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* 縛っておいで。 *
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「なんだこれ?」
午後、会議を終えて執務室に戻ると、赤い糸が視界に入った。
執務机の横から、ドアに向かって毛の短い絨毯に、赤い糸がひかれている。
ドアに挟まっている状態から、それが分厚いドアの反対側までつながっていることが予想できた。

(・・・・・・午前中もあったか?)
執務机についた肩肘の手に額をのせると、その不自然なほど長い・・・故意にしたとしか思えない糸を眺めていると、そのシンタローの様子を、訝しく思ったのかティラミスから声がかかる。
シンタローは傍らに落ちている、糸の端をつかみあげると
「なあ、この赤い糸・・・朝からあったか?」
自分よりも早く出勤してる彼らがこれを、見逃すとも思えなくて、秘書に呼びかけた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
無言で秘書たちが顔を見合わせたかと思うと、ティラミスが控えめに口を開く。
「申し訳ありません・・・・・・どの糸のことでしょうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?これだよ、この糸だよ・・・お前等の横にも通ってるだろ」
手に摘まんだ糸を少し掲げて、強調しても困惑した瞳がかえってくるだけで、同意は得られない。
「・・・・・・見えないのか・・・・・・・・・?」
(マジかよ・・・。)
手元の赤い・・・なんの変哲もない綿の糸と秘書の顔に何度も視線を走らせると、今度はチョコレートロマンスが
「申し訳ありません」と深々と頭を下げる。
そして、体の不良の兆しとでも思ったのか、医者に診てもらってはどうかと促してきた。
そんな様子の彼らが嘘をついているとは、到底思えなくて・・・眉間によせた皺を濃くして糸を見つめる。
(俺にしか見えないってことか・・・・・・)
肘をついて、手に持った糸を掲げたり、透かしたりと四方八方から眺めても、それはなんの変哲もない綿の糸にしか見えない。
 仕事のし過ぎで、とうとう頭がイカレタか・・・。否、普通におかしいだろう・・・俺にしか見えないなんて、あんなに長く赤い糸があるとい うのに・・・。
絶対何かがあるはずだ。
自分にしか見えないのも、不思議だが・・・。この糸がどこまで続いているのか気になる・・・・・・・・・。
(よしっ!!)
すくりと立ち上がり、この元をさがすべく扉のむこうに向かって歩を進めると、予想した通り廊下までそれはつながっていた。


手元の糸を弄びながら、ゆっくとした足取りで長い廊下を歩いていっても、一向に糸の切れ目が見えない。
「・・・・・・・・・、まさか・・・・・・な」
方向的に「ある」部屋が思い浮かんで、一人頭を左右に振るとその考えてを打ち消した。
それでも、どんなに考えを否定しても、浮かぶのは核心・・・直感としかいいようがない。
・・・それが一番確実な考えのように思えるからだ・・・。
もし、その部屋に糸が入っているようだったら、扉はあけずに踵を返そう。
そうだ、それだけの話しだ。
もしもの時の対処を考えながら、ややうんざりとした気持ちで糸を追っていると、部屋の扉に挟まっているのが見えた。

「・・・・・・・・・!?」
その場所が、思っていた部屋でないことにほっ。と肩を撫で下ろす。
てっきり、マジックの執務室につながっているとばかり、思っていたシンタローは考えが外れた事に、ふっと唇を緩ませた。
確かにもう少しいった所にあるが、ここはマジックのそれとは違う。確か、使われてない部屋だったはずだ。
(こういう六感は外したこと無かったんだが・・・。)
それでも、自分の考えが外れたことが、嬉しいのかシンタローの表情はやや明るいものへと変わっていた。
「そうだよな・・・いくら、親父だからってこんな、暇なことするわけねぇか」
一人こぼすしても、まだ一抹の不安が拭えないでもないが、『この扉をあければ何かが、分かるかもしれない。』という思いがその思いを 押しやった。
ざわざわと心の浮き立ちにつのを感じながら、一つ深呼吸をすると、シンタローは部屋の扉を押し開けた。

