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p-1

明日はいよいよクリスマス・イブだ。
といっても悪魔には何の関係もない話だ。
人間界やお祭り好きの天上界の奴らも何故か一緒になって騒いでいるだろう。
魔界の奴らには関係なし。
少なくとも俺は昼になってもベッドの上でごろごろと惰眠をむさぼっていた。

『シンちゃんは、悪魔なんだよね』
『あん?何をいまさら?』
『悪魔がこうやって目の前にいるんだから、
 神様も本当にいるんだよね?
 それとも神様や天使なんていなくて、悪魔だけがいるのかな?』
『...いろんな誤解があるようだな。
 まぁどうせ風呂が沸くまで暇だし説明してやるよ。
 いいか、お前らが住んでいる人間界と、次元を別にして俺が住んでいる魔界のほかに、
 さらに次元を異にした天上界ってのがあるんだ。』
『いかにもな名前だね。』
『まぁな。 
 で、人間界は説明しなくても分るな。お前らが住んでいる世界だ。
 魔界ってのは、青の秘石っつー...わけの分らん石があって、
 そいつが生み出したって言われている。
 魔界には悪魔やその他魔物...たとえば吸血鬼、人狼とかが住んでいる。
 悪魔や吸血鬼みてーな知性の高い生き物は青の秘石や、
 その直属の最上級悪魔『アス』の統治の下、町や都市を形成しているが、
 知能の低い生き物は野生でうろうろしているな。』
『たまに人間界に来たりするのかい?』
『一応禁止されているけど、実際には、あってないようなものだな。
 飲酒運転くらいのレベルだ。
 ある程度魔力がありゃ人間界への扉を開くのは簡単だからな。
 だから、たまーに裏出版で人間界の観光案内なんてのも出てる。』
『ずいぶんと俗っぽいね』
『そんなもんだ。
 正式な許可は、秘石..とまでは行かなくても、魔界の幹部連中から出るな。
 アンタがやった悪魔召喚の儀式は実は意外にも高度な技術でな、
 青の秘石直通なんだ。
 あれをすると青の秘石にあんたのデータが行って、
 それに見合った力を有する悪魔を、秘石が直接送り込むんだよ』
『へー』
『で、天上界だな。
 天上界っつてもお空の上にあるわけじゃねーぞ。他の2世界と次元が違うだけだ。
 赤の秘石をトップに、秘石が生み出した天使達や
 同じく秘石が生んだユニコーンとかなんだか「それ」ッぽい生き物が住んでる。
 青の秘石と赤の秘石は対を成す存在で、
 最上級悪魔『アス』に対して、最上天使『ジャン』ってのがいる。』
『天上界と魔界ってやっぱり中が悪いのかい?』
『伝統的にな。相容れねーんだよ』
『へぇ? んじゃ戦争とかあるの?』
『大昔はあったみてーだけど、
 青の秘石と赤の秘石が直接ぶつかった事はないみたいだな。
 うん。今は戦争まであとちょっと!とか
 武力による小競り合いがちょこちょこ起こってるわけじゃねーぞ。
 ほら、お前らイギリスとフランスみたいなもんだ。
 お互いに気質があわないがゆえに気に入らないってな感じで。』
『神様って言うのは?』
『...結論から言うとだな、『神』っつー存在はいねえ』
『...赤の秘石とは違うのかい? 天使はいるんだろう?』
『いいか、考えても見ろ、神っつーのは人間それぞれの理想像だ。』
『...なるほど。』
『分るか? たとえば...、
 二つの村があって、二つの長老がいた。
 ある日片方の村の長老が、もう片方の長老に言った。
 「私の村に素晴らしい若者がいた。
  彼ものの父親が羊を盗んだが、息子はそれを役人に告げたのだ」
 ソレに対してもう片方の長老が言うには
 「私の村で言う素晴らしい若者は、
  父親のために父親の盗みを隠し、父親は息子のために隠す者を言う」』
『なるほど。価値観の違いか。もしも片方の長老の考えを支持する『神』がいたら、
 もう片方の長老には支持されないわけだから、彼とっては『神』ではない。』
