吸い込まれそうな天空の青と地上を汚す血の赤
それが日常だった
「いい天気だな~」
ぼけっと空を見上げれば、目にまぶしい蒼穹が広がる。
見通しのよい平地の上で、寝転がった姿勢にすれば、その視界は全て青に埋め尽くされた。
風が吹き抜ける。
肌に触れるそれは、激しい運動をしたばかりの自分の身に、心地よさをあたえ、過ぎ去る。
けれど、そこに含まれる大量の血の香りに、シンタローは、かすかに顔をしかめた。
慣れたはずなのに、清浄な空気に不意に混じるそれには、鼻のシワをつい寄せてしまう。
「赤いなあ」
手を太陽の光にかざせば、粘りつくような赤い水が手に絡まっているのがわかる。
それは人の血。
青い空に映える赤い血に、苦笑する。
この光景を受け入れたのはいつからだろう。
この手が血に染まることを怯えた時は、確かにあったのだ。
けれど、繰り返し染められる赤に、いつかそれは常のようになっていく。
この道を選んだことに後悔はしていない。
マジックの息子だからという単純な理由で、ここにいるわけではないのだから。
一時期、それで悩んだ時期も確かにあったかもしれない。それでも選んだのは、自分で、誰に強要されるわけでもなく、自身の意思で、この世界に身を投じることを選んだ。
けれど、時折怖くなる。
この日常に。
気持ちの良い空の下で、赤く染まる地上を見続けることの日常が。
それに恐れつつ、受け入れることに慣れる自分。
それでもきっといつかは、これが当たり前になるのだろう。
この道を進んでいる限り。
彼の背中を追う以上、それは必至でしかないのだから。
「強くなる…さ」
その言葉だけが、今の自分を支える言葉。
この手が赤く染まることさえも躊躇わずにいられる言葉。
そのためにも、この手が必要だった。
赤い赤い手。
人の命で染められた手。
その手を強く握り締める。
自分は、この手で生きていく。
いつかを掴むために必要なこの手を携えて明日へ。
――――――けどさ、真っ赤に染められた未来を自分は本当に望んでいるのかな?
それが日常だった
「いい天気だな~」
ぼけっと空を見上げれば、目にまぶしい蒼穹が広がる。
見通しのよい平地の上で、寝転がった姿勢にすれば、その視界は全て青に埋め尽くされた。
風が吹き抜ける。
肌に触れるそれは、激しい運動をしたばかりの自分の身に、心地よさをあたえ、過ぎ去る。
けれど、そこに含まれる大量の血の香りに、シンタローは、かすかに顔をしかめた。
慣れたはずなのに、清浄な空気に不意に混じるそれには、鼻のシワをつい寄せてしまう。
「赤いなあ」
手を太陽の光にかざせば、粘りつくような赤い水が手に絡まっているのがわかる。
それは人の血。
青い空に映える赤い血に、苦笑する。
この光景を受け入れたのはいつからだろう。
この手が血に染まることを怯えた時は、確かにあったのだ。
けれど、繰り返し染められる赤に、いつかそれは常のようになっていく。
この道を選んだことに後悔はしていない。
マジックの息子だからという単純な理由で、ここにいるわけではないのだから。
一時期、それで悩んだ時期も確かにあったかもしれない。それでも選んだのは、自分で、誰に強要されるわけでもなく、自身の意思で、この世界に身を投じることを選んだ。
けれど、時折怖くなる。
この日常に。
気持ちの良い空の下で、赤く染まる地上を見続けることの日常が。
それに恐れつつ、受け入れることに慣れる自分。
それでもきっといつかは、これが当たり前になるのだろう。
この道を進んでいる限り。
彼の背中を追う以上、それは必至でしかないのだから。
「強くなる…さ」
その言葉だけが、今の自分を支える言葉。
この手が赤く染まることさえも躊躇わずにいられる言葉。
そのためにも、この手が必要だった。
赤い赤い手。
人の命で染められた手。
その手を強く握り締める。
自分は、この手で生きていく。
いつかを掴むために必要なこの手を携えて明日へ。
――――――けどさ、真っ赤に染められた未来を自分は本当に望んでいるのかな?
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