「なんだぁー・・・・・これ」
何があるのだろうと、期待に扉を開けたシンタローを待っていたのは・・・・・・
人形だった。
部屋の中央に、椅子に乗せられたぬいぐるみが一つ。そのぬいぐるみの左手には赤い糸が巻きつけられていて、その左手からの糸をたどる と、自分の手の中にある赤い糸に行き着いた。
誰がこんな馬鹿げたことを・・・っと思ったが、その人形の容姿から、誰が作ったかなど考えなくても頭に浮かぶ。
「・・・・・・暇人」
ガクリとシンタローは頭を垂れた。

「暇人って・・・誰のことかな?」
耳元で囁かれる、背筋がゾクリと痺れるような低音に、シンタローはビクリと体を硬直させる。
それでも、呼吸を繰り返して、なんとか肺に空気をおくりこむと、ボソリと呟いた。
「本っっ当、暇な奴・・・何してんだよ」
「何って?」
わざと耳元に顔を寄せて囁くマジックに顔を背けて、肩を撫で不穏な動きをする男の手を払いのけた。
(本当、油断もすきもねぇ・・・・・・)
「このバカ気た糸と、あの間抜け面なテメェの人形だよ」
「赤い糸だろう」
「はぁ?・・・・・・だから?」
振り向くもの億劫で、日本語分かってんのかテメェ?っと苛々とした口調で問いただすも、相手はいたってマイペースで気にも留めないよ うだ。
「だから?赤い糸だろう。運命の赤い糸って言うじゃないか。シンちゃんの運命の相手は私ってことだよ。宿命ともいうがね・・・。面白い だろう?」
「・・・・・・・・・・・・」
呆れて言葉も出ない。バカだ、こいつは本物のバカ野郎だ。
こんなバカの茶番にまんまと引っかかる俺もバカだ・・・。とはいえ、気にかかる点が何点かある・・・
「これ、特殊な糸か?」
「そう見えるかい?普通の綿の糸だよ。・・・あ~、自分しか見えないって信じたんだ! シンちゃんかっわいーvv」
「・・・・・・・・・!?」
『こいつ、殺す!!!ぶっ殺す』っと心に決めたかは定かでないが、マジックの言葉にシンタローから発せられる温度が急激に冷えたのは 言うまでもなく、体が怒りで微かに震えている。
「くそっ、わざわざあいつ等まで丸めこみやがって・・・・・・」
親父への怒りも去ることながら、秘書たちにまんまとくわされたことも、腹だたしい。
「ふふ、元は誰の秘書だったのかな?とはいえ、見える糸を見えないようにと頼むのには、少々骨が折れたかな。あれで、かなり忠誠心が 高いのだよ。ゆとりのない総帥生活に潤いを・・・午後休ませてくれっと提案したら、渋々承諾してくれよ。お前が日々忙しいのは事実だか らね」
「・・・・・・・・・どけよ」
怒りでどうにかなりそうだ、視線は床に置いたまま、マジックを押しのけようと体を反転させてようとして、逆にマジックに密着すること となった。
「誤解してないかい?これは、遊びだよ、ミニイベントみたいなものだ。 休めといくら言っても、休まないお前に私と彼らからのプレゼ ントみたいなものだよ」
体を離そうとするのに、いつのまにか抜きとったのか、最初から準備していたのか、マジックの皮のベルトが背中を通り、中へ引き込まれ ている。
両端を掴み、強く引かれると否応にでも、背中に回ったベルトに押されて、男と密着せざるおえない。
「怒ってる?でも、楽しかっただろう。扉をあける時なんて、楽しそうに頬を高揚させて・・・とても可愛かったよ」
「うるせぇ・・・その手を離せ」
確かに、楽しくなかったというには、嘘がある。この先に何があるのだろう。っと思うと想像が広がった。
秘書のことも、思い返せばチョコレートロマンスが、「申し訳ありません」っと何度も頭を深々と下げていた気もする。
腹が立つのは、まんまと引っかかる自分のまぬけさにだ。
薄々感じて頂けに、余計に腹立たしい。
「あーでもしないと、私の元には来てくれないだろう。私の部屋からだと分かったら、お前は背を向けて部屋に戻っただろうね」
「・・・・・・背を向けられる原因は、てめぇだろうがっ」
声を荒げるも、近すぎる距離にマジックのコロンが鼻腔をかすめる。その香りと背中に回ったベルトが下におりていく動きに、肌が粟だっ た。
耳元で、囁かれる甘いバリトンに、怒声さえも上擦ってしまいそうで、シンタローはぐっと唇を噛み締めた。
「怒ってる?騙すようなことして、ごめんね」
紳士な言葉なはずなのに、この男が発すると淫靡な響きを持つとしか感じられない。熱い息を吹き込まれるだけで、体の震えが止まらなく なる。
「怒ってねぇから・・・離してくれ」
どうにか、離れたくて・・・怒ってないと顔を左右に振ると、やんわりとマジックの肩口に手を置くと力をこめた。
「だめ、離さないよ。糸なんて生ぬるい・・・とりあえずと、この赤いベルトを使ってみたが・・・お前を繋げておくには、何がいいんだろうね 」
そういって、尾てい骨あたりで留まっていたベルトを、尻のあたりまでまわると締め付けるように、力をこめた。
「ん・・・くるし・・・よせっ」
不自然な姿勢に、呼吸するのも精一杯だ。そして、気のせいだと思いたい、下半身にあたる男の昂ぶり。
それが何か分かって、シンタローは顔を赤く染めるとマジックを睨みつけた。
「変態っ・・・・・・」
「今更だろう?せっかく、午後が自由になったんだ、今日はこれで愉しもうじゃないか。・・・それとも、シンちゃんがパパを縛ってみる? 」
絶句する息子が何か言おうとする前に、マジックは素早く口唇を塞いだ。


