さもありなん
どうしようとも変わらないならば諦めるしかないだろう。
認めたくないが、心は正直だ。
「チッ。忌々しい」
「……嫌ならやめろよ」
すでに固定されてしまった顎に、視線は真っ直ぐ蒼天を貫く。小さな空が二つ、そこにある。
あっという間の出来事だった。
行き成り引っ張られったと思ったら、身体ごと相手に抱きこまれて、視線すらも囚われる。
なのに、そうした相手は、その状態をキープしたまま、愚痴り始めたのである。
「はあ…なんで俺がてめぇなんかを」
「だから、嫌ならやめろっていってるだろうが」
これ見よがしな溜息を目の前でつかれる。
そんなに嫌そうに言うならば、その先の行為は中断すればいい。こっちだってそんな感じでされても気分がよろしくない。
それに、この一連の行動は、自分が求めたものではない。相手が突発的に起こしたものだ。
自分がしたことといえば、久しぶりに帰ってきたおっさんを見つけて、片手をあげて「よぉ!」と挨拶しただけである。
だが、相手は、がっちりこちらに視線を固めるとわかってねぇな、と言いたげに首を振った。
「やめられねぇから、困ってるんだろうが」
「馬鹿か? おっさん」
呆れてものもいえない、というが、どうやら相手を貶す言葉だけは出てきてくれるようだ。
何をやっているんだ、と突っ込みをいれてあげたい。
こっちだってヒマではないのである。相手の酔狂にいつまでも付き合ってはいられないのだ。
「いいから、やんねぇなら離せよ、馬鹿」
いい加減じっとしているのも飽きてきた。
どうにか、この縛から逃れられないかと身を捩じらせれば、覚悟を決めたように、先ほどよりもきつく身体を固体させられた。
相手が、一瞬、くしゃりと顔を顰める。
「あ~あ、そうだよな、馬鹿なんだよ。けどな―――愛してる」
なのに、その瞬く間に、真摯な表情に変わっていて、嘘偽りはありませんとばかりに、そう告げてくれるから性質が悪い。
それだけで、喜ぶ自分がいるのだから。
今度は、こちらが溜息をつく番だ。
「はあ…なら、最初から素直にそう言ってろよ」
「うっせえよ」
そうして、ようやく重ねられた唇から注がれる、紛れもない愛を受け止める。
――――――素直じゃねぇのはお互い様だろうが?
どうしようとも変わらないならば諦めるしかないだろう。
認めたくないが、心は正直だ。
「チッ。忌々しい」
「……嫌ならやめろよ」
すでに固定されてしまった顎に、視線は真っ直ぐ蒼天を貫く。小さな空が二つ、そこにある。
あっという間の出来事だった。
行き成り引っ張られったと思ったら、身体ごと相手に抱きこまれて、視線すらも囚われる。
なのに、そうした相手は、その状態をキープしたまま、愚痴り始めたのである。
「はあ…なんで俺がてめぇなんかを」
「だから、嫌ならやめろっていってるだろうが」
これ見よがしな溜息を目の前でつかれる。
そんなに嫌そうに言うならば、その先の行為は中断すればいい。こっちだってそんな感じでされても気分がよろしくない。
それに、この一連の行動は、自分が求めたものではない。相手が突発的に起こしたものだ。
自分がしたことといえば、久しぶりに帰ってきたおっさんを見つけて、片手をあげて「よぉ!」と挨拶しただけである。
だが、相手は、がっちりこちらに視線を固めるとわかってねぇな、と言いたげに首を振った。
「やめられねぇから、困ってるんだろうが」
「馬鹿か? おっさん」
呆れてものもいえない、というが、どうやら相手を貶す言葉だけは出てきてくれるようだ。
何をやっているんだ、と突っ込みをいれてあげたい。
こっちだってヒマではないのである。相手の酔狂にいつまでも付き合ってはいられないのだ。
「いいから、やんねぇなら離せよ、馬鹿」
いい加減じっとしているのも飽きてきた。
どうにか、この縛から逃れられないかと身を捩じらせれば、覚悟を決めたように、先ほどよりもきつく身体を固体させられた。
相手が、一瞬、くしゃりと顔を顰める。
「あ~あ、そうだよな、馬鹿なんだよ。けどな―――愛してる」
なのに、その瞬く間に、真摯な表情に変わっていて、嘘偽りはありませんとばかりに、そう告げてくれるから性質が悪い。
それだけで、喜ぶ自分がいるのだから。
今度は、こちらが溜息をつく番だ。
「はあ…なら、最初から素直にそう言ってろよ」
「うっせえよ」
そうして、ようやく重ねられた唇から注がれる、紛れもない愛を受け止める。
――――――素直じゃねぇのはお互い様だろうが?
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