「リン……」
首を軽く振るたびに後頭部から高い音が響く。
オヤジから渡されたヘアゴムだ。
確かにこの長髪は邪魔だ。
魔界にいたときも何度切ろうと思ったか分からない。
が、いかんせん手の掛かるヤツと口うるさいヤツと一緒に住んでいる上に、
見習い悪魔の俺にはそんな時間的、精神的余裕はなく、
なによりその2人にも好評だったため、数年放置していたのだ。
そして現在に至る。
今ならヒマだし。あいつらに合える希望もないし(涙)
短くするのも良いかも知れない。
そう思ってオヤジに「髪を切りたい」と言ったところ、
帰ってきた返事は
「誰が切るんだい?」
……失念していた。
考えてみれば俺の存在は、そのうちお披露目パーティーとやらを開くらしいが、一部の人間しか知らない。
そのお披露目パーティではコイツのことだから俺の羽とか角とか誤魔化す算段を立てているだろう。
が、パーティ以外で、理容師にこの髪の毛を聞かれたらどうしろというのだ。
「あ、まてよ。アンタが切ればいいじゃ「却下w」
即行で返された。
「私は君の艶やかな黒髪も気に入っているんだよ?
しっとりしているのにサラサラで……
良いねぇ……」
トリップしかけたところを見ると、どうやら本気で切ってくれる気はないらしい。
仕方ない。
俺は諦めてベッドにごろりと横になった。
怠けているわけではない。
腰が痛くて実は動くのも億劫なのだ。
次の日。
マジックからハイとヘアゴムが渡された。
「本当はもっと立派なのあげたいんだけど、とりあえず暫定的にね。」
「イヤ、コレで十分だよ」
コイツに本気で選ばせたら、なんつーか煌びやかと言うか豪奢な作りのバレッタでも仕入れてきそうだ。
渡されたヘアゴムは、長い一本の物で、必要なときに必要な分だけ切って使うという物だった。
「とりあえず一本有ればいいのかな。」
貸して。とハサミを持ったオヤジが言ってきた。
「ほらよ」
「どうも。」
渡されたゴムを短く切って、デカイ鈴をつけて、端と端を硬く結ぶ。
…………デカイ鈴?
「はい。できあがり」
ごす!
「何だその鈴は!!?」
軽くげんこつで殴っておく。
俺が想像したのは、猫の首輪に付いている鈴だった。
牛のカウベルでも良いが。
「他意はないんだよ?
ただシンちゃんの居場所がよく分かるってだけで」
「俺がいる場所はここしかないわぁ!!」
「……シンちゃん……今のセリフ」
「?……!!
ち……違う! 今のは『俺の居場所はここしかない』ってんじゃなくて、
今現在俺がいる場所はいつもここだけっていう……
って人の話を聞けぇええ!!」
「シンちゃぁああんっv何て可愛いことを言ってくれるんだぃ!!?」
「ちっがーうぅうううう~~~ッツ!!
結局、俺の後半のセリフは耳に入っていなかったらしいオヤジに、
その日はそのままベッドの上で……
ちなみにその鈴付きゴムは、そりゃ有れば便利だから使っているのだが、
音が鳴るたびにオヤジのうっれしそーな顔と、その版……のことを思い出してしまい、
集中できなくなってしまった。
そもそもゴム使うのは、集中力が必要な作業をしているときだっつーのに……
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首を軽く振るたびに後頭部から高い音が響く。
オヤジから渡されたヘアゴムだ。
確かにこの長髪は邪魔だ。
魔界にいたときも何度切ろうと思ったか分からない。
が、いかんせん手の掛かるヤツと口うるさいヤツと一緒に住んでいる上に、
見習い悪魔の俺にはそんな時間的、精神的余裕はなく、
なによりその2人にも好評だったため、数年放置していたのだ。
そして現在に至る。
今ならヒマだし。あいつらに合える希望もないし(涙)
短くするのも良いかも知れない。
そう思ってオヤジに「髪を切りたい」と言ったところ、
帰ってきた返事は
「誰が切るんだい?」
……失念していた。
考えてみれば俺の存在は、そのうちお披露目パーティーとやらを開くらしいが、一部の人間しか知らない。
そのお披露目パーティではコイツのことだから俺の羽とか角とか誤魔化す算段を立てているだろう。
が、パーティ以外で、理容師にこの髪の毛を聞かれたらどうしろというのだ。
「あ、まてよ。アンタが切ればいいじゃ「却下w」
即行で返された。
「私は君の艶やかな黒髪も気に入っているんだよ?
しっとりしているのにサラサラで……
良いねぇ……」
トリップしかけたところを見ると、どうやら本気で切ってくれる気はないらしい。
仕方ない。
俺は諦めてベッドにごろりと横になった。
怠けているわけではない。
腰が痛くて実は動くのも億劫なのだ。
次の日。
マジックからハイとヘアゴムが渡された。
「本当はもっと立派なのあげたいんだけど、とりあえず暫定的にね。」
「イヤ、コレで十分だよ」
コイツに本気で選ばせたら、なんつーか煌びやかと言うか豪奢な作りのバレッタでも仕入れてきそうだ。
渡されたヘアゴムは、長い一本の物で、必要なときに必要な分だけ切って使うという物だった。
「とりあえず一本有ればいいのかな。」
貸して。とハサミを持ったオヤジが言ってきた。
「ほらよ」
「どうも。」
渡されたゴムを短く切って、デカイ鈴をつけて、端と端を硬く結ぶ。
…………デカイ鈴?
「はい。できあがり」
ごす!
「何だその鈴は!!?」
軽くげんこつで殴っておく。
俺が想像したのは、猫の首輪に付いている鈴だった。
牛のカウベルでも良いが。
「他意はないんだよ?
ただシンちゃんの居場所がよく分かるってだけで」
「俺がいる場所はここしかないわぁ!!」
「……シンちゃん……今のセリフ」
「?……!!
ち……違う! 今のは『俺の居場所はここしかない』ってんじゃなくて、
今現在俺がいる場所はいつもここだけっていう……
って人の話を聞けぇええ!!」
「シンちゃぁああんっv何て可愛いことを言ってくれるんだぃ!!?」
「ちっがーうぅうううう~~~ッツ!!
結局、俺の後半のセリフは耳に入っていなかったらしいオヤジに、
その日はそのままベッドの上で……
ちなみにその鈴付きゴムは、そりゃ有れば便利だから使っているのだが、
音が鳴るたびにオヤジのうっれしそーな顔と、その版……のことを思い出してしまい、
集中できなくなってしまった。
そもそもゴム使うのは、集中力が必要な作業をしているときだっつーのに……
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