                                        - EnD -

*2005/09/04 * 赤い糸(シンちゃんとパパンの真ん中で) *

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 ↑すみません!!
  実はちゃんと、9月4日の日付が変わるとともに、UPする予定だったんです。
  が、その・・・3日に朝からちょっと打ち合わせがありまして・・・
  午後は、ちょっとした打ち上げがあったものですから。
  予定がずれてしまいまして、4日にあわてて作業にとりかかりました。
  ネタは決まってたはずなのに、書いてみるとなかなか思うようにいかないんですねぇ。
  改めて痛感しました。。。前はもっとサラサラ書けたハズなのになぁ。
  とはいえ、1日で作った突貫作業です(笑)
  これって、赤い糸?っと突っ込みを頂きそうですが、パパなら赤い糸といより、鎖とか鞭が似合うと思うんです。
  絶対逃がさない!といいますか・・・(笑)
  実は、続きもあったりするので、落ち着いたら書きたいです。
  少しでも、楽しんで頂けたらならば、幸いです。
  ご来読ありがとうございました。                   幸央
  
【この小説について】
 この小説は、「GATE」の蒼野さんのチャットで発案された企画です。
 シンちゃんとパパンの誕生日の間をとっての、9月4日に「赤い糸」をテーマに何かしましょうー。
 前回は紫だったので、今回はピンクのバラを限定TOPに。ということです。
 (ですよね・・・。あってます?)
 実は、私はその場にいなかったのですが、前回の企画楽しかったねー。っと呟いたおかげ様で、お誘い頂きました。
 そして、図々しくもやらせて頂いたというわけです。図々しくて申し訳ない
 お誘いの言葉を下さって、どうもありがとうございます!!感謝、感謝ですー。
 こんな、前の企画も終わってない私に・・・うっう・・・。目から鼻水が・・・。
 本当に、ありがとうございます。
 いつも助けられてばっかりです。

 今回は、ちゃんとできた。・・・ほっ。
 
 



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