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ks
 春眠暁を覚えず  処処啼鳥を聞く
 夜来風雨の声   花落つること知る多少 
                 孟浩然『春暁』


「春だよな~」
「それとこれとの関係は」
 明後日の方向を向く寝坊人間に、未処理の書類の束を突きつける。
 朝一番に提出しなければいけないそれは、恐ろしいことに、まだ手付かずの状態だった。
 昨日はあまり仕事が詰まってなかったために、早めに寝て、朝早くにこれを仕上げる予定だった。だが、こちらが別の仕事を片付けて、様子を見にいけば、まだぐっすり睡眠中のガンマ団総帥を見つけてしまったのである。
 即座に叩き起こして、今、ようやく総帥席に着かせたところだった。
「10分後には提出なんだぞ。何を悠長に寝ていたんだ」
 時間は刻々と迫ってきている。
「春眠暁を覚えず、という言葉をしらねぇのかよ」
「TPOでやってくれ」
「……んなのできたら、そんな言葉、存在しねぇよ」
 じとりと不満げな視線を向けてくれるが、だからと言って、納得できるはずはない。
 そのおかげで、現在かなりピンチな状況なのである。
 だからといって、そこで長々と説教することはできなかった。
 別に、相手の監視を怠ったことに対しての負い目があるわけではない。
 本当に切羽詰っているのである。
(ああ、後8分)
 バサリ。
 書類の束を何も置かれていないデスクの上に置いた。
 あちらこちらと忙しなく動いていた相手の視線も、それに視線が向けられる。
 引き攣った顔は、お互い様。
 ようやく動きだした総帥の前で、会議が始まる時間をどれだけ延ばせるかを頭の端で演算する。
(間に合ってくれ)
 すでに神頼みまで行きそうなギリギリ具合が、胃をキリキリさせる。嫌な感じだ。
 朝の柔らかい陽気が東向きの窓から、ふわふわと漂っているような空間の中で、ぴりりとした空気が流れ込む。というか、辺りを覆わせる。春の陽気など、今は一切必要ない。
「「とにかく、やるぞ」」
 二人の声が合わさる。
 それ以外言うべき言葉はなし。


 ――――――そう言えばこんなことは、もう何回目だ?(いい加減にしてくれ…)










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