『私の神がそんな事を言うわけがない!!ってことだな。』
『キリストは? 彼は神の子だろう?』
『あー...神って名づけたのは失敗なんだろうな。
 天上界の奴らは、人間界に対して世話を焼くのが好きでな。
 そうやって色々世話を焼いた結果なんだ。』
『...世話...って』
『人間界が災害や、その他色々なコトで深刻に困っていたら
 ついつい世話を焼いちまうんだよ。
 人間からしたらわけの分らない生き物?がやってきて
 なんだか分らないけど助けてくれた。
 これはきっと万能な存在がいるに違いない! これが奇跡なんだ!って所か。』
『...悪魔の場合は?』
『人間みたいに弱い奴らをからかうのが好きなだけだ。』
『...からかうって...』
『だからからかってるだけだって。
 俺がアンタに3つの願いを叶えて、代わりにあんたの魂は俺のもの。
 普通は色々悩んだり考えたりして、でもって、死んだ後に魂をもらうわけだが、
人間の魂なんかもらったところであんまり意味無いからな。
 ぽーいっとかって適当に捨ててるぞ。』
『...ひどい』
『かわりに3つの願い叶えてやるんだろ。
 色々破滅して行くやつがいるからな、そういうの見ているのが楽しいんだ。
 悪魔と人間の知恵比べってのもある。』
『いたずら感覚って事か。』
『そういうことだ。
 基本的に血の気が多かったりノリと勢いだけで生きてるやつが多いからな。
 お前らから見りゃ結構ひどいことしてるんだろーな。』
『ま、私の場合は最高だけどねv』
『アンタこそが悪魔だよ...』
『ところでシンちゃん。』
『あん?』
『いつも羽出しっぱなしにしているけど、邪魔じゃないのかい?』
『...邪魔だけどまだ仕舞えねーんだよ』
『まだ?』
『俺はまだ下級悪魔だからな。上級悪魔だったらしまえるんだけどよ』
『下級? 上級?』
『生まれたての悪魔は一通りの知識を身につけたところで、「下級悪魔」
 通称「見習い悪魔」と呼ばれるようになる。
 経験を積む事で羽がだんだんおっきくなって行って、
 ある程度の大きさに行くと、さっき言った青の秘石に頼んで「進化」するんだ。
 進化したら「上級悪魔」になる。』
『具体的にはどう代わるんだい?』
『魔力が桁違いに上がるな。
 それと、物理的に考えて下級悪魔の羽の大きさでは飛べねーんだけど、
 上級悪魔になると羽だけで飛べるほど大きくて立派になる。』
『でもそれって邪魔にならないかい?』
『なる。もちろんなる。
 だからその桁違いの魔力を使って、
 羽や、やっぱりでかくなった角を消す魔法をまず最初に覚えるんだよ。』
『へーぇ。悪魔もそれなりに面倒だねぇ』
『まぁ人間に比べて余計なものがついてるからな。』
『他には他には?』
『...キラキラした子供のような目で見るのはやめろ。
 汚れまくってるくせに』
『失礼な。
 シンちゃんを想うこの心に汚れた部分なんてありはしないよ!』
『...じゃぁしばらく一人で寝ろよ』
『あ、ソレは無理。』
『速ッツ!』
『むしろ君を嘘偽りなく愛しているからこそ、
 もっと別の色々な形で愛を表現したいんじゃないかッ!』
『ほーぉ。じゃぁこの俺の尻を撫でているのも愛情表現か?』
『当然!』
『...風呂沸いたな。先に入るぜ』
『あ、私も一緒にv』
『入るな! よって来るなぁああ!!』
『洗いっこしよーねぇv』
『アンタが一緒だと洗うだけですまねーから嫌なんだよ!』
『なんだかんだで喜んでるくせにぃ』
『ソレはアンタがうま...じゃなくて、
 とにかく来るなぁああ!』

───回想終了───
か、関係ないところまで回想してたな。
それはともかく、アイツにも説明したとおり、『神』と呼べる明確な存在はいない。
人間が神と指しているのは、赤の秘石だろう。
天上界のトップじゃねーか。
人間にならまだしも、俺たちに奇跡なんて起こるわけがない。
だから、

