかしすぎるだろ、こんなの。・・・何やってんだか・・・・・・。
こんな所で、それもマジックのジャケットの残り香で、自慰するなんて。信じられない。
もっと信じられないのは、吐き出したというのに足りないと思っていることだ・・・。シンタローの身体の一部からは、疼きが起こりそうで・・・。
これ以上、考えるとよくない方向に進んでしまいそうな自分に、否定するように首をふるとため息をついて、起き上がると力なくソファーに身をもたらせた。
すっかり汗をかいて、ぬるくなったビールに手を伸ばすとブルタブを押し上げて、紛らわすようにゴクゴクと喉を鳴らして胃におさめる。
ぬるくなったビールはけっして美味しいものではなかったが、飲まずにはいられない。こんなこと・・・信じられるはずがなかった・・・。
「こんな・・・欲求不満みたいじゃね~かよ」
そう呟いた瞬間、パタンという扉が閉まる音が、部屋に響いた。

はっとして、着崩れた衣服を整えもせずに、ましてやズボンを履くことも忘れて、シンタローが音がした方を向くと、そこにはココにいる筈のない男が立っていた。
それは勿論・・・・・・。
「お・・・お、親父!!?」
無遠慮に部屋に入り込むことのできる男。そして、シンタローの腕の中にあるジャケットの持ち主。
マジックは無言で、ソファーにいるシンタローと回りの状況を見回しながら、シンタローの近くまでくるとその格好を見とめて、ようやく口を開いた。
「なにをしてたのかな。シンちゃん」
ビクッとシンタローの肩が揺れる。
ナニをしていたかなど、一目瞭然なのに、シンタローの横のソファーに片手を置くと片眉だけを軽く上げて、無表情のままシンタローを見つめると、シンタローはこれ以上ないくらいに赤くなり、咄嗟に腕のなかのジャケットを膝元にかけたが、刺さるような視線に居たたまれず俯くのが精一杯だ。
それでも、床に転々と残る白濁とした液体と、室内に残る独特の匂いは隠しようもなく、益々顔を赤くして、顔を横に逸らした。

着崩れた上半身に、ジャケットを羽織っただけの下半身・・・自分の格好がひどくみっともなくて、情けない。
消えてしまいと切に願わずには、いられなかった。

そんな、指が白くなるほどにジャケットを握り締めるシンタローと、視線を合わせるようにマジックは屈むとジャケットを掴む手の甲に自分の手を重ね合わせて
「パパのジャケットに残る、この染みは何かな?」
「・・・・・・っ」
マジックの言葉に、唇を噛むシンタローを尻目にシンタローからジャケットを剥ぎ取ると、そのままワザとらしくジャケットに顔に寄せて・・・
「シンちゃんの匂いがするね・・・」
そういって意地悪く口元をゆがめて、シンタローを見やった。

「寂しくて一人でしちゃったんだ」
クスクスと喉を震わせて笑いながら、用済みとばかりにジャケットを床に投げ捨てると、手の甲に重ねていた手をシンタロー自身で濡れそぼった腿に滑らせてた。
久々のマジックの手の感触に、シンタローは小さく声を漏らして、ビクリと身体を更に硬直させる。
「・・・・・・ぁっ」
腿に置いた人差し指で、腿から中心に向かってゆっくりとなぞりあげると、露になっているシンタロー自身がピクリと微かに反応を示す。
「弄ったのはココだけ?」
根元から先端に向かって、濡れた幹に指を這わせたると、シンタローが恥ずかしさを紛らわすように声をあげて、自身を滑るマジックの手を掴んだ。
「なんで、いるんだよ・・・帰ってくるなんて聞いてないっ」
「そろそろシンちゃんが寂しがる頃かな。っと思って私だけ帰ってきたんだよ。反省してるかと思ったら、まさか・・・パパの指を浮かべてシテたなんて・・・ね」
いけない子だっと言葉を続けるマジックのその言葉に、シンタローは弾けたようにマジックを見つめて、言葉を詰まらせた。

「・・・・・・・・・おや・・・じ・・・」
やっぱり、聞かれてたのか。
何をしていたかというのは一目瞭然。
だが、親父の名を呼びながら達したのがバレるとなると、話は別だ。
驚愕に開かれるシンタローの瞳を見つめながら、驚きで自分の腕を掴む力が緩んだ隙に、マジックは指を先端まで走らせた。
「あっ・・・ふぅ・・・・・・!!」
一度達したばかりで、赤く敏感になっている部分を、指先でグリグリと押されると、自然と腰が引けてしまう。咄嗟に両手でマジックの手首を再び、掴み押さえこんだ。
それでも、久しぶりの親父の指先に身体の内からはいいようのない、感覚が湧き上がってくるのが・・・こんな状況だというのによく分かる。
恨めしい自分自身に、悔やんでも悔やみきれない。