「何だ。おきているのか」
「...キンタロー...
 せめてノック位してくれ。」
必要最低限の礼儀だというとヤツは肩をすくめ
「返事がなかったからな。
 中で死んでいるのかと思った」
死んでたまるか。
「で、何のようだ?」
「布団を干す」
................あん?
「布団乾燥機をグンマが作ってな。
 少し実験させてくれ」
布団乾燥機って...そりゃ確かにあったかい布団は気持ちが良いけどよ。
つか実験?
「...自分のところでやれ」
「却下」
「なんでだよ」
「失敗したら寝るところがなくなるからな。
 お前以上に困る」
...ソレは今夜グンマとヤルってコトデスカ...?
そゆことを堂々と示唆するな!!
いや、だったら!
「失敗したらグンマの所にとめてもらえば良いだろ?」
どっちの部屋でも一緒だろが。
「グンマの部屋はぬいぐるみやその他でどうにもその気になれなくてな。
 ───分るだろ?」
分りたくない分りたくない。
兄弟の部屋が色んな意味でロリポップな雰囲気で
お菓子の甘い匂いがふんわり漂ってて
日を間違えると機械が床に散乱しているなんてコト知りたくない!
「別に台所とかでも良いんだが、明日そこで朝食を作るということを考えるとな。
 ちなみに明日はお前の担当だったな」
ぐはっ!
「わ...分った! わかったよ!!
 布団乾燥機でも布団圧縮袋でも持ってきやがれ!」
「布団圧縮はないが...じゃぁ失礼する
 その間ベッドは使えないから適当にうろうろしててくれ」
「へーいへいへい」
俺は重い腰を(比喩だぞ)持ち上げ、台所に行った。

「あ、シンちゃーん。
 おそよーv」
お早うと言いたいのだろうか。
そりゃ昼まで寝てりゃ早くもねーけど、なんか最後についたハートが怖い。
そんなに説明しないのが腹立つのか?
心配かけた罰として3ヶ月皿洗い引き受けてやっただろうに。
「キンちゃんは?」
「お前が作った布団乾燥機使って俺の布団乾燥させてる」
「あぁ。大掃除に向けて造ってみたんだよ。すごいでしょ。」
「あーすごいすごい」
「お布団が寒いとどうにもやる気がしなくて」
「ふーん。何がだ?」
「え? 色々」
...コイツが言っているのは本当に「お布団が寒いと何をするにしてもどうもやる気が出ない」という意味だろうかそれともやっぱり『そっち』の意味なのだろうか。俺が人間界に行くまでのグンマだったらあっさりと前者を選んだんだがキンタローとそういう関係になっていったと知るとやはり後者としか思えないような気もするし。しかしどんな状況下に置かれようとグンマがグンマであるコトに変わりはないわけだからやはりこれは前者で良いのだろう。そもそも部屋さえ温かければ布団が多少冷たいくらい我慢できるだろうし俺の場合は電気毛布が入っていたから関係なかったけれどって何を思い出させるんだこの
「馬鹿グンマ───!!」
「えぇえええ!!??」
...はっ!
し、しまった。つい心の葛藤と現実を混ぜちまった...ッ!
正気に戻ってグンマを見てみれば、硬直しているコイツの姿。
「えーと...」
「シンちゃん。やっぱり人間界で何かあったの?」
「そりゃ...何にもなけりゃ半年以上もいねーよ。
 けど色んな理由で言えねぇ。」
何度も言ったけどな。こればっかりは言えねぇ。
「はぁ...聞きたいけど、いいよ。諦めた。
 シンちゃんって昔っから強情なところあったもんね。」
そうだな。自分でもそう思うよ。
「でもね、
 自分がしなくちゃいけないことをしっかり理解するのも大事だよ。」
「............」
「どしたの?」
「いや...お前に言われるとは思わなかったからな。」
「.........どういう意味?」
「あの部屋の散らかりよう。
 キンタローが嘆いてたぞ」
「ぐぅ。」
コイツが何を知っているのか、それとも何にも知らないで出てきた言葉なのか分らないが...
「少しの間外に出てくる。
 すぐ戻る」
「いってらっしゃーい」