「あいつは・・・どうしたんだ」
両手の手で押さえているというのに、悪戯に動く男の指先にギリギリと歯を食いしばりながら、シンタローは口を開いた。
「そんなに、あの子の事・・・気になる?」
「・・・・・・・・・・・・別にっ」
ココまで来ても、フンっと鼻を鳴らして顔を背ける我が子の姿に、口元を綻ばせると、震えるシンタローの耳元に唇を寄せて「嘘つき」と囁いた。
「・・・・・・・・・っ!!」
耳まで真っ赤に染めるシンタローに笑みを浮かべると、羞恥心で赤く染まる耳たぶを舌で弄る。
「放っておかれたから寂しくなって、嫉妬して一人で処理したくせに・・・聞こえてたよ。『親父っ』っていいながらココから沢山白いの出したよね」
「いっっ!!」
一指し指の爪を、先端に食い込ませると、痛みにシンタローが呻いた。それでも、痛みに萎縮するどころか、新たな液体がマジックの指を濡らす。
「いけない坊やだ。またこんなにして・・・・・・。さっきイッたばかりだろう?」
「っ・・・・・・かよ・・・・・・・・・」
身体を小刻みに震わせながら、聞こえるか聞こえないかと言うほどに、小さくシンタローが呟くと、そんな息子に「何?」っとマジックは小首を傾げて、口元に顔を移動させて次の言葉を待った。

「悪いかよ!!いい歳して嫉妬して悪いかよっ。どうせ素直じゃねぇよ!!」
今までの鬱憤を晴らすかのように、シンタローは大声を上げてマジックの身体を押しやると立ち上がった。
至近距離でのまさかのシンタローの声にマジックは眉を潜めて眼を見開くが、すぐに平静を装うと、立ち上がったまま俯くシンタローの足元に方膝を着いて、両手を握り締めた。

「・・・嫉妬してる」
マジックの不可解な言葉に、疑問を持ちつつも、まさかの自分の行動に居た堪れず、握られた手をふり解こうとシンタローは躍起になって抗った。
もう一分一秒たりとも、居たくない。笑いたければ笑うがいい。そんな心境のシンタローにマジックが言葉を続けると、ピタリとシンタローの動きが止まる。
「私は、シンちゃんの周りのもの、全てに嫉妬してるよ」
「シンちゃんが、握り締めた空き缶や、私のジャケット・・・シンちゃんが触れるもの、見るもの全てに嫉妬してる」
なんと言っていいから分からず、俯く息子の姿に優しく笑みを深めながら、シンタローの片手の甲に軽く啄ばむように唇を落とした。


(・・・少し、否・・・だいぶ嫉妬してくれたみたいだね。思いかけず目の保養になったしね。しばらくは・・・自慰をネタに自由させてもらおうかな。ね、シンちゃん・・・)甲に口付けながら、そう決めると、マジックは笑みを深めて、握って指に力をこめた。


@おわり@


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ご来読ありがとうございました。
前HP携帯サイトでの20000打、チッチさまリクエストでございます。
マジックの浮気疑惑に、やきもきしちゃうシンちゃんということでした。
う、浮気疑惑?・・・こう読み返すと、浮気疑惑ではないのかも(汗)
メルマガにて連載しておりまして、メルマガでは前と先にちょこっとついておりましたが、あまりの長さにこちらでは
カットさせて頂きました。Hさま、色々とご鞭撻ありがとうございました。さすが、師匠~。
おんぶに抱っこでは!っと奮起しまして、自力で修正しました(笑)
・・・すっきりした☆と思ってます。いえ、思いたい。
けっこう、文面も弄りましただので、これはこれで、別ものとして楽しめると思います。
でも、こっそり師匠になおしてもらったものもUPします。いやーさすがです!!
そちらでは、もう少し進んだ内容までで終わる予定です(笑)

それにしても、調子にのってシンちゃんに、なんてことをさせてしまったのでしょうか・・・。
でも、楽しかったですー。パパの台詞が気に入ってます♪
毎回、濡場になると引かれないかなぁーっと心配になります。(今更ですね・・・)

チッチさま、素敵なリクをありがとうございました。
    *2005/08/01-UP*


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