自分がしなくちゃいけないことをしっかり理解する...か。
そんなの、とっくに理解してるんだよ。

「グンマ。」
「あ、キンちゃん。聞いてたの?」
「今、シンタローに言ったコト...しなくちゃいけないことってのは...」
「うん、アスから連絡があってね、シンちゃん契約とか何にもしないで帰ってきたんだって。
 まぁぼくらが無理やりつれて帰ったんだけど...
 だから...」


その夜。
グンマが新しく作った布団乾燥機とやらは無事成功したらしい。
布団が柔らかくなっていた。
それから、

『...あぁ...はぁ...』
『あんっ...』

隣の部屋から聞こえるグンマの声。
ちなみに隣の部屋はキンタローの部屋で、俺のベッドがある壁の、すぐ反対側にはキンタローのベッドがある。
つまり、壁一枚を隔てた向こうでは、キンタローとグンマが...

『いぁっ...』

だぁああああああああっ!!!
眠れねーッ!!
そりゃいくらなんでも兄弟のあえぎ声が聞こえたら眠れるもんも眠れんわ!!
くっ! こうなったらベッドの位置をずらすか?
い、いやいやいや。それだと振動が向こうに伝わってベッド移動しているのがばれる!
そんなことする理由はたったの一つなんだから聞いてたってばれる!
い、いや、好きで聞いてるわけじゃなく、聞こえちまってるんだから別に俺がすまないと思う義理はねーんだが...
くそー...
こうなったら意地でも寝てやる!!

『んぁっ!』

............
........................
....................................

『ああぁあああっ!』
...イったか。
じゃぁこれから静かに...

『きゃぁッ!』

え?
悲鳴にも似た声に何かあったのかと、耳を壁につけないまでも、耳をすませると、
よくは聞こえなかったが、なにやら言い争いをしているような雰囲気だ。
痴話げんかか?
..................

『あっ! あぅっ...』

単に2ラウンド開始かぁああああっ!!

まったくキンタローも若いな。
大体グンマも女みてーな、いつもより甲高い声あげるからよけーに煽られるんだろうが。
まぁあーゆー時はえてして裏返ったりするもんだけどよ。
俺だっていつも...

『くぅッツ!』

や...やべぇ...
勃ってきた───ッツ!!

どうすんだよこれどうすんだよこれどうすんだよこれぇッツ!
そ、そりゃここに来る前は毎晩のようにマジックに抱かれていたから今まで大丈夫(何が)だったけれど、
かんがえてみりゃ先週の木曜から一度も処理してねぇ!
なおかつ今日はこの状況...。
勃たないわけがない!

などと威張ってみたところでどうにかなるわけではなく、
...どうするんだよ本気で。

1、我慢
2、トイレにGO!
3、ここで処理

1は...
この隣からよく見知った二人がそーゆーコトをしているという事実がある以上、
というか音が聞こえてくる以上我慢は無理だ...
そもそも我慢して寝られるわけがねぇ。
2は、トイレ...
け、けどドア開けたら音が響くような気がする。
もしもそれで二人の邪魔をしちまったら...ッ!
.........邪魔してやろうか。
あ、じゃなくて、
どちらにしろ明日気まずい雰囲気になるような気がする。なんとなく。
3、ここで...
声を押し殺せば、奴ら自分らの行為に没頭しているだろうから、気づかれないような気がする...
だ...大丈夫だろうか。
再び耳を澄ませば、しっかり聞こえるグンマの嬌声。
......うわなんか腹立ってきたし。
何でコイツら+1のためにここまできつい思いしなくちゃいかんのか。
このままキンタローの部屋に殴りこみ...
だめだ! 痛すぎる!

あーちっくしょー...
これも結構イタいもんがあるけど...

おれはうつ伏せで寝ていた状態から、足をまげて腹を浮かせ…………、
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